穴はパイプのようだった。滑り落ちながら、まるでアリの巣のように枝分かれしているのを目で確認する。自分が滑っているパイプが、どうやら一番太いようだ。
しばらく滑っていたら、急に終わりを迎えた。放り投げられる形で、地面に激突する。散らばっている石で軽く擦りむいた。
顔を上げて見渡す。どうやら地下に来たようだった。薄暗い洞窟が目の前に広がっている。
「ルーモス(光よ)」
立ち上がって、ローブに着いた汚れを払い先へと進む。ヌメヌメとした壁のトンネルを通り抜け、しばらく進んだ先に何か巨大な生物が横たわっていた。
ギクリと身を強張らせたが、それが動く気配がない。
寝ているのか?
そう訝しんで、物音を立てずに慎重に近づく。触れるほど近づいて、ようやく分かった。
これは蛇の抜け殻だ。脱皮して、残った皮。そしてこれが、スリザリンの怪物の正体。ゆうに八メートルは超える巨大な蛇だ。
この蛇の化け物が、人を石化させる能力を持っている。しかし、どんな方法で? 毒? それとも別の何か?
記憶をひっくり返しても、該当する生き物はいない。
考えてもしょうがない。怪物の正体が分かっただけでも良しとしよう。
更に先へと進む。一本道であるため、迷うこともない。この先に、継承者であるジニー・ウィーズリーがいるのだ。
進みながら考える。俺に勝算はあるのか? ハッキリ言えば無い。スリザリンの怪物を出された瞬間に俺の負けは確定する。しかし、一対一では? まだ一年生の彼女がそんなに魔法が上手いとは思えない。怪物を操っているのだって、何か道具を使っているはずだ。気付かれないように、背後から武装解除もしくは失神呪文。気付かれても、彼女が動く前に一撃で素早く仕留められる可能性もある。そのためにこの先は慎重に動かなくては。
トンネルも終わり、杖の光を消して、開け放たれたままの蛇の装飾が施された円形の扉をくぐる。
細長く続く道と、その両脇に蛇が絡み合った彫刻が彫られた柱が綺麗に並び天井を支えている。
若干緑に染まったその部屋を柱の陰に隠れながら移動する。そして細い廊下を抜けた先の広い空間に、年老いた魔法使いの巨大な彫刻と、そこから少し離れた場所に倒れているジニー・ウィーズリーがいた。ジニー・ウィーズリーの姿を見て、素早く柱の陰に完全に身を隠す。しかし、目の前の光景は混乱せざるを得なかった。
なぜ、ジニー・ウィーズリーが倒れている? それに怪物は何処だ? そもそもこの空間で、アイツは何をするつもりだったんだ?
柱の陰に隠れながら横たわるジニー・ウィーズリーを見て、考えをめぐらす。しかし、答えなど出てこない。
そして、声をかけられた。
「出ておいでよ、隠れている少年」
男の声だった。聞き覚えのある声だがその正体は思い出せない。しかし、それを思い出そうとする余裕などない。
気付かれた。ここにいる誰かに。ここにいる時点で、そいつは間違いなく敵だ。ジニー・ウィーズリーが倒れているのを見ると、コイツが黒幕か?
杖を構え、息を潜める。鎌をかけられている可能性だってある。声の主が気を緩めたら、その隙に――
「手前から二番目の僕から見て右の柱。場所も分かっているんだ。ずっと後をつけていただろう? 入口に入る前から。大人しく出てきた方がいい」
隙など出来るはずがない。このまま隠れていても飛び出ても結果は同じだろう。男は少なくとも、今すぐこちらに何かをする気はないようだ。ならば、姿だけでも確認するべきか……。
柱から顔だけ出して声の主を探す。
「やあ、また会ったね」
ジニー・ウィーズリーのさらに奥、彫刻の足の横にその人物はいた。こちらを向いて微笑みながら立っている彼は、確かに知っている人であった。しかし、同時にここにいるはずもない人。
「……トム・リドル?」
秘密の部屋について教えてくれた人物。日記に詰め込まれた記憶の塊に過ぎない物だったはず。何故、ここにいる? こいつが黒幕とでも言うのか? しかし、それならどうやって?
