領域に閉じ込められても人は生きてる   作:水二式

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第二十四話 契約前

 12月6日

 

 主人公side

 なんか、気まずい空気なったな。どうしよう

 

「そこまでや。これ以上、この話はなしや」

 

 理奈が空気を換えてくれた

 

「わかりました」

 

「それじゃあ、次はうちから質問や。スキルの練習がしたいって言ってるけど、プールを使うことに拘る理由は何かあるん。水系のスキルなら川でもええやん?」

 

「一番の理由は安全だからです。現在、海は魔物の領域になってます。これが、いつ川まで来るかわかりません。なので川を利用したくありません。次に川は汚いです。病院がいつまで機能するかわからない状態で、病気になるリスクを抱えながら鍛えるのはリスクが大き過ぎます」

 

「おー、そうやね」

 

 そう、医療物資がいつ底を付くかわからない。それに医薬品を西日本だけで作れるとは限らない。素材そのものがない可能性もあるし、海外に頼ってる薬品もある中で、どれだけの医療物資が作れるか

 

「でも、水道管からの水がいつまで使えるかわからんで」

 

「その時は、川の水を引いてきます」

 

「?さっきと、言ってることが違うんやけど」

 

「汚い水は浄化すればいいだけです。流れている水を浄化し続けるのは不可能でも、流れていない水なら浄化することが可能です。今の浄化のスキルレベルはEなので、川の水を綺麗にできます。それに浄化のスキルがDランクに上がったら、飲み水にすることも可能です」

 

「ほんまに。それって、うちにもできる」

 

「それはわからないですが、適正しだいとしか言えないです」

 

「それもそうやね」

 

 理奈は浄化のスキルに関心が高いみたいだ。まあ、水は生命線になるから自分達で用意したいか

 

「それで智也は、この契約が成立したら、うちの学園生をどうしたいん」

 

「そうですね。まず、農業は5年間しかする気はありません。なので、それまでに農業と浄化のスキルを習得してもらいたいです」

 

 理奈は俺の言葉に驚いたようで

 

「何でなん。あれだけの農地が作れるなら、安全な場所で食糧生産をしていれば生活に困ることはないやん」

 

「農業に専念するのは、体が小さく戦闘は厳しいと考えてるからです。5年後には本格的に鍛えて、10年後に試練の攻略を目指したいので」

 

「それは誰かに任せてもええやん。わざわざ、自分から危険に身を置かんでも」

 

「力は欲しい時にはないものです。だから早く強くなりたいですし、手遅れになる前に試練の対策もしたい。それに誰かがやってくれるなら、それでいいけど、現実は自分に優しくない物ですよ。なら、最初から自分が試練攻略を目標に行動すれば損はないです。」

 

「う~ん、危険なことは、せんでいいと思うけどな~」

 

 純粋に心配してくれるのは、ありがたいが考えを変える気はない

 

「心配してくれるのは感謝しますが、考えを変える気はないです」

 

「それに今回の取引は、智也にメリットがないと思うんやけど」

 

「メリットならあります。安全に鍛錬に取り組める場所、これがどれほど貴重なことか。それに、農業をしてるのは治安対策のためです。一度でも、物資の奪い合いが始まると、これまでの生活はできません。なので周辺を危険な場所にしないための農業です。それに、白咲学園の戦闘能力が高いとわかったからには、白咲学園との関係を持つことだけでも十分に利益になります」

 

 3人とも、感心するようにこちらを見る。これで、言いたいことや伝えることは全部だ

 

「それでは条件をまとめます。私が白咲学園で5年間、農業をする代わりに白咲学園関係者には、スキル知識の紙に書き出し提供してもらうか、式紙核を霊的に埋め込み条件に了承するか。どちらかを必ず選んでもらいます。そして、白咲学園の屋内プールの使用許可。これを同意するなら私は白咲学園で農業をします。製作した農作物はすべて白咲学園の好きにして構いません」

 

 理香と理奈は学園長の返答を待った

 

「条件はわかりました。これから、学園職員と生徒を集めてどうするか、決めたいと思います」

 

「それでは、他の学園関係者は映像越しに見ているようなので、明日、同じ時間に参ります。いい結果を楽しみにしています」

 

