メトロイドトータス〜鳥人族の後継者〜   作:ウエストモール

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シアとユエ、ハウリア族の戦闘は大規模な変更が入ることになりました


Pirates Invasion

『スピードブースター、オンライン』

 

 背面ブースターを噴射し、全身に青いエネルギーを纏って高速で大地を駆けるハジメ。彼が突き進む先にいるのは、多数のパイレーツだ。

 

 スピードブースターの発動時は無敵状態であり、大半の攻撃を無効化する。また、発動時に接触した敵を一撃で粉砕する攻撃性能も備えていた。

 

 ハジメはスピードブースターで進路上のパイレーツを蹂躙しながら進んでいくのだが、いきなり急ブレーキをかける。慣性で少し滑りながら停止し、その場にしゃがんだハジメの全身は明滅する白い光に覆われた。

 

 これは、スピードブースターの派生技であるシャインスパークを発動するための準備だ。加速により生じた運動エネルギーが増幅され、ハジメの全身を駆け巡る。

 

 やがて、ハジメは一体のフライングパイレーツに狙いを定めて地面を蹴る。全身を黄色に光り輝かせ、自身を砲弾に見立てて猛烈な勢いで空中を直進する。

 

 全身から衝撃波が撒き散らされ、進路上のフライングパイレーツに掠っただけでも撃破して進み、ターゲットに体当たりを仕掛けて一撃で粉砕した。

 

 そして、ハジメはズシンッ!という音と共に三点着地で地上に降り立ち、地面にヒビが入る。目の前には憎きパイレーツの集団がおり、ハジメは奴らに対して啖呵を切った。 

 

「パイレーツ共、この俺が相手だ」

 

 罪無き人々を虐殺するパイレーツに対し、ハジメは怒りに燃えていた。そんなハジメの気迫に押され、奴らは浮き足立っている。

 

『スペイザー、オンライン』

 

 アームキャノン内でエネルギーを増幅し、敵集団に向けて放つ。最大威力のビームが三発同時に放たれ、横並びになっていた三体のパイレーツを同時に撃破した。

 

 隊長格と思われる少し装備の良いパイレーツが我に返り、慌てて放ってきたビームを半身になって躱す。そこで、ハジメは新たなアビリティを発動した。

 

『フラッシュシフト、オンライン』

 

 ハジメの全身が青い光に覆われ、その場に残像を残して水平に高速移動する。撃ってきたパイレーツとの距離を瞬時に詰め、その首を絞め上げた。

 

「死ね」

 

ゴキッ……

 

 鈍い音が鳴る。四肢がダランと垂れ下がり、確実に絶命している。目の前で同胞が冷酷にも首を握り潰されて死ぬ光景は、奴らに恐怖を刻んだ。

 

 次の犠牲者は誰だと言わんばかりに敵集団を睥睨し、絞め殺したパイレーツの死体を地面に叩きつける。それが、奴らが一斉に襲いかかってくる合図だった。

 

 人海戦術で迫り来るパイレーツに対して、ハジメは休むことなくアームキャノンを動かし続け、ビームを連射することで対抗する。たった一人から無数の光弾が四方八方にばら撒かれ、次々と敵を撃ち抜いて近くに寄せ付けない。

 

 それでも限界があるので至近距離に迫るパイレーツも現れたが、そこもハジメのキルゾーンである。アームキャノンを装備していることから遠距離特化に思えるが、遠近両方に対応可能な万能型なのだから。

 

『ウインドクロウ、オンライン』

 

 ハジメは風爪を発動して飛び込んできたパイレーツを撫で斬りにし、アームキャノンによる打撃で叩き潰す。その戦いっぷりは、まるで鬼神のようだ。

 

「キャァァァ!!!」

 

 その最中、ハジメの並外れた聴覚は少女らしき悲鳴を聞き取った。行動に迷いはなく、すぐさま救助するために走り出した。

 

 ハジメは包囲網を突破すべく、前方にいるパイレーツに対して強烈なショルダータックルをかまして外骨格や内臓を粉砕する。

 

 その勢いは人間大でありながら全速力の自動車に匹敵しており、盛大に吹き飛んだ味方の死体に突っ込まれ、何体かパイレーツがボーリングのピンのようになっている。

 

(あれは……)

 

