もしもカフェのマスターが元デビルハンターだったら【本編完結】   作:CP厨の悪魔

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未来!最高!未来!最高!未来!最高!


最優・支配・援軍

 

 

 

 かつて、マスター――一ノ瀬ケイが公安に所属していた頃、職員達の中で噂されている事があった。

 悪魔は力を貸す代わりに、契約者に対価を要求する。例えば、狐の悪魔なら皮膚や髪を。顔が良ければ少し軽くなるというものがあるが――ともかく、一ノ瀬が扱う悪魔の数は異常だった。

 ――一ノ瀬は何故、あんなに大勢の悪魔の契約できているのだろうか、と。様々な憶測が飛び交っていた。しかし、その中に「監獄の悪魔」の名は無かった――。

 

「鎌鼬、六十年恩赦。周りを切り飛ばせ。がしゃどくろ、三十年恩赦。僕の守りを固めろ」

 

 マキマは、直接戦闘が難しいと判断するや否や、周りのデビルハンター達を差し向けることに切り替え、マスターの能力について考察をしていた。隣には、羆の悪魔の攻撃を間一髪で避けた天使の悪魔も控えている。

「うわ……なんかとんでもない悪魔を次々呼び出してない?どんだけ契約してるの……?」

 と、天使の悪魔が引き気味で呟いた。

 そして、同時に分からないことがあった。

 マスターは今、「恩赦」と口にしていた。天使の悪魔には一つしか、候補は思い浮かばなかった。しかし、同時に新たな疑問も浮かんでいた。

 ――おそらく、マスターは複数体も契約していない。できて4,5体。からくりは監獄の悪魔。

 ここまで考察して、引っ掛かる。監獄の悪魔の存在自体は別に知らない訳ではない。人間に友好的な悪魔の一体で、公安や民間にも契約しているデビルハンターは少なくない。しかし、能力がおかしい。

 監獄の悪魔は契約者の血と引き換えに、対象の足に枷を嵌めて動きを阻害する――というのが、一般に知られている力だった。――が、マスターが契約している悪魔が仮に監獄の悪魔だったとするならば一体、どれだけの対価を払えばこんな無法な力を手に入れることが出来たのだろうか……。

「――天使君、110年使用ね」

「……いいけど、さっきみたいに殺されるだけだと思うよ?」

「問題無いよ。デビルハンター達の合間を縫って妨害するだけだから」

 唐突なマキマの命令に渋々「110年使用刀」を受け渡すが、天使の悪魔はあまり作り出したくは無かった。しかし、ここで断ることは出来ない。マキマに逆らえばどうなるか、想像しなくても分かっているから。

 天使の悪魔から刀を受け取ったマキマは、ゆっくりとマスターの元へ歩き出した。

「キミも懲りないねぇ」

「何はともあれ、あなたは人間です。どこまで行っても、どんなに強い悪魔と契約していようとも」

「心臓を貫くか、首を切り落とせば、あなたは死にます」

「――私とは違う。最初から、対等ではないんですよ」

 デビルハンターの猛攻――おそらくこの300人のうち半分は手練。マスターは大体の戦力を把握している。その上で、彼は戦っていた。

 いつの間にか、デビルハンター達の群れの間に紛れ込んでいたマキマの剣を躱しつつ、マスターは次々と迫り来る攻撃を捌く。

「蛸、墨。ガス、10年恩赦。広範囲に撒き散らすなよ」

 マスターがそう、指示を飛ばすと空中から小さい独房のような扉が出現する。そして、扉が開かれるとプシューッと、間抜けな音ともに暗い扉の奥底からガスの煙が吹き出る。

「対等?二度――いや、三度も出し抜かれているのに?」

「……まぁいいや。にしても、らしくないね。君なら勝負は一瞬で付けるのかと思ったよ」

「私は支配の悪魔。そう、悪魔なのです。どこまで言っても人間の苦しむ表情が見たいですからね」

「――たとえば、討伐のためとはいえ後輩を手にかけるデビルハンターの顔とか」

「……良い性格してるよ、全く」

 ガスによって苦しみながら倒れていくデビルハンター達を見ながら、マスターは呆れたように肩を竦める。マキマもまた、マスターの近くにいるのだからガスの悪魔の影響を受けるはずであったが、目と鼻から血を流しただけで、彼女は平然として立っていた。おそらく、この場か、または別の場所にいるデビルハンターが代わりに攻撃を受けているのだ。

 ――いい加減、ジリ貧だ……。

 マスターは心の中で溜息を吐いた。監獄の悪魔は、マスターが悪魔を弱らせることで()()し、その悪魔が犯した罪――例えば、人を何人殺し、何人喰ったか。またはどれだけの建造物を破壊してきたか、などと言った()()()()()()()()()()()によって、懲役刑という形で封じておく年数が設定される。

 そして、監獄の悪魔の真の契約者たるマスターはその悪魔たちに「恩赦」という形で、懲役年数を短くすることが出来る。その代わり、その解放される年数によって――制約はあるが――実質無制限に他の悪魔の力を使うことができる。これが、マスターが持ち得る最大の力だった。

 対するマキマは「支配」。己よりも程度が低いと思うものを支配することができる。マスターと違うのは、彼が人間で、マキマが支配の悪魔そのものであるというところだろうか。

 

 地の力が違う。種としての格も違う。

 

