メトロイドトータス〜鳥人族の後継者〜   作:ウエストモール

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ゴーレムの胸部装甲の突破方法は前作とは変えてあります


VS スーパーミレディゴーレム

ヴィィィィン……!!

 

 スーパーミレディゴーレムのモノアイが赤く輝き、そこから強力な赤いビームが発射される。視界が赤い閃光に埋め尽くされそうになる中、シアは迫るビームに向かって飛び出していき、両腕を前方に出してガントレットに意識を集中させた。

 

「フィールドウォール!」

 

 その瞬間、両腕のガントレットから発生した力場同士が結合し、まるで壁のようなバリアに変化してビームを防ぐ。三人分の範囲をカバーすることのできる強力なバリアであり、その強度は全て詠唱して発動した“聖絶”に匹敵している。

 

「師匠! 今のうちに!」

「あぁ…!」

 

 フィールドウォールの上からアームキャノンだけを出し、ハジメはミサイルを連射して攻撃する。狙いは現在進行形でビームを放出している頭部であり、何発かは腰のガトリング砲で迎撃されるものの、砲撃を中断させることができた。

 

『ちょっとぉ、隠れながら撃ってくるのは卑怯じゃない!?』

 

 何処からかミレディの声が聞こえてくる。いわゆる、天の声というやつだろう。彼女は別の場所からモニターしているようだが、こちらに声を届けることができるらしい。

 

『しょうがないなぁ、こうなったら無理矢理に出もでてきてもらうからね!』

 

 その時、五十体のゴーレム騎士がハジメ達の背後に出現し、襲いかかってくる。武器が振動刃になっていたり、下半身がブースターに換装されて自由自在に飛び回るなど、明らかに強化されていた。

 

「“破断”!」

 

 ただし、耐久力に関してはあまり変化がないのか、ユエが二挺のウォーターガンから放った水のレーザーによって近づく前に撃破されている。再構築されるのは時間の問題であるが、しばらくは邪魔が入らないだろう。

 

「シア、本体を叩くぞ!」

「はい!」

 

 騎士の相手はユエに任せ、二人は浮遊する足場を乗り継ぎながらミレディゴーレムに接近していく。それを迎え撃つのはガトリング砲と二連レールキャノンだ。

 

 二門のガトリング砲から光弾の雨がばら撒かれるが、二人は変則的な動きでそれを掻い潜り、ハジメがアイスビーム&ミサイルを叩き込んで沈黙させる。残っているレールキャノンからは次々と超高速の砲弾が飛来するが、ハジメはチャージビームで相殺し、シアに至っては拳で砲弾を弾き飛ばしていた。

 

『砲弾を弾くなんてどうなってんの?!』

 

 ミレディは驚いているが、そんなことは無視してハジメはミサイルのつるべ撃ちを敢行する。ただし、ミレディゴーレムはミサイルによって殴られ続けたものの、殆どダメージが通ることはなかった。

 

『ミレディちゃんのゴーレムにそんなものは効かないよぉ~』

 

 ミレディの声が響いた直後、ミレディゴーレムは左腕を向けてくる。左腕の先端にはフレイル型モーニングスターが存在しており、刺々しい鉄球に搭載されたブースターを噴射した勢いのままに射出してきた。

 

 シアは跳躍して上方のブロックに乗り、ハジメは回避行動を選択せず、最大チャージスペイザービームを迫り来るモーニングスターに向けてぶちかます。

 

ドガガガッ!

 

 三発のチャージビームは同時にモーニングスターへと直撃し、破壊にまでは至らなかったが軌道を大きく逸らすことに成功する。それと同時に上方のブロックにいたシアがミレディゴーレムの頭上を取り、飛び下りながら拳を振り下ろした。

 

『見え透いてるよぉ~』

 

 だが、ミレディゴーレムは自身にかかる重力を操作することによって、急激な勢いで横方向にスライドしてシアから逃れる。

 

「くっ!」

 

 このままでは攻撃が空振りに終わり、足場の無い空中で大きな隙を見せることになってしまう。シアは歯噛みしながらも全身を振り回して軌道を修正すると、ジェットブーツを吹かしてミレディゴーレムに突進し、右腕でブーストパンチを叩き込んだ。

 

ズゥガガン!!

