終末戦争   作:涼翠

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世界は怪物を欲している

 

 重い沈黙の中、アトラは口を開く。

 

 「なんで今になって神々はここに戻ってきたんだ?」

 

 普通に考えるなら人類を助けるためとするのが自然。だが、今の話を聞いた後だと少し違う気がする。

 

 「暇だったからだよ。殆どの神はね。」

 

 あっけらかんと言い放つ主神に面食らうなか、ラケシスはでもと続ける。

 

 「あの戦争をーーギガントマキアを知る神は違う。神々はね、愚かにも油断しちまってたのさ。眠っちまえばどんな偉大な神も力を発揮できない。思いもよらなかったんだ、神々の総力を以てして完全に眠らせることさえできなかったなんてね」

 

 ラケシスはその目をアトラに向けて尋ねた。

 

 「お前が、101階層で何を見たか・・・。聞かせてもらえるかい?」

 

 今度は僅かな躊躇いもなく答えた。

 

 「巨人だよ。緑の繭の中に赤子のようにうずくまって寝ている12体の巨人。それが俺が見た物の全てだ。」

 

 「ちなみにどれくらいの大きさか覚えているい?」

 

 「・・・うずくまった状態でも100M(メドル)、立ち上がれば・・・恐らく300M(メドル)くらいにはなるんじゃないかな。」

 

 「やっぱりね。」

 

 「何がだい?」

 

 「お前さんのいう巨人はかつてガイアに生み出された巨人で間違いない。ポルピュリオン、アルキュオネウス、ポリュボテス、エフィアルテス、オトス、ミマス、エンケラドス、クリュティオス、ダマセーン、ヒッポリュトス、パラス、ティティオス。

 こいつらはゼウスを筆頭にその地の力ある神々に対する宿敵として創造された巨人だよ。」

 

 成程と得心がいった。

 

 神々を倒すために生み出された巨人というのなら、あの凄まじい存在感も納得がいくというもの。しかし、アレをたったLv.5相当1000人程度で倒すとは、古代の人類は伝説以上に精強だったらしい。

 

 そんな考えを見抜いたようにラケシスは告げる。

 

 「アトラ、お前さんの力は古代に遡って東西を見回しても類を見ないほど隔絶している。巨人共の体躯はギガントマキアのとき50程しかなかったんだ。

神々に力で劣ったのも当然さ。なにせまだ赤子だったんだからね。」

 

 凍り付いたように動かない面々に畳みかけるように言う。

 

 「1000年と少し前、モンスターが地上に進出してようやく神々は・・・いや、ゼウスとウラノスは気づいたのさ。ガイアが半分覚醒して長い年月をかけて戦力を整えていたことを。そしてもはやギガンテスだけで、地上全ての人間を半神に変えても対抗できないくらい、彼我の戦力差が開いていることを。」

 

 「世界が欲しているのは小さな力を束ねる英雄なんかじゃない。超常の力でもって神滅の怪物を打ち滅ぼす更なる怪物なんだよ・・・。」

 

 そう言って神は悲痛な表情で黒白の怪物にその運命を告げた。

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