乙骨の妹   作:毎日読書

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時間があったので、小説を書いたけど、ノリと勢いで書いたから、設定はめちゃくちゃ。続くかどうかは未定。


おっこつ

〇月△日

ママが日記をくれた!なんでも書いていいんだって。

きょうのハンバーグ、おいしかった〜!

 

〇月〇日

お兄ちゃんがびょういんに行くことになった。はいえんっていうびょうきなんだって。

すぐよくなるといいな。

 

△月□日

お兄ちゃんのおみまいに行ったら、女の子とおしゃべりしてた。

里香ちゃんっていうんだって。かわいくて、やさしそうな子だった。わたしもおともだちになりたいな。

 

×月×日

お兄ちゃんが元気になってから、里香ちゃんとばっかり遊んでる。わたしのこと、ぜんぜん見てくれない。ぷん!

 

×月△日

きょうは三人で遊んだ!すっごくたのしかった〜!!

 

◇月〇日

里香ちゃんに「おねえちゃん」って呼んだら、にこってわらってくれた。

うれしそうだったから、これからはおねえちゃんって呼ぼう!

 

◇月△日

おねえちゃんがおかしをくれた。チョコだった!おいしかった〜!

 

 

〇月□日

きょうはお兄ちゃんのたんじょう日!お花をあげたら、よろこんでくれた。

公園で三人で遊んでたら、おねえちゃんがお兄ちゃんにゆびわをあげてた。

 

おとなになったらけっこんするんだって。ずっといっしょにいるってやくそくしてた。

わたしも「ずっといっしょにいる!」って言ったら、ふたりともわらってた。

 

 

×月〇日

おねえちゃんが死んじゃった。ママがじこだったって言ってた。

どうして?ずっといっしょって言ったのに。かなしいよ。

 

×月×日

あの日から、おねえちゃんと会っていない。さびしい。

そして、お兄ちゃんのそばに怖い何かがいるようになった。いつもそこら中を飛んでいる羽のはえた小人がいない。

何かがおかしくなった。怖い。

 

×月□日

お兄ちゃんについている何かが暴れた。

いたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたい

こわいこわいこわいコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイ

 

 

どうして?

 

 

どうして、化け物からおねえちゃんの声がするの。

 

おねえちゃん、会いたいよ。

 

 

□月△日

化け物が、お姉ちゃんの声でおかしなことを言う。

 

私は邪魔者なんだって。

お兄ちゃんといっしょにいるには、邪魔なんだって。

 

そんなことを思っていたの、おねえちゃん?だったら、私は、わたしは…

 

 

△月〇日

パパも、ママも、おかしくなっちゃった。

お兄ちゃんも、部屋から出なくなっちゃった。

 

なんで?どうして?

 

 ***

 

 僕は日記を閉じた。日記の表紙には拙い字でこう書かれていた。

 「おっこつ れんか」

 

 ・・・頭を抱えるしかなかった。

 

 詰んだ・・・。やっぱり、ここは呪術廻戦の世界か・・・。しかも、この苗字・・・。

 

 

 事の始まりは、少し前。

 目が覚めたら、なんか知らない部屋だった。そして、「どこだここは!?」と軽くパニック。

 

 いったん落ち着けと、深呼吸して、カーテンを開けてみる。

 外の景色も、やっぱり知らない。見たことのない街並み。見たことのない空。

 どうなっているんだ、と呆然と外を眺めていたら、何か飛んでいる羽の生えた気持ち悪い小人。

 

 本日二度目のパニック。本当にどこだここは!?と思いながらも、小人を見ていると何か既視感を覚えた。

 

 「何かみたことあるんだよなぁ。・・・あっ、蝿頭だ。それだ。呪術廻戦の蝿頭にそっくりなんだよな。あー、すっきりした」

 

 ん?もしかして、ここは呪術廻戦の世界で、僕は転生したのかな、と悟る僕。

 でも、死んだ記憶もなければ、そもそも前世の記憶も曖昧な状況。今世の記憶もないし、まじで、どうしよっかなぁ。

 

