12月12日
主人公side
午後の練習を終えて水泳部の部室で休憩していたら、理奈達が昼の件で話があるそうだ。昼の話と言えばスキルの情報の開示はやりすぎかも知れないけど、あれは正しい判断だと思う。俺に必要なのは白咲学園生の信頼を得るのが最優先されることだ。スキル情報もいずれはバレることだし、今のうちに好感度を上げて友好的に接してくれる人を増やさないといけない
「それじゃあ、うちもスキルを教えてるわ」
「いいのか?」
理奈がいきなり自分のスキル情報を教えるなんて言い出した
「まあ、知られて困る物やないし構わへんで、うちのスキル構成は体術B・合気柔術A・刀術B・抜刀術A・硬気功B・軽功B・気配察知B・隠密C・疾走A・投擲Cやで」
理奈のスキルは予想してた通りで、物理特化型のスキル構成だな。刀術の抜刀術ってことは、一撃型だな。それに加えて隠密もあるのか。完全に俺の天敵だな。合気柔術は体術の中に入らないのか?まあ、刀術も抜刀術で分かれているみたいだし、応用や発展に入るのかな。それに常に持ってる竹刀袋の中身は木刀じゃなく本物の刀か?
「会った時から勝てそうにないって思っていたけど、天敵のようなスキル構成だな」
「そうなん?」
「俺のスキルで勝つには水中に落として溺死を狙うしかないから普通に勝てない」
「えぐいこと、考えんといて」
俺が取れる方法を言うと理奈に文句を言われた
「そんなことを言っても隠密がCの時点で隠れられたら、俺は理奈の事を見つけれないから暗殺を防ぐことができない。それに接近戦は体術Bだけしかないから、近づかれただけで負けることが確定だ。俺が勝つには、最初から理奈を補足して距離があり水場でないと勝負にならない」
「む~~。仕方がない、取り敢えず納得しとくわ」
「まあ、俺は中途半端にスキルを取っているから、あんまりいい構成とは言えないからな」
「そういえば、智也は何を基準にスキルを選んだん?」
スキルを選んだ理由か。特にないんだよな。流れで選んでいったって感じだから
「特にこれといった何かはないが、最初はどうやるか分からず、取り敢えず体術を思い浮かべたから体術が最初に入って、次は錬金術を入れたかったけど覚えれなかったから、錬成を考えたら覚えれた。それから浄化と農業を何も考えずに入れて、そこで冷静になりスキル構成について考え出したんだ」
ぶっちゃけ錬成は要らなかったな。錬成より棒術や貫通系のスキルが欲しかったな
「あの人魚は深海が最初の課題って言ってたから、まずは深海に行かなければ何も始まらないと考えて流体操作・水中呼吸・水中行動を取ってから、残りの三枠をどうするか。考えて察知系のスキルを選んでから水中などの特殊な環境に適応できるように適応を取ってから、最後の一つを逃走用で戦闘にも使えそうな軽功を選んだんだ。これが俺がスキルを選んだ理由かな」
「ちゃんと考えてるやん。それにスキルも接近戦と察知能力もあって生産系のスキルもある。それに比べてうちらの大半は戦うことに特化してるで、というか戦う事しか考えてなかったで」
だから強いんだろ。結局は万能型は特化型に勝てないんだよ。俺はここの施設だけ使えればいいとしか考えていなかったのに、白咲学園に協力的になっているのは戦力が高く勝負にすらならないからだ。まあ、魔物の討伐が現実的になったのはいい事か
「これからの目標としては呼吸や行動を上げるのは当然として、三年から五年で気華を習得することかな」
「気化?なんで蒸発を習得なんや?それに習得まで、なんでそんなに掛かるん?」
「ああ、蒸発の気化じゃなくて気の華と書いて気華だ。気を花弁のように纏うことにより、いろいろな能力が上がるらしい。一様、奥義の一つらしいが、俺もまだよくわかってない」
理奈の疑問に答えると、俺の言ってることに同意する奴と疑問を持つものに分かれている
「なあなあ、それって気鱗じゃないんか?」
「きりん?それって気の鱗か」
「そうやで、奥義で能力上昇なら気鱗やろ」
「そうなんですか。魔華や気華の知識はありますけど、気鱗の知識は私は知りません」
「唯華に同意ね。私は魔華はないけど気華に加えて水華の知識もあるわよ」
「そうですね。私の場合は魔華や火華ですが」
唯華や結月に玲奈が詩奈は
「えっ、そうなの?私は気鱗や土鱗なんだけど」
「あ~、これは鱗や華って付くのが奥義になるんじゃないか。この二つの効果にどんな差があるかは、わからないけど」
「そうみたいね。やっぱりスキル知識は本人の習得可能な事だけ知識として入ってるようね」
「そうやな。同じスキルランクでも知識内容の差が結構あるんやな」
「いろいろな可能性があることはいい事ですよ」
「唯華の言う通りや。可能性が広がる事で未来の選択肢も増えるんやし」
理奈は出来ることが増えるのはいいことだと言うが、奥義は習得出来ないと周りに付いていけないってことになる。奥義なんて最終的には当たり前に使われることになる技術だ。気華なんかは絶対に人権技能だろうから、なんとしても習得しないと
「それに、これからの世の中は暴力の世界になる可能性が高い。戦闘力がないは、人権がないと同義になる可能性があるからな」
「食糧なんかの生産系が重要やない?」