 駆けつけた先でハジメが目撃したのは、美しい金髪の森人族の少女がパイレーツに追い詰められ、今まさにブレードを振り下ろされそうになっている場面だった。

 

「させるか」

 

 ブレードを振りかざすパイレーツの動きをグラップリングビームで封じ、引き寄せるとアームキャノンによる打撃で仕留めてしまった。

 

「無事か?」

「わ、私は大丈夫ですわ。あなたは一体……?」

 

 ハジメは少女に駆け寄り、安否を確認する。彼女には多少の擦り傷があったが、大怪我はしていないようだ。

 

「話は後だ。これから君を安全地帯に連れて行く。俺から離れるな」

「は、はいっ…」

 

 ハジメは彼女を背後に庇い、移動しつつパイレーツとの戦闘を繰り広げる。なお、彼女の顔が真っ赤になっていることには全く気付いていない。

 

「こんなものまで持ち出しているのか……」

 

 しばらくして、ハジメの上空に現れる機影があった。それは、パイレーツATCとも呼ばれるパイレーツの装甲戦術輸送機だ。下部にある三連ビーム砲が武器である。

 

『スキャニング完了』

 

ビークル:パイレーツATC

 

スペースパイレーツの兵員輸送機です。兵員の輸送と攻撃支援に使用され、装甲化された機体は大抵の火器を無力化しますが、前部の吸気口のみ装甲化されていません。

 

「しっかり掴まっていろ」

「ひゃあ!?」

 

 パイレーツATCが下部の三連ビーム砲からビームを連射してきたので、ハジメは少女を抱えて大きな瓦礫の影に滑り込む。体を張って飛び散る破片から彼女を守り、攻撃が止んだのを見計らって単独で飛び出した。

 

『ノーマルミサイル、オンライン』

 

 吸気口を狙ってミサイルを何発か撃ち込むと、機体から炎と煙が吹き出して回転しながら墜落していく。地面に堕ちた巨体を背景に歩いてくる姿は、少女からすれば英雄のように見えた。

 

「おっと、まだいたのか」

 

 そこに、増援として四機のパイレーツATCが出現して空からハジメを包囲する。ビークルの高い火力で何としても排除するつもりなのだろう。しかし、増援が来たのはこちらも同じだった。

 

「“瞬凍”」

 

 絶対零度の魔弾がパイレーツATCに直撃し、一部が凍りついたことでバランスを崩して隣の機体に激突する。ゼーベス本隊ではないので機体の品質はご察しであり、友軍を道連れにして墜落し、そのまま爆散した。

 

「ユエ、助かった」

「お父様、今のうちに……」

「分かった。ユエ、気をつけろよ」

 

 二人の間に多くの言葉はいらない。ハジメはこの場をユエに任せ、森人族の少女を連れてハウリアが確保している安全地帯に向かった。

 

 

 

 

 

「墜ちろ……“緋槍”」

 

 滞空する二機のパイレーツATCに向けて炎の槍が飛んでいく。それぞれの吸気口から機体内部に突入し、バイタルパートを灼熱で蹂躙して撃破した。

 

 パイレーツATCは瞬く間に墜落するのだが、その残骸を乗り越えるようにして多数のパイレーツがユエに迫り、ビームを一斉に撃ってきた。

 

「うっとうしい……」

 

 “聖絶”をドーム状に展開して安全圏を形成する。結界でビームやパイレーツの接近を阻みながら、ユエは手を掲げて魔法の構築を開始した。

 

 ユエの頭上に現れたのは無数の攻撃魔法だ。炎、雷、氷の槍に、回転する風や水の刃、石化させる灰色の球体など、多岐に渡る。

 

 効果の異なる魔法を同時に構築することを可能としているのは、ユエの才能と努力の相乗効果と言ってもいい。

 

「ん、行け」

 

 ユエが腕を振り下ろした瞬間、死をもたらす雨がパイレーツ達に襲いかかる。槍に貫かれ、刃で真っ二つにされ、氷像や石像に変えられ、死に絶えていく。フライングパイレーツも逃げ切れず、末路は同様だ。

 

 ユエの放つ魔法は帝国兵のものよりも威力が高く、速度やホーミング性能も上回っている。パイレーツは帝国兵の魔法を避けられても、ユエの魔法の前では為す術がなかったのだ。

 

