この世界は異能で溢れている。炎を操ったり水を操ったり、果てには未来予知など何でもござれだ。かくいう俺も異能が使えるのだが、まあどんな能力なのかは今はいいだろう。それよりも大事なのは俺が転生者ということだ。異能バトルものの世界に転生してしまったわけだが、今のところ不自由はない
そしてもう1つ重要な点がある。それが今俺の隣にいる茶髪の男のことである。なぜこの男が重要なのか、それはこの男がおそらくこの世界の───主人公だからだ。そう確信したのには色々理由がある。まずは幼馴染の少女がいる事。その少女は主人公のことが好きなのだ。これはまああるあるだ。だが対する主人公といえば、その好意に全く気づく様子のない鈍感野郎だということ。鈍感野郎はれっきとした主人公のステータスである。
2つ目はこいつの爺さんの存在だ。異能力者の中でもトップクラスの実力者で、隙あらば主人公に稽古をつけている。身内がクソ強いというのも主人公あるあるだ。俺もこの爺さんに扱いてもらった事があるのだが、まあヤバい、頭おかしいよあの人
まあこれらの理由からこの男の事を主人公だと思っていると言うわけだ。長々と説明したが、今日から俺たちは異能力者が集まる異能力者を育成する学園に入学することになっている。今はその学園に向かっている最中だ
「今日から学園生活だ。楽しみだな!」
「そうだねぇ〜」
「まったく、いつもいつもテンションだけは高いんだから……まあそこも好きなんだけど」
「ん、何か言ったか凛奈?」
「な、なんでもないわ!」
おっとそういえば難聴も患っているんだったな。隣にいて明らかに聞こえるような声もなぜか聞こえない。難聴系鈍感主人公。あるあるすぎるな。ちなみに幼馴染系ヒロインであるこの少女は
「凛奈、お前も大変だな」
「ほんとよ……」
「おい、二人で何こそこそ話してるんだよ」
「別に?アンタには関係のない話よ。ねぇ、ショウ」
「そうだな。関係あったとしても教えないが」
ちなみに俺の名前は
「ショウ〜!そんな事言わないでくれよー!」
「気づくというのも時には大切だぞ、カケル」
「気づくって、何に?」
「駄目だこりゃ」
「アンタたち、もうすぐ学園に着くわよ」
そうこう話しているうちに学園の近くまで来ていたようだ。確かこの学園は寮生活で基本学園の外には出られない……夏休みとかは帰省なんかで出られるらしいが。それと異能のランクを測るらしい。異能のランクはS〜Eまで。教師陣はB以上の能力でなければならないらしい。まあ生徒の暴動とかを抑える役割とかもあるから生半可な実力では務まらないのだろう。まれに異能を複数持って生まれる奴もいる。カケルもその一人だ。この主人公め
「まずは入学式だったな。確か体育館でやるようだが」
「そうね。後30分後には始まるから早めにいったほうがいいわね」
「あっ悪い。俺ちょっとトイレ行ってくる!」
「ちょっと待っ……もう、あれだけトイレに行っておきなさいって言ったのに」
「はは、あいつ大丈夫!って自信満々に言ってたもんな」
「私はここで待ってるからショウは先に行ってていいわよ」
「わかった……と言いたいがあいつトイレの場所とかわかるのか?」
俺がそういうと凛奈はハッとした表情で「私も行ってくる!」と言って走っていった。さすがヒロイン、略してさすヒロ。まあすぐに戻って来れるだろうし俺は先に行っておくか
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俺が体育館の席に座ってから10分後に2人は戻ってきた。なぜかカケルの右頬に赤いもみじの跡が出来ていたが。なぜ?
「カケル、どうしたそのもみじの跡」
「いやぁ〜、漏れそうだったから近くにあったトイレに入ったんだ。そしたらそこが女子トイレだったんだよ」
「外に女子トイレとか書いてるだろ」
「うぐ……まあ急いでたからちゃんと見えてなかったんだ」
なんだそれは。だがこの展開、もしや……
その後の話を聞けば、何やらそのトイレには女子がいたらしく、運悪くそこに入ったカケルと遭遇して叫び声を上げて出ていったらしい。それを見て凛奈がトイレに入ると立ち尽くしたカケルがいたから変態!と叫んでビンタしたらしい。うん、これはその見知らぬ少女にヒロインフラグ立ったな。大抵主人公が何かトラブルを起こした女は後にヒロインとなる。おそらくこの後その少女ともう一度会った際に謝って、そこで許しても許されなくても多分いつかヒロインになる。おもしろハプニング起こしやがって
「おもし……災難だったな」
「今面白いって言おうとしなかったか?」
「気のせいじゃないか?」
「ならいいんだけど」
「それより二人とも早く座ったほうがいいぞ。もうすぐ始まるからな」
「そうね、それじゃあまた後でね!」
カケルと凛奈はそれぞれ指定されている席に座って始まるのを待つ。そして少し待っていると1人の男が急に壇上に現れた。これは好調だ。俺の家に送られてきた学園のパンフレットに載っていた人だ。
「入学生の皆さん、入学おめでとうございます。私は理事長の蓬莱寺彰人。私や教師共々、皆さんの成長をサポートいたします。ぜひこの学園での生活を楽しめることを願っています」
「では、私の話はこのぐらいにして、君たちにこの学園における最強の4人を紹介しよう。では入っておいで」
急に丁寧な口調から優しそうな口調になったと思えば、壇上に4人の生徒が上がってきた。だがその威圧感はすさまじいもので、体育館全体が緊張感を帯びていた
上がってきた4人は通称『四天王』と呼ばれるこの学園に置いて屈指の強者たちだ。確かに強そうだな。ていうか実際超強いだろう
「新入生諸君、入学おめでとう。私は生徒会長の
彼女は新崎明菜。この学園の生徒会長で四天王序列1位の名実共に最強の人だ。ちなみにすげー美人。確か剣術を使いこなせる異能と見た相手の異能を一度だけ模倣できる異能だったはず。だからパンフレットに載せちゃだめだろって
「みんなー!私は
彼女は垣澤キララ。四天王序列2位の美少女だ。パンフレットで見た時はすげーかわいいと思った。確か異能は物質を強化する異能と物質に意思を持たせる異能だった気がする。多分今持ってるあのくまのぬいぐるみに意思を持たせてさらに強化して戦闘を担ってもらうということなのだろう。多分
「私は生徒会副会長の
彼は鶴木晶。四天王序列3位のThe優等生といった感じの男だ。まあその通り優等生なようで、生徒会副会長をしている。異能は一定時間相手の動きを止める異能と見た相手の異能が分かる異能だ。戦闘系の異能ではないが便利な能力だ。相手を止められるのはそれだけで有利になるし相手の異能が分かるというのは最高のアドバンテージとなる
「俺は獅堂
彼は獅堂竜樹。四天王序列4位の学生とは思えないほどに厳つい2mはあるだろう巨体にスキンヘッドで頬に傷のついた明らかにカタギではない男だ。その見た目通り、異能は身体能力を強化する異能。それ一つだ。だが四天王に入っている以上、化け物みたいに強いのは確かだ
「以上、四天王の紹介でした。ではこれから新入生のみんなは異能ランクを測定してもらうから指定された教室まで行ってね。それじゃあ入学式終わり!」
理事長の一言で入学式は終わり、俺たちはそれぞれ指定された教室へと向かう