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「学級委員長たる者、デートの服装をアドバイスすることもできないようでは示しがつきません! そこで! トレーナーさん! 参考までにお伺いしたいのですが、お相手にはどんな服装を望みますか!?」
「俺の……? 一概には言えないけど、その娘らしい服装ならいいんじゃないか? あとは……デートならたとえば意外性のある印象を与える服装、とかか。普段の印象とのギャップ狙いだな」
「なるほど! 大変参考になります!」
「クラスメイトからそんな相談も受けるんだな。頼られているじゃないか。さすが学級委員長」
「…………ちなみにトレーナーさんは私にはどんな服装が似合うと思いますか?」
「君にか……。何度か出掛けてるけど、普段は活動的でカジュアルな服装だから、ギャップを狙うならガーリーなワンピースとか、もしくはカジュアルでもカッコいい系統のコーディネートはどうだ? 髪型なんかも下の方でまとめれば可愛い雰囲気になるし、流したり、いつものポニーテールならカッコいい服装にも似合うかもな。素人意見だけど、クラスメイトにはそういう風にアドバイスしたらいいんじゃないか?」
「………………わかりました! 貴重なご意見、ありがとうございます!」
いつもの如く風のようにトレーナー室から駆け出していくバクシンオーを見送り、さて書類仕事の続きを……とペンを持ったときだった。
あれ? なんでわざわざ俺に訊いたんだ? という疑問が浮かんでくる。
というのも、俺たちの共通の知り合いにはそういうコーディネート関係の話題が得意なノースフライトがいるからだ。
門外漢とまでは言わないだろうが、バクシンオーも慣れないアドバイスをするならノースフライトを頼って紹介してあげるくらいはするはずだ。
それをわざわざ、俺に訊くだろうか?
いや、デートと言っていたし、ノースフライトとは別に男性の意見も取り入れようという意図があったのかもしれない。真面目な彼女のことだ。多角的な意見を取り入れるくらいはするだろう。うん、きっとそうだ。
後日、たまたまノースフライトと会う機会があったので、先日サクラバクシンオーがデートの服装についてアドバイスを聴きに来たんじゃないか、とお礼を言うことにした。
うちのバクシンオーにいつもありがとう、と軽く会釈すると、どうにも難しい表情を浮かべるノースフライト。訝しんで尋ねると「そんな相談は受けていない」と。
「え」
なにか、なにか、勘違いをしている?
なにもマズイことはないはずなのに、どっ、と脂汗がにじむ。
「トレーナーさん」
後ろから、聞き慣れた担当ウマ娘の声がする。
俺の正面にいるノースフライトはにこりと笑ってから、また今度、とだけ言い残して俺の横を通り過ぎていく。二言三言、バクシンオーと話してから足音が離れていく。
「トレーナーさん」
もう一度、彼女の声。
さわり、と、肩に触れる基礎体温の高いウマ娘の手のひら。視界の隅から鹿毛の影がゆっくり回り込んでくる。上目遣いの桜色が俺を見上げてくる。
ハツラツとしたいつもの様子はなく、静かで、ふわりとはにかんだバクシンオーの表情。はく、と息を噛む。
「今度のおでかけ、どこにいきましょうか?」
バクシンオーはいたずらっぽくそう言った。