透き通った世界にロスサントスの住人をブチ込む話   作:おしゅし

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ブッチッパ(新話投稿の音)



第3話

 

しばらく走ったあなたは、サベージを停めてある場所にたどり着きました。スケバン達を待たせる訳にはいきません。というより、ゲヘナの風紀委員やトリニティの正義実現委員会のメンバーを含む敵を相手に、そこらのスケバン達が長時間足止めをできるとは到底思えないからです。

 

あなたは急いでコックピットに乗り込みます。しっかりフライトヘルメットをかぶりエンジンを始動しました。巨大なプロペラが強力なエンジンによって一気に回転を早めます。

 

周囲の砂利やゴミ、薬莢などを吹き飛ばしながらゆっくりと離陸しました。空気を切り裂くプロペラで、抱えきれぬほどのミサイルと、対地攻撃用の榴弾マシンガンを持ったサベージが、戦場へ向かって飛び立ちました。

 

あの街において、対抗手段を持たない者にとっての''残酷''な存在が、キヴォトスの【主人公】に向かってイレギュラーを乗せ、進んで行きます。

 

 

 

side先生

 

ここ、キヴォトスに到着してすぐにこんな事になるとは...そんな風に考えてしまうほどに、目の前の状況は凄まじいものだった。

 

彼女達、生徒が持つヘイロー。これにより銃撃戦や爆破テロなど、そういった学園生活とは程遠いものがこうして日常へと姿を変えている。

 

ならばヘイローを持たない自分は?そう思うと恐怖がない。と言えば嘘になるだろう。しかし、だからと言って立ち止まる訳にはいかない。私は先生なのだから。

 

 

「みんな!私の指示にしたがって!」

 

 

私が生徒を守らねばならない。彼女らがより良い学園生活をおくれるように。

 

 

「生徒が先生の指示に従う。当然のことですね。」

 

 

チナツのフォローもあり、私が戦術指揮をすることになった。幸いにも私は戦術指揮の才能があるようで、私が指示を始めてからみるみるうちに戦況は私達に傾いた。

 

 

「いつもよりとても戦いやすいです。」

 

「流石です、先生!」

 

 

彼女達も嬉しそうだ。私に付き合わせてしまったばかりに戦いに巻き込んでしまった。だというのに、ここまで持ち上げられると少々申し訳ないとすら思う。

 

 

「こっちです!」

 

 

ユウカが最短ルートで導いてくれているが、やはり敵はかなり多い。しかし協調性のある戦い方をしてこないおかげで何とか突破できている。

 

 

「なんで!こんなに!スケバンが多いのよ!」

 

 

ユウカが愚痴をこぼしながら、銃撃を続けている。やはり連邦生徒会長が抜けた穴は大きいという事なのだろう。リンちゃんも、他の連邦生徒会メンバーも頑張ってくれてはいるのだろうが、その穴は埋められているとは言い難い。私も少しでも役に立てるよう頑張らなくては。

 

 

「?敵が引いて行きます。」

 

 

奥に陣取るスケバンを狙撃していたハスミがそう言うと、先程まで撃ち合っていたスケバン達も徐々に引いて行った。

 

 

「なぜ引いたのでしょう?」

 

「奥で防衛ラインを築いたのでは?」

 

 

様々な意見が出たが、結局進む以外の選択肢はないので警戒しつつも前進する事になった。

 

 

「先生は前に出ないでください。」

 

「私の影から出ないでくださいね。」

 

 

ユウカとハスミが私を守りながらゆっくりと進んで行く。最前でスズミが警戒しながら進んでくれているが、生徒が私を守ってくれているというこの状況。なんというか、不甲斐ないという思いが溢れんばかりだった。

 

 

そのまま先に進むと、バリケードなどの遮蔽物が至る所に準備されたエリアについた。

 

 

「おいおいおい!」

 

 

スケバンがこちらを警戒しながらも、拡声器を使って大声で叫ぶ。

 

 

「ボディーガードまでつけてお散歩かい??!!」

 

「ヘイローもねぇヤツは死ぬ前にさっさと帰ってママに慰めてもらえよ!!!!」

 

 

見え透いた陽動だが、ちょっと心に刺さったのは内緒だ。実際自分でもちょっと情けないと思っている。

 

 

「はぁ!?こんな事してタダで済むと思わないでしょうね!!!」

 

「やりましょう。」

 

「行きます。」

 

「先生は私の後ろに」

 

 

