メトロイドトータス〜鳥人族の後継者〜   作:ウエストモール

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海底の沈没船

 数日後、ハジメ達の姿は大砂漠にあった。ランドファルコンを駆るハジメが護衛するジャガーノートが砂地を駆け抜け、沿岸部で停車する。

 

 沿岸部に来た理由は、ミュウの故郷である海上都市エリセンへ彼女を送り届けるためだ。依頼を達成するのもそうだが、ミレディからその存在を教えられた大迷宮の一つ、【メルジーネ海底遺跡】に最も近い町らしく、その探索のための拠点として利用する目的もあった。

 

 海を渡り、海底遺跡への突入にも使用する乗り物はすでに建造済みだ。フェアベルゲンには大型の物体を建造するためのドックや自動工場が設けられ、新生・解放者を支援する準備が整っている。

 

「ようやく来たか」

 

 空を見上げれば、そこにはハジメのスターシップが来ている。その下部から伸びる大きなグラップリングビームに吊り下げられていたのは、大型の潜水艇だった。

 

 やがて、それは海面に着水する。第二次世界大戦中の潜水艦を想起させるような形状で、金属製の船体のカラーリングは灰色だ。

 

「おお!何か大きいのが来たの!」

「あれは潜水艇だ。海の中を進める乗り物で、俺達がいた世界にはあれを大きくしたものが何十隻もある」

「ミュウ、乗ってみたいの!」

 

 ミュウは興味津々だ。海中を自由自在に行動できる海人族でも、潜水艇に興味はあるらしい。

 

「ただ、実際に使う前に点検が必要だ。何かあっては困るからな。待っていてくれ」

「うん、分かったの!」

 

 ハジメはイヴに命じて潜水艇を完全に水中へと沈めた後、自らもグラビティ機能をオンラインにして水中に飛び込んだ。

 

「イヴ、異常はないか?」

 

『報告:制御系及び電気系統、耐圧、各種武装に問題なし。浸水も確認されていません』

 

「分かった。俺は外側を確認する」

 

 船体を隅々まで確認し、機械では気づけないような異常を探していく。すると、見覚えのある人面の魚が目の前に現れた。同時に脳内へ語りかける渋い声が……

 

“お前、見ない顔だな。どこから来た?”

 

「リーさんじゃないか」

 

“おい、その声はハー坊か?随分と風変わりな格好をしているじゃないか”

 

 それは紛れもなく奴さ。フューレンでハジメが助けたリーマンであり、偶然にも再会することになったのだ。

 

「久しぶりだな、リーさん」

 

“ハー坊、再会して早々で悪いが相談したいことがある。ついてきてくれるか?”

 

「まあ、あんたの頼みなら……」

 

 ハジメは仲間に一報だけ入れた後、リーマンについていく。そこは彼の暮らす巣穴の付近であり、巨大な物体が沈んでいた。

 

“あれは、俺が生まれる何百世代も前から沈んでる船みたいな何かだ。中にはよく分からない絡繰が詰め込まれてる”

 

「鳥人族の宇宙船じゃないか……まさか、エルダーが乗ってきたものか?」

 

“ハー坊はあれを知っているのか?”

 

「あぁ。一応、あの船の関係者だ」

 

“そうか。だが、問題はあの船じゃない。つい最近、怪しい連中が船の周囲を彷徨いていてな、家族の安全のためにも正体を把握してほしい”

 

「怪しい連中か……分かった、調べてこよう。もしかしたら、知っている連中かもしれない」

 

“悪いな、ハー坊”

 

 ミュウを無事に送り届け、海底遺跡やエリセン周辺の安全を確保するためにも、脅威の排除は必要だ。ハジメは彼から依頼を受け、海底の沈没船へと向かった。

 

 

 やがて、沈没船の近くまでやって来ると、ハジメは入り口になりそうな場所を探すのだが、咄嗟にハジメは付近の岩場へと隠れる。

 

