軽〜い気持ちでお読みください
私、岬アキは転生者である。
確信に至った経緯はあるけど、それだけじゃない。
まず私が住んでいる学園都市キヴォトス、その存在がヤバいと認識していること。
住人が羽やツノ、獣耳、尻尾が生えてたり、犬や猫、ロボットなど全く統一感がない。私は人タイプだけど、もう少し分別があってもいいだろう。
そして1番ヤバいのがキヴォトスが世紀末的な銃社会であることだ。銃社会と聞くとある自由な国を思い浮かべるだろうけどそうじゃない、どちらかと言うとブラッ○ラ○ーンに近かったりする。あっちがロクデナシだから構わず銃を撃つなら、こっちは撃っても早々死なないから銃を撃つのだ。それならマシじゃない?と思った人は甘い、生き物は問題ないと思うと上限を上げるのだ。その証拠にキヴォトスでは偶に戦車で砲撃したりするのだ、そう人をである。頭キヴォトスはキ○ガイと同意だと思って間違いないと思う。
そんなヤバい世界で転生者の私が何をやっているかと言うと。
「ほら先生、約束した残業時間はとっくに過ぎましたよ」
「あ〜待って、まだやらないといけない仕事が…」
「無理して体を壊したら意味ないでしょ、ほら夕飯の準備しますからお風呂入って来てください。今日は先生の大好きなハンバーグですよ」
「えっホント!!すぐ入ってくる」
「シャワーで済ませちゃだけですよ、ちゃんと湯船に入って100は数えてくださいね」
仕事は優秀でも私生活がだらしない大人のお世話である。
「全く、仕方がない人ですね」
私は掛けておいたエプロンを手にとり夕飯の準備に取り掛かる。気がつけば自分の部屋より慣れ親しんでしまったシャーレのキッチン。冷蔵庫から成形していたハンバーグを取り出し、フライパンを温め始める。
「そういえば、最初に作ったのもハンバーグでしたね」
私はハンバーグを焼きながら、先生と出会ったあの日を思い出すのであった。
※※※
『紹介したい人がいるので来てください』
職務的にはしょうがないとは言え、少しは崩してもいいだろうに。幼馴染からの連絡を受けて同僚に一声かけてから指定された場所へと向かう。
途中で生徒とすれ違うが、みんな疲れた表情で足早に歩いている。その状況にため息が出る、現在キヴォトスは前代未聞の大事件の真っ最中なのだ。キヴォトスを運営する連邦生徒会、そのTOPである連邦生徒会長の謎の失踪。それに伴うサンクトゥムタワーの制御権の喪失、その影響は連邦生徒会だけでなく各学園都市にも広がり始めているようだ。
「しかし、あの問題が片付いて漸くゆっくり出来ると思ったのに。まぁあんなことあったら逃げたくなる気持ちも分からなくはないんですけどね」
脳裏に過った嫌な記憶をふり払いながら指定された部屋にやってきた。はてさて、一体何ようかな。
「リンちゃん、来ましたよ〜」
扉を開けた先に居たのは、少し疲れが顔に出ているリンちゃんと。何やら困惑している表情の大人の人間…
「えっ!?」
思わず驚き声をあげてしまう。その声にリンちゃんも私の驚いた理由を察したのか。
「アキ、呼び出したとは言え入るならまずノックをするべきです。後…説明しますので入ってください」
「あ、うん」
なんか面倒ごとに巻き込まれそうだな、と思う中驚きはあっても憎悪感はない。リンちゃんに視線を受け隣に移動すると。
「先生紹介します。彼女は岬アキ、私が信頼する1人でこれから先生のフォローを任せる生徒です」
えっ今リンちゃんが私のこと信頼する人って言った?あのツンデレのリンちゃんが生徒会長以外では早々見せないデレを私にもって…ん?その後何って言った?
「そうか、私のことは先生と呼んでほしい。まだ慣れないことも多いから苦労をかけるかもしれないけど、よろしくねアキ君」
「あ、はい」
差し出された手を全く理解できず、何となく掴んでシェイクハンドする私。
えっと、デレたリンちゃん。大人の男性。フォローするのが私。これからよろしく。
はっ?はっぁ?