リドルは相変わらず微笑みながら、俺を手招きする。
「君とは一度、話したいと思っていた。ここに来るといい。心配はいらない。すぐには何も来やしない」
リドルの何か確信めいた物言いは、何処となく違和感を与える。一体、何を知っているのだろうか? 秘密の部屋について、俺に見せたもの以外に、何か知っているのだろうか?
ここでジッとしていても、何も変わらないのは明確だ。周りを警戒しながら、ジニー・ウィーズリーを境にトム・リドルと向き合う場所まで移動する。
「結局、君の名前を聞けず仕舞いだったね」
まるでパーティーに参加している時の様な会話を、柔らかい声と穏やかな物腰で切り出した。
「教えてもらえるかい? 流石に、名前も聞かずに話をするのは不便だろう」
「……ジン・エトウ」
短く答えながら、警戒心を剥き出しにトム・リドルを睨みつける。
どうも変だ。ここが何処なのかも知らないはずがない。なのに、この悠長な態度は何だ? それに、ジニー・ウィーズリーが倒れているのをまるで当然の光景かのように気にもしない。
チラリとジニー・ウィーズリーを見る。倒れた彼女の手には、例の日記が握られていた。
「それでは、ジン。僕に何か聞きたいことは無いかい? 何でも教えてあげよう」
クスクスと笑みを漏らしながら催促するリドルにありったけの質問をぶつける。
「リドル、お前は何故、秘密の部屋にいる? 何故、日記から出ている? 何故、ジニー・ウィーズリーがお前を持っている?」
多くの質問は微笑みと共に返される。
「成程、そこのおチビちゃんは後回し。冷静で賢明な判断だ」
リドルの言葉は揶揄するようなものではなく、むしろ逆の、期待通りだという歓喜を含んだものだった。
「質問には答えよう。しかし、順番通りという訳にはいかないね……。君が質問した逆の順番で、君の知りたいこと全てを補完しよう」
そう言うと、彫刻にもたれかかりながらどこか懐かしむように話し始めた。
「さて、ジニー・ウィーズリーが僕を持っている訳だが、これは簡単な事さ。そもそも、この学校に僕を連れてきたのは彼女だったということさ」
「……お前の所有者は、ジニー・ウィーズリーだったということか?」
「その解釈でいいだろう。彼女は学校に来る前から、僕に様々な事を書き込んでいた。心配事や悩み事、不満を洗いざらい書き込んでいたのさ。兄達が自分をからかう、お下がりのもので学校に行かなきゃならない、そして――」
リドルはここでクスクスと笑いをこぼした。
「かの有名なハリー・ポッターが自分を好いてくれることなど有り得ない、等とね」
「……それで?」
「ああ、下らないといった感じだね? そうさ、まさに下らない。十一歳の小娘の戯言を聞くのは、まったくウンザリだった。それでも、僕は辛抱強く返事を書いた。同情し、慰め、励まし、親切にしてやった。ジニーは、それはもう日記に夢中になったさ。『トム、あなたぐらい私を分かってくれる人はいないわ……。何でも打ち明けられる日記があって、どんなに嬉しいか……まるでポケットの中に入れて運べる友達がいるみたい』」
部屋に響き渡る甲高い笑い声は、気味が悪かった。もうリドルが善良な人間だなんて考えは、何処にもなくなった。
「愚かなジニー。彼女は僕に心を打ち明け、魂を注ぎ込んだ。僕の、最も欲していた物をね。そして僕は力をつけた。おチビちゃんとは比べ物にならないくらいの、強い力だ。そして、僕が十分に強くなった時、今度は僕の秘密を打ち明けて、僕の魂をおチビちゃんに注ぎ始めた――」
