メトロイドトータス〜鳥人族の後継者〜   作:ウエストモール

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メトロイドプライム4、早く遊びたくてたまらない


俺がすべてを終わらせる

 スーパーミレディゴーレムをハジメ達が撃破した直後、何処からかミレディの声が響いてきた。

 

『お疲れ様、よく頑張りました。最後の試練を乗り越えたので、君達にはプレゼントをあげるね。まず、パワードスーツの君には……』

 

 その時、機能を停止していたゴーレムの胸部装甲がパージされ、その中から亀裂の入ったコアが飛び出てくる。

 

『ゴーレムの浮遊にはこの中のアビリティが関係しているんだよね』

 

 浮遊するコアが紫色に輝き、その姿がランプのようなアイテムに変貌すると、ハジメのパワードスーツに融合して新たなアビリティを発現させた。

 

『グラビティ機能を入手しました』

 

『自身にかかる重力を操作することで水の抵抗や重力変動の影響を完全に無効化し、空中浮遊すら可能とするパワードスーツの拡張機能です』

 

『発動時にはスーツの一部が紫色に変化し、防御機能がさらに向上します。溶岩との接触にも耐える程ですが、溶解液への耐性はありません』

 

 ハジメが新たに入手したアビリティはグラビティ機能。その名の通り、重力を操ることのできる能力であり、水中や超重力空間で戦うためには必須となっている。

 

 バリアスーツの両肩には水色のクリスタルが嵌め込まれた紫色のデバイスが被せられるようにして追加されており、グラビティ機能の発動や制御はそこで行われる形となる。

 

『さて、後は神代魔法を伝授するだけなんだけど、ミレディちゃんの隠れ家に来てもらうよ。三名様、ご案内!』

 

 光っている足場ブロックが下の方から現れ、乗ってくれと言わんばかりに点滅する。三人が飛び乗るとブロックはスィーと水平移動し、壁の一角の前へと移動する。

 

 すると、目の前の壁が消失して白い壁で出来た通路が現れた。三人の乗るブロックはそのまま通路を滑るように移動を開始。そうして進んだ先には、他の迷宮や大軍神の壁画にあった七大迷宮を示す七つの紋様が刻まれた壁があり、近づくとスライドして道となった。

 

「やっほー! 天才魔法少女のミレディちゃんだよ!」

 

 潜り抜けた壁の向こう側にいたのはミレディだった。三人はそのまま魔法陣の場所まで案内され、ミレディが起動させた魔法陣の中に入った。

 

 そして、三人の脳の中に神代魔法の知識やその使用方法が直接刻まれていく。ハジメとユエは三度目なので無反応であるが、完全に初めてだったシアはビクンッと体を跳ねさせていた。 

 

「なるほど、やはり重力を操る魔法か。グラビティ機能を手に入れた辺りで察してはいたが……」

「正解! ミレディちゃんの魔法は重力魔法だよ。ただ、後継者くんとウサギちゃんは適性がないね。それも、びっくりするレベルで!」

「あぁ。それは理解している」

 

 神代魔法の知識が刻まれた段階で、ハジメとシアは自分に適性がなく、まともに使えない気がしていた。

 

「まあ、後継者くんはグラビティ機能がある程度代わりになってくれるから大丈夫じゃないかな。金髪ちゃんの方は適性がありまくりだね。修練すれば使いこなせるよ。ウサギちゃんは、体重の増減くらいなら……」

「えぇ……そんな……」

 

 それを聞いて意気消沈するシア。ユエは適性バッチリで、ハジメはアビリティによってある程度であれば代替することができるというのに、自分だけは体重の増減しかできないという現実。こうなるのも当然である。 

 

「落ち込むな、シア。体重の増減は戦いの役に立つぞ。体重が変われば体の動きが変わり、相手を翻弄することだってできる」

「おぉ、ミレディちゃんが言いたいこと全て言われちゃったよ」

「だったら最初からそう言えばよかっただろ。ミレディ、あまり俺の弟子をいじめないでくれ」

「ごめんねぇ、久しぶりの人間でテンションが上がっちゃって。てへぺろ☆」

 