ユウカの叫びを合図に戦闘が始まった。しかし今までと違い、ここのスケバン達はぎこちないながらも協力して戦ってくるため、苦戦を強いられた。遮蔽物はこちらも利用できたが、スケバン達が作ったものなだけあり、地の利は相手側にあった。

 

しばらく撃ち合いが続いたが、何とか勝利を収める事ができた。バリケードの向こう側ではスケバン達が倒れている。

 

 

「やりましたね!先生!」

 

 

みんなも何とかここを突破できた事を喜んでいた。このまま何事もなく目的地までたどり着ければ良いが。そんな風に考えていた矢先だった。

 

 

「ヘッヘヘッ、てめぇウチらに勝っただけで終わった気になってんのか?」

 

 

倒れていたスケバンの1人が笑いながらそう言った。

 

 

「まだ何も終わっちゃいねぇ、むしろようやくスタートだ。」

 

 

他の倒れたスケバン達もケラケラと笑っていたが、次第にフラフラと立ち上がった。ここまで満身創痍だというのに、まるで勝ちを確信したような、それでいてどこか、こちらを憐れむような笑み。

 

そして何よりその目だ、何かを期待している。とても嫌な予感がした。

 

 

「アイツが来る。」

 

 

そう言ってスケバン達は逃げ出した。この場所をいち早く離れるためかと思ったが、また少し奥にこの場所程ではないが、バリケードなどを使った陣地が築かれていた。

 

そこに最後のスケバンが逃げ込んだ直後だった。

 

ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ!!!!!!

ドドドドドドドドドド!!!!!!

 

すぐそばの地面が直線上に爆ぜた。バリケードなどまるで意味が無い、圧倒的な破壊。その正体はすぐに分かった。スケバン達が籠った陣地のさらに奥、ビルとビルの間をこちらに向かって飛んでくる一機の攻撃ヘリ。

 

 

「な!?攻撃ヘリ!?」

 

「なぜ不良があれほどのものを...!?」

 

 

ユウカとハスミが不良が持つにはあまりに過ぎた戦力に驚きを隠しきれずにいる。私もまさか攻撃ヘリが出てくるなんて想定外だ。

 

 

「あれは...いや、ですが」

 

「チナツさん、何か知っているんですか?」

 

「いえ、レッドウィンターの機体かと思ったのですが、細部や武装があまりに違うので別物かと」

 

 

チナツがヘリの種類を判別しようとしているが、どうやら上手くいってはいないようだ。スズミも攻撃ヘリを見つめるしかできないでいる。ここは私が指示をしなくては。そう思った瞬間、ヘリから2発のミサイルが発射された。

 

 

「「「「先生!!」」」」

 

 

みんなが私の周りを囲んで守ってくれた。そうして少し離れたところにミサイルが着弾し、破片が降り注いだ。私は不甲斐ない気持ちを抑えて叫ぶ。

 

 

「みんな!大丈夫!?」

 

 

直撃とはいかないまでも、そこそこ至近距離にミサイルが着弾したのだ。さすがの生徒でも怪我を負うような攻撃だ。私を守って生徒が怪我をするなど本末転倒どころの騒ぎではない。

 

 

「私達は大丈夫です!先生こそお怪我はありませんか!」

 

 

ユウカがそう教えてくれた。彼女達の頑丈さには驚かされる。

 

 

「私はみんなのおかげで無事だ。ありがとう。でも今はそれより」

 

「はい、あのヘリですね。」

 

 

あの攻撃ヘリを何とかしないと進む事もできない。幸い今は土煙のおかげでバリケードの裏に隠れられたが、あちらが周囲一帯を吹き飛ばせばそれでおしまいだ。

 

 

「アイツら、先生はヘイローが無いのよ!?殺す気!?」

 

 

ユウカが私が死にかけた事に対して文句を言っていた。実際、私は生徒に比べてすぐ死んでしまうので攻撃ヘリとの正面戦闘は遠慮したい。そのため作戦をみんなで考えたが、あまり良い案は出なかった。

 

 

「私があのヘリのパイロットを撃ちます。心苦しいですが、皆さんには囮をお願いしたいのです。」

 

 

そう言ってハスミが手を挙げた。たしかにそれなら何とかなるかもしれない。幸いハスミは優秀な狙撃手だ。本人曰く、この距離なら問題ないとの事なので、それでいくことになった。

 

スズミのグレネードで気を逸らし、3人が飛び出す。まだ攻撃ヘリのマシンガンはこちらに向いていないが、ゆっくりとユウカの方へ向きを変えていた。

 

 

「今!」

 

 

そう言うと残っていたハスミが立ち上がり、銃を構えた。スコープを覗き込んでいたハスミが声をあげる。

 

 

「え?」

 

 

ハスミの動きが止まってしまった。

 

 

「どうかした?」

 

 

動きの止まったハスミに聞くと、かなり動揺しているが、銃を構えたまま応えてくれた。

 

 

「あのヘリのパイロット、先生と同じヘイローを持たないただの人間です。」

 

「え」

 

 

動揺も束の間、ヘリがこちらに気がついた。ユウカの方を向いていたヘリがこちらに向かって方向を変える。

 

ヴヴヴヴヴヴ!!!!!

