ここは、しずかが作った『グリーンガーデンレイク』。
色とりどりの花が咲く森に囲まれた、きらきら光る湖だ。水辺には背の高い草や小さな花が揺れ、森の木陰からそよ風が吹き抜けてくる。
今日は、みんな水着姿で湖のほとりに集合。それぞれのパートナー生物と、思い思いに水遊びを楽しんでいた。
ジャイアンはバクゴンと一緒にバシャバシャ水しぶきを上げて、「オラー!水鉄砲だ!」と腕ごと突撃!
しずかはモサモサンと花の浮き輪でふんわり浮かんで、涼しげに「気持ちいいわね〜」とにっこり。
スネ夫はハニワルと、岸の砂地でおしゃれな砂のお城を作っている。「ここの塔をもっと高く!」と注文をつけてはハニワルをせっせと働かせている。
一方、のび太は浅瀬でヨワリンと手をつなぎ、恐る恐る水に足をつける。
「だ、だいじょうぶ、ヨワリン。ぼく、今日は溺れないから……」
「ぷに……」
ヨワリンも水がちょっぴり苦手。おそるおそるのび太の足元にくっついている。ノアもそっと水に足先をつけていた。
その様子を遠くで眺めていたスパークが、宙をくるくる飛びながらメガホンを取り出す。
「さぁさぁ注目〜! 本日のお楽しみ、湖島レースを開催しまーす!ルールはカンタン、パートナー生物と一緒に、真ん中の小島まで競争だ!」
スパークは選手たちの前でメガホンを構えた。
「それじゃ……みんな、スタートラインにつけっ! 行くぜぇ——3!2!1!ゴォ~~~ッ!!」
ジャイアンが真っ先に拳を上げて叫ぶ。
「おーし、負けねえぞ!バクゴン、行くぞー!」
バクゴンが「ギャオオッ!」と水に飛び込むが……ザババッ!大きすぎてバタ足が水しぶき大洪水、ジャイアンもついでに派手に沈む。
しずかはモサモサンと手を取り合い、ふわふわと優雅に泳ぎ始める。
「焦らなくても大丈夫よ、モサモサン」
「もさ〜」
スネ夫はまだ動かない。岸辺でハニワルと丸太や枝を持ち出してゴソゴソやっている。
のび太は困った顔でヨワリンの手を握り直す。
「がんばろうね、ヨワリン……」
すると、ノアも水着姿で「ぼくも行くよ!」とやる気まんまん。でも、3人とも水に入った瞬間、バシャッ!とコケそうになる。
そこへスパークが、にやりと笑いながら浮き輪を三つぽんぽんぽんと投げてくれる。
「しゃーないなぁ! 特別サービスで『ビビリ浮き輪セット』だ!これで溺れんようにがんばりな!」
のび太、ヨワリン、ノアは、ドーナツ型の浮き輪を装着して、パタパタと泳ぎ始める。
そのとき、岸辺のパラソルの下から、ドラえもんが手を振って声をかける。
「みんな、気をつけて行くんだよ!ケガしないようにね~!」
のび太が「うん!」と振り返り、ちょっぴり心強い気持ちに。
スパークは空から実況を始める。
「さぁ!ジャイアン&バクゴン、すでにズブ濡れの大暴れ! しずか&モサモサンは、優雅にリード! スネ夫&ハニワルチームはまだ作戦会議中!そして、のび太&ヨワリン&ノアチーム、いまにも溺れそうだけど——みんなでがんばってゴールなるか!?」
パートナーたちの個性もチームワークもバラバラ。いざ、レースのはじまりはじまり!
湖レースが始まってしばらく——。みんなはバシャバシャと水しぶきをあげながら、夢中で前へ進んでいく。
「おりゃーっ!バクゴン、もっとスピード出せーっ!」
ジャイアンが叫ぶが、バクゴンは水が苦手で、四苦八苦しながらバタ足。
しずかはモサモサンと手をつないで、花の浮き輪でゆったり。まるでお姫さまのボートのよう。
のび太とヨワリンとノアは、浮き輪にしがみつきながら、必死でバタバタと足を動かす。
その先に——湖のど真ん中、ぽっかりと広がる「巨大ハスの葉ゾーン」が出現!
