地下牢の中、土の中から這い上がってきたミミズは突如現れた謎の空間に当惑したようにその身をウネウネのくねらせる。
瞬間、小さな手がミミズを捉え土の中から引っ張り出した。
状況を飲み込めぬまま、黒妖精の幼児の口に放り込まれた哀れなミミズは噛み砕かれ、僅かばかりの糧となる。
地下牢に閉じ込められたから既に2週間が経過していた。
与えられる食事だけだは、命を繋ぐには足りず今のように虫を捉えては貪りどうにか生きて延びられている。
しかし、それも限界に達しようとしていた。
少しの補給ができたことで体は空腹であることを思い出したらしい。
2日ぶりに腹が鳴った。
食事が済めば横になって、死んだように動かなくなった。
余計に動けばそれだけ無駄にエネルギーを消費し、空腹になる。
この2週間で学んだことだった。
そんな足掻きをしたところでもうすぐ死ぬと分かっているのに。
黒妖精は唐突に体を起き上がらせて周囲を見渡した。
―-なにか、いる?
音も匂いもない。しかし、暗闇の中で研ぎ澄まされた感覚はかすかな『魔力』を捉えていた。
彼女はその名を知らなかったが、その正体とは精霊。
太古に英雄達に力を貸したような強力な精霊ではない。
強い自我も無く実体を持たない下級の精霊。世界中の凡そあらゆる場所に存在するが、中位の精霊とは違い目で見ることもできないため、ほとんどの者はその存在すら知らない。
気づけばすぐ側まで近づいていた精霊を興味深げに
この地下牢で最も参らされるのが「退屈」だ。
満足に動けない現状が拍車をかけ、精神を腐らせようとしていたのだ。
そんな中現れた精霊に、彼女は手を伸ばして触れないことを確認するとそれならと魔力を放ってみると、その魔力に反応しているのが分かった。
楽しくなってきた彼女はどんどん魔力を与えその様子を観察することに決める。
魔力は溜まってもお腹は満たされないが、逆に使ってもお腹は減らない。
新しくできたに
◆
しばらく観察して分かったことがある。
魔力を取り込んだらしいこの生き物は、少しだけ成長している。
以前より感じられる魔力が上がっているのだ。
一方、一つの疑問が生まれる。
魔力を取り込む効率が悪すぎる気がするのだ。
理由は皆目見当もつかないが、他に魔力に満ちた場所も生き物も幾らでもあるのに、この生き物は自分を選んだ。
そこに原因があるような気がした。
さらに3週間が経ち、ようやく発見する。
―-形だ!
魔力の形が自分とこの生き物は似ているのだ。
形とは即ち魔力の波長。
―-それをもっと同じにできれば・・・
その試みは――成功した、してしまった。
それがどれほどの業か理解せぬまま。