もしもカフェのマスターが元デビルハンターだったら【本編完結】 作:CP厨の悪魔
花火――花火玉と呼ばれるだいたいサッカーボール程の玉を火薬の力で空高くまで飛ばし、空中で爆発する。すると、色とりどりの火薬が中から飛び出し、綺麗な火の華を咲かす。祖国で、一度見たことがある。
どういう理由で、なんで打ち上がっていたのかは知らない。
ただ、レゼが過ごしていた施設の狭い狭い格子窓から見た最初にして、最後の綺麗な夜空だった。
――その日、レゼはボムへと成った。
花火とは違う。人を殺す為の火薬、人を殺すための武器。人間をただの肉塊に変えて、地面に血の華を咲かすための、醜い力。
花火大会にて、レゼはデンジの説得に失敗した。
デンジは都会のネズミだった。そして、共に来てくれるつもりはないらしい。……選んでくれたら、一緒に逃げたのに。――そんなことも思っていたが、どうやらデンジは故国でも最重要人物にして、最注意人物であるマキマの部下だったことが分かった。
――結局、逃げようとしても無駄だったなぁ……。
それが分かってからは、戦闘の時間だ。
夜の学校探検で服従させた台風の悪魔と共に、サメの魔人を馬のように駆るデンジとの、命と命を掛けた殺し合い。デンジの戦いぶりは滅茶苦茶だった。
サメを馬のように操ってるかと思えば、チェーンを乱暴に振り回して――レゼ――ボムの攻撃を弾き落とす。思わず、笑ってしまう。彼らしい戦闘スタイルだと思った。しかし、ボムに甘えは一切無い。隙間一つもない爆撃をデンジに容赦なく浴びせかけ、冷静に、冷酷に、任務を全うする為に――デンジの心臓を奪うために。
……だと言うのに、何故か、レゼの頭の中で、マスターの声が響いた。
――進む道がどんなに痛みに溢れていたとしても、その隣で、痛みを感じさせないぐらい明るく元気に歩いてくれる人が、きっといる――
――……私は故国の戦士。感情は不要。今までの言動その全ては演技なのだから。
言い聞かせる。腕が鈍らないように、判断を誤らないように……。
デンジは駆ける。サメの魔人――ビームに跨りながら。
――デンジはショックだった。
好きな女の子がデンジじゃなくてチェンソーの心臓狙いのヤバ女だったことが。
――デンジは超ショックだった。
好きな女の子にべろチューされたかと思ったら舌を噛みちぎられ、首を掻っ切られ、手首を切り落とされた事が。普通に痛くて、悲しかった。
――デンジは超超ショックだった。
好きな女の子が色んな所で暴れ周り、街に甚大な被害を与えていることが。
自分でも自覚している事だが、デンジの頭は悪い。しかし、これだけ暴れられれば馬鹿でもわかる。レゼは悪い女で、公安が捕まえなきゃいけない悪魔だということが。
つまるところ、仕事だ。
台風の悪魔を倒して、レゼを捕まえて、公安に引き渡す。ただそれだけ。
マキマとの約束がある。悪魔を沢山倒して、銃の悪魔を倒せば、代わりになんでもする――という約束。レゼもまた、倒すべき悪魔なのだろう。
でも、デンジはそれは嫌だった。きっと、それをすれば魚の骨が喉に突っかかったような気分になって、折角楽しい人生になったのが台無しになってしまう。
ぐちゃぐちゃの頭の中で、デンジの脳内には何故だか、マスターの言葉が響いていた。
――人生において、二つ同時に選ぶ――なんて美味い話はないよ。選べる道二つに一つだけ。まさに「二道」ってわけさ――
――君はいつか選択しなくちゃいけない日が来る。それまで、大いに悩むといい。大人とはそんな大きな選択と、小さな選択の連続が積み重なって、成っていくものだからね――
――……まぁいっかァ!難し〜こと考えンのあとだ後!まずはレゼをとっ捕まえねぇとなぁ!!?
デンジは振り返らない。只管に、前を向くだけ。
ブゥン、と腕と頭のチェンソーを景気よく鳴らしながら、縦横無尽に、駆けるだけだ。
◇
「……悪魔のデートって激しいんだなぁ」
「アレを参考ニするナ!」
「分かってるよ。にしても、この規模か」
「出来ル限りは尽くシタ。大体300人クラい助けレタなら上出来ダ」
「告白だと思ったんだけどね。任務の方を優先するとは。……優秀だね」
「全ク、レゼという娘、おそろしい」
「シカシ……オマエがココまでスるとはね。支配ノに、釘を刺さレテたダロ?深入りスルナッて」
「――おや、知らなかったのかい?僕のコーヒーの好みは、深煎りなんだ」
デンレゼ最高!デンレゼ最高!デンレゼ最高!
オマエもデンレゼ最高と言いなさい!
入場者特典第二弾最高!!!!!!!!!!!!!
※思わず衝動書きしてしまいました。