(良かったのか?)
「何が?」
(一対一であんなに負けたのにまたお一人様で?)
「あいつを巻き込むかもって言ったのはお前だろ。悪魔様ぁ~。)
皮肉を精一杯込めて言葉を返す。が、思わぬ反撃を受けてしまう。
(マスターは俺に“力”を貸せと言っただけだ。使うのはマスターご自身。変に使って助けに来た奴殺っちまってもあれだからな。)
「.....え?貸すだけですか?」
(..........コクリ)
「.....前言t(さっき言ったこと覚えてますか?).......もう一回お願いします。」
(......はぁ、なぜこんなのがマスターなのだ。先ほども言っただろう、直接には力を貸せない。だから、”纏え“と.....)
「......?」
(............まさかとは思うが、忘れたのか?あの時言っただろう。)
「だから、今から言うことをしっかり覚えろよ。......まず、力を貸すと言っても物理的に手助けは出来ない。」
「先生~、質問でーす。物理的ってどういうことですか~。」
「力と言っても、一定の身体能力と能力をマスターに貸すだけだ。まぁ、出来ないこともないが........」
「じゃあ、やr「無理だな。」何でですか~、先生。」
「俺が直接マスターの手助けをするには、体が必要だ。体と言っても、魔力があればいいのだが、マスターは有っても使えていないからな。」
「はーい、先生~。魔力ってなんですか。」
「まさか、それも知らないのか?.......マスターの体の中は3つの力が存在する。」
3つ?1つは霊力として.....あとは黒力と魔力?霊力は人間のもの。魔力は悪魔のものとして、じゃあ黒力ってなんだ?
「黒力は霊力と魔力が混ざりあったものだ。」
「刀に込めてる力は?」
「黒力だ。」
「羽は?」
「溢れ出た魔力が具現化したのだろう。話を戻してもいいか?」
「いいよ。」
「纏うと言っても俺の意思では力を貸すことはできない。だからある言葉を詠唱してもらう。覚えろよ、マスター。」
「じゃあ言うぞ。目をつぶってこう唱えろ........
「思い出した!」
(じゃあいくぞ!)
「罪を犯しし憤怒の悪魔よ、我に力を!サタン!」
先ほどとはけた違いの力が溢れる。塞き止められていたものが、一気に流れていくような感覚が身体中を巡る。悪魔を纏った桜琳は人間の頃とは、少し違った。体から溢れる力は霊力でなく、魔力に変わった。
しかし、変わったのは中身だけではなかった。目を開けると、彼の左目の瞳が黒くなっていた。そして、なかった筈の左腕が存在していた。
「これが、悪魔の力。」
(さぁ、いくぞ!)
巨大な剣をかまえ、奴へと近づき.......
side out....
辰起side
「綿月隊長!まだですか!」
「まだ!もう少しまてっ!」
荒々しい声をあげて、ロケットの中で、いい争う。都防衛軍の隊長、綿月辰起はある人物の帰りを待っている。その人物とは、八意桜琳だ。彼と別れてすぐに霊力でもなく妖力でもない、何かが彼らを包んでいる。今のところ無事だが、どうなるかわからない。
「隊長!連絡が入りました。」
『もしもし、辰起君?どうしたの、ロケットに何かあったの?』
「八意博士!いえ、ロケットに異常はありません。」
『なら速く出発をして!核地雷が爆発するまであと10分をきったわ!』
「しかし、「ピー、ピー。」これは!」
『どうしたの!?』
「桜琳から預かった録音機から音が。」
〈......あれ?これちゃんと録れてる?もしもーし、えーと、これ聞いてるってことは、俺がロケットに乗ってないってことだ。で、それを持ってる辰起はロケットで俺を待ってるってとこかな?まぁ、これを聞いてるってことは、俺は月に行けない。これを辰起が聞いてる頃には、妖怪の足止めでもやってるんだろうな、俺。だから、俺にかまわず、月に行け、分かったな?それとこの録音機は後で永琳に渡してくれ。俺も約束は必ず守る。だから、待ってろ!良いな?〉
そのまま、沈黙が続く。どれくらい立っただろう。激しい揺れを感じる。ロケットが発射されたのだろう。
辰起はただ、立ち尽くしているだけだった。
side out.....
桜琳&サタンside
(ロケット、発射したみたいだな。)
「............ああ。」
(やっぱり悪魔の力があれば、妖怪位チョロいな。)
「............ああ。」
彼が立っている周りには、妖怪の死骸が散らばっている。桜琳はサタンの言葉に力なく答えている。その理由は、あっけなさ過ぎたからだ。
一度は自分を殺しかけた妖怪、青神をものの数分で倒した。あまりに簡単すぎた。あまりに強すぎた、悪魔の力。
一瞬だった。攻撃が当たった途端、奴はガラスのように砕け散った。
「何だったんだ?あれは?」
(あれが、俺の能力【絶対的に破壊する程度の能力】だ。物体だろうと、非実在物体だろうと、空間でも、時間でも、全てを壊す。そして、壊れたものは二度と元には戻らない。)
「..............。」
(....ン?何だ、この揺r
言葉は最後まで続かなかった。突然の揺れと、光に包み込まれていく。最後に聞こえたのは、「核地雷、爆発します。」と言う機械の無機質な声だった。
月の英雄が月にたどり着くまで、あと何年?