「重要だが、あるところから力尽くで奪えばいいだけだし、生産者を暴力で働かせば終わりだ。力があると人は傲慢になる。だから俺も外の畑を守るためにヤクザと取引している。たぶん魔物の対応にひと段落着いたら大きな争いになると思う。その時までに、力を付けないといけない。力がないとまともな未来はないだろうからな」
「でも、それは最悪な場合ですよね」
唯華は不安そうに聞いてくる
「いや、最悪どころか高確率でなると思う。まあ、一番の最悪はいくつもの集団の力が大した差がない時だ。一番いいのは、どこか一つが周囲を力尽くで抑え込むことだ。それが秩序がある集団なのが一番いいが」
「そうやね。消耗戦になったら終わりや。だから智也は白咲学園に協力的なん?」
「ああ。自分の身を守るためにも力のある集団の中にいるのが一番だからな」
俺の存在は食糧を大量に作れる時点で価値が高いからな
「まあ、うちらはありがたいことやしいいけど、うちらが弱い時はどうしたん?」
「その時は県や市を巻き込んでどうにかしようとしか考えていない。まあ、最悪の場合はヤクザと本格的に手を組んでいたんじゃないかな」
「今はどんな関係なん?」
「今は食糧を融通する代わりに公園二つを守ってもらってる。まあ、俺が一人でも殲滅出来るから現状維持でいいと思う」
理奈はヤクザとの関係を気にしているようだな。当たり前か。協力者がヤクザと関係があるなんて警戒しない方がおかしいしな
「それやったら、もうヤクザと関係を終わりにすることが可能やね」
「いや、ヤクザとの関係は続ける」
「なんでや!」
理奈は驚いている。他の生徒も驚いているし、結月も俺の出方を窺っている
「理由はいくつかあるけど、一番の理由は裏社会の人間を自由にしていることが怖いこと」
「なんでや。力はこっちが上なら手を切ればええやん」
「裏社会の人間をそのままにするのは怖い。力で勝てないなら他の事で勝ちに来る可能性が高いし、食糧を奪いに来る組織を作られる方がめんどくさい」
「でも、ヤクザとの関係を持つ方が危険やない?」
「それでも、こっちは裏社会の事なんてわからないし、何よりこれから力を手に入れた馬鹿が何をするかわからない。数の有利で暴れられたら困る。戦えばこっちが必ず勝つけど大規模でも小規模でも奪い合いが起きるのが最悪で、そうならないために食料のバラマキをしている。日本人としての道徳を維持するために食だけは守らないといけない」
「まあ、智也の言いたいことはわかったわ。小悪党つまりヤンキーなんかをまとめられたくないって事やろ。でも結局は同じ結果になるんやない?」
「理奈が言いたいこともわかる。それでも、それは力の差を見せればいいだけだ。一年以内にBランクの力を身に付ければ何とかなる。CランクじゃあBランクには勝てないし、AランクになればCランク以下は脅威にならない。それどころか火力が違いすぎるから向かって来ないだろ。向こうがAやBランクを用意できても白咲学園の数は用意できるとは思えない。戦力で負けるならもうそれは仕方がないとしか言えないが、まあそうなったらただ逃げるだけだ」
「それに今の段階は力の差は対してない危険な状態だ。言い換えれば質が低くても数さえ用意すれば、白咲学園を落とすことが出来る。二年後のは絶望的な差になるとしても、今は何とでもなるんだ」
俺がそこまで言うと。結月も警戒を解く
「智也の言い分はわかったけど、ヤクザを学園に入れるのは駄目よ」
「それは当然だろ。言われても入れないし、そんな権利は俺にはない」
「ヤクザとは手を切るのは何時にするの?」
結月の発言に皆は?を浮かべる
「えっと先輩?いま智也君は手を切らないって」
「唯華それは今の話よ」
「結月の言う通り、ヤクザとは手を切る前提で俺は行動している」
「そうなん?」
「まあ、ヤクザがいい立ち回りをしない限りは三年で手を切る。でも、向こうも馬鹿じゃあないから切れない立ち回りをしてくるだろうけど、まあ話は簡単だ。才能通りの力を使えるようになれば全部解決する。何度も言ってるが、これからの世の中は暴力が一番の力になる。最悪なところまで行ったら、弱い奴には人権すら保障されない。そんな中で生き残るためには強い力がいる。幸い俺達にはステータスで力が保証されているから、後は怠けて生活をしない限り何とかなる」
「そうね。智也もそんな世にしないために食糧を用意してるけど、うまくいくかしら」
結月は未来に悲観的な予想をしているけど、俺もその考えに賛成だ。人がどれだけ愚かになるのかは予想が出来ない。いくら白咲学園の力があるとしても裏切りがないなんて楽観視は出来ないからな。一番いいのは皆が領域攻略に集中してくれることだけど、そう都合がいい未来はないよな
「ここら一帯とその周辺の秩序が守れれば十分だ。まあ、出来れば外部からも人を集めて農業を広めたいと考えてるけど、まずはここと公園のところで成功しないと次にはいけない。春にはその話が出来るようにしたいけど、どうなるかはわからない」
そこで、結月は手を叩き
「よし、聞きたい話も聞けたし、今日はこの辺でお開きにしましょう」
「ちょっと、結月」
「理奈。今の状況でああだこうだ言っても何にもならないでしょ」
「そうやけど」
「今は強くなることを考えましょ。強くなればなるだけ明るい未来が見れるようになるわ」
結月はそうまとめて話を終えた