 そんな感じで悩みながら、部屋を散策すると、日記を発見。そして、読み進めて──今に至る。

 

 

 呪術廻戦の説明は、今更いらないだろう。人間の負の感情から発生した呪いを呪術を用いて祓う呪術師の闘いを描いたダークファンタジーである。正直、細かい話はあまり覚えていない。でも、一般人がすぐ死ぬような過酷な世界だったのは知っている。

 

 あと、たまたま映画を見に行っていたのだ。おそらく死ぬ前に。だから、印象に残っていたのだが、その映画に“乙骨憂太”という人物が登場していたことはよく覚えている。

 

 でだ、現状を整理すると、お兄ちゃんは呪われている。里香ちゃんは死んでいる。この二人は結婚を約束していて、里香ちゃんは指輪を送っていった。苗字は“おっこつ”。

 

 大切なことだから、もう一度言うが、苗字は“おっこつ”。

 

 僕の兄は乙骨憂太で確定!僕はたぶん原作未登場の乙骨憂太の妹だ。

 

 ……うん、やっぱり終わった!!!

 

 ***

 

 人がどれほど絶望していようと、時は容赦なく過ぎていく。気づけば、もう数日が経っていた。

 

 この数日は、流れに身を任せていた。親に呼ばれれば食卓につき、近所の小学生が家に迎えに来れば、その子に従って班で登校した。とりあえず、今世の生活リズムは把握できた。

 

 兄の年齢も判明した。11歳。高校生になるまで、あと5年。

 ついでに、僕の名前は「乙骨憐花」と書くらしい。

 

 正直に言えば、僕の行動指針はすでに定まっていた。GORIRAになることだ。

 呪霊が見えてしまっている以上、原作がどうであれ、呪いと関わらずにはいられない。だからこそ、強くならなければならない。

 

 やるべきことは明確だった。まずは筋トレ。この世界は、別名「ゴリラ廻戦」と呼ばれている。術式だの呪力だの言っても、最後にものを言うのは肉弾戦。だから僕も、フィジカルゴリラを目指すしかない。望んで目指すものではないけど……。

 

 もう一つは呪術。呪術も鍛えなければ、呪い相手に生き残れない。

 

 今は2012年。家にはパソコンがあったので、某動画サイトで筋トレや武術の動画を見始めた。とはいえ、今の僕は八歳の子供だ。素人が無理をして体を壊したら元も子もない。だから当面は、体を動かすのが好きな子供程度の運動量に留める。

 

 幼いうちは呪術の基礎を鍛える。専門的なことは何もわからない。だから、まずは呪力操作から始める。術式は知らない。持っているかどうかも不明だ。ただ、呪霊が見えている以上、最低限の呪力はあると信じたい。

 

 呪力、呪力、呪力・・・。

 

 うん、呪力ってなんだ?

 修行を始めて早一週間。進展なし!!

 

 修行を始めて二週間目。環境の変化によるストレス、修行の成果が見えないことへの苛立ちが積もってきて、ようやく何か“それっぽい”感覚が掴めてきた。そして気づいた。家での修行はよくない。近くに里香ちゃんという特級がいるせいで、自分の呪力の輪郭が掴みにくいのだ。

 

 三週間目、公園で修行を始めた。後になって知ったのだが、この場所は、かつて三人でよく遊んでいたらしい。

 それが、まずかったのかもしれない。

 “元の彼女”の断片を、見つけてしまった。

 

 ***

 

呪力を探していた。

ただ、それだけだった。

 

呼吸を整えて、意識を沈めて、体の奥底を覗き込む。

 

何かがあるはずだった。

何かが、動いているはずだった。

 

でも、見つけたのは“呪力”だけじゃなかった。

 

──誰かが泣いている。誰かが叫んでいる。

 

私は邪魔。邪魔。邪魔。邪魔。邪魔。邪魔。邪魔。邪魔。邪魔。邪魔。邪魔。邪魔。邪魔。邪魔。邪魔。邪魔。邪魔。邪魔。邪魔。邪魔。邪魔。邪魔。邪魔。邪魔。邪魔。いらない。いらない。いらない。いらない。いらない。いらない。いらない。いらない。いらない。いらない。いらない。いらない。いらない。いらない。いらない。