「おっと、コースはここでアスレチック地帯に突入だ!」
空からスパークが実況する。
みんな、勢いよくハスの葉に飛び乗って、ぴょんぴょんとリズムよく跳ねていく。
ジャイアンとバクゴンが飛び乗ると——
「うわっ、沈む〜!?」
バクゴンの重さで葉っぱがぐいっと沈み、ジャイアンの足が半分水に!「ジャイアンたち重すぎ〜!」とスパークが茶化す。
しずかとモサモサンは、葉の上でくるくるダンス。モサモサンが回るたびにふわふわの花粉がふわっと舞い——
「へくしっ!!」
バクゴンが大きなくしゃみで、また湖に落ちかける。
のび太とヨワリンは、葉っぱの端でバランスを崩してふらふら。
「あっ、落ちる……!」
ヨワリンがぷるぷる震え水の中に引き込まれる。のび太は手を伸ばして必死に支える。
そのとき、ノアもさっと手を差し出し、「だいじょうぶ、つかまって!」とヨワリンを引き上げる。
「ありがと、ノア!」と、のび太もちょっとほっとした顔。
そのころ——後ろからバシャバシャ、派手な水しぶき。
「お待たせ〜!ハニワル号、ただいま登場!」
スネ夫が、丸太で作った即席カヌーにハニワルを乗せて、ぐんぐん追い抜いていく。
「のび太、お先に〜!」と、得意げに手を振るスネ夫。
「スネ夫、ずるいぞ〜!」と、のび太が叫ぶも、レースはどんどんヒートアップ!
湖の巨大ハスの葉の上、みんなの個性と作戦が大爆発!
スパークの実況もヒートアップ。
「さあ誰がいちばん島に近い? バクゴンはまた水中ダイブ! のび太チーム、ピンチを脱出! スネ夫カヌー、ズル技炸裂! 勝利は誰の手に——!?」
ゴールの小島は、もうすぐそこ!
ラストスパートの湖面で、みんなの声と水しぶきがいっそう賑やかになる。
「よーし、最後は全力だぁーー!!」
ジャイアンが叫ぶと、バクゴンが気合十分にバシャバシャと猛ダッシュ!
……が、勢いあまって「ギャオオオ!」と転び、そのまま派手にズドンと水中に突っ込んでしまった。
「おぉっとバクゴン、ゴール直前で大回転ー!!」
スパークが頭上でぐるぐる回りながら実況を叫ぶ。
その隣で、しずか&モサモサンは、優雅にふわりと最後のハスの葉をジャンプ。
「がんばろう、モサモサン!」としずかが声をかけ、二人は軽やかに小島の砂浜へ到着。
「やった、一番乗りね!」
モサモサンも「もさ〜!」とうれしそうにぴょんぴょん。
ジャイアンも、ずぶ濡れになりながらバクゴンを引き上げて猛ダッシュ!
