12月6日
主人公side
なんか、気まずい空気なったな。どうしよう
「そこまでや。これ以上、この話はなしや」
理奈が空気を換えてくれた
「わかりました」
「それじゃあ、次はうちから質問や。スキルの練習がしたいって言ってるけど、プールを使うことに拘る理由は何かあるん。水系のスキルなら川でもええやん?」
「一番の理由は安全だからです。現在、海は魔物の領域になってます。これが、いつ川まで来るかわかりません。なので川を利用したくありません。次に川は汚いです。病院がいつまで機能するかわからない状態で、病気になるリスクを抱えながら鍛えるのはリスクが大き過ぎます」
「おー、そうやね」
そう、医療物資がいつ底を付くかわからない。それに医薬品を西日本だけで作れるとは限らない。素材そのものがない可能性もあるし、海外に頼ってる薬品もある中で、どれだけの医療物資が作れるか
「でも、水道管からの水がいつまで使えるかわからんで」
「その時は、川の水を引いてきます」
「?さっきと、言ってることが違うんやけど」
「汚い水は浄化すればいいだけです。流れている水を浄化し続けるのは不可能でも、流れていない水なら浄化することが可能です。今の浄化のスキルレベルはEなので、川の水を綺麗にできます。それに浄化のスキルがDランクに上がったら、飲み水にすることも可能です」
「ほんまに。それって、うちにもできる」
「それはわからないですが、適正しだいとしか言えないです」
「それもそうやね」
理奈は浄化のスキルに関心が高いみたいだ。まあ、水は生命線になるから自分達で用意したいか
「それで智也は、この契約が成立したら、うちの学園生をどうしたいん」
「そうですね。まず、農業は5年間しかする気はありません。なので、それまでに農業と浄化のスキルを習得してもらいたいです」
理奈は俺の言葉に驚いたようで
「何でなん。あれだけの農地が作れるなら、安全な場所で食糧生産をしていれば生活に困ることはないやん」
「農業に専念するのは、体が小さく戦闘は厳しいと考えてるからです。5年後には本格的に鍛えて、10年後に試練の攻略を目指したいので」
「それは誰かに任せてもええやん。わざわざ、自分から危険に身を置かんでも」
「力は欲しい時にはないものです。だから早く強くなりたいですし、手遅れになる前に試練の対策もしたい。それに誰かがやってくれるなら、それでいいけど、現実は自分に優しくない物ですよ。なら、最初から自分が試練攻略を目標に行動すれば損はないです。」
「う~ん、危険なことは、せんでいいと思うけどな~」
純粋に心配してくれるのは、ありがたいが考えを変える気はない
「心配してくれるのは感謝しますが、考えを変える気はないです」
「それに今回の取引は、智也にメリットがないと思うんやけど」
「メリットならあります。安全に鍛錬に取り組める場所、これがどれほど貴重なことか。それに、農業をしてるのは治安対策のためです。一度でも、物資の奪い合いが始まると、これまでの生活はできません。なので周辺を危険な場所にしないための農業です。それに、白咲学園の戦闘能力が高いとわかったからには、白咲学園との関係を持つことだけでも十分に利益になります」
3人とも、感心するようにこちらを見る。これで、言いたいことや伝えることは全部だ
「それでは条件をまとめます。私が白咲学園で5年間、農業をする代わりに白咲学園関係者には、スキル知識の紙に書き出し提供してもらうか、式紙核を霊的に埋め込み条件に了承するか。どちらかを必ず選んでもらいます。そして、白咲学園の屋内プールの使用許可。これを同意するなら私は白咲学園で農業をします。製作した農作物はすべて白咲学園の好きにして構いません」
理香と理奈は学園長の返答を待った
「条件はわかりました。これから、学園職員と生徒を集めてどうするか、決めたいと思います」
