家に帰ると母さんが抱きしめてきた
「おかえりなさい。大丈夫だった」
「ただいま、大丈夫だよ。戦闘になってないし、お互いに脅し合っただけだよ」
「それは、大丈夫とは言えないわよ」
「あー、でも見てたんでしょ」
「ええ、使い魔で見ていたけど、何を言ってるのかはわからなかったの。
だから智也が気を纏った時は戦いになると思ったわ」
それもそうか。話し合いを聞いていても戦闘になると思うわ。
てか、俺はよく目を逸らさなかったな。俺すごいな。過去一頑張ったんじゃないか
「まあ、今日は疲れたから新しい畑は明日やるよ」
「わかったわ。それで、話はどうなったの?」
「畑を守ってやるから、食料をよこせだとよ」
「それだけ?」
「それに、俺の言った対価を守るらしい。とは言っても、あのおっさんが欲しいのは影響力
だろうけど。それでも大丈夫、あっちも無法が出来ないように釘を刺せたから、
馬鹿じゃないならあれで止まるはず」
「それならいいけど、警戒はしっかりするのよ」
それはわかってる。理想的な状態になってるのに隙を見せるのは馬鹿のすることだよ。
最低でも、ヤクザよりも戦闘能力を持った集団を作らないと。
幸いなことにヤクザの戦闘能力は低そうだからな
「それにしても、使い魔は使い物になりそう」
「ええ、今は50メートルしか使えないけど便利よ」
使い魔は使い物になるか心配だったけど、50メートルが操作範囲だとしても、鳥の目なら
索敵範囲は広いから、これだけでかなり有能だな
この後は、明日に向けてしっかり休むことにした
11月21日になり、俺は南東にある公園に来ていた。そこには、意外な人がいた。
取り敢えず、挨拶しよう
「おはようございます。何してるんですか、こんなところで?」
30歳ぐらいのおっさんヤクザが
「おう、やっと来たか。何してるって、ここを守ってんだよ。そういう約束だろ。
それにお前と話をするためだ」
「へえー、しっかりやる気があるんだ。まあ、あの組長ぽい人は危機感があったし
真面目にやるか」
おっさんが少し怒りながら
「本当に、いい度胸だな。それに親父は組長だ。ぽいじゃない」
「そうなの。あっ、調べてる思うけど、俺は白波智也、以後よろしく。
敵対しないことを祈ってるよ」
「おう。俺は島崎真司、島崎組の若頭だ。そして、親父が島崎雅信で組長だ」
おっと、実働部隊どころか、幹部が出てきてたのか
「それで、何の用」
「単刀直入に聞く。お前はこれからの世の中が、どうなると考えてる」
このおっさんは、組長と違って俺より上に立ちたいのか?力の差は昨日見せたんだけどな。
なのに高圧的な対応が出来ののはなんでだ?ヤクザだからこんな話し方になるのか?
わからんが、う~ん質問には真面目に答えるか、別に隠すことでもないし、
隠す必要があるのは結合と式紙のAランクだけだしいいか
「長い考察と短い考察どっちがいい」
おっさんは、意外そうな顔をしたが
「長い方だ」
じゃあ、真面目に答えますか
「まあ、長くなるからそこの休憩場所で話そう」
「ああ」
椅子に座りまずは、現状の確認をする
「まずは、西日本人が解決しないといけないことは試練の突破で、そのお題は深海の解放これが
できないと、俺たち全員20年後に死ぬ事が決まってる。そして、領域で西日本以外に移動が
出来ないし、物資は何も入ってこない。これが、俺たちの現状だ」
「そうだ。だから、畑を作れるだけでお前の価値は高い」
「あっ、ちなみに種からでも一ヶ月後には、収穫できるよ」
「は?今なんて言った」
「だから、収穫は一ヶ月後だって」
「まじか」
「そうじゃなかったら出てこないよ。ちなみに、もう試したから出来ることは確認済みで、
作物は通常の2倍から5倍の収穫が可能」
おっさんは、軽い現実逃避してる
「そうか」
「話を戻すと、一番の問題は外からの物資が入ってこないと、それも燃料が入ってこないのが
一番まずい。ガソリンや軽油がないと、車はすべて動かなくなるし、天然ガスがないと
火力発電も動かなくなる。動くのは水力と風力だけになるし、それに2つはこの辺にない。