 

消えなきゃ。消えなきゃ。消えなきゃ。消えなきゃ。消えなきゃ。消えなきゃ。消えなきゃ。消えなきゃ。消えなきゃ。消えなきゃ。消えなきゃ。消えなきゃ。消えなきゃ。消えなきゃ。消えなきゃ。消えなきゃ。消えなきゃ。消えなきゃ。消えなきゃ。消えなきゃ。消えなきゃ。消えなきゃ。消えなきゃ。消えなきゃ。

 

 

 

 

 

 

だって、私が悪いんだから。

 

 

頭の中で何度も何度も、こだまのように響く。

 

頭の奥に、誰かがいた。それは“私”だった。でも、今の“私”じゃない。

僕は、・・・。あれ?僕って誰だっけ?

 

私は、僕は、僕は、ぼくは、ぼくは──

ぁあぁぁぁぁぁぁあああぁああああぁあああああああああああああああ。

 

呪力の中に、憐花の痛みが染み込んでいる。それは呪いだった。

 

修行は終わった。

呪力は見つけた。

 

そして、私は笑う。

壊れた顔で、壊れた声で。

「これが、呪力なんだね」って。

 

 ***

 

 気が付くと、僕はベットの上にいた。誰かが運んでくれたらしい。

 

 体が重い。

 腕が、脚が、指先が、自分のものじゃないみたいだった。

 動かそうとしても、動かない。いや、動かしたくない。動いたら、何かが壊れる気がした。

 

 僕は気が付いてしまったのだ。

 体の奥深くで、誰かが眠っている。

 それは──憐花だった。元の憐花。

 日記を書いていた、泣いていた、壊れていった元の憐花。

 

 彼女は今、眠っている。

 深い深い場所で、静かに、苦しそうに。

 そして、その空いた場所に、僕が生まれた。

 

 副人格として。

 前世の記憶を持った、別の“憐花”として。

 

 憐花は、沈んでいる。

 夢の底で、泣きながら、目を閉じている。

 

 「僕は、憐花の代わりなんだ」

 

 そう思った瞬間、背筋が冷えた。これは乗っ取りじゃない。転生でもない。

 ただ──生きるために必要だったから、体が、魂が、僕を思い出しただけなんだ。

 

 これは、ただの結果だった。

 憐花が壊れたから、僕が生まれた。

 憐花が耐えられなかったから、僕が代わりに立った。

 

 「僕は……どうすれば」

 

 今の僕にできることは、ただ天井を眺めることだけだった。

 憐花の眠る深淵を抱えたまま、動けないまま。

 この体が、誰のものなのかもわからないまま。

 

 ***

 

水の中にいるようだった。

音が遠く、光が揺れて、呼吸ができないのに苦しくなかった。

そこは、憐花の夢の底。

彼女が沈んでいる場所。

僕が生まれた場所。

 

足元に、日記が散らばっていた。

ページは濡れていて、文字が滲んでいる。

 

「おねえちゃんが死んじゃった」

「私は邪魔なんだって」

「消えなきゃ」

 

その言葉が、夢の空気に染み込んでいた。

 

そして、彼女はそこにいた。

膝を抱えて、顔を伏せて、震えていた。

 

「憐花」

声をかけると、彼女は顔を上げた。

目が合った。

その瞳は、僕を見ていなかった。

僕の奥にある“何か”を見ていた。

 

「……誰?」

彼女が言った。

その声は、泣き声のようで、怒りのようで、空っぽだった。

 

「僕は……君の代わりだよ」

 

憐花は黙っていた。

そして、ゆっくりと立ち上がった。

日記のページが風に舞う。

 

「じゃあ、あなたは……私なの?」

「それとも、私じゃないの?」

 

僕は答えられなかった。

その問いは、あまりにも重すぎた。

僕は憐花の痛みでできている。

でも、僕は憐花じゃない。

僕は“僕”だ。

彼女の代わりに生まれた、彼女の影だ。

 