二人でゴールの浜にドシン! その衝撃で小島がちょっぴり揺れる。
続いてスネ夫&ハニワルチームが丸太カヌーで「イェ〜イ!」と滑り込み。
「いや〜、ラク勝ちラク勝ち〜」と得意げに鼻を鳴らすスネ夫。
「さあさあ、ラストは——」
スパークが空中でクルクル回転しながら盛り上げる。
湖の真ん中、遅れてやってくるのび太・ヨワリン・ノアのチーム。
浮き輪をしっかり握って、3人はマイペースで「よいしょ、よいしょ」と進んでいく。
「ぼくたちも、がんばろうね、ヨワリン……」
「ぷにぃ……!」
ヨワリンは水がちょっと怖いけど、のび太の手をギュッと握って、二人三脚で一歩一歩。
その背中をノアがそっと押してくれる。
「もうすぐゴールだよ、あとちょっと!」
ノアが励まし、ついに三人も、はぁはぁ息を切らせながら小島の砂浜にたどり着いた。
「みんなゴーーール!!」
スパークが金色のリボンをぶんぶん振って、レースのフィナーレを宣言。
小島のあずまやでは、おためし生物のアヒルたちが「クワッ、クワッ」と列になって歓迎ダンス。
みんなで手をつないで「イエーイ!」と大歓声。
ノアはそっとヨワリンの頭をなで、「よくがんばったね」とほほえむ。
ヨワリンも小さく「ぷにっ」と鳴いて、うれしそうにしっぽをふる。
島には勝ち負けよりも、仲間たちの笑顔と、やりきった達成感がいっぱいに広がった。
——こうして、グリーンガーデンレイクの水遊びレースは、最後までドタバタ大騒ぎのまま、みんなの笑顔で幕を閉じたのだった。
島のあずまや——屋根とテーブル、ベンチがある小さな休憩所で、みんながひと息ついていると——
どこからともなく、ドラえもんがタケコプターでふわりと着地。
ポケットから取り出したのは、ピカピカ光る回転レーンのセット。
「さあ、今日は特別サービスだよ!」
ドラえもんが手際よく東屋のテーブルのまわりに寿司レーンを組み立てると、さらにもう一つ、四角い『グルメテーブルかけ』をバサッと広げてテーブルにセット。
「よし、まずは……」
ジュワッ! シュルシュル!
お寿司、サンドイッチ、デザート、ジュース、フルーツ……
色とりどりのごちそうが、魔法みたいに次々と現れる!
ドラえもんは「できたて、ごちそういきまーす!」と声をかけ、料理をひと皿ひと皿、回転レーンに乗せていく。
みんなの目がキラキラと輝く。
ドラえもんは、ハッピ&ねじり鉢巻で「お料理番長」気取り。
中央で「いらっしゃい、いらっしゃい!」と手を叩き、「食べたいものがあったら、なんでも言ってね! すぐ出すから!」
スパークは真っ先にレーンの上をホバリングして、目をキラキラ。
「おっ、これはミニハンバーガー! あっちに唐揚げ山盛り、向こうはチョコドーナツ!いただきーっ!」
勢い余って唐揚げ皿ごとレーンから転がり落ちて「うおっとっと!」帽子でキャッチ、ドラえもんが「こら、落とさないで!」と注意するが、「大丈夫大丈夫、3秒ルールだ!」とペロリ。
ジャイアンはバクゴンと一緒に、大皿カレーや焼きそばパン、焼き鳥をガシガシと掴み、
「バクゴン、ほら肉まんだぞ!」「ギャオオ!」
バクゴンがむしゃむしゃ食べている間に、ジャイアンは「なぁ大将、唐揚げもっと山盛りで!」とドラえもんに叫ぶ。
ドラえもんは「まかせて!」と山盛り唐揚げを即座に増やす。
しずかはレーンに流れてきたカラフルなフルーツサンドや紅茶を上品にお皿へ。
「わあ、かわいい♪ あ、ドラちゃん、ハーブティーもある?」
「はいはい、お嬢様セット、できあがり!」
スネ夫は回転レーンを流れてくるお寿司を、鑑定士のように鋭い目つきでじっと吟味している。
「ねぇドラえもん、このお寿司、もうちょっとシャリとネタのバランスを豪華にできないの? あと、デザートに最高級のマスクメロンと、フランス産のカマンベールチーズも追加でお願い!」
「もぉ、スネ夫は本当にわがままだなぁ……」
ドラえもんはやれやれと呆れながらも、「はいよ! ご注文入りまーす!」と応える。
するとハニワルが勝手にレーンを先回りし『スネ夫さまセット』を運んでくる。
ノアは目を丸くして、「これ、全部食べてもいいの……?」と、遠慮がちにミルクプリンをそっと手にとる。
ヨワリンも「ぷに……」とおそるおそる、ゼリー皿に手を伸ばす。
のび太は——ちょっと迷った末、「うーん、やっぱりオムライス!」とリクエスト。
「のび太くんのオムライス、特盛で!」ドラえもんが威勢よくレーンに乗せてくれる。
そのとき、スパークが「これ、もっと早く回したほうが楽しいんじゃね?」と、寿司レーンのスイッチを勢いよくガチャッ!