 やがて、攻撃を繰り返していると結界の外側は瞬く間に死体で埋まる。ユエはパイレーツの大軍をたった一人で食い止めており、要塞と化していた。

 

「これで終わらせる……“炎天”」

 

 パイレーツの増援がこれ以上ユエの元に送り込まれる気配はなく、目の前にいる集団で最後のようだ。ユエは一先ず、自分の戦いを終わらせることにした。

 

 ユエが両手を天空に掲げると、頭上に太陽のような灼熱の火球が出現し、膨らんで巨大化していく。火属性上級魔法、“炎天”である。その光景に、パイレーツも上空を見上げた。

 

 直径は大体十メートルといったところで、その熱量はベヒモスへのリベンジで止めを刺したチートスペックの術者五人による炎天を上回っている。ユエのチート具合がよく分かるだろう。

 

 そして、“炎天”が落下してパイレーツの集団を飲み込み、問答無用で容赦なく焼き尽くしていく。奴らは完全に消し炭にされ、後には何も残らなかった。

 

 一方、シアはユエとは正反対の戦いを繰り広げていた。

 

「うりゃぁぁぁぁ!!」

 

 本気で身体強化したシアの鉄拳を胴体に受け、パイレーツはグシャッ!という音と共に甲殻の破片と血を飛び散らせて絶命する。現在、シアはパイレーツの集団の真っ只中にいるところだ。

 

 どの方向を見ても敵だらけであり、以前のシアなら蹲って動けなくなっていただろう。だが、今は違う。戦う術を身に着け、精神的にも成長したシアに恐れはない。

 

『アイスハンド、オンライン』

 

『アイススプレッダー』

 

 冷気を纏った右腕にエネルギーを最大チャージし、自身の足元へと拳を叩きつけると、シアを中心として氷結が広がっていく。シアの場所だけ台風の目のようにポッカリと空間がある状態だ。

 

 周囲のパイレーツは氷像になった状態であり、身動きを取れなくすると同時に周囲からの攻撃を防ぐ氷の防壁にもなっている。

 

「はあぁぁぁ!!」

 

 その場で回し蹴りを繰り出し、周囲の氷像を薙ぎ払うようにして破砕する。飛び散る細氷のカーテンから姿を現したシアは、パイレーツを挑発した。

 

「かかってこいや!ですぅ!」

 

 パイレーツが一斉にビームを放ってくる中をシアは駆け抜ける。両腕を構えてフィールドウォールを展開すると、ボクサーのような前傾姿勢を取りながら前進する。

 

 ビームの間を潜り抜け、フィールドで防御し、その勢いのままにパイレーツの集団へ乱入するとハジメ仕込みの格闘術を駆使し、拳撃と脚撃を次々と繰り出してパイレーツを撃破していく。

 

 乱戦なのでパイレーツも同士討ちを恐れてビームを封じられ、シアの得意とする格闘戦の土俵へと強制的に引き釣り込まれている。

 

『アイスハンド、オンライン』

『ヒートハンド、オンライン』

 

 乱戦の最中、シアは左右のガントレットにそれぞれ異なる属性を纏わせる。左側は冷気、右側は熱気であり、いわゆる冷熱ハンドというやつだ。

 

 ヒートハンドは高温攻撃能力である。パワービームの粒子を振動させて加熱しており、発動するとアーマーの隙間が赤熱化し、熱気を放つようになる。最大チャージすれば範囲攻撃も可能である。

 

「うりゃうりゃうりゃうりゃ!!!」

 

 相反する二つの属性を纏う拳の乱打がパイレーツを打ち据える。初手のジャブで凍結し、流れるように放たれる灼熱のストレートで粉砕しており、一体につき二発で始末している。

 

(私、戦えてます……師匠とユエさんのお陰ですぅ!)