「……ごめんね」

 

僕がそう言うと、憐花は微笑んだ。

壊れた顔で、壊れた声で。

「ううん、ありがとう。お兄ちゃんをよろしくね」

 

そして、彼女は再び沈んでいった。

夢の底へ。

痛みの底へ。

僕の中へ。

 

目が覚めると、涙が頬を伝っていた。

でも、僕は笑っていた。

憐花の顔で、憐花じゃない笑い方で。

 

「これが、僕なんだね」

 

 ***

 

side : ゆうた

 

最初は、ただの幻覚だと思っていた。

里香ちゃんの声が聞こえるのも、姿が見えるのも、僕がおかしくなったせいだと。

でも違った。

彼女は、そこにいた。

僕のすぐそばに。

僕の影に。

 

里香ちゃんは、呪いになった。

僕に憑いている。

僕の中に、彼女がいる。

怒りと悲しみと、愛しさの全部を抱えて。

 

 

憐花と里香ちゃんと三人で過ごした日々は、夢みたいだった。

公園で遊んで、アイスを分け合って、くだらないことで笑って。

憐花が転んで泣いたら、里香ちゃんが絆創膏を貼ってくれた。

僕はその隣で、何もできずに見ていたけど、それでも、あの時間が好きだった。

 

家の中も、静かで、温かかった。

ママはよく歌っていたし、パパは料理が得意だった。

憐花は僕の部屋に入り浸って、里香ちゃんとぬいぐるみの名前をつけていた。

僕は、幸せだった。

みんなが、僕を好きでいてくれた。

僕も、みんなが好きだった。

 

それが、ある日、終わった。

 

里香ちゃんが死んだ。

事故だった。

誰も悪くなかった。

 

でも、僕は知っている。

あの瞬間、僕の中で何かが壊れた。

そして、何かが生まれた。

 

里香ちゃんは、呪いだ。

それはずっとわかっていた。

でも、僕にとっては、守りたかった人だった。

だから、見ないふりをしていた。

 

最初は、僕の周りにいる人が、なんとなく距離を取るようになった。

「空気が重い」とか、「近くにいると頭が痛くなる」とか。

僕は笑って誤魔化した。

里香ちゃんが、僕を守ってくれているだけだと信じていた。

 

でも、憐花に牙を向けたとき、僕はもう誤魔化せなかった。

 

憐花が僕に話しかけた瞬間だった。

里香ちゃんが、彼女の背後に現れて、冷たい声で言った。

 

「憂太に 触るなァ」

 

その声は、優しさのかけらもなかった。

次の瞬間、憐花の腕に黒い痕が走った。

里香ちゃんの爪痕。

憐花は泣き叫んでいた。

 

僕は叫んだ。

 

「やめて、里香ちゃん!」

 

でも、彼女は僕の言葉に耳を貸さなかった。

 

「憂太に近づく女は嫌いぃいい゛」

 

そう言って、微笑んだ。

その笑顔は、僕が知っている里香ちゃんじゃなかった。

 

それから、僕は人を避けるようになった。

憐花とも、ママとも、誰とも話さなくなった。

学校にも行かなくなった。

部屋に閉じこもって、窓もカーテンも閉めた。

誰にも近づかないように。

誰も傷つけないように。

 

里香ちゃんは、僕のそばにいる。

いつも、僕の影に。

 

僕は、もう普通じゃない。

憐花も、家族も、世界も、全部遠くなった。

 

僕では、彼女を止められない。

彼女を手放せない。

彼女を、愛しているから。

 

たとえ、彼女がもう──僕の知っている里香ちゃんじゃないとしても。

 

僕は彼女を呼ぶ。

誰にも聞こえないように。

誰にも届かないように。

 

「……会いたいよ、里香ちゃん」

「本当の君に、もう一度」

 




オリ主、転生、憑依、アンチヘイト。これらのタグは念のためつけているだけです。

それと、私が書いている「継国の娘」を読んでくれている方は更新がこちらでごめんなさい。今、手元には呪術廻戦の漫画しかないんです。ごめん!!
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