異世界でモンスターになったのでなんとなく生きてみる 作:ふともも辺りに絡みつく触手
馬車に侵入しおそらく外の騎士達の護衛対象だと思われる少女がこっちを見ながら問いかけてくる
「リシャール達はどうなったのですか?」
「外の騎士達?今は私の分身と戦ってるわよ。流石に強いわね」
ニコニコと笑顔と影から這い出ながら金髪の少女の対面に座り話しかける
「あぁそっちの従者さんは変なことはしない方が良いと思うわ。うっかり貴女ごとその子を吹き飛ばしちゃうかもしれないから」
そしてニコニコ笑いながら黒髪の従者さんに語り掛ける
多分私が攻撃される前に拘束できるがそれでも暴れられたらいろいろめんどくさいことになるので暴れないでほしい
「クララ、座りなさい」
「しかし姫様……」
「リシャール達を出し抜いた上で馬車の結界にも反応せずにここまで来られたということは
「はい……」
しぶしぶ従者さんは少女の隣に座る
ただいつでも立ち上がれる準備をしていてなかなかに戦闘意欲は高い
「じゃあ改めて名乗らせて貰うわ。私の名前は黒葛原麗華。人外の化け物をやらせてもらってるわ」
「………では改めて。私の名はリリアーナ・ダンケブルク
ここらあたり一帯を治めているダンケブルク家の長女です
それでツヅラハラ様、貴女は何の目的でここに?」
「単純に情報が欲しくてここまで来ただけよ」
「……情報……と
どんなことをお聞きになられたいのですか?」
「まずここってどこ?」
「………セイファート王国のダンケブルク領です。」
「全然聞いたことが無い国ね」
「ツヅラハラ様はどこから来られたのですか?」
「うーん、今の状態だと正しいのは森の奥からでしかないのよね」
「森の奥から?」
「そう、光に包まれたと思ったらいつの間にか森の中に居てね」
「その光に包まれる前に麗華様の居た所の名前は?」
「私がこの国が全く分からなかったように貴女に言っても全く分からないと思うから言う気はないわ」
「なるほど、わかりました」
何か今の話で分かったようだ
そして私による質問大会が始まった
普段はここの人ってどう過ごしているのとかどういうモノを食べてるのとかこっちの人間の常識的なことを教えてもらった
とりあえず大体ファンタジーな世界ってことが分かった
「ふむ、なるほどね。いろいろありがとうリリアーナさん」
「どういたしまして」
金髪の少女はこちらに軽い笑みを浮かべる
分かる。あれめっちゃ警戒してる時の笑顔だ
従者さんそわそわしている
こちらを警戒しながら外からの応援を待ってるようだ
「外の人達はまだ私の分身と戦ってるから来ないと思うわよ」
まだまだ良い感じに殴り合ってるので多分私が逃げるまで戦ってくれるだろう
「それで、私をどうなされるのですか?」
その言葉に従者さんが金髪の少女をいつでもかばえるように軽く体を倒す
こっちは推定襲撃犯、しかも馬車に施されているんだろう結界というものを越えて移動が自在な力を持ってる
そして彼女は襲撃犯の目的であろう高い地位の少女だ
普通に考えて何かされると思うわよね
「別に何もしないわよ?私はこのまま帰るし」
と《影》に下半身を潜らせながらそう答える
その行動に流石に少女も従者も目が点になる
「……本当に何もしないのですか?」
さっきの警戒心バリバリの笑顔から年相応の不安げな顔になった
「言ったじゃない私は情報が欲しいだけだって。知りたいこと分かったし帰ろうかなって」
「どこへ帰られるので?」
「山」
馬車の窓からちょっと見えてる今現在住んでる山を指す
「あの山のちょっと向こう側に家があるの。そこへ帰るわ」
遠征の為に作った家を教える
そこならこの人達が帰った後、改めて私を殺すために襲ってきても問題ないしね
そして胸下までまで影の中に潜り込んだとき
「………ただの人間の常識を聞きたいだけなら何故こんなことを?」
金髪の少女はそんなことを聞いてきた
「私にとってはそれだけじゃないしそもそもこの襲撃私がやったことじゃないからね?」
「………それは本当ですか?」
「私が嘘を言ってるかどうかの判断はそっちに任せるけど本当よ。じゃないとわざわざそっちを襲おうと隠れてたモンスター達を狩らないわよ」
頭だけ影から出した状態でそう答える
「ふむ、なるほど」
そう言うと何か考えだす金髪の女の子
もうそろそろ帰るかなと考えたところで
「ではこちらから聞きたいことがあるのですが良いですか?」
大分ぶっ飛んだことを聞いてきた
「姫様!!!???」
従者さんから悲鳴のような声が上がる
「まだ騎士さん達は問題なさそうだから別にいいけど?」
「えぇ!!!???」
かなりぶっ飛んだことで従者さんは驚きっぱなしだが外の戦闘はまだ余裕があるので別にいいかと思いそう答えた
「食事とかは何を食べているんですか?」
「基本的に私は食べなくても生きていけるわよ。それでもなんとなく何かを食べたい時はそこらへんで狩猟したモンスターの肉とか食べてるわよ」
「睡眠はするのですか?」
「しないわ。だから夜は大体魔法の研究をしているわね」
「それでは……」
と、今度はこっちがいろいろ質問される方になった
いや別に異世界転移したことと使ってる魔法以外聞かれて困ることないからいいんだけど
そしてひとしきり質問をし終えたのか
「麗華様はなかなかに不思議な生態をしていますね」
金髪の少女がそう言ってきた
「私も自分でそう思うわ」
本当に不思議生物過ぎるのよね自分
あ、ヤバい
「これ以上は多分死ぬ人が出ちゃうから私はもう逃げるわね」
外の決着がつかな過ぎて決死の覚悟してる人が出てきてる
これ以上は確実に死人が出るわ
「待ってもらえますか?」
「外の騎士が死ぬ以上に大事なことがまだ何かあるの?」
「はい」
あるのかー……
「それで何?」
「もしよろしければ私と一緒に来ませんか?」
何言ってんだこの子
「何を仰ってるんですか姫様!!!????」
まさか従者の人と気持ちが通じるとは思わなかった