 3人は驚いたようにして

 

「気づいていたん」

 

「まあ、カメラが4つあることは把握しています」

 

「ごめんね。別になにかがあるってわけじゃないの」

 

「構いません。争いになる可能性もゼロではないので。それに、他の人に説明する手間も省けるでしょうし、問題はありません。それでは失礼いたします」

 

 そうして、俺は学園を出た

 

 

 学園会議室side

 学園の職員・生徒会会長・風紀委員会長・各部活の代表者が集まり会議が始まる

 

「それでは、最初に白波智也の取引についての投票結果を伝えます」

 

 周囲は緊張度が高まる。それもそうだ。白咲学園は、200年の歴史ある由緒正しい学園が変わるかもしれない瞬間だ。白咲学園の価値を知る人は気が気じゃない。歴史ある学園が農地に変わるなど、それだけで反対派になっても誰も責めれない

 

「投票の結果は8割が賛成で反対が2割でした」

 

 頭を抱え項垂れる人もいる中、その結果が当然と思っている人が多かった

 

「それでは、白波智也との契約を結ぶでよろしいですか」

 

 会議に参加している。全員が頷いた

 

「よろしい。では、白波智也との契約を明日に結びます。各自そのつもりで」

 

「「「はい」」」

 

「次に白咲学園内で、白波智也の対応をする人を決めたいと思います。誰かいますか」

 

 白波係の選定が始まった

 

「うちがやるえ」

 

 そんな中、めんどくさがりで有名な風紀委員長が立候補した

 

「「「えっ」」」

 

「なんや、みんなして幽霊を見るような眼をして」

 

 すかさず、生徒会長がツッコミを入れた

 

「そりゃそうでしょ。めんどくさがりの理奈が、自分から誰かの面倒を見るなんて」

 

「しょうがないやん。運動部系は智也の事が気に入らない人が多数いるみたいやし、流石に理香に任せるのは心配や。そうしたら、うちぐらいしかいないやん」

 

 そう言ったら、水泳部部長が

 

「あら、私達は歓迎するわよ。しっかり、未来を見据えて行動する子は嫌いじゃないし、反対の子はいなかったわよ」

 

「そうなん。でも、結月に任せるのも心配なんやけど」

 

「なんでよ。さては、あなたショタコンね」

 

 そう言って、理奈をからかうのは、髪色が黒に1割ほど薄い水色に変色した髪型がセミディの少女水泳部部長、水崎結月(みずさきゆづき)

 

「は~あ~、何言っとるや。誰がショタコンや、ふざけるのもいい加減にせや」

 

「焦っちゃって、あ~や~し~い~」

 

 髪色が白で4割ほど薄い朱色に変色した髪型がロブの少女の弓術部部長代理、柚木沙月(ゆずきさつき)が

 

「結月そこまでにしなさい」

 

「え~、これからがいいところじゃん。」

 

「今のあなた達が喧嘩したら大変な事になるでしょ」

 

「流石に、そんなことはしないわよ。それにこの距離じゃあ、絶対に勝てないでしょ」

 

「はあ~・・・、そう言う事だから、理奈も矛を収めて」

 

「しゃ~ない」

 

 沙月のおかげで、大事にならずに済んだ

 

「それでは、他に立候補者がいないようなら風紀委員長に一任しますが、よろしいですね」

 

「学園長、私も協力します」

 

「結月、何のつもりや」

 

「あの子は私のテリトリーに来るのよ。私が関わるのは当たり前でしょ」

 

「むぅ~、しゃ~ない」

 

「それでは、風紀委員長白咲理奈と水泳部部長水崎結月に任せます」

 

「「はい」」

 

「不満がある者も、本人に当たらないようにしなさい。彼は、白咲学園の存続のために必要な存在です。もし、手を出すようでしたら白咲学園から追放します」

 

 学園長が、学園関係者にとっての最も厳しい罰を与えることに全員が驚いた

 

「これからの世の中は、彼のような存在の奪い合いになってもおかしくありません。周囲に付け入る隙を与えないように」

 

「「「はい」」」

 

 学園長が全員に釘を刺す。そうして、白咲学園の未来を決める会合は終わった

 

 

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