ブイーン!
レーンが急加速、パフェやから揚げ、お寿司がものすごい勢いでビューンと流れ出す!
「わ、わっ!」「キャーッ!」「唐揚げが逃げるー!」「ケーキが疾走してるよ!」
みんな、思わず手を伸ばしてお皿をキャッチしようと大騒ぎ。
お皿がレーンの端から転がりそうになったところで、ドラえもんが慌ててスイッチを戻す。
「まったく、もう〜スパーク、スピード出しすぎだよ!」と苦笑い。
落ち着いたところで、みんなが思い思いの料理やスイーツに手を伸ばす。
みんなの「おいしい!」「うまっ!」という声と、満面の笑顔が小島いっぱいに広がった。
こうして島は、ごちそうと笑い声で包まれた——最高のごほうびタイムになったのだった。
たっぷり遊んで食べて、みんなはあずまやのベンチや芝生にゴロンと横になって一息ついていた。
湖のそよ風が心地よくて、みんな満腹でうとうと——だけど、スパークだけはキラキラした目で何か企んでいる。
「なあなあ、みんな!」
スパークがぴょんとテーブルに飛び乗って、得意げに三角帽子をピッと整える。
「ここで! 伝説の『適応度選手権』やらないか?」
三角帽子から、適応度ライトをひょいっと出してくる。
「こいつでパートナーたちのどれだけ勢力を広げられるかをズバッと測っちまおうってワケよ! いっちょ、誰のが最強か決めようぜ!」
「面白そう!」
「やろうやろう!」
みんながざわつき、わくわく顔でパートナーたちを呼び寄せる。
最初の対決は、ジャイアンのバクゴン vs. スネ夫のハニワル。
スパークがライトを向けると——
バクゴンの体に真っ赤なスポットライトがパッ!「8」の数字。
ハニワルには黄色いライトが「5」。
「よっしゃ、うちのバクゴンの勝ちだな!」とジャイアンが腕を組む。
続いて、しずかのモサモサンとジャイアンのバクゴンが対決。
スパークが「よし、2体並んで!」と号令をかけると、モサモサンとバクゴンが並び、スパークが適応度ライトをぐいっとかざす。
すると、モサモサンに赤いライトと「10」の数字、バクゴンの頭上には黄色いライトと「6」の数字がパッと現れた。
「すごい、モサモサンの方が強いのね!」
しずかが目を丸くしてちょっと得意気にニッコリ。
ジャイアンは「お、おかしいだろ……! バクゴン、もっとやる気出せ!」とバクゴンの背中をバシバシ叩いてむくれている。
「じゃあ、次はハニワルとヨワリンで!」
スネ夫がスパークから適応度ライトを奪うと、ニヤリとして、ヨワリンとハニワルにライトを当てる。
ヨワリンは頭の上に「2」と青い光。ハニワルは「9」ではるかに強い。
「やっぱヨワリン、雑魚いな〜」とみんなが笑い、のび太は「い、いいんだよ。ヨワリンはやさしさが強さだから……」とモジモジ。
「ま、だいたい『作り主』の腕前が、そのまんま生き物にも出るってわけ! おっと、へたっぴなやつはバレバレだぞ〜!」
スパークはクルクル回りながら、わざとらしくウインクして見せた。
みんなが次々とパートナー生物の適応度を測り、湖畔は笑い声で大盛り上がりだった。
そんなとき、ジャイアンがニヤリといたずらっぽく提案した。
「なあ、今度は俺たち人間同士で測ってみようぜ!」
スパークが慌てて宙を飛び回る。
「おいおい、それはやめとけよ。人間同士だと面倒なことになりそうだぜ」
しかし、ジャイアンとスネ夫は聞く耳持たず、面白がって続けようとする。
「いいじゃん、やってみようよ!」とスネ夫も盛り上がる。
まずは、のび太がスネ夫から適応度ライトを受け取り、ジャイアンとスネ夫に向ける。
