アリウスと原罪   作:パエリアさん

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第一節 堕落
第1話 あなたはこの世のものではない


俺はいつも「普通」だった。それは人生十五年の中で唯一俺がわかったことだった。

 

「俺はどうあがいても特別にはなれない」と。

 

顔は普通、身長平均、体格平均。もちろん彼女できたことない暦=年齢

 

都会でも田舎でもないところに生まれ、特別頭が良くも悪くもない、特筆することもない高校に進学し、部活もやりはするが、特に熱量もない。

 

そんな惰性で生きているような存在がこの俺、「佐藤ハジメ」 という嫌になるほどに平凡な男である。

 

 

 

 

「待てッ!!とまれッ!」

 

「ヒイッ、ヒイッ」

 

轟く、二十一世紀の日本では響くはずのない、岩よりも、鉄よりも重厚な音、鼻腔を刺激する、辛く、ピリつく危ない火薬の匂い。

 

それに加えて、幽々たる、というべきか、その廃れた路地に張り巡らされる、張りつめられた緊張の糸。それはまさしく、戦場そのものであった。

 

「嫌だー!?やめろ〜!死にたくな〜い!!」

 

ああ、普通の日常を送るハズが

 

どうしてこうなった?

 

 

 

___________________________________________________

 

 

 

 

時は少し遡り、友達も(あまり)いない俺は、誠に遺憾ながら一人寂しく登校していた。

 

これから始まる春を告げるように、淡白とした桜が頭上を吹き乱れ、肩に桜溜まりを作っていた。しかし、俺の心の中にはどうも、これからの希望や、楽しみといったものが、これとして見出すことはできなかった。

 

そんな気持ちを覚える自分に辟易としながら、地元名物『赤信号が異様に長い交差点』で理由もなく景色を観察しながら信号待ちをしているときに、ついにそれは起こった。

 

「ん?」

 

俺は珍しいものを見つけた、いや、見つけたは失礼か。

 

髪の毛が空色に染まっている女性だ、腰辺りまで伸びていて、しかし染めているようではなく、極めて自然な空色だった。

 

さらに驚くことに、この世のものとは思えないほど顔が整っていた。もしもクレオ・パトラが実在したのなら、このような見た目なのだろう。…しかし、彼女は一体何者なのだ?こんな人がいるのなら、とっくに時の人となっているはずだ。

 

にも関わらず、周囲の人はこんな現実離れした人がいるのにまったくもって見向きもしない。俺は自分の目を疑い、幾度も目を擦ったが、それは変わることはなかった。

 

疑問を抱く俺の脳とは裏腹に、自身の心臓は全身にドクン、ドクンと、意気揚々と血流を送っていた。

 

なんせ生まれて初めての『普通じゃない』ことだ、もしかしたら、『特別』な体験が俺を待っているかもしれない。

 

実のところ、俺は『特別』に深い感情を抱いている。俺じゃ決して手に入らないから。そして、それはもはや、運命や法則で決まっているようなものだから。

 

 

 

そう…決して…。

 

 

 

カッコーカッコー

 

そんな事を考えているうちに、作られた鳥の鳴き声とともに、五分ぶりの青信号がつく合図がなされた。彼女はどこかへ歩き出した。いったいどこへ行くのだろう?そんな事を考えている瞬間。

 

 

 

 

ブオオオオオンッッ!

 

 

 

突如唸る、低いエンジン音。その音は俺を驚愕で包んだ。

 

目の前で彼女に軽トラが突っ込んでいた。かなりの速さだ。そのままだと、もう彼女の死は免れないだろう。

 

俺の淡い期待を潰さんと、鉄の塊が希望へ猛進する。

 

そんな事が起きてる中でも、周りの人はどこ吹く風で、全く興味も示さない。異常な風景が辺りを支配している中、俺は反射的に飛び出し、手を伸ばした。

 

…この野郎、嘘みたいにボケーッとしてやがる。引き戻して一緒に助かるのは不可能……なら、

 

 

 

「うおおおおおお!!」

 

 

 

自分の命度外視で突き飛ばして救うしかない。

 

俺は、地球そのものを蹴り飛ばさんと、万力の力で地面を蹴った。

 

救う必要はあるのか?なぜ赤の他人を?そんな事を言われるかもしれない。

 

けど、俺はもう『普通であること』にはこりごりだ

 

俺は、『特別』になりたいんだ!!

 

 

ドンッ

 

 

彼女を突き飛ばすことができた。もう影響がないであろうところに尻餅をついて静止している。

 

だが…俺はもう無理だろう。もう軽トラはそこまで来ている。だけど……。

 

「最期くらい……特別になれたかな……」

 

俺は来るであろう衝撃に備え、目を閉じた。

 

きっちり拭いた窓から取れる、埃ぐらいのほんの少しの恐怖と、学校の大掃除が終わった時のような、大きな達成感で心が満たされた。

 

今日はスッゲーいい天気だった、お天道様もきっと俺のことをガン見してるだろうな、天国行きは確定だな。

ははは……………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………?

 

 

 

 

…………………あれ?何も来ない?

