*喉仏を貫く一突き*
*頭蓋骨粉砕*
*肺腑抉る二連撃*
*腸を引きずり出され*
*脳漿飛散*
*四肢切断*
*舌を噛み切った末路*
*眼球摘出*
*骨盤破裂*
*腹膜炎併発の静脈注射*
*電気椅子昇降運動*
*冷たい銅線と熱い鉄塊*
*絞殺ロープの微かな芳香*
*硝煙立ち込める密室*
*胃液逆流する毒薬瓶*
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教団本部の地下室では蝋燭が溶け落ちていた。白衣を纏った男が祭壇へと歩み寄り、信徒たちの輪に加わる。「我々は選ばれし民だ」と彼は告げた。誰も異議を唱えない。皆、両手を天に差し伸べ、血潮の色した聖水で口元を濡らしている。最後尾に立つ少女だけが眉根を寄せたまま沈黙を守っていた。
彼女は知っていた。これが単なる集団自殺であることを。
地下礼拝堂の石壁には幾重もの血痕が残されている。今宵は最も盛大な祭礼だった。白衣の男が聖杯を掲げる。「我々の魂は永遠に繋がる」その瞬間、全員が床へ伏した。白衣姿の青年だけが震える足取りで廊下へ飛び出す。
背後から悲鳴が聞こえた気がしたが振り返らない。階段を駆け上がりながら手帳を取り出しペンを走らせる。
『誰か生き延びているのか?それとも最初から誰も居なかったのか?』
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砂塵舞う大地で少年は涙を見せていない。兄貴分の血塗れの銃を握り締めているだけだ。十歳になるかならないかといった年頃であろう彼の前では敵兵士二人が仲良く地面に崩れている。軍服姿のおじさんが近づき耳打ちした。
「勇敢だったね」
だが少年は微笑まない。ただ無言で地面を殴りつける。遠くからミサイルの発射音が響く中でも彼は動かない。軍靴の足音が遠ざかり始めてもなお。
ふと思い出したようにポケットを探ると古ぼけた写真を取り出した。そこには笑顔の両親と三人の子供たちが映っている。一番端っこには当時四歳くらいと思われる少年自身が写っていた。
「パパ……ママ……」
掠れた声と共に彼は再び銃口を空へ向けた。
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霊園中央にて喪服姿の女性が白百合を手向けていた。周囲には同じ服装の人々が数名。皆一様に顔を俯けている。誰一人として言葉を発しないまま風だけが吹き抜けていった。
葬儀参列者の中で一人だけ制服姿の中学生らしき少女がいた。彼女はじっと墓石を見つめていたが突然しゃがみ込み土塊を掴んだ。そしてそれをゆっくり自分の頬に擦り付けると泣き叫び始めた。「ごめんなさい」と何度も繰り返しながら。
近くにいた老婦人が肩を抱き寄せるも拒絶されたため困り果ててしまう。そんな時突然雷鳴のような轟音と共に黒雲が辺り一面覆いつくした。まるで空自体が激怒しているようであった。
数秒後、稲妻とともに何か小さな物体——おそらく写真だった——が地上へ落下し来た。それは地面に触れる寸前に燃え尽き灰となり風に乗って消えて行った。
「帰ろう」と言ったのは牧師だった。彼だけが最後まで動揺せず粛々と儀式を進めていたのだ。
誰も抵抗せず立ち上がった。少女も例外ではなくフラフラとした足取りながら大人たちについて行くのであった。
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「ごめんね」と呟いた少女の足元には遺書と思しき紙片があった。『あなたを愛していたけれど許せなかった』という短い文面のみ記されていたそれは既に涙で滲んでいる。
天井からは照明器具用の配管コードが垂れておりそれに輪っか状に結ばれた部分へ首筋を通そうとする所だった。カチッという乾いた音とともにギシィーーッ!という鈍い金属音も同時に起こる。しかし少女の身体はずっと宙吊りになったまま動こうとはしなかった。
突然室内灯が点滅し始めた。しかしそれ以外変化はないまま十数秒経過したところでようやく完全停止へ至る。
最後まで残っていたのは唯一枚だけ撮影された家族写真——画面左端に寂しげな表情浮かべた幼少期彼女自身が映っているモノだった——そちら側へ向けられた視線だけであった。
それきり静寂だけが続いた。まるでこの世から生命すべて失われてしまったように思えるほどの絶対的な沈黙だった……。
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