 あまり反省した様子がないミレディ。ハジメはため息をつくと、ミレディの顔面にアイアンクローをしてやった。もはや、ミレディに対する敬意などない。

 

「アダダダッ!?」

 

 生身ではなくパワードスーツでのアイアンクローであり、鉤爪になっているので普通に痛い。本気でやったら顔が潰れたトマトになるため、手加減はしているが。 

 

「ごめんごめん、今からは真面目にやるからさ」

「分かればよろしい」

 

 アイアンクローから解放された解放者ミレディは、気を取り直して話を再開する。

 

「重力魔法に適性がある金髪ちゃんに提案があるんだけど、私からの指導を受けてみない?これでも、重力魔法の最高の使い手である自負はあるんだけど」

「ん……お父様はどう思う?」

 

 ミレディからの提案を受け、ハジメに意見を求めたユエ。だが、ハジメは彼女の意志決定に介入するつもりはなかった。 

 

「ユエ。重要なのは自分自身が何をしたいかだ。俺はユエの意思を尊重する」

 

「わ、私は……お父様やシアの力になりたい。だから、重力魔法について指導を受けようと思う 

 

 ユエは、自分自身の意思でミレディから重力魔法について指導を受けることに決めた。 

 

「ということだが、しばらくここに滞在してもいいのか?」

「別にいいよ。ミレディちゃんとしては賑やかな方がいいからね」

「分かった。しばらく世話になる」

 

 こうして、ハジメ達はミレディの隠れ家にしばらく滞在し、魔法の修行や装備の開発・改良をすることになった。

 

 

 

 二日後、ハジメ達が帰る時がきた。

 

「いやぁ、金髪ちゃんの飲み込みが早くて助かった。このまま鍛練を続けていけば、間違いなく最強の魔法使いになれるよ」

「ん……そう言われると嬉しい」

 

 たったの二日という短い期間での修行であったが、重力魔法の使い手であるミレディの指導とユエ自身の才能によって、ユエはミレディに認められる程の成果を上げた。

 

「君達が帰る前に聞いておきたいことがあるんだけど、いいかな?」

「あぁ、構わない」

 

 帰る直前、ハジメ達を呼び止めるミレディ。彼女はハジメと真っ直ぐに向き合うと、とあることを聞いた。

 

「君がこれからすることは、失敗した解放者の尻拭いのようなもの。本当に、私達の尻拭いを君にさせてしまっていいの?」

 

 それは、神殺しに失敗し、願いと力を後世の人間に託すことへの罪悪感から生み出された言葉。しばらくの間、その場に静寂が流れるのだが、それに対するハジメの答えは単純だった。

 

「問題ない……俺がすべてを終わらせる」

 

 それを聞いたミレディは微笑んだ。

 

「君達のような若人がいれば、世界は安泰だよ。私も安心して後を任せられる」

「あぁ、任せてくれ」

「そうだ、今後行くことになる残りの迷宮について教えてあげるよ」

 

 ミレディからもたらされた情報により、これまで不明であった三ヵ所の迷宮について知ることができた。さらに、攻略の証として上下の楕円を一本の杭が貫いているデザインの指輪を渡されている。

 

「実を言うと、ここから出る手段がちょっと特殊でね。水を使って流す仕様になっているんだ……」

「なら、グラビティ機能の出番だな。ユエ、シア、俺にしがみつけ」

「ん……」

「はい!」

 

 ハジメは指定された位置に移動すると、ユエとシアを自身にしがみつかせ、グラビティ機能を発動する。 

 

『グラビティ機能、オンライン』

 

 両肩のグラビティデバイスのクリスタルが輝き、両肩や四肢の装甲が紫色に染まる。胴体正面には左右対称となるように稲妻状の紫色のラインが走った。これが、グラビティ機能の発動状態である。

 

「それじゃあ、流すよ。行ってらっしゃい!」

 

