12月12日
主人公side
二人の事を放っておいて、唯華に説明を求めると
「えっとね。智也君の性格を把握するために、結月先輩が色仕掛けをするって、言い出して」
俺は、心底呆れて思わず
「馬鹿か」
「ごめんなさい」
「唯華は悪くないだろ。小学生相手に色仕掛けなんてことを、思いつくのがおかしいから」
「でも、先輩は私達の事を心配して」
「あの、雰囲気は自分が楽しんでいるとしか思えないけど」
「あぅぅ」
唯華は、その言葉に反論できなかった。まあ心配も確かにあったと思うけど、8割は趣味でしょ
「あははは、ごめんね。悪ふざけが過ぎたわ。でも智也の性格も何となくわかったし、結果オーライってことで」
「結月は少しは反省し」
まあ今回の件で、理奈の沸点が意外と低いってわかったことが収穫かな。結月は誰かをからかうことが好きな愉悦民っと、唯華は気が弱いけど意見ははっきり言うな。玲奈はしっかり者で詩奈は面白いことが好きな女子って感じだし、なんていうか俺の方が性格分析してる気がしてきたぞ
「えっとね智也君。私達、水泳部は白波智也を歓迎します。ここ水泳部には、智也君の反対派はいないので、安心してスキルの練習をしてください。反対派の人には、智也君がいる時には絶対にここには立ち入りをさせません」
えっと、意外と俺の好感度って高いのか。なんか、めちゃくちゃ歓迎されているけど
「なんで、そこまで歓迎されているの?」
疑問を聞くと、唯華は真っ直ぐ俺を見て答えてくれた
「私達は、これからの未来に不安しかありませんでした。ですが、ある日に公園で食糧を作ってる男の子の話が学園に広まりました。私も気になり直接見に行きました。そしたら、本当に公園には立派な作物が出来ていました。私はあそこを見て未来があることに気が付きました。そして、智也君あなたが、この学園に来て公園と同じ農地を作って作物を育ててくれる。って話を聞き、私は顔を上げて未来を考えることが出来るようになりました。智也君には智也君の考えがあって、やってることだとわかっています。でも、私はあなたの行動によって救われました。だから、今度は私が智也君の助けになるって決めています。だから、安心してここで力を付けてください」
なんか、好感度がカンストしてる雰囲気がするんだけど
「ありがとう。俺は20年後も生きていたいって思いで、今までの事をやってきたけど。そこまで、評価してくれる人がいるとは思わなかった。俺のやってきたことを肯定してくれて、ありがとう」
俺は、生まれて初めて心からありがとうって思えた。人に肯定されるのがこれ程、心に来ることだとは思わなかった
俺が、心からお礼を言ったら唯華がテンパった
「あぅぅ」
「はいはい、うちの副部長を口説かないの」
そういって、結月が割って入ってきた。別に口説いてはいないけど。あれって、恥ずかしくてテンパってる感じだし、色恋とは違うと思うけど。そうんなことを考えていると、他の水泳部員や理奈と生徒会の双子がこそこそ話していた
「ねえ、玲奈。あれって、完全に落ちていない」
「そうですね。ドラマでも見ないくらい綺麗に落ちていますね」
「そやね。人が恋に落ちる瞬間を見れるとは思わなかったわ」
「理奈先輩はいいですか?お気に入りなんでしょ」
「詩奈まで、何言ってるん。うちのは、恋愛じゃあらへんよ」
「えっ」
「ちょい待ち。玲奈まで、うちがショタコンやって言いたいんか」
「えっと、そういうわけでは」
「まあ、今の理奈先輩は疑惑の段階ですけど。さっき、唯華先輩を獲物を狙う目で見てましたけど、かなり怪しいです」
「嘘やろ」
「いや、玲奈も否定していないので事実です」
他の人も頷いている。玲奈は理奈を精一杯フォローする
「恋愛かお気に入りかわかりませんが、気に入ってるのは確かだと思います」
フォローのようなとどめを刺す。そんな話をしていると、気づいていない俺は改めて水泳部部長に話をする
「それで、俺は合格ですか」
「うん。まあ、わかってたことだけど。悪さをする子ではないってわかったから、合格で」
「それじゃあ、ここの利用時間を決めたいんだけど」
そう言ったら、結月が不思議に思った
「閉校時間っていうか、早朝や夜以外なら、いつでも使っていいよ」
