一週間後、レイヴンはACのコックピットに乗り込みブリーフィングの画面を開いた。
《レイヴン、仕事だ。防衛軍、オボルス小隊の作戦に参加する。ブリーフィングを確認しろ》
《来たか!これより、作戦の内容を説明をする一字一句聞き漏らすな!今回、防衛軍は反乱軍の襲撃を受けた事で奴等に対し報復攻撃を行う事を決定した。場所は既に話した通り郊外と呼ばれる場所に建てられて放棄されていた旧防衛軍基地だ。反乱軍はその基地を不法占拠し、自分達の思うままの改築を施し、今ではちょっとした要塞と化しているそうだ》
ミシガンのその言葉にイゾルデが待ったを掛ける様に割り込んだ。
《ちょっとではない強固な要塞だ。奴等は基地がほぼ無傷なのを良い事に砲台や多数の機械ユニットを配備し、長らく周辺区域を実効支配してきた。郊外の走り屋と呼ばれる荒くれ者達の反抗もあったそうだが悉く返り討ちにあって今も反乱軍の主要拠点として置かれている。そこに我々から奪ったMT及びACが運ばれた。今の所は別の場所に輸送されていると言った知らせはないが我々の動きを読んでくる可能性がある以上、時間の問題だろう。それと襲撃を察知すれば残存の戦力以外にも奪ったMTやACを使ってくる可能性もある。警戒はしておいてくれ》
イゾルデはそう言い終わると溜め息を漏らした所でミシガンに戻った。
《攻撃目標は基地周辺に点在する砲台!そして奴等が防衛軍からチョロまかしたMTとACの破壊だ!既に破壊する事は防衛軍の上層部の連中が決めている。弁償など気にせずに遠慮なく粉々にしてやれ!今回の作戦には貴様のお守りとしてG4ヴォルタとG5イグアスの2名の役立たず共が出撃する!》
《我々、防衛軍からは事前に話した通りシードを除くオボルス小隊が出撃する。実力は君が戦った通り邪魔にはならない筈だ》
イゾルデがそう言い終えるとヴォルタとイグアスのAC機体、シードを除いたオボルス小隊の面々の写真が表示され、レイヴンは友軍の姿をしっかりと記憶する。
《今回の作戦において敵にとって最悪のオマケである貴様には再びコールサイン、G13を貸与する!G13、復唱!》
「がん‥…ず……さー……てぃーん……」
レイヴンがG13と復唱するとミシガンは満足そうにする様子が見えた。
《復唱したか?では準備を始めろ!愉快な遠足の始まりだ!》
ミシガンのその一言でブリーフィングは終わり、レイヴンは問題が無いかチェックをし終えると出撃の準備をする。
《G13……か……不吉な数字だがそれはお前自身かはたまた反乱軍にか……何れにしても災いが誰にもたらされるのかはこの依頼でハッキリするだろう》
カルラのその言葉が終わると同時にレイヴンは出撃するのだった。
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レイヴンは新エリー都の外である郊外の砂漠の空を飛んで反乱軍の基地へ向かっていた。
暫く空を飛んでいた時、規模の大きい建物を見つけ、降りた所でレイヴンの側に二機のAC、G4ヴォルタのキャノンヘッドとG5イグアスのヘッドブリンガーもやって来た。
《……ちッ。ミシガンから聞いていたが本当に野良犬がいやがったぜ。あの時にくたばっと思ったんだがな》
イグアスからの早速の悪態である。
レイヴンはイグアスの悪態には慣れっこなので特に怒りはしない。
《らしいな。久しぶりと言った所か?聞いたぜ。俺がくたばった後で壁超えを成功させたんだってな?やるじゃねぇか。それにデカいワームみたいなバケモンもやったって?俺がくたばってからお前、色々やってるじゃねぇか》
ヴォルタはルビコン解放戦線の要塞拠点である通称、壁で戦死している。