 

いつまでたっても来るはずの衝撃が来ないことに気づいた俺は、恐る恐る目を開けてみると、そこにはにわかには信じられない光景があった。

 

さっきまでフッツーの、八百屋があって、コンビニがあって、塾があって、ファミレスがあって、交差点があって、おひさまポカポカ、良くも悪くも普通。そんな愛すべき俺の地元だったはずが…

 

廃墟……か?窓は割れ、壁にはヒビがあり、人気がなく、空気はよどみ、ガラス片が散乱していて、整備が整っていないことが分かる。

 

いかにもお化けが出そうなところ。俺の地元は、そんなところにきれいさっぱり置き換わっている。

 

さらに空がどんよりと曇っている。さっきまで雲一つない晴天だったのに。…少なくとも天国ではなさそうだ。

 

「とりあえず……情報が必要だな」

 

突然の出来事に目を白黒させたあと、行動を起こさないと何もできない、と辺りを探ってみることにした。

 

 

〜少年探索中〜

 

 

トコトコ歩いて十分程が経った頃だろうか、どうやら、ここはとても広いらしい。常に景色は変わらない。終わらない試練によって全身に疲労が溜まりに溜まり、心の高揚が息を潜めていると…。

 

 

ガサッ

 

 

暗い路地で何かが動いていた。再び胸にドキドキが巡る。それがひとりでに、勝手に動き出そうとするのを必死に抑えながら、俺は物陰に隠れてそれを観察することにした。

 

「…………!………」

 

そこに現れたのは俺と大して変わらない歳であろう女子5人組だった。しかし、忌々しくも、そいつらは俺とは違い、特徴しか無かった。

 

まず髪の色は藍、薄紫、白、緑、など個性豊かであった。まるで虹のようだった。…どうやって染めてるんだ?

 

さらに頭の上になにか光ってる輪っか?のようなものがある。5人全て違った色、形をしていた。俺の目が悪いのかもわからないが、支えとなる物質はないように思えるが、どのような原理でそこにあるのだろうか?

 

その姿はまるで聖書に登場するような天使であった。しかし、そいつらが醸し出す兵のような緊張感は、天使とは程遠かった。いうならば、それは悪魔であった。

 

加えて全員が銃を持っている。何度も確認したが、あれは銃だ、でも普通に考えてここは日本、実銃という線は薄い。おそらくサバゲーオタクかなんかなんだろう。

 

そう考えると合点がいく。おそらくなんかのキャラクターのコスプレかなんかしてサバゲーしてるんだろう。この廃墟はサバゲーの会場で、彼女らはグループで動いている参加者なんだろう。

 

あと蛇足だが…全員顔がいい。一人仮面?をつけていて顔が見えないが。でも雰囲気的におそらく美人さんなんだろう。

 

なんでこんなところにいるのかはわからないが、人がいてよかった。色々と話を聞こう。

 

「あっ…あのー、すみませーん」

 

俺は話をしようと物陰から出た。俺は社会に出たことはないが、上司に声を掛けるかのように、極めて慎重に声を掛けた。

 

…決して、女子に緊張しているわけではない。

 

 

 

「ッッッ!?」ガチャ

 

突如、何故か銃口を向けてきた。なにゆえ?!

 

あ…ああそうか、サバゲー中だから襲われると思ったのか、ここはわけもわからず迷い込んだ高校生をアピールしt ドォン!!

 

「……は?」

 

実……銃?

俺の頭の横には、火薬の匂いとともに、立派な風穴が空いたコンクリートがあった

 

「う、うわああああ!?!?」

 

俺は逃げ出した。当たり前だ、銃を撃たれるというこの世で一回もないことがほとんどの事をされたのだ。

 

「ッッッ…!待て!!何者だ!!」

 

地獄から出てきているような怒号とともに、俺を追いかけてきてる。心の底から恐怖が湧き上がる。火山から噴き上がる溶岩のように、恐怖が口から噴き出しそうになる。

 

 

 

ドドドドドドド

 

 

 

「ヒィッ?!?」

 

あいつら打ちやがった!危険すぎる!人生で一度も聞いたことがねえ音を出しながらどんどん近づいてくる。

 

俺は駆けた。全速力で駆けた。灰色の、ひび割れているコンクリートを砕かんと、全力で蹴った。

 

「何だよ…?!速すぎだろあいつら!!」

 

だんだんと近づいてくる。おかしい。こっちのほうが先に走ったのに。銃を撃たれる。息が切れる。弾が跳ねて、すぐ近くに落ちる音が聞こえる。

 

足音が、銃声が、恐怖が、死が、近づく、近づく、近づく。

 

「嫌だー!やめろ〜!死にたくな〜い!?」

 

くそったれな状況なはずだ…。だけど……心の何処かで、『特別』を喜んでる自分がいることを、俺は無視せざるを得なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

妬ましい

 

 

 

To be continued




こんな感じです。誤字や読みにくい箇所があれば遠慮なく申し付けください。
考察、感想、批評、なんでも受け付けます!!
よろしくお願いします!


佐藤ハジメ プロフィール
・黒髪、ちょっと天パ気味。眉毛がちょっと隠れるくらい
・お目々は黒色。容姿はホントに普通
・横浜の郊外出身。物語開始時点で15歳
・趣味→特になし。強いて言うならボーッとすること
・身長→170cm
・体重→60kg
・体格→普通。脚長でもない、短足でもない
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