逆転蒼録検事   作:山崎五郎

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第一話 ① 『プロローグ』

 

これは、とある世界の未来の物語。

 

少女たちは大人となり、それぞれの道を歩みだした。

 

そんなかつての少女たちの、とある一人の運命を大きく変える物語が。

 

 

 

パァン

 

 

 

…今、動き出そうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

――――はっ、はっ、はぁ‥‥!

 

――――嘘だろ‥‥やっちまった‥‥やっちまった、クソっ!

 

――――お、俺のせいじゃない‥‥でも‥‥でも‥‥!

 

――――つ、捕まりたくねぇ、こんなことで‥‥‥!

 

――――‥‥そうだ、アイツだ‥‥‥。

 

――――アイツが、やったことにすれば‥‥!

 

 

 

 

 

 

 

 

第一話

目覚める逆転

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   

 

 

 

 

 

 

 

 

某月某日 午前 17時45分

地方検事局 フロント

 

(検事局、か‥‥。

これからここが、私の職場となるのですね。)

(私の‥‥《検事》としての。)

 

 

私の名前は、小嶽(こだけ) レイア。

つい数年前、検事となった身。

 

初等学校を卒業しすぐ、ここ学園都市キヴォトスから旅立ち留学し‥‥数年の時を経て見事、検事バッジを獲得し舞い戻った。

 

 

(先ずは、検事局長に挨拶に行くとしましょうか。

フロントの受付嬢にも、断りを入れておかなくてはね)

 

 

「失礼します。

 検事局長にご挨拶させていただきたいのですが‥‥。」

 

「恐れ入りますが、お約束はいただいておりますか?」

 

(‥‥‥こういうのを、“テンプレート通り”と言うのだったかしら‥‥。)

「‥‥小嶽が到着した、とお伝えいただけますか。

 それで通じるはずなのですが‥‥」

 

「かしこまりました。

 少々お待ちいただけますでしょうか? 局長に確認いたしますので‥‥」

 

「ええ、もちろん。

 よろしくお願い致しますわ。」

 

 

 

同日 18時

地方検事局 フロント

 

 

「お待たせ致しました。

 小嶽レイア様‥‥で、お間違いないでしょうか?」

 

「ええ、確かに。」

 

「検事局長は執務室でお待ちです。

 ええと‥‥あちらのエレベーターから、20階にお進みください。」

 

「分かりました。

 お手数をおかけしてしまい、申し訳ありません。」

 

「いえいえ、とんでもありません。

 レイアさんは検事局の《期待の新星》なのですから。

 その助けになれるのならこの程度‥‥。」

 

「‥‥‥‥‥。」

(《期待の新星》、ですか。)

 

 

 

 

同日 18時

地方検事局 検事局長執務室

 

 

「‥‥待っていたよ、小嶽 レイアくん。

 いや‥小嶽検事、と呼んだほうがいいかな?」

 

「どちらでもご自由に。

 私にとって呼び名など大したものではありません。」

 

「おや、そうかい。

 では‥‥改めて。

 

 ようこそキヴォトスへ、小嶽検事。

 我々検事局は、キミを歓迎するよ。」

 

「‥‥‥‥‥こちらこそ、よろしくお願い致します」

 

「かの《伝説の検事》たちのもとで学んできたキミの能力‥‥どれほどのものか、楽しみにさせてもらうよ。」

 

「ええ‥‥必ずや、ご期待に応えてみせましょう。」

 

「うん、うん。頼もしいねぇ。

 ‥‥‥なら、さっそく一仕事してもらおうかな?」

 

「厶‥‥随分とお早い。

 何か立件の予定でも?」

 

「まあ、なんせここは『あの』キヴォトスだからね〜。

 事件なんてもはや日常茶飯事だよ。

 

 ‥‥そのおかげで、序審法廷制度の制定もすんなりと決まったわけだし。」

 

 

(‥‥‥噂には聞いていたけれど、事実だったとは‥‥。)

 

 

序審法廷制度。

このキヴォトスより離れた、とある島国で定められた法制度。

増え続け捌ききれぬ犯罪を、裁判のシステムを大きく変えることによって対応するための法‥‥‥。

 

などと言えば聞こえはいいが、その内容は本来あるまじきモノ。

裁判は起訴より最長でも三日、最短で一日で被告人の有罪・無罪を確定させてしまう。

 

この法と、とある法曹関係者たちの不祥事(スキャンダル)によって、件の島国は一時期冤罪(えんざい)と捏造(ねつぞう)の温床と成り果てていた。

 

結局、件の国ではとある弁護士たちや検事局長によって不正は減少の一途をたどっているらしいが‥‥。

 

 

(まさか、かの制度がこのキヴォトスにも‥‥)

 

「ま、キミの言いたいことは分かるよ〜。

 でもさ‥‥ここはキヴォトスなんだよ。

 

 綺麗事じゃ何も変えられない。

 端(はた)から見れば、ここは暴力と権力が物を言い、悪党が笑うディストピアさ。」

 

(‥‥そんなことはない、とは言えませんわね。

この世界の異質さは、他ならぬ私自身もよく知っているのですから。)

 

 

「だからこそ、僕たち『裁く者たち』には時間とチカラが何より必要なんだよ。

 悪党共を迅速に裁き、その罪を立証するチカラがね。」

 

「‥‥‥‥‥。」

 

「‥‥おっとっと! 僕としたことが、話がそれちゃったかな。

 ゴメンゴメン。 ‥‥それで、事件のことなんだけど。

 

 実はちょっと訳アリでね。

 迅速かつ正確な逮捕が求められてるワケ。」

 

「フム、訳アリ‥‥とは?」

 

「いやね、今はもう卒業してるんだけどさ‥‥。

 なんかね、今回の容疑者、トリニティの重役の関係者らしいんだよ。」

 

「‥‥トリニティ‥‥。」

 

「ま、そういうわけだからさ。

 いっちょ頼むよ、小嶽検事。」

 

「‥‥了解しました。

 必ずや、真実を明らかにしてみせましょう。 ‥‥失礼します。」

 

 

 

「‥‥‥‥‥。

 真実、ねぇ‥‥‥。」

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