 

 シアの一撃を左腕でガードするミレディゴーレム。それを受けた左腕はひしゃげてしまうが、ゴーレムなので問題はない。何事もなかったかのように左腕を横薙ぎにしてシアを吹き飛ばしてしまった。

 

「きゃぁああ!!」

 

 シアは悲鳴を上げて吹っ飛ぶ。本当なら彼女の身を心配するべきかもしれないが、彼女を信頼しているハジメはゴーレムから意識を外すことをせず、ひしゃげた部分に向かって最大チャージビームを叩き込むことで左腕を完全に欠損させた。

 

 なお、シアの方は巧みな姿勢制御技術によって無事に着地している。そこから更に追撃しようとする二人であったが……

 

「お父様、シア、そっちに何体かの騎士が向かった! 気をつけて!」

 

 ユエからの警告で振り返る二人。彼女が戦っている方から十体のゴーレム騎士が飛んできており、初期に破壊された個体が再構成されたものだった。

 

『さ~て、今のうちに再構成させてもらうね』

 

「くっ、こんな時に……」

「だからこそだろうな……」

 

『シーカーミサイル、オンライン』

 

 ハジメは小型ミサイルを斉射して半数のゴーレムを一瞬で撃破する。そして、煙の中から残りの五体が飛び出してきた。

 

 そのうちの二体はシアの方へと向かってくる。先行してきた個体を撃破した直後、もう片方が振り下ろしてきたブレードを右のガントレットで受け止め、同時に叩き込んだ灼熱の拳で騎士の土手っ腹に穴を開け、融解させてやった。

 

 尊敬する師匠の方へと目をやれば、すでに三体のゴーレム騎士が屠られている状態だった。そして、ミレディゴーレムの方は鉄球が失われたものの左腕が完全に再生していた。

 

『君達、思っていたよりもやるねぇ。ここは、ミレディさんも本気を出さねば無作法というもの……』

 

 その時、ミレディゴーレムの胸部以外の装甲がスライドし、総勢百二十発の弾頭がその姿を覗かせる。それらは全てミサイルであり、一斉に発射されるとハジメ達がいる一帯に着弾した。

 

ドゴォォォォンッ!!!

 

 爆音と共に衝撃波と爆炎に襲われ、煙に包まれる一帯。動く存在は見えず、空間は静寂によって支配された。煙が晴れた後、その場に現れたのはフィールドウォールに守られたシアとユエの姿のみだ。

 

『あれぇ、後継者君がいないよぉ? 流石に木っ端微塵にはなってないと思うけど、瓦礫の下に埋もれちゃったのかなぁ?』

 

 ミレディはゴーレムのカメラアイを通して二人を見下ろしながら言う。ゴーレムの視界にはハジメの姿は見えず、最大戦力が消えたかと思われた。だが、ゴーレムのセンサーは予想外の近さから音声を拾った。

 

「俺はここだ」

 

『!?』

 

 慌ててゴーレムを操り、声が聞こえた辺りにカメラアイを向けたミレディ。そこには、スライドした装甲の隙間に左腕と左足を引っ掛けて体を固定し、砲口から緑色の弾頭を露出させたアームキャノンを胸部に突き付けているハジメの存在があった。

 

『い、いつの間ッ!?』

 

ズガァァァンッ!!!

 

 次の瞬間、至近距離から発射されたスーパーミサイルが炸裂し、轟音でミレディの驚きの言葉が遮られる。その凄まじい爆発はゴーレムを吹っ飛ばし、胸部の装甲を木っ端微塵に粉砕した。

 

 胸部から煙を吹き上げて弾き飛ばされるミレディゴーレム。ハジメの方は発射直後に反動と爆風を利用して離脱しており、二人のいるブロックに着地してゴーレムを観察する。

 

「……やりましたか?」

「いや、これでは終わらないだろう。ミレディがスーパーミサイルの対策をしていないと思うか?」

「ん……どうやら、お父様の言う通りみたい」

 

 案の定、胸部の装甲が吹っ飛んだ状態のミレディゴーレムが何事もなかったかのように再び動き出した。

 

『その通りだよ、後継者君。ミレディちゃんがスーパーミサイルの対策をしないはずがないからねぇ。とても頑丈な合金を用意させてもらったよ』

 