この冬は大丈夫かもしれないけど、来年からは確実にガスも電気のない生活が待ってる」
例え使えても一部の重要施設だけだろう。だからライフラインが止まることを考えて今の
うちに備えて置かないと、でも冬は何とかなりそうだけど、銅の暖炉とか用意できたし、
後は俺が木材を作れば寒さはどうにでもなる。問題は夏だよな。
まあ、技能だよりで何とかなるか
「食料問題もあるけど、俺のような存在は、他にもいるだろうから深刻な問題じゃない。
それこそ農家なんかが、スキルを覚えているだろうし、やっぱり問題になるのは運送手段がない
こと、人力だけになる可能性が高いからね。もしかしたら、レベルの高い収納持ちと、使い魔や
テイムのスキル持ちが、出て来て何とかなるかもだけど、いないならリヤカーとか使って人力で
運ばないといけない。だから時代が戻るかもね」
食料は心配する必要はあまりない。俺が大量に作れるし、外で農業をするのは味方を作りたい
からやってるだけで、治安問題も気になるが飢えの心配がないなら、ある程度のモラルは守られる
だろう。魔物の心配はあまりしていない。それよりも自然がどれだけ変化するのかが気になる
「まあ、魔物の恐竜肉と獣肉や最悪は1メートル以上の虫が手に入るだろうから、食料の事は
問題にならない。でも魔物はゲーム方式で一部の素材を残して消えるなんて仕様だと、
話は変わってくるけど」
ゲーム方式じゃないなら、食糧問題は起こらないかもね。まあ現地の人次第か。
魔物の討伐が出来ないと、それ以前の問題だし
「水も心配ない浄化持ちがいれば楽だし、最悪は物理的に濾過すれば、いいだけだしね。
幸いこの辺りは川が複数あるから水には困らない。それより問題なのが海を魔物に取られている
こと、塩が手に入らないのが一番の問題になる。東西南北で、南を2年以内に攻略できないと
問題なる。東は樹海だから最悪は放置でも構わない。西と北の魔物は行動範囲次第で脅威度が
変わってくる」
海だけは、何としても取り戻さないと、塩分を取れないと人間は普通に摘むし
「あの超常的な存在は意外と親切だから、今の魔物はチュートリアル的な存在かもしれないけど」
「はあ?親切、何言ってるんだ」
「ステータスを操作やスキルの取得に才能が有無がわかる。
これだけで、十分に親切と言えるけど」
「それは、まあ、そうか?」
ステータスとスキルがなかったら、農業なんて出来なかったし、こんなに早く戦闘能力を習得
出来なかった。スキルがなかったら、どれだけの死者が出るのか。
それどころか、俺には籠城以外の取れる選択肢はないな
「そして、領域は西日本にいる約5000万人が一つの試練を攻略しなければならない。
そんな試練が少数の天才だけで、攻略できると思うのは馬鹿の考えることだ。これから必要なのは
ギルド的な組織を作って、多くの人に水中呼吸と水中行動を習得させること、
少なくとも深海に行けなければ話にならない」
試練が陸で行われることはない。だから試練の攻略に行くために。
多くの存在を海で戦えるようにしないといけない
「俺は、まだ体が成長してないから、6年ぐらいは本格的な戦闘に参加できない。
だから、それまでに魔や気がAかBランクの奴を集めないといけない。幸い、俺には食糧がある
から味方を作りやすい。まあ、まとめると食糧で人を集め、将来強くなる可能性がある奴を
鍛えて、試練攻略を目指す組織を作る。そして俺は、10~15年での試練攻略を目指す。
これが、俺の目的だ。だから治安の悪化を招くことは認めない」
おっさんは、空を見上げて何か考えてる
「いいだろう。島崎組の若頭・島崎真司が認める。島崎組は白波智也の計画の後押しをする」
「いいの」
「ああ、俺が認める。俺は、まだこの状況を甘く見ていたようだ。お前の計画には具体性が
ないが、これから周囲の連中が集まってくるのも事実だ。まあ、5年は好きにやってみろ」
「じゃあ、俺は畑を作ってくる」
「わかった。それから30日に対価を支払いに行く。場所はここでいいか」
「いいよ」
そうして、島崎組が暫定的に仲間になった。
これが陰の白波派と言われる集団の小さな分岐点になった