「体を乗っ取ったのか?」
鋭く聞くと、少しばかりリドルは驚いた顔をした。それからより一層に笑みを深めると、俺を貪る様に眺めはじめた。
「ああ、そうだ。厳密にはそうではないが、やっていることはほとんど同じ。ただ、ジニーの魂を乗っ取り、命を糧に、僕はこうして体を得ることが出来るんだ。君の二つ目の質問の答えだね。さて、最後に残った質問は……答えは必要かい?」
そう言われ、自分の与えられた情報から答えを導き出す。それは疑惑が確信に変わっただけのものだった。
「……お前が、スリザリンの継承者」
「その通り!」
我が意を得たり、とばかりに俺の言葉を肯定する。
「その答えに辿り着いたのは、おめでとう、君が初めてだ! ……もっとも、ダンブルドア先生は、ずっと僕を疑っていた。以前に部屋を開いた、五十年前からだ。……今となっては、意味のない話だがね」
リドルはつまらなそうにそう呟いたが、俺に突きつけられた質問によって直ぐに意識をこちらに戻した。
「最後の質問はまだ、完全には答えていない。お前の目的は、何なんだ?」
「僕の目的?」
リドルは面白そうに聞き返す。ワクワクしている子供の様だった。
「何故、俺に秘密の部屋のことを教えた? 嘘を信じさせたかったのか? じゃあ、何のために? それに、お前は人を殺す気なんて、ないんじゃないのか? 現に誰も死んでいない。俺ですら、ここに立っていながらどれくらいの時間が経っている? 人を殺そうと思っている奴のやることじゃない。それなら何故、秘密の部屋なんてものを態々開く? もう一度聞くぞ。何故、お前は秘密の部屋にいる?」
リドルはしばらく俺を見ているだけだった。
「簡単な事だ。僕の目的が、穢れた血の殺害じゃないというだけのこと」
「それなら何だ? 継承者のお前が、それ以外に何をしようって言うんだ?」
「ハリー・ポッター」
簡潔に答えられた言葉に、思わずビクリとする。何故、ポッターの名前が出てくる?
「トム・マールヴォロ・リドル(Tom .Marvolo .Riddle)……僕の名だ。ではそれを並び替えるとどうなると思う? "I am Lord Voldemort” 私はヴォルデモート卿だ」
リドルが言い終えた後、沈黙が訪れる。
目の前の事実を受け入れられない気持ちだった。目の前にいる人物が、スリザリンの継承者であり、かのヴォルデモート卿。
「……それじゃあ、お前はポッターを殺そうとしていたということか? しかし、それも失敗しているようだが?」
目の前の現実を受け入れきれず口から出た皮肉に、初めてリドルは顔を嫌悪で歪ませた。
「僕の計画はまだ終わってはいない。ダンブルドアを追放した。後は、ハリー・ポッターがノコノコとここに現れるのを待つだけさ。先に君が来た。それだけじゃないか」
「俺が来ることは計算外だとでも? なら何で俺に秘密の部屋の情報を渡した?」
リドルは俺の言葉を聞くと、打って変ったように明るい笑顔で話し始めた。
「君が日記を手にした時、僕はね、柄にもなく歓喜したんだ」
「何に?」
「君の才能にさ」
口を半開きに、一瞬呆ける。コイツは今、何と言った?
「……俺の才能? 何だっていうんだ?」
「闇の魔術の才能さ。君が持つ、巨大な才能。僕には分かる。君は僕の同類だ」
言葉が出なかった。ダンブルドアにも言われていた、俺の才能。闇の帝王までもが、それを肯定するというのか?
