疑心貌   作:カカラカ

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【ウツワ】牢獄

 

 

 

 

 

 

 

 

【ウツワ】牢獄

 

 

 

 人生の目的とは、生物とは、人間とは。

 心の動きとは、感動とは、言葉とは。

 

 人と人の繋がりは現代でも存在しているのか。

 

 自分の評価の指針が他人になる。自分を自分で満たすことができなくなる。

 今、俺を構成しているものは全て他人のもの。自分はどこに行ったのか、そもそも存在していたのか。

 暗闇、対には明瞭な道筋。気持ちで人生は変わると、出来の違う人形が言う。

 

 天性の才能とは。

 人間は限界が定められながら生きるのか。

 産まれたときから眠りにつくときまで、人生は決定路線を歩み続けるのか。

 破滅とは、その道を逸れることではないのか。

 犯罪を犯した人間の人生は破滅と呼ぶのか。

 破滅した人間は何かに縋らなければ生きれないのか。

 神にすがるのは弱者なのか。

 弱者が自らを変えることは可能か、どうか。

 変化のない堂々巡りの考え。毎日、一瞬の隙間もなく俺は息を止めている。

 

 俺の人生に晴れは存在しない。霧がかったまま死んでいく。青空を見ることも叶わず、雲の存在も知らぬまま。

 

 俺を見つめられない。俺を見てほしくない。俺から離れてほしい。俺を無償の愛で包んでほしい。ああ、この葛藤も全てまやかしで、人生は決められた道を歩むのか?

 なぜまだ生きようとするのか、なぜ死のうとしないのか。自死は気狂いの行いか、なぜ歩みを止められないのか。

 答えはでない。人間が出すことはできない。途中で自らの納得するものを導き出す。それはその人間にとっての答えであり、理性の答えであり、そして世界において不正解だ。

 

 人生は無駄か。俺の人生は無駄か。歩んできたものに価値を感じない。周りの人間に意味を残すことにも価値を感じない。ならば人間ではないのではないか。

 いつだったかフリーク、お前の言った通りだ。感性が人間を逸れたら病気だ、人間じゃないから狂気だ。己の社会性を他人に保証してもらう。それが唯一の冤罪を晴らす方法。

 自分の正気を誰が証明する。俺は正気じゃないのか。俺は気狂いか。人生が無価値だと信じたいのか、己の人生を壊したいのか。

 未来に非売品のプレートを張り付けて、誰にも奪えないようにしているのに、未来が変容することを望んでいる。

 誰も答えを明記しない社会性のまま、人間は生きる、生きるとは。誰も知らない、誰も知る必要がない、知能は毒か。知性は破滅か。野性が安定剤だとするのならば、理性は不安定剤か。

 自分と同じ世界を見ているのか? なぜ思考がそこまで飛躍する、なぜそこまで努力できる、なぜそんなにすぐものにする。才能か、環境か。人生は道があるのか。できない人間は一生できないままか。努力とは。才能とは。

 ああ……言葉が軽すぎる、人生を考えるには、言葉は軽すぎる。そうだろう? フリーク。

 

 だからこそ、俺は人間を殺したい

 

 

 

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 殺した、ようやく己を殺した。この抑圧から解放されたのだ。己はもう人間をやめたのだ。本当の自由が存在するものへ、進化したのだ。

 枷が壊れる音がする。首回りがやけに涼しい、己を見つめると新たな発見を得た。俺は人間を殺した。

 命ある限り苦しい思いを抱えながら生きる道しか無かった。限られた空間、立ち上がれば頭を打つような青空に、手を伸ばせば簡単に体を満たす快楽物質。前方出口の後方行き止まり、進む道は一本だけ。人生は後ろ向きから始まった。

 感性の限界、思考の限界、知能の限界、相容れない人々、己の人生を疑うことで己を意味づける悍ましい人間性、それを殺した。殺したのだ。俺は正しかった、人間を辞めたんだ、俺は道を外した、人生に意味など必要ない、だが、己はそれすらも意味としてるのか? いまだ、抜け出せないのか、俺は。

 自由、とは自由とは。自由とは。自由自由、解放、己は何だ。意味のないことをしたのか、海の底に落ちるような、宇宙の中を揺蕩うような。己の人生に意味はあったのか。

 反吐が出る。解放だ。全てのしがらみから抜け出した、自分は自由だ、そこに理由もなにも必要ない。

 ならば、未だ止まらない自己を傷つけるだけの思考の巡りは、この感情は、この意志の器はなんだ?

 なぜ自由を求めるのか、なぜ解放を求めるのか、なぜ己の中に俯瞰している己がいるのか、なぜ、言葉を紡いでいるのか。この溢れる思考は己を縛る檻なのか。

 これは解放か、自由か、自由なのか。己を殺した、自分の道を外れた、僕は自由だ。社会に存在する何者にもなる必要はない、自分になる、自分とは? そこに誰がいるのか、生まれた時から自分は自分じゃないのでは、そもそも、自分なんて存在してないのでは。思考の限界、無力な人間は無力なまま死ぬ。何も知らない恵まれた道を歩む人間が窮屈な道を歩く人間を笑う、笑う、笑っている。常に笑われてきた。その人間は己の全てを上回るのに、俺はどの部分でも勝てないのに、勝てないのに不幸もない無味の敗北、人生はなにもない。必要のないもの、自分は生まれた時から劣化されたコピーだったのか。

 なぜこうも思考は己の社会での立ち位置を気にしているのか。

 もう殺したのだ。水泡を全て吐き出して体の中を全てとりだしたのだ。僕はもう人間じゃない、そう、人間じゃないのだ、己は。己の器を全て己で埋め尽くす存在へ。己は他と違う、これが自己意識でもないことを望んでいる。だが、己は人間を殺したのだ、ならば何かを望むものでもない。ならばなぜこの思考が、檻が己を──

 ────ああ……自由とは、考えないことではないのか。

 

 

 

 

 

 

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