東方悪魔録   作:白と黒の人形

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腕と都を天秤にかけて

 今、俺は永琳と辰起と防衛軍の隊員二名を連れて、都から離れた山のなかにいる。理由は簡単.....じゃないな。実は、この前でた会議の内容が〔月移住プロジェクト〕と言うものだったらしく、その時期に妖怪の大規模進行があるらしい。それで、最近発生している討伐部隊の壊滅だ。昨日も妖怪を討伐しに行った精鋭部隊が帰ってきていないらしい。それで、月移住プロジェクトと重なっている大規模進行に備えるためと、死体の捜索作業だ。

 もしかしたら、移住のさいに討伐部隊を壊滅させた妖怪もくるかもしれない。だから、殺され方とかは知っておいた方がよいだろうと言うことで、森にいる。

 

 「.......っ!!あったわ。」

 「いたって外傷は無さそうだな。」

 

 永琳が死体を見つける。あまり、と言うか外傷は見当たらない。そう、外傷はだ。

 

 「この死体、体の内側から壊されてるわ。」

 「内側?」

 「ええ、内臓の殆どがつぶれてる。」

 「毒とかか?」

 「いいえ、違うわ。これは.......」

 

 そう言って死体を調べ始める永琳。それにしてもなんだろう?死体から本当にごくわずかだが、妖力を感じる。永琳は気付いてないみたいだ。

 

 「これは.....、体の中で何かを爆発させたあとがある。それで内臓がつぶされているわ。」

 「爆発?できるのか?」

 

 体の中にダイナマイトでも突っ込まれたか?

 

 「多分、能力によるものだわ。例えば、いろんなものを爆発させる能力とか?」

 

 永琳はそう言っているが、俺は違う気がした。何となくだけど、確信のある何となくだ。

 

 「とりあえず、死体を持って帰って詳しく調べましょう。辰起君、お願いできるかしら?」

 「分かりました~。」

 

 気の抜けた声で、そう返事をする辰起。それと永琳が辰起にお願いしたのは能力の事だ。辰起の能力は《場所を入れ替える程度の能力》だ。.....能力いいなぁー。

 

 「桜琳、何でそんなに俺のことにらんでるの?」

 「別に、」

 「まぁいい、じゃあ俺に掴まって。」

 「?......桜琳、どうしたの?」

 「......先に行っててくれ。」

 「わかった。速く帰ってこいよ。」

 

 それだけ言い残して、辰起たちが消える。

 .......普通の人間には、感じとれる妖力の量が決まっている。感じとれる妖力の量を超えていると、感じとれなくなる。だから、永琳たちはわからなかっただろう。討伐部隊の体の中にあった妖力と同じ妖力をもった妖怪が近くまで来ていることに。

 

 「(これほどの妖力、殺りあっても勝ち目がないな。なら、ちょっとずるいが、封印にしておこう。永琳に習った封印なら、最低でも四日は大丈夫だろう。)」

 

 ゆっくりと膨大な妖力の量をした『奴』が近付いてくる。一定の距離をとって、近付いて来ない。

 

 「さぁ、そっちが来ないなら.....

 

 

 

        こっちから行くぜ?」

 

 

 

 side out.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 side 辰起

 

 あいつを置いて帰って来てから、三十分たった。が、桜琳は未だに帰ってこず、連絡も来ない。何かあったとしても、桜琳なら大丈夫だろうと思うが、悪い予感がする。

 

 「(八意博士を呼んで、一緒に行こうか?いやしかし、何かあった場合に、八意博士を危険な目に合わせてはいけない。なら、俺一人で。)」

 

 能力を使って、さっきの森にワープする。しかし、一瞬だけそこがどこかわからなかった。なぜなら、帰る前にあったはずの木々がなくなっているのだから。

 次に目に入ったのは、何重にも掛けられた封印と、血まみれで、左腕を失って倒れている桜琳の姿だ。

 

 「........っ!!桜琳!しっかりしろっ!!」

 

 反応がなく、死んだかの様にぐったりとしている。

 

 「(くそっ!!!!!!!急がねーと、多量出血で死んじまう!!)」

 

 能力を使って、永琳の研究室までワープする。

 

 「や、八意博士ぇっ!桜琳がぁ!」

 「どうしたの?.....っ!出血がひどいわ!血を足さないと!」

 「.....血..は..いい。傷....ぐ...ちを。」

 「わ、わかったわ!辰起君、手伝って!」

 

 死ぬなよ、桜琳!

 

 

 

 

 side out.

 

 

 

 

 

 

 

 

 side 桜琳

 

 

 

 目が覚めると、そこには見慣れた天井が広がっている。体を起こそうにも、動かない。

 

 「良かった、目が覚めたわね。」

 「..永....琳。」

 「大丈夫?桜琳?」

 「大丈夫...だけど、体が動かないし、左腕の感覚がない。」

 「ごめんなさい、左腕、駄目だった。」

 

 永琳は今にも泣き出してしまいそうだ。俺の左腕を治せなかった罪悪感から、来ているのだろう。俺は永琳を慰める。

 

 「お前のせいじゃない。俺が、勝手な行動をとったからいけないんだ。だから、自分を責めるな、永琳。」

 

 それに、腕だけで済んで良かった。下手したら、死んでたかもしれない。それほど、あいつが強い。だから、もし、あいつの封印が解けて、都に来たりなんかしたら.....

 体が治り次第、改めて封印をかけにいこう。即興で作ったものだから、いつ壊されてもおかしくない。だから今は、体を治すことに...集中....し...よ...う。

 

 

 side out.

 

 

 

 side 永琳

 

 

 「......寝たわね。何があったのかしら?桜琳がこんなになるなんて。」

 

 桜琳は都の中でも、一、二を争う実力者なのに。もしかしたら、討伐部隊を壊滅させた妖怪と同じかもしれない。なら、早急に対策を取るべきね。

 

 「速く穢れのない月に行くために......、ねぇ、桜琳。」

 

 

 

 side out.

 

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