「あれは……パイレーツか」

 

 岩の影から覗き込むと、見知った連中がいる。ジェットパックを背負ったアーマースーツのエイリアンが三体おり、フライングパイレーツによく似ていた。

 

『スキャニング完了』

 

エイリアン形態:アクアパイレーツ

 

パイレーツの水中戦闘要員です。強化されたジェットパックと重力制御機能を備えたアーマーを装備し、水中活動を可能としています。背部にはミサイルランチャーの存在を確認。

 

 奴らはアクアパイレーツといい、フライングパイレーツの装備を水中戦闘仕様に改良したものだ。重力制御機能は、おそらくグラビティ機能の再現を目指したものだろう。

 

『ウェイブビーム、オンライン』

 

 ハジメは地上と遜色ない素早さで岩陰から飛び出すと、即座に三体をロックオンした上で手に入れたばかりのビームを三連射する。

 

 突然の奇襲に奴らは散開してビームを回避するが、それは軌道を変えて奴らを追いかける。ジェットパックを撃ち抜かれ、それが爆発したことでアクアパイレーツは死に絶えた。

 

「パイレーツ……何を企んでいる」

 

 そのまま、周囲を警戒しつつ沈没船へと突入する。内部にはまだパイレーツがいると思われ、臨戦態勢だ。

 

 沈没船の内部には生態系が構築されていた。隠れ家として利用している幼魚の群れが蠢き、パイプの中にはウナギ型の魚が隠れている。時折、カニが付近を横切ったりしていた。

 

「ここはブリッジか」

 

 しばらく行くと、船の中枢らしき場所に出る。ここだけは水没しておらず、旧式のコンソールや機器が並び、スキャンしてみるとチョウゾ製だった。

 

「……!?」

 

 だが、悠長にしている暇はない。複数の気配が接近してきたため、モーフボールになると付近の通気口に身を隠し、耳を澄ます。

 

「船のジェネレータに向カッタ同胞ガ、役ニ立ちそうなアイテムを見つけたラシイ」

 

「役ニ立ちそうなアイテム?ソレって腹が膨れるノカ?」

 

「そんなわけないダロ。まあ、配給ガ少なくて不満なのハ分かるけどヨ……」

 

 通りがかったのは三体のアクアパイレーツであり、水中ではないので普通に歩いており、動きは鈍重だ。そして、何やら気になる情報を口走っていた。

 

(役に立ちそうなアイテムか……何にせよ、パイレーツに渡すわけにはいかないな)

 

 モーフボール状態で静かに奴らの背後に出ると、人型に戻ってアームキャノンにエネルギーをチャージする。その音で奴らは振り返るが、もう遅い。

 

「て、テメエは!?」

「死ね」

 

 アームキャノンから飛び出したのはチャージスペイザービームだ。それは横並びになっていた三体を撃ち抜き、アーマーをも貫いて身体に風穴を形成した。

 

「配給が少ないか……パイレーツも世知辛いな。流石にこればかりは同情だ」

 

 ブリッジにパイレーツの死体を残し、ハジメは移動する。再び水中に入ると水圧が襲いかかるが、グラビティ機能が即時発動するので問題はない。地上でも水中でも超重力空間でもハジメは同じ動きをすることが可能なのだ。

 

 鳥人族の宇宙船は巨大だった。ちょっとした町くらいの大きさで、内部には格納庫やら食糧の自動生産設備やら、集会所までも詰め込まれており、これなら長時間に渡って宇宙を彷徨ったとしても生きていけるだろう。

 

 やがて、ハジメが足を踏み入れたのは、円筒状の広い空間だった。底面にはジェネレータと思われる機械が設置されている。そして、その周囲に複数体のアクアパイレーツが張り付いていた。

 

 入り口から飛び降り、ハジメは一気に底面へと至る。アクアパイレーツも流石にその存在に気づいたのか、速やかに戦闘態勢をとってきた。

 

