アリウスと原罪   作:パエリアさん

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文章書くのむずいなあ。コツ教えてほしい。
てかゲブラやばい。むずすぎ。
まあ、それは置いといて…今回は日常回。しばらく続くかも

それでは、楽しんで!!







第6話 与えなさい、そうすれば与えられるでしょう

俺は思ったんだ。このままじゃいつか死ぬと。

俺は普通の男子高校生……あんな訓練耐えられない。

 

ということで、『ズル』を使おうと思う。

サボりだなんて言うなよ?これは当たり前のことだ。雨が降ったら傘をさすぐらいの、普通で当然なことだ。

 

と、言う事で、この日からあらゆることを使ってズルを企んだ。

 

日本ではズルも『普通』じゃないから全くしなかったけど……ここはアリウス、異世界だ。せっかくだから特別な事をしよう。

 

「へへへ…今日は50km短縮…。半分だ」

 

走る訓練では教官の目をかいくぐって、ショートカットの道を永遠と探した。これが意外と難しい。地図なんかは渡されないので、何回もトライして見つけるしかないのだ。

 

これのおかげで随分と生活に余裕が持てた。体力が続くようになったのだ。なんと素晴らしい。

 

 

ほかにも…

 

 

「ぐわあーー」

 

「………?」

 

模擬戦では弾に当たったふりをしてすぐ倒れたり。いろんなズルをした。教官にばれるとムチが振るわれるが、死ぬよりマシだ。

 

もちろんアリウスの生徒にはバレているが、でも奴らは人生を諦めている。チクる気力もないのだろう。

 

そう思うと俺は、滝のような優越感と、慢心とに満たされた。俺は『特別』なんだ。他の奴らとは違う。そう思うと、もはや俺の感情は極限へと至ったのだ。

 

それは、あまりよろしくない、汚い感情だと分かってはいたが、それでもその快楽をとめることはできなかった。

 

……ああ、完璧だ!これで俺の負担は少なく見積もっても60%は減った。これで二ヶ月は無理をしないでいる。最高だ。もう帰ったらバタンキュー。なんてことはないんだ!!だけど……まあ、一つだけデメリットがあるなら……

 

 

 

「………ハ〜ジ〜メ〜?」ゴゴゴゴゴゴ

 

 

 

……教官(錠前さん)がキレてくること、かな。

 

 

 

____________________________________________________

 

 

 

どうやら錠前さんは教官も務めているらしい。あの鬼畜ロボとは違い、ムチを振ることはないけど……。

 

しかし、いかんせんすごい真面目だ。頭が固い。

 

だけどだからといって俺に無理を強要するのでもない。訓練が終わったらいっつも見に来てくれるし。優しい。好きになってしまうぞ?

 

「聞いているのか?!」

 

ドン!と机に拳を叩きつける。無情にも、木製の机は二つに別れてしまった。…次はお前だ、と言わんばかりに、錠前さんはこちらを見つめている。

 

「ひええ……」

 

…やはり、恐怖はある。その気になったら俺なんかいつでも簡単に殺せるだろうからな。家まで様子見に来てくれるのはいいけど、怒るのは辞めてほしい。怖いし、もの壊れるし。

 

ちらりと外を盗み見る。…もう暗くなり始めているじゃないか。怒られ始めの時にはまだ十分に明るかったのに…。

 

「はあ……わかったか?」

 

ようやく説教がおわった。ずっと正座してたから、足がビリビリしてる。立てない。

 

「ああ……とても良くわかったよ錠前さん。ところで、立てないから手伝ってもっても……?」

 

俺は極めて慎重にお願いをする。手伝ってもらわないとホントにまずい。二十分は立てないぞ、これ。

 

これからご飯作らなきゃいろいろ間に合わないぞ。少し、焦りが心を包む。自分のせいだってことは分かっているが、これはあんまりだ。

 

「……しょうがないな」

 

よしっ!!チョロ「ただし」…えっ?

 

喜びを内心叫んでいると、ぴしゃりと言葉で遮られた。説教の時とは違い、声がワントーン上昇している。俺はそれに、不気味さしか感じることはできなかった。

 

「ちょっと『お願い』を聞いてもらうぞ。分かったな?」

 

心底楽しそうに口を開いている錠前サオリがそこにいた。あれはマズイ。嫌な予感しかしない。思わずぶるりと身震いした。

 

「ふぁい……」

 

俺はこのあと起こるであろうろくでもないことに思いを馳せながら、きっと、この世の終わりみたいな顔でそう答えたのだろう。

 

 

 

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「…………あ〜っと……それは何を目的にしてらっしゃるので?」

 

なぜか錠前さんはキッチンにいる。なんな鼻歌も歌っていて上機嫌そうだ。…よかった、まともな事で。

 

無賃で労働でもさせられるかと思ったが、思ったよりもこの人は常識があるようだ。だが、この行動は全くもって理解ができないが。

 

「………ほら、いつも私たちに飯を作っていたり、たまにここにたまってたりするだろ?だから……その()()()というか、なんというか……」

 