 ゴーレムの胸部装甲を見てみると、消失した装甲の奥に暗い色の装甲が存在していて、そこには傷一つなかった。どうやら、ゴーレムの装甲は胸部限定で二重になっており、内側の装甲はコルダイト以上の強度を持っているらしい。

 

『さて、第二ラウンド行ってみようかぁ!』

 

 ミレディゴーレムが動き出す。カメラアイからはビームを、肩のレールキャノンからは砲弾を放ってくるが、三人の実力ならば回避するのは容易である。しかし、ゴーレムに対して有効なダメージを未だに与えられていなかった。

 

「師匠、どうしますか!?」

「慌てるな、まだ手段はある。シア、防御力が高い相手の守りを弱体化させる方法を教えたことがあったな?」

「あ、そうでした……あれなら!」

「だが、あれを当てるためには接近しなければならない。とりあえず、ゴーレムの武装を破壊するぞ!」

「ん……了解」

 

 ハジメはシアに様々な戦い方を叩き込んでいた。現有する装備や力が通じなくとも、その組み合わせ次第では打ち破ることだって可能である。簡単に戦いを諦めてはいけない。そのことを彼女に教えたのだ。

 

「“破断”」

 

 ユエはウォーターガンで肩のレールキャノンの砲身をズタズタに切り裂き、使用不能とする。カメラアイに内蔵されたビーム砲は長いクールタイムを要するのか、撃ってくる様子はない。

 

『君達に面白いものを見せてあげるよ』

 

 その瞬間、ゴーレムの周囲のブロックが内側から粉砕され、十字架のようなパーツが大量に出現する。それらはゴーレム騎士のように宙に浮いており、くるりと回転すると先端にある銃口をハジメ達に向けてきた。

 

「これは……ビット兵器か!」

 

 ビット兵器達は鉄砲隊のように整列し、一斉に光弾の嵐を放ってくる。シアのフィールドウォールによって防御されるが、一部のビットは無防備な防壁の後方に回り込んできた。

 

「ん……させない」

 

 当然、ハジメとユエによる迎撃が待っており、回り込んだビットはその多くが発砲できずに散っていく。放たれてしまったものもあるが、そこはバリアスーツによって高い防御力を誇るハジメが盾になることで無効化する。

 

 だが、狙いすましたようにミレディゴーレムは右腕の拳を赤熱化させると、背部の光翼を輝かせて突進してきた。フレイムナックルがフィールドウォールに叩きつけられ、その衝撃でブロックが粉砕される。

 

「くぅう!!」

 

 フレイムナックルを真正面から受け止めたシアは、苦悶の声を漏らしながら吹き飛んでいき、その先にあったブロックの上に退避していたハジメによってキャッチされる。

 

「シア、大丈夫か?」

「全身が痺れる感じがします。でも、まだ私は動けます!」

「そうか。ユエ、シア、奴の動きを封じる策を思い付いた」

 

 ハジメは全員の装備に内蔵されている通信機を介して作戦を説明する。

 

『作戦会議は終わった感じかな? では、戦いを再開するよぉ!』

 

 ミレディの合図と共にビット兵器群が動き出す。ハジメはシーカーミサイルの連発で数十機を破壊すると、単独で前に出る。ハジメは生き残りのビット兵器に取り囲まれ、様々な方向から砲火に晒される。

 

 しかし、その程度であれば問題ない。四方八方から取り囲まれることなら経験済みであり、今回は的が小さかったが、ハジメの脅威的な早撃ちの技術で容易に叩き落とされていく。

 

「“破断”!」

 

 ハジメがビット兵器を引き付けてる間にユエが飛び出し、二挺のウォーターガンからいくつもの水のレーザーをゴーレムの頭部や腕、肩に浴びせ、表面装甲を僅かに削っていく。

 

『おいおい、そんなのが効くとでも思っているの?』

 

 ミレディの方は“破断”が大したダメージにならないことを理解しており、ユエのことは無視してハジメへの対処に集中する。その隙に、ユエはゴーレムの背後に回り込み、背中にも水のレーザーを浴びせている。時折、ゴーレムとは関係のない方向にも放っていたが、ミレディが気付くことはない。

 

「これで最後だ」

 

 そして、ついに最後のビットが撃破される。そこにゴーレムがビーム砲撃を繰り出してきたが、シアがフィールドウォールによって防御し、ハジメはゴーレムに向かって前進していく。