『ハジメ・ナグモを確認!生死ハ問わない、確実に制圧セヨ!』

 

「やれるならやってみろ」

 

 アクアパイレーツ達が散開してミサイルを斉射してくるが、ハジメはそれらを回避し、ビームで迎撃しながら急接近して各個撃破を図る。

 

『ノーマルミサイル、オンライン』

 

 一体目、近距離からのミサイルで撃破。

 

『アイスビーム、オンライン』

 

 二体目、凍結させて近接攻撃で粉砕。

 

『ウインドクロウ、オンライン』

 

 三、四体目、風爪で立て続けに切り裂く。

 

『シーカーミサイル、オンライン』

 

 五発の小型ミサイルの斉射を繰り返し、残りを掃討する。やがて、この空間にはアクアパイレーツの死体と装備の残骸だけが散乱した。

 

「ここで何かしていたようだが……」

 

 ハジメはジェネレータの前へと来る。パイレーツが解体しようとした痕跡があり、内部には輝くパーツが存在していた。手を突っ込んで引き抜いてみると、それはスーツに一体化した。

 

『サンダービームを獲得しました』

 

『稲妻のように輝く電気性のビームです。高電圧の電気エネルギーにより帯電しており、対象を感電させます。装置等への電力供給も可能です』

 

「これは、鳥人族からのプレゼントだな」

 

 その直後、アクアパイレーツが突入してくる。だが、すでにハジメは新たな力を手にしてしまっていた。奴らは試し撃ちの的になるだけだ。

 

『サンダービーム、オンライン』

『ウェイブビーム、オンライン』

 

 奴らはその後、電気性のビームに追いかけ回された末に感電し、水死体の仲間入りを果たすことになった。

 

「良いパイレーツは死んだパイレーツだけだ」

 

 ハジメは水中に漂うパイレーツの死体を退かしながら、ジェネレータルームを去る。彼らの死は無駄にはならないだろう。沈没船に生きる生物達の糧となるのだから。

 

 

「リーさん、怪しい連中は排除してきた。これで襲われることはないはずだ」

 

“そうか、助かったぜハー坊!そうだ、俺の子供達を紹介するぜ!”

 

 リーマンのところまで戻って報告すると、彼は自分の子供達を紹介してくれるのだと言う。沈没船の付近にある横穴に案内され、三匹の小魚と出会った。

 

“見てくれ、俺の子供達だ。異種族への念話はまだできないが、いつかはハー坊とも話せるだろうよ”

 

 リーさんをそのまま小さくしたような見た目だ。彼らはハジメの周囲を泳ぎ回り、歓迎してくれた。

 

「子供か……いつかは俺も……」

 

“なに、ハー坊なら立派な父親になれる。嫁さんと子供ができたときは紹介してくれよ?”

 

「あぁ、その時は……ところで、あんたの嫁さんは……」

 

“喰われた……デカい肉食の魚に……俺が帰ってくる少し前に子供達を守ってな……”

 

 その時、リーさんの陽気な雰囲気は息を潜めてしまい、シリアスな空気が場を支配した。

 

「悪いことを聞いたな、すまない」

 

“いいってことよ、自然界じゃよくあることだ。死んだ嫁のためにも、子供達を立派に育ててみせるぜ”

 

 その後、ハジメはリーさんや子供達と別れた。偶然にも寄り道することになったわけだが、結果的にパイレーツの暗躍を阻止することに繋がった。

 

(もしも香織を…ユエを失ったら、俺は耐えられるのだろうか?俺はもう、何も失いたくはない……)

 

 大切な者を失う可能性。それを突きつけられたハジメは、不安を覚えながらも仲間達の待つ地上へと戻った。




サンダービームはメトロイドプライム4のサンダーショットが元ネタです。今作のウェイブビームと合成すると初代プライム版のような性質になります
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