顔をほんのり赤く染めながら喋る。顔良すぎだろ。もはやイライラするわ。ていうかいい子だな、恩返しだって。

 

俺はしたことがないな。恩はいつも感じている。でも、それを当たり前と思ってしまう自分がいて、なかなか行動に移せないのだ。だから、こうやって行動に移せるのは、素直に尊敬できた。

 

「いや〜そんなことしなくても……正直ここに入れさせてもらって、話し相手にもなってもらってるから、逆にもらってばっかりだよ」

 

これは心からの本心だ。俺に居場所を作ってくれたのは彼女らだし、貰っているのは俺の方だ。

 

だからお返しなんて……といいかけたところで、錠前さんが遮った。

 

「いいや、これはお願い……いや『命令』だ。おとなしくお返しを受け取るんだな」

 

そう俺を強制的に座らせると、そそくさとキッチンに戻っていった。ここはおとなしくしとくか……正直最近料理作るのも結構面倒になってきたからな。

 

ここは任せておくか……。

 

 

 

 

ボンッ ガシャン パリーン ドンガラガッシャーン

 

 

キッチンというか、は部屋の中からはおよそなるはずのない、戦闘中にもよく似た轟音が、不思議にもキッチンから矛盾するように発せられた。

 

「…ん???なぜそうなる????」

 

思わず疑問符が無制限に漏れ出る。同時に、おそらく錠前さんによって描かれているであろう惨状を想像し、ため息が出る。

…………やっぱり行くか、怪我は大丈夫だろうが、ダークマターを出されては困る。

 

そう考え、俺はキッチンへ向かう。ほんの少し、心配の気持ちもあった。

 

 

 

「……!ちょっ……ちがっこれはちがうっ!!」

 

 

 

じいっと見つめていると、錠前さんがあたふたしてる。親に失敗を隠そうとする子どもみたいで、ちょっと笑ってしまう。

 

…いつも冷静沈着、泰然自若とした錠前さんが、こうも取り乱しているとは。俺は嬉しくなった。こんな人にも、弱いところは有るのだな、と。

 

「ふふっ……ちがくないだろ……ほら、一緒につくるぞ」

 

「し、…しかし……それでお返しには……」

 

泣き出しそうになりながら、錠前さんがそう言った。俺はしゃがみ込んでいる彼女に目線を合わせて、こう言った。

 

「大丈夫だ……それに、人手が一つ増えるだけでだいぶ助かるから、お返しにはなってるぞ」

 

俺は諭すようにしゃべりかけた。実際作業分担は料理に置いてすごく大切だ。二人でやれば、一時間かかる料理が、三十分程度で終わることもある。

 

「そ……そうか、なら、いいか……」

 

少し納得してないような声で返事をした。

 

ホントに根はいい子なんだな。大丈夫って言ってるのに。…こんな子が、人の殺し方なんてものを、馬鹿真面目に勉強しなければいけない…やはり、そんなこと、おかしい気がする。

 

まあそれは置いといて、錠前さんの新しい一面に気づきながら、俺たちは二人で料理を始めた。…だけど、心の靄は、隠すに隠せなかった。

 

「それで?錠前さんは何を作ろうとしてたんだ?」

 

少し暗くなった空気を破るように、俺はそう尋ねた。錠前さんは待ってましたと言わんばかりに、目をキラキラさせていた。

 

「ああ……それはだな、シチューだ!」

 

なぜか自慢げにシチューの名をよぶ。

 

「……なぜにシチューを?まあいいけど」

 

俺は疑問を持った。別に特別な日でもないのに、牛乳や小麦、お肉など、入手するのが難しい材料を使った料理をするというのだから。

 

「アズサが教えてくれたんだ。シチューとういのは身体がポカポカ温まって、疲れがとれる……らしい。訓練を頑張ってるお前にはピッタリの食べ物だろう?」

 

錠前さんは口角をあげながら、思い出すように語っていた。そうだな、そんな話もしたな。

 

「……そうだな、ありがとう、錠前さん」

 

反射的に錠前さんの頭をポンポンしてしまった。…マズイ!!ないはずの母性が!!

 

普通にセクハラじゃないか。まずいまずい。

 

俺はすぐに手を引っ込め、錠前さんの、顔をうかがった。怒ってないといいけど……。

 

 

「……………」

 

 

真顔で固まっている……よほど衝撃だったのだろうか。俺は身震いした。もしかしたら殴られでもするんじゃないかと思った。

 

「ご…ごめん……反射で……」

 

俺は言い訳を述べた。できるだけ被害を少なくするために、許しを乞う準備は出来ていた。

 

「いや……いいんだ、そんなことより、料理を続けよう。だめになってしまうかも」

 

意外にも、あんまり気にしていないようだ、セ〜フ。とりあえず俺の命は守られた。危ない危ない。ぶっ飛ばされるのは勘弁だからな。

 

 

……ん?錠前さん、だいぶ耳が赤いけど……どうしたんだろ?暑いのかな?