理解が追い付いてきても、なんでそうなったか理解ができない。説明求とリンちゃんに視線を向けるも、
「それでは時間もありませんし、移動しながら説明します」
あっコイツ無しくずしで私に押し付けるつもりだな、そうはさせるかと横に並んで抗議しようとすると。
「アキ…」
先生が見えない角度で、暗い表情でハイライトが消えた瞳でこちらを見るリンちゃん。あっヤバい爆発寸前なリンちゃんだ。長年の経験から触るな危険と感じた私はおとなしくリンちゃんに並走するしかなかった。
リンちゃんが先生に説明をしながら玄関までやってくると。
「あっ行政官、ちょっと説明して!?」
そこに居たのはユウカちゃんを筆頭に見知った顔が。多分、今の騒動について説明を求めに来たんだろうけど、なんて悪いタイミング。
更に悪い知らせが、
「なんかシャーレの建物が不良達に占拠されたみたいだよ」
モモカからの連絡でリンちゃんの笑顔が更に深淵を増していく。長年の経験から逃げろと感が叫んでいるが、この状況で何も知らなそうな先生を放置するのは忍びない。そんな葛藤が致命的だったらしく。
「こちらは生徒会長が新しく設立されたシャーレを担当されることになった先生です。今回の騒動もこれにより改善される見通しなのですが、残念ながらその場所を不良たちが占拠したそうで。奪還にご協力いただけますよね、暇な方々?」
あーーーーーーリンちゃん爆発してないけど、ヤバいこと口ばしちゃってるよ。そんなんじゃ特に直情的な
「何で私たちが、それにおと「ストーーーーーープ!」きゃっ」
それはヤバいとユウカちゃんの言葉を遮る私、そしてそのまま4人を引き連れフロアの隅に移動する。
「何するのよアキ!」
「いや、気持ちは分かりますけどね。ユウカちゃん最後に言おうとしたのはアウトですよ」
「ですが、早瀬さんの気持ちも分かりますが?」
「ハスミさん、まず聞きたいのですがアイツら言葉を真に受けてるんですか?」
「でも先生と言う共通点がありますし」
「でもそれだけでしょ?ならアイツらの言葉よりも同行して自分の目で確かめるべきと思いません?」
「…一理ありますが、アキさんあなたはどう考えているのですか?」
4人の視線が私に集まる。まぁこれくらいいつもと比べれば怖くないし。
「私もさっき会ったばかりで分からないのが本音です。ですから先生に付いて自分で判断するつもりです、それにアイツらの言葉を信じたくないってのもありますが」
私の言葉に、
「分かったは、今はアキの言葉を信じるわ。でも私の目でダメと判断したら抗議させて貰うからね」
ユウカちゃんの言葉に他の3人も頷く。それはしょうがないし、私的にはそこは心配してないんだよね。なんせあの連邦生徒会会長が連れてきた人なんだし。
※※※
何とか消極的ながらも同意を得られた私たちは、シャーレ本部を奪還するために行動を移したんだけど。
「私に指揮させて貰えないかな?」
そう言い出す先生。4人の目が私に「どうすんだ?」と言ってくるんだけど、自分から言ってくるのだからそれなりに出来るんだろうと任せることになった。もし上手くいけば少しは信頼してくれるだろうし、失敗したら…そこは時間がかかるけど挽回は出来るしね。
そんな訳で先生の指揮のもと、タンク役のユウカちゃんを先頭に遊撃のスズミさんにスナイパーのハスミさん。サポーターのチナツちゃんの編成で進むことになった。えっ私?銃は全く才能がなくてね、銃を持ってるけど飾りみたいなもんなんだよね。なので何か合ったとき様に先生の壁として横に立ってます。
そして戦闘が始まったんだけど、先生の指揮が上手いのか不良達が弱いのか判断付かないけどスムーズに進んでいた。いやー楽でいいわ、そう思っていたんだけど見覚えのある気配に思わずそこにあった石を、
「そい!」
それなりに力を入れて投げる。
「えっ?」
横に居る先生が声をあげるけど相手が相手だし勘弁してほしい。
私の投げた石は目的の相手にまっすぐ飛んで行ったんだけど、
「毎度のことながら野蛮な行為しかできないのですか、貴方は」
軽口を叩きながら銃で石を叩き落とす人物、その姿を見てユウカちゃん達は驚きそして。
『皆さん今回の首謀者が分かりました、七囚人の狐坂ワカモです』
リンちゃんから連絡が来たけど、今回はちょっと遅かったみたいだね。さてどうするか、ワカモ相手だと流石に先生を護衛しながらだとこのメンバーじゃキツいよね、まだ不良たちも居るみたいだし…あれ?なんかワカモ視線がズレてる様な。
「アキさん1つお聞きしたいのですが?」
「なに、その丁寧な言葉使い。落ちてた物でも食べた?」
「そんな訳ありますか!ごほん、そちらに居る殿方はどういうご関係で?」
えっワカモの視線を追うとそこに居るのは先生、えっ何コイツ先生に興味あるの?
驚く私、そしてそんな私の横に立った先生が。
「私は今日キヴォトスに来た者でね、気軽に先生と呼んで欲しい。えっとワカモって呼んでもいいかな?」
「は、はい〜。狐坂ワカモと申します、先生」
なんか空気違ってない?てかワカモって面食いなんだね、確かに結構顔は整っているけど。
なんかこのまま先生に任せれば良くない?と思い始めたところ、
「はっ、申し訳ありません先生。今は目的があり先生と言葉を交わすのはまた後日に」
そう言って足早に去ろうとする、これにはユウカちゃん達もそうはさせないと行動をしようとしたけれど、
「良いのですか?私の方ばかりを見ていて」
ワカモがそう言い視線を向けた先に居たのは戦車、クルセイダー巡航戦車がこちらに向かってるじゃありませんか。まさかアイツこんな物まで不良に与えていたのか、どっから調達してきたんだよ。
「みんな先ずはあの戦車を優先しよう」
先生の言葉に逃げる脅威よりも、目先に迫る脅威と意識を変えたユウカさんたち。そうなると私の仕事はまた先生の盾として横に立つしかなかったのであった。
※※※
先生の指揮もあって戦車を撃破した私達は無事シャーレのオフィスを奪還することができた。
その後合流したリンちゃんと先生が何をしたかは知らないけど、サンクトゥムタワーの制御権を取り戻すことに成功し今の混乱を収めることができた。
そして私は、
「えっと改めて、連邦生徒会法務室所属3年岬アキです。出向と言う形ですがシャーレの部員一号としてよろしくお願いします」
結局なし崩しな形で私は先生のフォロー役としてシャーレに在籍することになった。まぁ3年生になって後輩にも序列で追い抜かれて4位という微妙な位置に居た私だ、下手に幹部級を所属されて問題を起こされたら洒落にならない。
それにリンちゃんとしても疑う必要のない私の方が気楽だろうしね。
「ああ、よろしくねアキ」
おっもう呼び捨てですか、まぁ私は気にしませんけどこれが相手の懐に飛び込む先生の戦術なんですかね?
「さて、先ずは…」
キヴォトスがこの世界がどんなストーリか知らない転生者の私と、多分主人公な先生が色んな生徒と描くブルーアーカイブはこうして始まりを迎えたのだった。