防衛軍AC破壊から暫く経った日、カルラの元に暗号化通信が届いた。
「まさか防衛軍の大佐が直々に依頼を出すとはな」
カルラは通信相手、イゾルデにそう言うとイゾルデは軍人として淡々と内容を伝える。
《我々が雇っている者達の意向だ。今回の作戦では戦力の低下が目立つオボルス小隊の予備戦力として配備される者達が君の猟犬の参加を要請した。本来なら日の浅い時期に一度敵として合間見えた相手を雇うなどあってはならないが今は力がいる。報酬も支払う用意をしているが……断れば私としてもしたくもない事をしなければならなくなる》
「防衛軍の大佐とあろう者が脅迫か?」
《君達がやった事を考えれば正統性はある。君としては新エリー都を逐われるのは不本意な筈だ。報酬だけでなく前回の襲撃も不問とする事も確約しよう。迷う必要はない筈だ》
イゾルデのその言葉にカルラは暫く無言を貫いていた時、通信の音響がザワつくと声の主が代わった。
《何を呑気に話し込んでいる?そんな話しはG13に直接しろ》
《割り込まないでくれるか……まだ話しは通っていないんだ……》
《どちらにしてもG13は話しを聞くだろう。それに形式こった話しなど後でいくらでも出来る。それで貴様がハンドラーか?》
「そうだが?」
カルラのその返事に通信相手は考え込む様に無言であったが再び会話が始まる。
《どうやら俺の知るハンドラーではないな?まぁ、良い。G13はいるか?早く呼び出せ!》
「G13とは誰の事だ?私の元にはそんな奴は……」
カルラがG13とは誰の事なのか分からず通信相手に聞こうとした時、カルラの元にいつもよりも早足に通信機器にレイヴンが向かってきて通信機器の前に立った。
「どうしたレイヴン?」
いきなりの事でカルラは驚いているとレイヴンは声の主、そして先程聞こえたレイヴンをいつもG13のコールサインを呼ぶ人物に予想をつけて通信機で呼び掛けた。
「……ミシ……ガ……ン……?」
《やはり貴様かG13!貴様の考えている通り、俺はレッドガンの総長、G1ミシガンだ!貴様に転ばされてからこんな辺鄙な所に来たが此処に来たと言う事は貴様も何処かで転んできたのか?》
レイヴンが予想した通り、相手はレッドガンの総長であり、歩く地獄と敵と味方の両方から恐れられる男、ミシガンその人だった。
レイヴンはミシガンの質問を考えながらゆっくりと返した。
「わか……ら……ない……気付い……たら……いた……」
《やはり分からんか!俺もそうだ!貴様に転ばされて気が付けば防衛軍とやらの基地のド真ん中だった!だがまぁ、良い!それよりも貴様の為に遠足の御誘いだ!目標は貴様が玩具にした防衛軍が保有するACを破壊する依頼を出した反乱軍の基地を奴等が泣いて詫びる様な損害を与える為に襲撃を仕掛ける!貴様は安いオマケのG13として襲撃部隊に加わり、貴様との浅い因縁のあるオボルス小隊及びG4ヴォルタ、G5イグアスの両名の役立たずと共に反乱軍に焼きを入れる簡単な仕事だ!理解したか?》
ミシガンの説明を聞いたレイヴンが取り敢えず考えた事は然り気無くイグアスとヴォルタがいると言う事実だった。
「イグア……ス……ヴォ……ルタ……いる……?」
《やはり気になるか?この役立たず共は偶然にもホロウとやらの中でグルグルと回っている所を間抜けにも回収されて来た所で再会した。まだ生意気な口を叩ける様でな。もう一度、その生意気な口を叩く二名の役立たずの顔に一発お見舞いしてこき使っている所だ。貴様も今、何をしているのか知らんが貴様にも役立たず共と共にこの愉快な遠足に出て貰う!理解したか!》
目茶苦茶に口が悪く、強引なミシガンにレイヴンは懐かしさを覚えながらも返事をする前にカルラを見る。
「どうやらあっちでは決定事項らしい……だが、レイヴン。決めるのはお前だ。お前が依頼を受けないと言うのなら何とかするつもりだがどうしたい?」
カルラのその言葉にレイヴンは頷くと返事を返した。
「依頼……引き……受ける……」
《貴様ならそう言うと分かっていた!作戦は一週間後だ!それまでに貴様の機体を調整しておけ!》
《……何だか騒がしくて済まないな。私からも以上だ。それとオボルス小隊に関しては私からよく言い聞かせておくが……君は我々を攻撃して損害を与えている。それを忘れないでくれ》
イゾルデはそう言って通信を切ったのかそれ以上の言葉は無く、残されたカルラはレイヴンに視線を向けるとレイヴンは無表情であったが何処か感情が揺れている様な気がした。
「どうした?お前の知り合いに会えて何か思う所はあるのか?」
「……何で……もない……」
レイヴンはそう言ってカルラの元へと去っていく。
その背中をカルラは見つめながら次の仕事でレイヴンに何か変化が無いか注視する事を決めるのだった。