「それに何の関係がある? 俺が何を抱えていようが、お前とポッターの因縁には関係ない」
「ああ、それには関係ないさ。でも、僕にはある。考えてもみたまえよ。僕は復活のためとはいえ、こんなおチビちゃんの魂を使わなければならない」
そう言いながら、地面に横たわるジニー・ウィーズリーを指さす。
「しかしだ、それだけで、僕は以前の僕の姿に戻れると思うかい? 以前のように、強大な力を取り戻せるとでも?」
返事はしない。しかし、そう思えないのは事実だった。
「君の才能を感じた時、まさにこれだと思ったよ。君こそが、僕の復活にふさわしい魂だと」
「俺を乗っ取ろうとしたと? ジニー・ウィーズリーのように」
「ああ、そう試みた。……勿論、失敗したがね」
肩をすくめ、仕方がないという様にそう付け加えた。
「君がここに来たことは、僕の予想の範囲内さ。そして、嬉しいことでもある。君に提案があるのさ」
「……提案?」
「そう。ジン、僕に魂を寄越す気はないかい? 闇の帝王の復活のため、その身を捧げようとは思わないかい?」
「断るに決まってるだろうが。何を言ってやがる」
「別に、不思議な事じゃないさ。君に死に方を選ばせようというだけの話さ」
俺が死ぬのは当然のこと。そして、この話は親切なことだ、というような口調だった。
「お前に何ができる?」
余裕な態度のリドルに挑戦的な口調で言葉を叩きつける。
「杖は無い。それに――」
横たわるジニー・ウィーズリーをもう一度見る。明らかに、息をしている。
「ジニー・ウィーズリーは生きている。お前の話を聞く限り、命を糧に蘇えるなら、お前はまだ不完全だ。そして完全に命を奪っても、十全の状態ではない」
俺の言葉を静かに聞いてから、リドルは少しからかう様に答える。
「それでは、君は何かできるとでも?」
「レダクト(粉々)!」
唱えた呪文はリドルに向かって直進していく。しかし、リドルが指ではじく様な動作をした瞬間、呪文は大きく反れ、何もいない方向へ飛んでいった。誰もいない空間に飛んで行った呪文は奥の壁に直撃した様で、壁が壊れる音がした。
「君が僕を出し抜けるとは思わないことだ」
呪文を唱えてから睨み合っている中、リドルは静かに、ハッキリと宣言した。
「杖が無くては、僕は何もできないとでも? 生憎、君の稚拙な魔法ならば回避する手段はいくらでもある。そして、お忘れかもしれないが、僕はスリザリンの継承者だ。それが何を意味するか、分からないほど愚かでもあるまい?」
怪物を呼び寄せるつもりだ。呪文が効かないことにショック受けている暇はない。何か対策を立てなければ詰みだ。
必死に頭を巡らせる。怪物を呼び寄せる前に、アイツの動きを封じる方法。何かないか? 呪文は使えない。しかし、何かしなくてはならない。そして、あることに気がついた。
「お前に魔法が効かないなら……」
杖先を、リドルから下げ、そして、ジニー・ウィーズリーに向ける。
「コイツはどうだ?」
思いついたその案は、随分と無謀な賭けだった。しかし、リドルは動きを止めた。確かな手ごたえと共に、脅しをかける。
「コイツが死ねば、お前はどうなる?」
「……君に、そいつが殺せるとでも?」
「質問に答えないあたり、これは当たりだな」
リドルが固まっている隙に、そう言うが否やすぐさまジニー・ウィーズリーに近づき、抱き上げる。それから、杖先をジニーの首に固定する。
「怪物を呼び寄せるのと、俺が呪文を唱えるのと、どっちが早いと思う? それにこれだけ密着した状態で、スリザリンの怪物は俺だけを正確に殺せるか?」
リドルは変わらず動かない。怪物を呼ぶ様子もなければ、俺に何かする様子も見せない。しばらく睨み合いの状態が続く。
「……露骨な時間稼ぎだ。僕が体を得るその間に、助けが来るとでも?」
リドルは冷たい声でそう言う。先ほどの声にはない、明らかに危険な色を孕んだ声だった。背筋が凍る。