 

 

そんな錠前さんの料理を見守る…ちょっと待て。

 

「…錠前さん?包丁の使い方分かってますか?」

 

「?もちろんだ。見てみろ、この包丁さばきを」

 

猫の手って知ってる?いやまあ、包丁なんかで切っても重傷にはならないんだろうけどさあ…。

 

「ほら、こうやって切るんだよ」

 

錠前さんの後ろから手を回し、正しい包丁の使い方を教える。だから、密着する形にはなるが…決して下心はない。あるのは心配だけだ。

 

「はっ?!な、ななな、なにをしてるんだ!?ハジメッ?!」

 

声を裏返しながら錠前さんはそう叫んだ。…そんな声出るんか。あとびっくりし過ぎでは?確かに少しは驚くかもだけど…そんな嫌だった?

 

「はあ…すぐ離れるから。ほら、教えるぞ?」

 

「……ああ………」

 

なぜかその時の錠前さんは要領が悪く、教えるのに時間がかかってしまった。そして、なぜか顔の赤さが天元突破してた。例えるならイチジクの果実のような…風邪なのか?

 

そうこうしているうちに、シチューは完成間近まで来た。あとはよそうだけだ。けどちょっと違和感があった。

 

「錠前さん……量おおくない?二人で食べるんじゃ?」

 

八人前はあるであろうシチューを目の前に、そんな疑問をつぶやく。そんなに大食感じゃないぞ、おれは。もしかしたら錠前さんは意外とたくさん食べるタイプなのかもしれないな。

 

「?……気づいてなかったのか……おい、もう入っていいぞ」

 

そう言うと、錠前さんは手を挙げ、何者かに合図をする。そうすると、バラバラとした足音が部屋中に響いた。

 

「………えっ?」

 

困惑する俺を尻目に、見知った顔達が玄関から多数入り込んできていた。

 

「………こんばんは」「え、えへへ……おじゃましますうう」「こんばんはだ、ハジメ」「………………」

 

そこには四人のスクワッドたちが、今日来るなんて聞いてないぞ……?準備なんかもできてないし…。

 

俺が困惑していると、錠前さんが答える。

 

 

 

「言ったじゃないか、これは私たちスクワッドからのお返しだ。材料は他の四人が取ってきてくれたんだぞ」

 

「た、たいへんでした〜」

 

「それだね……あれは少し、骨が折れた」

 

「だが楽しかったぞ。特に狩りはすごかったな」

 

「…………………カキカキ(ほめて、ほめて。)」

 

 

 

どうやらみんなで企画してたようだ。ちょっと涙が出そう。俺なんかの、特徴も何も無いただの凡人に、こんな事をしてくれるなんて…感激の極み、でも足りないくらいだった。

 

「ありがとな……お前ら……」

 

俺は本能的に、彼女らへ飛び込んでいた。スクワッドらは困ったような顔をしたが、それでも俺を受け入れて、抱きしめ返してくれた。

 

「ああ……どういたしまして。そして、受け取ってくれ、私たちのお返しを」

 

いつもは寂しい一室に、温かなシチューの匂いがただよった。

 

 

 

____________________________________________________

 

 

 

「ところでハジメ、もう一つお願いを聞いてもらっていいか?」

 

珍しい。お願いとは。今は気分が良いから聞いてやろうか。俺は錠前さんに向きなおった。

 

「いいぞ、錠前さん。なんなりと」

 

平伏してそう言った。…しかし、それを見る彼女は、ぷんとたぎる、暖かいシチューの香りと違い、氷水のような冷たさがあった。

 

「その他人行儀な呼び方をやめろ。私のことはサオリと呼べ」

 

…なんかデジャヴ。呼び方なんてどうだっていいだろ…。はあ、というため息とともに、わざとらしく辟易の意を表現した。

 

「…いや、それは「お願い聞いてくれるって言ったよな?それにミサキはミサキと呼んでいるって聞いたぞ?」…はい」

 

圧やば。しぬ。その威圧感は獅子…いや、それ以上のものを感じさせる。生物としての格が違うと思い知らされるようで、本能で理解できた。俺はただ、縮こまることしかできない、子猫のようになっていた。

 

そうすると、奥の方でざわめいていたスクワッドらが、おもむろに俺の前に立ってきた。

 

「じゃ私も」「わ、私もお願いしますう。」「カキカキ(もちろん私も)」

 

えっえっえっなんで次々と……。困惑に支配される。目が回るようだった。

 

 

 

「…(みんな嫉妬しすぎでしょ。目がすごい…。でも、私も同じ状況になったら…まあいっか。)」

 

 

 

なんかミサキがニヤニヤしてる。なんて珍しい…というか、他の奴らは目がギンギンだし。取って食われでもするのか、俺は。

 

「わ、わかりましたあ…」

 

俺は、そんな情けない声で肯定するしかできなかった。しかし、心の内の、奥底の、さらに隅の方で、なぜだか喜びとも取れる感情が、ふつふつとわき上がっていた。

 

「ならよし」

 

…しかし、俺の威厳というものは、どこに行ったのだろうな……。

 

To be continued






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