 

 シアは内心、自分の進化を喜んでいた。最初は守られるだけだった自分が、積極的に戦えるようになったのだから。自分自身の力と二人の力が合わさり、今の彼女を形成しているのだ。

 

「あなたで最後ですぅ」

 

 シアは目の前にいるパイレーツの生き残りへと歩みを進める。故郷であるフェアベルゲンを汚された以上、容赦するつもりは更々ない。

 

 パイレーツは最後の抵抗としてビームを撃ってくるが、フィールドを纏った拳で冷静に弾いて接近する。そして、右腕のガントレットからブースターが出現し……

 

『ナックルブースト、オンライン』

 

「歯ぁ食いしばれ!ですぅ!!」

 

 シアは至近距離へと踏み込むと、ガントレットのブースターを噴射しながら拳を突き出す。その一撃はパイレーツの肉体に穴を開け、直後に発動したヒートハンドで体内から焼き尽くした。

 

 

 

 

 

『シーカーミサイル、オンライン』

 

 アームキャノンより放たれた小型ミサイル群により数体のフライングパイレーツが一度に始末される。

 

「いい加減、しつこい連中だ……」

 

 ハジメは少女を護衛しつつパイレーツとの戦闘を繰り返していた。ユエとシアの戦う最前線からは離れているのだが、二人をすり抜けたパイレーツが侵入してきている。

 

 その時、木の上に隠れていた二体のパイレーツが飛びかかってきた。ハジメは咄嗟にアームキャノンを構えて発砲しようとするのだが、その前に奴らに向けて突っ込んでくる物体があった。

 

ヒュンヒュンヒュンヒュン……!!

 

 風切り音を立てながら飛来したそれは、手裏剣を思わせるような鋭いディスクであり、二体のパイレーツを立て続けに真っ二つにすると、持ち主の元へと帰っていった。

 

「な、何ですの?」

 

 ハジメはその正体を知っているので驚きもしないが、少女の方は何が起こったのかも分からない状態だ。

 

「ハジメ殿、ご無事ですかな?」

 

 そして、見慣れたパワードスーツのウサ耳がハジメ達の方へとやって来る。その正体はカム・ハウリアであり、スマートディスクという投擲武器を所持していた。

 

「カム……大丈夫だ、問題ない。それよりも、こちらの少女を保護してほしい」

「おや、彼女は……アルテナ様ではありませんか!?」

「カム、知っているのか?」

「知っているも何も、彼女はアルフレリック様の孫娘です。無事で良かった……」

 

 どうやら、少女はフェアベルゲンの要人だったようだ。アルフレリックの孫娘ということは、アリアの娘ということでもある。

 

「もしかして、シアのお父様ですの?」

「ええ……シアの父、カム・ハウリアです。この姿では分かりづらいかもしれませんが……」

「その姿は一体?そういえば、シアは何処にいるんですの?」

 

 質問責めをしてくる森人族の少女……アルテナだが、丁寧に説明してあげられる時間はない。何故なら、敵がすぐそこに来ているからだ。

 

「ハジメ殿、我らが対処します」

 

 すると、迫り来るパイレーツの集団に向けて何処かから何本もの赤いレーザーが照射される。狙いに被りはなく、完璧に振り分けられている。直後、赤いラインをなぞるようにして光弾が飛び込み、その甲殻をぶち抜いた。

 

「流石だな」

「最終防衛ラインは我らにお任せを。奇襲攻撃や破壊工作も並行して行っていますが、問題はありません」

「なら、俺は戻らせてもらう」

 

 ハジメはアルテナを預けると踵を返して最前線に戻っていくが、その背中にかけられる声があった。

 

「あ、あの!どうか、ご無事で戻ってきてくださいませ!!」

 

 それはアルテナだった。ハジメは少しだけ後ろを振り返ると、無言で頷くことで彼女の言葉に応え、再び歩き出した。アルテナはその背中をうっとりとした表情で見送るのだった。

 

(多くを語らないあのお姿……素敵ですわ!)

 

 

 

 その後のパイレーツの末路は分かりきった話だろう。ハジメ、ユエ、シア、ハウリア族の攻撃で奴らは総崩れとなり、圧倒的だったはずの勢力を急速に衰退させていく。逃げ出す者まで現れ、奴らの侵攻は完全に打ち砕かれた。

 

 この戦いはハジメ達の勝利に終わった。だが、忘れてはならない。スペースパイレーツの手によって多くの罪無き人々が傷つき、その命が奪われたということを。




フラッシュシフトからの首掴みはレイヴンビークが元ネタになっております。メトロイドドレッドの序盤のムービーでやってたやつです

また、パイレーツATCはメトロイドプライム3からの出典です。マイナーなので出すか迷いましたが、敵の種類が増えた方が戦闘を長く書けると思いまして…
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