新エリー都を翔ぶ黒き鳥   作:独立傭兵ピヨピヨ

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墜ちた鴉

赤く燃え続けるルビコン。

 

その要因となったのは一人の独立傭兵によるものだった。

 

惑星封鎖機構の艦船を大量に鹵獲し、バスキュラープラントの防衛の戦力であったアーキバスの主力艦隊を撃滅し、友人と呼べる者達を落とし、恩人の願いを叶える為に星系ごとコーラルを焼き払った。

 

火を点けろ。燃え残った全てに。

 

ルビコンには多くの人々がいた。

 

企業の人間、独立傭兵、ドーザー、ルビコニアン。

 

それを等しく関係なく全てを巻き込んで燃やした。

 

燃え行くルビコンを背にC4-621或いはレイヴンと呼ばれた少女は翔び続ける。

 

全て終わった……終わったんだ……。

 

戦いを終えたレイヴンは翔び続ける。

 

これでウォルターの言っていた普通の人生を……,

 

レイヴンをウォルターの言っていた普通の人生と言う言葉にそれ以上の事を思い浮かべる事が出来なかった。

 

普通の人生とは何なのか……?

 

レイヴンには分からなかった。

 

レイヴンは目覚めた時には必要最低限の機能以外を失った身体を含めて過去の記憶などもまた全て失っている。

 

あるのはウォルターやエア、ラスティーにイグアス、ミシガンにカーラにチャティと言った面々達の思い出だけだった。

 

ACに乗って戦い、報酬を得てはまた戦いに出る日々。

 

ウォルターの不器用な気遣いやエアとの交流、最後には敵として戦ったが肩を並べて戦ったラスティー達の繋がり。

 

ハチャメチャながら色々と手助けをしてくれたカーラとチャティ。

 

失って得たものを今や過去のものとして燃やしてしまったレイヴンは表情を動かす事も無く涙を流した。

 

「ウォルター……私……普通の人生なんて分からない……いらない……だから……迎えに……来て……」

 

ルビコンを燃やした事で今度こそ全てを失ったレイヴンはもはや誰にも届かない思いを抱きながらACを止め、静かに宇宙に浮かぶ。

 

「私は……普通の人生……なんて……」

 

いらないから。

 

レイヴンは暫く静止した後、静かにその瞳を閉じた時、メッセージが自動的に流れた。

 

《621。お前を縛るものはもう何もない。これからのお前の選択が……お前自身の可能性を広げることを祈る》

 

ウォルターからの最後のメッセージ。

 

レイヴンはそれを聞いた後、ゆっくりと意識を手放していった。

_______________

___________

______

 

何れくらいの時間が経ったのか分からない程の眠りに就いていたレイヴンは目を覚ますとそこは宇宙ではなく、何処かの街の景色だった。

 

「此処……何処……?」  

 

レイヴンは辺りを見渡せば荒廃したルビコン程とは言わないが荒廃した静かな街並みだけで人の気配一つしなかった。

 

レイヴンは困惑しつつもACを動かそうとした時、コックピットが狭く感じた。

 

更なる困惑を覚えつつACのカメラを見れば最初は気付けなかったが明らかにACの目線が地面に近くなってもいた。

 

ACは非常に大きく地面が遠く感じる程だ。

 

なのに視線は地面に近くなっている。

 

レイヴンは一度機体を降りるべきかと考えた時、カメラのセンサーが反応した。

 

レイヴンは視線を向けるとそこには。

 

「なんだぁ?自棄にデカイ機械があるぞ?」

 

「何かの軍の兵器ですかね?」

 

「知能構造体じゃないすっか?動いてなさそうすけど」

 

巨漢の男やガラの悪そうな男達がレイヴンのACをマジマジと見ていた。

 

その男達は薄着で顔を覆うヘルメットを被っていると言う共通点を持ち、レイヴンは観察する様に見ていたら。

 

「まぁ、良い。こいつは動いてなさそうだ。しかも明らかにバラしたら高値になりそうな物がありますって図体だ。へへ、ホロウで金目の物を探してみるもんだな。おい!道具を持ってこい!こいつをバラすぞ!」

 

リーダー各の男のその言葉にレイヴンは自分のACを狙っていると判断した。

 

よく分からないが奪おうと言うのなら敵だ。

 

レイヴンはそう考え、ACを動かした。

 

ゆっくりと立ち上がったACの姿に男達に動揺が走った。

 

「う、動いた!?」

 

「死んでねぇのかよ!?」

 

「か、構わねぇ!此処で黙らせてバラすぞ!」

 

リーダー各の男の言葉を聞いた男達は各々、武器を手にした事で遂に歯止めが聞かなくなった事が決まった。

 

《メインシステム。戦闘モード起動》

 

いつものACのシステムの起動音声を聞いたレイヴンはブースターを起動させ、目にも止まらない速さで男達に向かっていった。

 

その様子を見つめている者がいるとは知らずに。

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