その後に起きた戦いについてはヴォルタは無知と言ってもいい状態なのは確かで恐らく大体の事はミシガン達から聞いたのだと思われる。
《こんな辺鄙な所まで飛ばされた挙げ句、また野良犬と組む羽目になるとはな。それでオボルス小隊って奴等は何処だ?》
《さぁな。俺達が速すぎたんじゃねぇのか?》
ヴォルタがそう言った時、そこへタイミング良くシードを除いたオボルス小隊が到着した。
『オボルス小隊、現着した。お前達がヴォルタとイグアスか?』
《あ?話し聞いてねぇのかよ。それともテメェらはブリーフィングを確認しねぇで仕事をするのか?》
オボルス小隊の隊長である鬼火のその言葉が気に食わなかったのかイグアスが突っ掛かり、鬼火もムッとし始めた。
『貴様らの中身までは確認してないものでな。万が一にでも中身が入れ替わっていたら作戦も何もないからな』
《俺が機体を奪われるヘマをすると思ってんのかこいつ?頭も小さかったらオツムも小せぇんじゃねぇのか?》
「うわぁ……柄が悪いでありますぅ……鬼火隊長、どうどう」
イグアスの喧嘩腰の言葉に鬼火がイラつき、オルペウスが止めに入る。
《その辺にしとけよイグアス。仕事に差し支えるぞ?》
「そうですね。今回の我々は味方同士。此処で仲間割れをするのは敵に塩を送る行為同然です」
イグアスと鬼火の喧嘩に流石に見かねたヴォルタとトリガーが仲裁に入るとイグアスと鬼火は互いにそっぽを向いてその場は収まった。
そんな光景を黙ってみていたレイヴンの前に鬼火とオルペウスが来た。
「よ、よろしくお願いしますであります!私はオルペウスと言うであります。それと鬼火隊長であります」
『ふん!私は貴様を信用してはいない』
「お、鬼火隊長!イゾルデ大佐からキツく!キツーく言われたではありませんか!過去の禍根は一旦は置いといて友軍として共に行動する様にと!」
『そんな事は分かっている。だが!つい最近まで敵として現れて次は味方になるだと?信用など出来ると思うのか!?……だが、任務は任務だ。貴様は友軍として扱うがおかしな真似をするなら容赦はしないからな』
鬼火のその言葉にレイヴンは沈黙を貫いていた時、今回の作戦メンバーの通信に大きな声が響いた。
《貴様ら!交流会を楽しんでいる様だな?そんな暇があるのならサッさと動け!馬鹿者共!》
《全員揃っているな?……では、作戦を開始せよ。制圧までは望まない。確実にターゲットのみを破壊しろ》
ミシガンとイゾルデの両名からの命令に鬼火は指示を出した。
『作戦開始!砲台からの攻撃を警戒して突き進め!』
鬼火のその指示が発せられると同時にオボルス小隊は平時から戦時の顔になり、反乱軍基地に向かっていく。
《良い顔をしてやがるな。若い女しかいないと見くびってたがな》
《ヴォルタ!年齢や性別なんぞ戦場では関係ない!ごちゃごちゃ言う暇があるのなら貴様らもサッさと突入しろ役立たず共!》
《通信越しで怒鳴るなよ……たく……行くぞヴォルタ!》
イグアスはそう悪態をつきながらブースターで勢いよく進み、ヴォルタも同じくブースターで反乱軍基地へ突入する。
レイヴンも二人に続くべく、ブースターを使い、反乱軍基地へと突入、オボルス小隊とヴォルタ、イグアスの面々を抜かしていくとPB-033M ASHMEADの一撃で砲台の一つを破壊した。
《テメェ!早速、抜け駆けかよ!》
《ハッハハ!気合いが入ってるな!》
イグアスが文句を言い、ヴォルタがレイヴンの最初の一撃を笑った所で流石に襲撃を知られ、反乱軍の傍受された通信から混乱した様な声が響く。
《て、敵襲!砲台の一つがやられた!戦闘態勢を取れ!》
その言葉が終わると同時に基地内のアラームが鳴り響き、武装した反乱軍が現れた。
こうしてオボルス小隊、レイヴン、イグアス、ヴォルタと反乱軍の戦闘が此処に開戦した。