「えっ、いや他の人が使ってる時は使わないから、時間調整をしたいんだけど」
「?そんなことを気にしないでいいよ」
「いや、いくら俺が小学生でも男ですよ。嫌な人はいるでしょ」
結月が周りを確認すると
「文句がある子はいないみたいだけど」
「ええーー」
俺は水泳部員を見るとみんな頷いていた
「ほら」
「なんで、こんなに好感度が高いんだ?」
「まあ、それは多かれ少なかれ、唯華と同じ気持ちだからね。君のやったことは多くの人に、希望をもたらしたんだよ。スキルなんて物は人に楽しみをもたらしたけど、世界を強制的に縮小され、海外からの重要物資が手に入らなくなり、更に食糧不足になることが確実になり、加えて魔物の出現という物理的な危険も発生している。そんな状況に皆が未来に大きな不安を持ってる中、君が大きな希望を持って来てくれた。そのことを理解している私達は、君を歓迎してるただそれだけよ」
「おお、そうなのか。俺はただ単に、生活圏内で世紀末のような世界にならないように、農業の技能持ちを増やすため、技能を上げるため、戦力を増やすためにここに来たのに、俺に対する評価が高すぎると考えていたけど、見る角度が違うとそう見えるのか」
「まあ、素直に受け取ればいいよ。目的は何であれ、ここには君に救われたって、思ってる人が揃っている。君は自分の目的のために私達を利用すればいい。私達は勝手に恩と思ってることを、君に返していくだけだからね。だから、君はここの利用に気を使う必要はないってこと」
俺は、本当にこんな評価をされるとは思っていなかった。1万人分の食糧と引き換えに、安全にスキルの練習が出来る場所を欲しかっただけなのに、自分の未来のために過剰な対価を渡して、俺の邪魔をしないように恩を着せて、式紙核で生きていたら10年後に、利益を少し貰うって感じで、なのに蓋を開けたら白咲学園は才能の塊のような場所で、俺に将来的な利益は多くて、スキル知識も大いに俺の力になりそうだし。なんか、俺に都合がよすぎないか?怖くなってきたんだが
でも、好意は素直に受け取らないとな。これが演技なら俺は二度と人を信じれないと思うが。まあ、その時は俺の人を見る目がないってことか。でも、ただのおっさんには優等生の見分け方なんてわからないけど。それはそうとして、返事はしないとな
「それは有難く好意に甘えさせて貰います。けど、ここの利用時間は基本的に誰も使用していない授業中に利用させて貰います」
「わかったわ。相手が必要なことがあれば何時でも言ってね」
「あっ、理奈はどうする。時間を考えないといけないなら、そっちに合わせるけど?」
「うちは、何時でも大丈夫やで、卒業までの必要な単位は取ってあるから、いつでも付き合えるで」
「ここって、単位制なんですか?」
「そうやで、基本的に大学と同じで決められた単位と自由に選べる単位を決められた数を集めれば卒業できるんやで、基本的に成績優秀者は2年生の後半には単位が揃ってる人が多いんやで」
「へー、そうなんですか」
理奈の言う事に詩奈が反論する
「いやいや、それは違うからね。信じちゃ駄目だよ。そんなことが出来るのは本当に一部の人だけだから。基本的に、3年の前半に必要な単位を集め終わってたら優等生だから。2年ですべての単位を集めるって、どれだけ授業を入れているんですか」
「ん~、そやろか?理香も同じ感じに全部、集め終わってたけど?」
「まあ、頭のいい人間の感覚は信じちゃ駄目よ。こればかりは、反論を許さないわ」
「ええ~」
理奈が結月に反論しようとするが
「理奈先輩。自分の頭脳が普通だと思っちゃ駄目ですよ」
「理奈先輩ごめんなさい。これは詩奈に同意見です」
理奈は後輩にも見放された。まあ、頭のいい人と凡人の思考は違うか。白咲学園に入れるだけで凡人は名乗れないと思うけど
「それじゃあ、ここを有難く利用させてもらいます」
「水泳部部長水崎結月が白波智也を歓迎します。どうぞ気が済むまで、白咲学園が誇る屋内プールを利用して下さい。ほら、みんなも泳ぐなら水着になる。泳がないなら邪魔にならないところに行く」
「それじゃあ、うちらは上の観客席に行ってるわ」
水泳部部長の指示が飛びみんなが動き出した