ドドドドドド!!!!!

 

ユウカの足元から、ハスミのすぐそばまで榴弾が降り注ぐ。

 

 

「きゃあっ!!!」

 

「くッ」

 

 

二人とも少なくないダメージを受けたようだ。私はハスミの影に隠れていたおかげで何とか無事だが、このままではまずい。生徒に殺人なんてさせる訳にはいかない以上、あのヘリを攻撃する手段は無くなってしまった。

 

そう思い、一度撤退しようとした時だった。ハスミが下ろしていた指をトリガーにかけた。

 

 

「ハスミ!?」

 

 

流石にそれを許すことはできない。私を守るために生徒に殺人を行わせるなど、先生として以前に大人として許されることでは無い。急いで止めようとしたが、ハスミもまだ覚悟が決まっていないようで、苦しそうな顔をしたまま銃を構え続けている。

 

 

「やめるんだ、ハスミ。」

 

 

生徒にそんな顔で人を撃たせる為に、私はキヴォトスに来たわけではない。ハスミにそこまでする責任はないのだ。そんな事をさせるくらいならば、いっそ私が大人のカードで。

 

 

「しかし!このままでは撤退もできません、あのヘリを無力化しない限り我々は、先生の無事が保証できないのです!」

 

 

もっともな意見だ。しかしそれを理由に生徒の殺人を許容することなどできない。幸い、攻撃ヘリは私たちを弄ぶように、いや、吟味するようにこちらを狙ったまま動かない。

 

 

「ヘリのローターを狙うんだ。」

 

 

それしか無い。武装は誘爆の危険があるし、パイロットを直接狙うのは言語道断だ。あのヘリはかなりの低空飛行をしている、上手く行けば死者を出すこと無く着陸させ 無力化できるはずだ。

 

作戦を聞いていたみんなも、作戦にのってくれるようだ。生徒に殺人なんて罪を背負わせる訳にはいかない。何としても成功させる。

 

 

「みんな!行くよ!」

 

 

その叫びを合図に、再びスズミがグレネードで視線を誘導する。ユウカとチナツが銃撃で気を逸らしてくれているうちに、私とハスミは隠れて移動する。

 

 

「こっちよ!!!」

 

 

ユウカの射撃に反応したヘリが、向きを変える。

 

ヴヴヴ!!!!!

ドドド!!!!!

 

 

「きゃあッ」

 

 

短い射撃で的確にユウカを捉える。爆発と破片でユウカはかなりダメージを負ってしまったようだ。

 

 

「ユウカっ...」

 

 

つい声が出てしまった。本当であれば今すぐ駆け寄って無事を確認したい。しかし今居場所を相手にばらす訳にはいかない。申し訳ない気持ちでいっぱいになりながらも、何とか堪えた。

 

 

「こっちです!」

 

 

チナツとスズミがユウカから気を逸らそうと囮になる。幸いそちらを優先したようで、ユウカへの追撃はなかった。

 

攻撃ヘリが向きを変え、射線が通った。

 

絶好のタイミング。

 

 

「ハスミっ!!!」

 

 

「はいッ!」

 

 

私の叫びと同時に、ハスミが立ち上がり銃を構えた。そして、構えると同時に射撃した。熟練した技術を感じさせる速射だ。

 

 

ガンッ!!!!

 

 

こちらにも聞こえる程の大きな音が鳴り、攻撃ヘリのローターから火花が飛び散る。制御を失ったようで、そのまま機体が斜めに傾き、ビルに衝突した。そのまま窓ガラスを割りながら、火花と破片を撒き散らし、地面に向かってビルに機体を擦り付けるようにして滑り墜ちる。

 

工事現場の騒音を何倍にもしたような音とともに墜ちていたヘリが、地面に叩きつけられた。その瞬間、機体側面に装備されていたミサイルポッドが誘爆、ヘリを覆い隠して余りある爆発が起きた。

 

たった数秒の出来事だった。あまりに呆気なく、攻撃ヘリは無力化された。

 