 

『スーパーミサイル、オンライン』

 

 走りながらスーパーミサイルを準備するハジメ。ゴーレムが振り下ろしたフレイムナックルによって足場が破壊されるも、そのまま腕に飛び乗ってその上を駆け抜け、胸部に取り付いてアームキャノンを突き付ける。すでにミサイルの発射準備は完了していた。

 

『あはは、それじゃあ貫けないよ?』

 

「知っている!」

 

 ハジメの言葉と共にスーパーミサイルが射出され、その爆発によってゴーレムが弾かれて吹き飛んでいく。

 

 そして、ハジメは離脱せずに背面のブースターを吹かしてゴーレムを押し出し、キャノンからはミサイルを弾切れまで撃ち続けることで更に吹き飛ばし、最終的には背後に浮いていたブロックにゴーレムを叩きつけた。

 

「ユエ!」

「ん……凍って! “凍柩”!」

 

 ハジメの合図で、ユエは氷の棺に対象を閉じ込める上級魔法を発動する。ここでは上級魔法の使用は不可能なはずなのだが、拘束のためにはアイスビームよりも高い効果のあるこの魔法が必要不可欠であり、ユエはとある裏技を用いて使用可能とした。

 

 ブロックに叩きつけられたゴーレムの背中や腕が凍り付き、その巨体がブロックに固定される。その姿はまるで、磔にされた罪人のようであった。

 

『なっ!? どうして上級魔法が!?』

 

 驚くミレディ。ライセン大迷宮で上級魔法を使用できた理由は、“破断”と同じように元となる水を用意して消費魔力を減らしたからだ。最初の“破断”でゴーレムの全身に水を付着させ、叩きつける予定のブロックにも付着させておいたのだ。ユエがゴーレムとは別の方向にも水を放っていたのは、このためである。

 

 なお、裏技を使ったとしても魔力の消費は激しいものであり、エーテルタンクもすっからかんの状態となる程だ。ユエは肩で息をしながら、近場のブロックに着地する。

 

「よくやった! 行け、シア!」

「はい!」

 

 シアは良い返事と共に足場を蹴ってゴーレムの方へと飛び出すとスラスターを吹かし続け、胸部に急速接近する。その両腕はそれぞれ超高温と超低温と化していた。

 

『ヒートハンド、オンライン』

『アイスハンド、オンライン』

 

「でりゃぁぁぁぁぁ!!!」

 

 超高温の右腕を振りかぶり、身体強化の全てを注ぎ込んで拳を叩きつける。エネルギーが最大までチャージされ、右腕は全体がマグマのようなエネルギーに覆われている状態だ。

 

『サンバースト』

 

 拳の直撃と同時に太陽が出現し、強化された灼熱がゴーレムの胸部を襲う。これはサンバーストといい、最大チャージすることで発動する全てを焼き払う範囲攻撃だ。

 

 サンバーストの効果時間が終わるとゴーレムの胸部は真っ赤に染まっており、かなりの高温に達しているらしい。まだ装甲は破れていないが、これは準備段階であるので問題はない。

 

『アイススプレッダー』

 

 そして、間髪入れずに叩き込まれたのはエネルギーを最大チャージして完全に氷に覆われた左腕である。直撃と同時に甲高い音が響き、氷結が胸部表面に広がった。超高温に達した金属が急激に冷却されて超低温になれば、どうなるか分かるだろう。

 

バキィッ!!

 

『あぁ!?装甲にヒビが!!』

 

「師匠、今ですぅ!」

「あぁ!」

 

 ハジメはアームキャノンをミレディゴーレムの氷結してヒビ割れた胸部に向け、エネルギーの増幅を開始する。直後、最大チャージビームが発射されて奴の胸部に飛び込み、内部のコアに達して亀裂を生じさせた。

 

 ゴーレムのカメラアイから光が消え、活動を停止する。シアはそれを確認すると安堵の息を吐いた。視線を感じて振り向いてみれば、ハジメとユエがシアに向かってサムズアップしており、シアは満面の笑みでサムズアップを返した。

 

 たった今、七大迷宮の一つであるライセン大迷宮が攻略された瞬間であった。




サンバーストはメトロイドプライム2に登場するアビリティが元ネタです
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