 いつの間にか天井からぶら下がっていた紐をミレディが掴んで下に引っ張ると、ガコンというトラップの作動音が響き渡り、部屋の四方から大量の水が流れ込んでくる。

 

 たちまち部屋は激流に満たされ、そのままでは足を取られてしまうような状況になるが、グラビティ機能を発動させているハジメが動じることはない。重力を操作して空中に浮遊した直後、部屋の中央の床に穴が空き、そこに向かって激流が一気に流れ込み始めた。

 

「ミレディ、世話になったな」

「ん……色々と教えてくれてありがとう」

「お邪魔しました~」

 

 そして、ト○ロのようにユエとシアを掴まらせた状態で、水が流れ込んでいる穴へと下降していくハジメ。ユエもシアも呼吸器を備えた装備を身につけており、準備は万端だ。そのまま水中に突入し、ハジメ達は迷宮を後にした。

 

「あ〜あ、行っちゃったな……」

 

 ハジメ達を見送ったミレディはどこか寂しそうな様子だ。久しぶりに誰かと接したことがとても嬉しく、名残惜しくなったのだ。だが、そんな彼女の背後から話しかける者がいた。

 

『久しぶりです、ミレディ様』

 

 それは、優しげな老人の声だ。ミレディはその声に聞き覚えがあった。

 

「もしかして、エルダーお爺ちゃん!?」

 

 ミレディが振り返ると、随行支援ユニットから老いた鳥人のホログラムが投映されている。それは、紛れもなくエルダー本人だった。

 

『ええ、エルダーでございます。我ら鳥人族の後継者、ハジメ殿はどうでしたかな?』

 

「まあ、合格かな。それに、お爺ちゃんが信じて送り出したなら、私も彼を信じるよ」

 

『はっはっはっ、それは嬉しいですな』

 

「そうだ、お爺ちゃんに聞きたいことがあるんだけど……あのユエとかいう娘、何者なの?」

 

 ミレディはユエの才能を認めており、その能力の高さには舌を巻いている。しかし、その異常ともいえる力に疑問を覚えていた。

 

『ユエ殿は……オルクス大迷宮の一角にて何者かによって封印されていました。彼女は、我らが眠りに就いた後に滅んだ吸血鬼族の生き残りです』

 

「へえ……何者って誰なんだろう。封印といい、嫌な予感がするね……もしかしたら、あのクソ神関連かも」

 

『ええ、もしかすると……』

 

 二人は底知れぬ不安を覚える。裏で暗躍しているであろうエヒトの影を感じ、良くないことが起こる予感がしていた。

 

 

 

 

 

 激流の先は地下水脈だった。魚達が数多く泳いでおり、地上の川や湖とも接続されているようだ。中々の激しい流れではあるが、ハジメには関係ない。やがて、三人はとある泉に出た。

 

「最初は性根が捻じ曲がった最悪の人だと思ってましたけど、ミレディさんは結構良い人でしたね」

「まあ、性格が悪い傾向にあるのは間違いないが、あれは俺達の精神を鍛えるためにやっていた部分も大きいだろうな」

「ん……彼女は嫌われることを承知であれをやっていたのだと思う」

 

 ハジメ達は地下水脈の出口となっている泉の近くで休憩しつつ、ミレディに対する評価を改めていた。

 

 迷宮の各所にあったウザい文と嫌らしい配置のトラップの数々。ミレディは攻略に来た人間に対して様々な嫌がらせをしてきたが、その真意は神に立ち向かうための精神力を養うことにあった。

 

 神によって世界が敵になってしまった状況で追い詰められた解放者だからこそ、強い精神力の重要性を理解していたのだ。

 

「そろそろ出発しよう。あれだけ目立っていた俺達が一週間も姿を消していたのだから、町の人々も心配しているだろうな」

「そうですね、師匠」

「ん、みんな待ってるかも」

 

 迷宮での戦いを終えた三人はブルックの町へと歩き出す。だが、彼らは知らなかった。まだ戦いは終わっていなかったということを。




ハジメのシルエットはPEDスーツ(ハザードシールド装備)みたいになりました

次回で二章は最後となります
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