「それでは、他の学園関係者は映像越しに見ているようなので、明日、同じ時間に参ります。いい結果を楽しみにしています」
3人は驚いたようにして
「気づいていたん」
「まあ、カメラが4つあることは把握しています」
「ごめんね。別になにかがあるってわけじゃないの」
「構いません。争いになる可能性もゼロではないので。それに、他の人に説明する手間も省けるでしょうし、問題はありません。それでは失礼いたします」
そうして、俺は学園を出た
学園会議室side
学園の職員・生徒会会長・風紀委員会長・各部活の代表者が集まり会議が始まる
「それでは、最初に白波智也の取引についての投票結果を伝えます」
周囲は緊張度が高まる。それもそうだ。白咲学園は、200年の歴史ある由緒正しい学園が変わるかもしれない瞬間だ。白咲学園の価値を知る人は気が気じゃない。歴史ある学園が農地に変わるなど、それだけで反対派になっても誰も責めれない
「投票の結果は8割が賛成で反対が2割でした」
頭を抱え項垂れる人もいる中、その結果が当然と思っている人が多かった
「それでは、白波智也との契約を結ぶでよろしいですか」
会議に参加している。全員が頷いた
「よろしい。では、白波智也との契約を明日に結びます。各自そのつもりで」
「「「はい」」」
「次に白咲学園内で、白波智也の対応をする人を決めたいと思います。誰かいますか」
白波係の選定が始まった
「うちがやるえ」
そんな中、めんどくさがりで有名な風紀委員長が立候補した
「「「えっ」」」
「なんや、みんなして幽霊を見るような眼をして」
すかさず、生徒会長がツッコミを入れた
「そりゃそうでしょ。めんどくさがりの理奈が、自分から誰かの面倒を見るなんて」
「しょうがないやん。運動部系は智也の事が気に入らない人が多数いるみたいやし、流石に理香に任せるのは心配や。そうしたら、うちぐらいしかいないやん」
そう言ったら、水泳部部長が
「あら、私達は歓迎するわよ。しっかり、未来を見据えて行動する子は嫌いじゃないし、反対の子はいなかったわよ」
「そうなん。でも、結月に任せるのも心配なんやけど」
「なんでよ。さては、あなたショタコンね」
そう言って、理奈をからかうのは、髪色が黒に1割ほど薄い水色に変色した髪型がセミディの少女水泳部部長、水崎結月(みずさきゆづき)
「は~あ~、何言っとるや。誰がショタコンや、ふざけるのもいい加減にせや」
「焦っちゃって、あ~や~し~い~」
髪色が白で4割ほど薄い朱色に変色した髪型がロブの少女の弓術部部長代理、柚木沙月(ゆずきさつき)が
「結月そこまでにしなさい」
「え~、これからがいいところじゃん。」
「今のあなた達が喧嘩したら大変な事になるでしょ」
「流石に、そんなことはしないわよ。それにこの距離じゃあ、絶対に勝てないでしょ」
「はあ~・・・、そう言う事だから、理奈も矛を収めて」
「しゃ~ない」
沙月のおかげで、大事にならずに済んだ
「それでは、他に立候補者がいないようなら風紀委員長に一任しますが、よろしいですね」
「学園長、私も協力します」
「結月、何のつもりや」
「あの子は私のテリトリーに来るのよ。私が関わるのは当たり前でしょ」
「むぅ~、しゃ~ない」
「それでは、風紀委員長白咲理奈と水泳部部長水崎結月に任せます」
「「はい」」
「不満がある者も、本人に当たらないようにしなさい。彼は、白咲学園の存続のために必要な存在です。もし、手を出すようでしたら白咲学園から追放します」
学園長が、学園関係者にとっての最も厳しい罰を与えることに全員が驚いた
「これからの世の中は、彼のような存在の奪い合いになってもおかしくありません。周囲に付け入る隙を与えないように」
「「「はい」」」
学園長が全員に釘を刺す。そうして、白咲学園の未来を決める会合は終わった