「……ホグワーツでは、それを望めば与えられるらしい」
震えそうになる声を抑え、精一杯の虚勢をはる。ダンブルドアの言葉を信じるならば、何かしらの助けが来る。縋る様にそう思っていたが、リドルはそれを冷たく嘲笑う。
「あの老害の言うことをまともに受けているのかい? アイツに何ができる? 何をしてくれる? 君が死にかけている今でさえ、助けどころか何も来るようには見えないが?」
リドルの言葉に、今度は俺が黙り込む。それを見て、リドルは再び笑みを漏らす。
「君の提案に乗ってあげよう。その小娘がただのゴミになる前に助けが来るかどうか。勝ち目の見えた、出来レースだ」
リドルはそう言うと彫刻にもたれ、目を閉じる。
リドルの言う通り、ダンブルドアの言うことを信じられない俺がいる。助けなど来るのだろうか、という思いは時間が過ぎるたびに大きくなっていった。そしてその度に、手の中の杖が少女を殺すのに必要な呪文が頭を掠る。
何も起きない。動かない少女の首に杖を突きつけているだけの時間が過ぎていく。その少女も、徐々に脈が弱くなっている。呼吸も浅くなり、顔色も気のせいでなければ青い。死に近づいていることは、否定しようがない。
コイツを殺せば、全てが終わる。
そんな考えが、フッと浮かんだ。そうではないか。殺せば、恐らくリドルは消える。俺は日記を持ち帰り、ジニー・ウィーズリーはこれに乗っ取られていたと話すだけでいい。継承者はいなくなり事件はこれ以上、起こることもない。俺は生きて帰れる。継承者に刃向っても死ななかったことの証明としてはこれ以上にない結果ではないか。
「……殺すのかい?」
いつの間にか目を開けていたリドルが声をかけてくる。何か、俺に起きた変化を察した様だった。
殺そうか? 殺せば、この事件は解決するのだろう? ドラコは継承者に捕らわれることは無くなる。ハグリッドは無罪と判明する。ハーマイオニーが死ぬ恐れだって、これで無くなる。
殺そう。杖の先を一層、深く喉に突き刺す。ディフィンド(裂けよ)。たった一言だ。喉を掻っ切れる。殺せば、ドラコは純血主義にとらわれず、きっと考えを変えてくれて、そして――
「……いや、殺さない」
杖をジニーの首から外す。殺して、そしてどうなる? 俺が望んだものは、何一手に入らない。
確かに、ドラコは継承者から解放され、ハグリッドは無実となり、ハーマイオニーは安全となる。しかし、俺が望んだ、ドラコともハーマイオニーとも、共にいられるという未来は無くなる。俺は、人殺しのレッテルを張られる。才能も明るみに出れば、もはや同情の余地は無い。そうなればどうなる? ドラコはハーマイオニーとも仲良くやっていけるとでも?
「コイツを殺すのは、最後の手段だ」
ジニー・ウィーズリーはまだ脈はある、息もしている。弱ったと言えど、それは安定している。時間はもう少しある。それまで、助けを求めていてもいいだろう。
コイツを殺すのは、命一杯、時間を使ってから。助けが来ないと分かった瞬間。
再び、沈黙が訪れた。リドルは目を瞑ろうとせず、ジッと俺を観察する。俺はジニー・ウィーズリーの脈と息に気を配る。
今は殺さない。しかし、息や脈がほとんど止まりかけた時、俺はコイツを殺さないとならない。
汗ばむ手で杖を握り直す。すると、洞窟の方から何かが崩れる大きな音がした。
明らかに、何かが来た証拠だ。助けが来たと期待して、やや気持ちが明るくなる。リドルは、変わらず無表情だった。失望も、焦りもそこには見えない。
崩れた音からしばらく、扉の 開く音がして、足音が近づいて来る。そして、とうとう足音の正体が姿を現した。
「――さあ、これで役者はそろったわけだ」
リドルの楽しげな声が響いた。
足音の正体は、ハリー・ポッターだった。
次話か、その次で秘密の部屋完結ですね
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