パイロットは脱出していない。私は間違えた。一人の大人として、させる訳にはいかないと決めていた殺人を、私の指示でやらせてしまった。酷い自責の念に襲われる。いや、それどころではない。今は生徒達の心の方が心配だ。ハスミを見ると、とても苦しそうな顔をしていた。涙を浮かべ、自身の行いを悔いている、そんな顔だ。私のせいで、こんな顔をさせてしまった。他の子達も、酷い顔をしていた。

 

今、彼女達に私がかけるどんな言葉も意味をなさないだろう。

 

私は急いでパイロットの無事を確認するため走り出した。それは逃避だったのかもしれないし、生徒を救う確率をほんの少しでも求めた結果なのかもしれない。私にはそれが分からなかった。

 

しかし、すぐに足はとまる。見えてしまった。コックピットで真っ黒になった''人だったもの''が。黒煙の隙間から、項垂れたそれが見えてしまった。きっと皆にも見えたのだろう、ハスミは膝から崩れ落ちてしまった。ユウカは唖然としたまま動かず、チナツは口を必死に抑えている。スズミも震えて動けていない。かくいう私も、四肢の感覚が希薄になり、立っているのがやっとだった。

 

それでも、私のしたことなのだから目を逸らしてはならないと、再びソレを見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いない

 

 

 

 

 

見間違い?いや、ありえない。たしかにソレはあったはずだ。頭を垂れて、真っ黒になった人型のソレを、確かに見たはずだ。私以外の皆も見たはずだ。それを確かめる為、声をあげる。

 

 

「あそこにあった死体、どこに消えた?」

 

 

普段の先生らしくと意識した喋り方すら忘れ、ただそれだけを聞く。

 

俯いたり、目を逸らしていた皆が顔をあげる。

 

 

「「「「え?」」」」

 

 

消えている。たしかにこの場にいる全員が見たハズなのだ。ハスミがパイロットを確認してから墜落するまでの間に脱出などしていない。なんなら焼けてしまったソレを、全員が確かに見たはずなのだ。あまりの事態に私を含めた皆が放心してしまっていた。

 

 

 

 

ガアァァァンッッ!!!!!!!!!

 

 

燃え盛るヘリが何かの突進で吹き飛ばされ、回転しながら反対側のビルに激突した。未だ混乱する頭で、何とか状況を理解しようと前を見た。

 

黒い。真っ黒な戦車がそこにいた。かなり近代的な凹凸の少ない装甲をした戦車だ。砲塔もかなり複雑な形をしている。どこかの最新鋭戦車だろうか、などと的外れな事を考えていた。その瞬間

 

 

 

''いや、お見事''

 

 

 

声が聞こえた。男性の声だ。一体どこから、と周囲を見渡して気がついた。戦車の上、そこに誰かがいた。

 

 

 

''まさか一度でも殺されるとは思っていなかった''

 

 

 

酷く楽しげに喋るソレに、不安や恐怖がこみあがってくる。根本的に何かが違う。自分たちとはズレたものであると感覚で感じ取れた。

 

 

 

''流石は連邦生徒会の寄越した連中だ''

 

 

 

こちらを見るその目が、まるで無機物を見るような、こちらを生きている者として見ていないその目が、酷く恐ろしかった。

 

 

 

''しかし、残念だがここは通せない。他をあたってくれ''

 

 

 

言葉とは裏腹に、今にも戦端を開こうとするその気迫に私達は完全に飲まれていた。

 

 

 

 

 

 

sideあなた

 

あなたはとても楽しんでいます。一応と思い準備はしていましたが、まさか1度でも殺されるとは思っていなかったからです。

 

正直サベージは打たれ強い機体ではないので、撃墜されても仕方ないところはありますが、あなたはキヴォトスの住民には十分だと思っていました。しかし、たった4人の戦闘員に、しかもロケットランチャーすら持たない生徒に撃墜されてしまいました。あの戦術指揮は大変味わい深いものです。

 

あなたはそんな戦いがいのある者たちが大好きです。あの街では、いくら色んな事ができるとはいえ、最後は殺し合いで遊んでいました。結局これが一番楽しいのです。

 

この世界の【主人公】は不幸にも、最悪のイカレ野郎に目をつけられてしまいました。しかし、全てが悪い方向にいくかはまだ分かりません。まあ今は最悪でしょうが。

 

 

''通りたければ、俺を倒すことだ''

 

 

あなたは''お誘い''をかけます。とても楽しい遊びのお誘いを。

 

 




透き通る世界には、あまりに不釣り合いな存在ってハッキリわかんだね。
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