ピカーッ! ジャイアンは赤い光とともに「9」、スネ夫は黄色の光で「6」の数字が表示された。
「やったぜ、俺の勝ち!」とジャイアンが胸を張る。
次はジャイアンがライトを奪って、「よし、のび太とスネ夫だ!」と大張り切り。
再びライトがピカッと光り、スネ夫はまたしても「6」、のび太は青い光で「2」。
「あはは!のび太はやっぱり弱っちいな〜」とスネ夫がニヤニヤ。
「もうっ、ほっといてよ!」のび太がちょっとすねる。
そこで、スパークが慌てて手を振りながら割って入った。
「お、おいおい、そろそろやめとこうぜ! 人間で遊ぶのはもう十分だろ!?」
三角帽子がちょっと震えて、声にも焦りが滲む。
けれど、ジャイアンはまるで聞いちゃいない。
「おい、ノアもやってみようぜ!」
のび太はとっさに「ノアはまだ子供だし、かわいそうだよ〜」と笑いながら庇おうとするが、ジャイアンはもう止まらない。
「まあまあ、一回くらいいいだろ?」とスネ夫とジャイアンが悪ノリして、ジャイアンがノアとスネ夫に向かってライトを向ける。
その瞬間——
バシュウウウウウ!
他のみんなとはまるで違う、深い闇色の光輪がぐるりとノアを囲む。
その頭上で「10000」という数字が、不気味なまでに輝いていた。
一方、スネ夫は黄色で「7」。
「え、ええっ!?」「な、なんだこれ!」
みんなが一斉に言葉を失い、息をのんだ。
ノア本人はキョトンとした表情で、自分の頭上を見つめている。
「こ、壊れてんじゃないの?」とスネ夫が慌ててライトをジャイアンから奪い、今度はノアとジャイアンを測る。
またしてもノアの周りに、闇色の光輪と「10000」の表示が現れ、ジャイアンの頭上には「9」。
「う、うそだろ……?」ジャイアンが目を丸くして後ずさりした。
ノアは小さな声で、自分の手を見つめながらつぶやいた。
「ぼくって……いったい、なに?」
その場は重い沈黙に包まれた。みんな何を言っていいかわからず、困惑していた。
そんな中、スパークが慌てて大声を張り上げた。
「あー! この適応度ライト、どうやらぶっ壊れちまったみたいだな! まったく、最近調子が悪くてよ!」
スパークは急いでスネ夫からライトを奪い取ると、顔が真っ青になっているノアの目を覗き込み、明るく振る舞った。
「なあ、ノア。気にするなよ! 今のは全部間違いだから! なっ?」
ノアは不安そうなまま、小さくうなずいた。
そんなノアの足もとに、ヨワリンがそっと体を寄せてくる。
しかし、誰もが感じていた。
——いったいノアの正体は何なのか、この数字が何を意味しているのか——と。
*
夕焼け色が差し込むのび太の部屋。床の真ん中には、ちいさな箱庭が静かに置かれている。
その中には、みんなが作り上げた世界が、まるで夢のジオラマみたいに広がっていた。
左上にはゴツゴツした火山の赤い大地が燃えるように広がり、右上には湖と森が青と緑のもようで静かにきらめいている。下の方には、サラサラの黄色い砂漠がオアシスを囲み、真ん中には、のび太が大事にしている草原のエリアが、ふっくらと緑に包まれていた。
みんなはその箱庭を囲んで、誰もが黙ったまま見つめていた。
ノアだけは、みんなの少し後ろでじっと俯き、顔をこわばらせたまま動かない。
みんなが無言のまま固まっていると、しずかがそっとみんなの方を向いた。
「それじゃ……また明日ね」
ジャイアンとスネ夫も無言で立ち上がり、カバンを肩にかけて玄関の方へ歩き出す。
「じゃあな……」
「バイバイ……」
いつもよりずっと静かな、別れの声がのび太の部屋に響いた。
のび太は、戸惑いながらそっとノアのほうを見つめていた——。