 ――だからと言って、ここで引く理由にはならない。

 時間にして一時間、マスターはマキマの足止めに成功していた。しかし、一手足りない。マキマを殺しきるにはまだ足りないものがありすぎる。

 デンジとレゼができるだけ遠くに逃げれるようにする為に。大隈との約束の為に。そして、空気の悪魔の()()の為に。

「背負うものが多いんだよ……私は……!!」

 矢継ぎ早に。悪魔を繰り出し、デビルハンター達をなぎ倒していく。一人、一人の顔をしっかりと目に焼き付けながら。

 

 マキマはマスターのその様子をただ見つめていた。理解できない感情。人間は死ねばそれまでだ。悪魔の様に地獄で生まれ変わることも無い。そこで終われば、ただの虚無しかないというのに。

「――マスターさん、時間稼ぎをしているのは何もあなただけでは無いんですよ」

 マキマのその呟きは、マスターの耳に届くことはなく、戦闘によって巻き起こる風と共にかき消されていった。

 

 

 カフェ「二道」その上空にてヘリコプターが一基、飛んでいた。

「――緊急要請、たしかこの辺りって言ってたよな」

「はい。街でデビルハンターが一人暴れてるって上から」

 プロペラ音と、風の荒ぶ音がヘリコプター内部を揺らす。パイロット二人は公安からの要請ではるばる自衛隊からやってきた。

「……にしてもあの5人、なんなんですかね。いやに偉そうでしたけど」

「さぁな。ただ、長生きしたかったら何も詮索しないことだ。公安には秘密が多すぎる」

「少しくらい事情を話せばいいんじゃ……って思っちゃいますけどね。まぁ、分かりました」

 

 ――ヘリ内部にて。

「とうとう初作戦か〜マキマさんにちょっとはいいとこ見せないとな」

「公安対魔五課のお披露目式ですね。気合い入れていきましょう」

「相手はだれだっけ?確か……昔辞めたロートルだろ?」

「あぁ、だが油断は禁物だ。俺たちにはマキマさんに救ってもらった恩がある……絶対に成功させなければならない」

「皆やる気だな〜。ま、オレも同じ気持ちだけど」

 五人の男女はやる気に満ち溢れていた。各々、公安のデビルハンターを示すスーツに身を包み、談笑していた。

 ――相手が「最優」と知らないまま。

「さ、時間だ。行こう」

「皆で勝負しましょうか?最初にターゲットの首を取った人がマキマさんとデートできるとかね」

「じゃあテメェは勝っても意味ねぇな。マキマを誘っても惨めな思いをするだけだ」

「ん〜本当に皆マキマさんの事が好きなんだな」

「当たり前だろ?マキマさんは何度も俺達の命を救ってくれた」

 ハッチが開き、立ち上がった五人の()()()()

たちは風を一身に受けながら下を見下ろす。その表情に恐れはなく、皆マキマを助け出すという気持ちでいた。

 それが、まるで当然であるかのように――。

 

 

「――ヘリコプターの音……?」

 マスターはふと、上空を見る。そこには自衛隊の迷彩柄のヘリが上空で浮遊して止まっていた。

 ――ここまで派手に暴れているから来たのか……?

 突如として、ヘリコプターのハッチが開き、五人の人影が飛び降りて来るのを目視した。

「……あれは君の援軍かな?」

「えぇ、頼れる武器人間たちです」

「なるほど――これが狙いか。してやられたね」

「あの二人を追うのはまた今度。まずは確実に――一ノ瀬ケイ、あなたをここで排除します」

「さぁ――皆、彼を倒してくれるかな?」

 剣、刀、鞭、槍、火炎放射器。武器人間達が、地上に現着した。

「マキマさん、このオッサンがそうなんですか?」

「何も脅威には見えませんが……」

「ただの冴えないおっさんにしか見えねぇな。ったく、マキマは私が着いてやらねぇとな……」

「オイオイ抜け駆けは良くないぜ〜?ここは皆フェアで行こう」

「俺達のマキマさんの邪魔をするなら、ここで殺す。それだけだ」

 マスターの周囲を取り囲むようにして、武器人間たちは立ちはだかる。マキマはただ、後ろで不気味に微笑むだけで、何もする気配が無かった。

 ――()()()()。デビルハンターしかいなかった戦況が一変した。正に絶対絶命。マスターの顔にすこし緊張が走る。戦いで乱れた口のちょび髭を直し、身なりを整えた。

「――まったく、団体客お断りと言ったはずなんだがね」

「それに、随分乱暴なお客さんたちだ」

「でも商売繁盛というのは良いことだよ。ワンオペでも快適に過ごして貰えるようにするのが良いマスターというものだからね」

 

「――羆、180年恩赦。食え」

 

 火炎放射器の武器人間――バルエムの背後に、六つ目の悪魔の顔が背後から現れ――食らった。そして、そのまま()()()()()しまう。

「マズイモン食わせやがって……」

「……悪いね。さて、冴えないおっさんの実力は分かってくれたかな?」

 武器人間達は、無言だった。しかし、警戒度をグンと押し上げている。

 

「僕の名前は一ノ瀬ケイ。元公安のデビルハンターで今はカフェのマスター」

「最初から全力で掛かってこい。僕に隙を見せるなんて真似はもうしないよね?」

 

 戦闘は、さらに激化して往く――。

 

 




デンレゼ最高!デンレゼ最高!デンレゼ最高!
オマエもデンレゼ最高と言いなさい!

羆の悪魔は狐の悪魔の上位互換だぞ!武器人間も億さず噛み砕くぞ!
マスターは監獄の悪魔との契約の対価に何を支払ったのか思い出せないぞ!ただ、あったのは契約したという事実だけ。

※更新遅れてすみません。リアルで少しごたついてました
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