レイヴンとターニッシュの戦闘が開始された。
互いに距離を詰め、射程内に入った所でターニッシュの二丁44-142 KRSVの連射がレイヴンを襲う。
二丁にした事で素早い連射を行うターニッシュにレイヴンはブースターを使って上手く避けつつRF-025 SCUDDERで狙いを付けて引き金を引く。
鈍い連射音と共に撃ち出される弾丸にターニッシュは重量のある機体とは思えない速さで避け、44-142 KRSVでレイヴンを牽制しつつVvc-70VPMのプラズマミサイルを放った。
レイヴンは放たれたプラズマミサイルを避けて隙を伺う。
相手は射撃に特化したAC。
接近戦を仕掛ければ逃げるのは明白だ。
だが、裏を返せば弾薬切れになればそれまでであり、44-142 KRSVは一度オーバーヒートすれば次に撃つまで時間がかなり掛かる。
Vvc-70VPMも一度撃てばそれなりに再装填まで時間が掛かり、レイヴンはその隙を狙って飛び込む事を狙った。
ターニッシュの猛攻が続く中、二丁の44-142 KRSVがオーバーヒートをしたのを目にしたレイヴンはブースターで素早く懐に飛び込む。
だが、そこでターニッシュもブースターでレイヴンへと飛び込み、レイヴンは一瞬、反応が遅れた隙を突いてターニッシュの四脚の回転蹴りが放たれた。
レイヴンは咄嗟に避けるが一瞬の隙によって装備されていたPB-033M ASHMEADに当たり、損傷してしまった。
《PB-033M ASHMEAD、損傷!》
フリージアが損傷の報告を行い、レイヴンはPB-033M ASHMEADの損傷具合を見るとバチバチッと壊れていた。
《まだ使えるかレイヴン?》
カルラのその言葉にレイヴンは無言で返すとカルラは指示を出す。
《使えないならパージしろ。持っているだけで重みになる》
カルラのその言葉を聞き、レイヴンは損傷したPB-033M ASHMEADを捨て、RF-025 SCUDDERでターニッシュを狙う。
放たれた銃弾は正確にターニッシュを捉え、何発か被弾させながら左の44-142 KRSVを損傷させた。
ターニッシュは損傷した左の44-142 KRSVを見た後、そのままレイヴンの様に投げて捨て、戦闘を続行する。
互いに一つの武器を失い、泥試合の様に戦闘が長引いた。
レイヴンは圧倒的な火力を持つPB-033M ASHMEADが無くなった事でターニッシュに致命的な一撃を与える事が困難になり、レイヴンは決定打を探す中、ターニッシュは残った44-142 KRSVのフルチャージのビームをレイヴンに狙って撃った。
強力なビームが放たれ、レイヴンはブースターを使って避けながらターニッシュの懐に今度こそ入り込むとPB-033M ASHMEADを失った左腕でターニッシュの機体の頭を掴むとそのままブースターをフル稼動でスピードを上げて壁に衝突した。
一枚、二枚と突き破りながらターニッシュに壁を押し当て行き、建物を突き破る様に外に出た。
レイヴンはターニッシュを放すとターニッシュは勢いを殺しきれず地面を滑る様に転がりつつ、素早く体勢を立て直して44-142 KRSVを向けたがレイヴンが持っていたRF-025 SCUDDERがターニッシュの眼前に飛んで来ていた。
レイヴンがRF-025 SCUDDERを投げた理由。
それは単純に弾切れだったから仕方なく投げただけだ。
だが突然、武器を投げてきたレイヴンの動きにターニッシュは驚いて固まってしまい、そのままRF-025 SCUDDERに当たってしまい地面に倒れ伏せた。
レイヴンはその隙を逃さずターニッシュの機体にのし掛かる様に降りると空いてしまった二つの腕でタコ殴りする。
激しい金属音が響き、レイヴンの機体の腕も無事では済まなくなってくるがレイヴンはお構いなしにターニッシュの機体を殴り続けていると。
《機体を捨てて離脱しろターニッシュ!早くしろ!》
《……了解。離脱を試みる》
傍受された通信から相手がターニッシュに離脱を促し、ターニッシュも了解した事で脱出レバーが引かれた。
ターニッシュを乗せたコックピットは機体を捨てて脱出し、そのまま離脱。
レイヴンはそれを見て追撃を試みようか考えたが武器を二つも失った事を考慮して断念した。
《懸命な判断だレイヴン。流石に疲弊した状態での追撃は得策ではない。それに目的のMTやACの半数は破壊。後は離脱した。これ以上は防衛軍のツケを支払う事はない。 帰還しろレイヴン》
カルラに促され、レイヴンは離脱を開始する。
その途中、レイヴンはヴォルタとイグアス、オボルス小隊と合流した。
《よぉ、野良犬。珍しく苦戦したんだって?》
《相当な手練れだったのか?壁超えを苦労させるとはなぁ》
イグアスとヴォルタの言葉を聞きながらレイヴンは近くを見ると二機のACが破壊された状態で転がっていた。
《こいつらか?反乱軍が雇った独立傭兵だろうよ。俺達がいるんだ。他がいない訳がないだろう?》
《たく……手こずらせやがって……おかげで修理代が嵩むぜ。ミシガンの奴にどやされるのは俺達なんだぞ》
レイヴンは二人の言葉が耳に入らなかった。
独立傭兵。
それだけなら特別なものではない。
だが、レイヴンの脳内には一つの可能性が生まれた。
ミシガンやヴォルタ、イグアス達がいるのなら他のレッドガンもいる筈。
RaD……そしてアーキバスも例外ではない筈。
奴等がいる……いるなら消す。
アーキバス……正確にはそれを率いていたスネイルを……!
レイヴンは自分からウォルターを奪ったスネイルへの憎悪を膨らませていた時。
《G13!聞こえていないのか貴様!》
レイヴンはミシガンの怒鳴る声を聞き、我に帰った。
《帰るまでが遠足だぞ!腑抜けていないで戻ってこい!》
ミシガンのその言葉で完全に我に帰ったレイヴンの元にイゾルデからの通信が来た。
《作戦は終了した。レイヴン、よくやってくれた。防衛軍を代表して礼を言おう。今回ばかりは君やレッドガンがいなければ厳しい戦いになっていた事とオボルスにも良い経験を得られた。報酬も正当に支払われる様に私が責任を持って取り計らおう》
イゾルデのその言葉で戦闘は完全に終了、レイヴン達は全員その場から撤退した。
その頃、レイヴンとの戦闘で離脱したターニッシュの周りを囲む様に作業する白衣の者達と武装した兵士達がいた。
「我が機関の傑作であるターニッシュを退けるとはな……噂に違わぬ実力だなレイヴンと言う傭兵は」
「おかげで良いデータが取れました。他の二人。独立傭兵と名乗ったあの者達はレッドガンなる者達と交戦して戦死しましたが」
白衣の女がそう冷たく言うと白衣の男は鼻で笑う。
「アレは使い捨ての駒として雇っただけだ。アレらよりも優れた傭兵がいる。それは予想範囲内だ。だが、あのレイヴンと言う傭兵は郡を抜いている。また近い内に利用させて貰おうでないか。我々の計画の為にもな」
白衣の男はそう言って端末を切った所で切り離されたコックピットから引き摺り出される様に出された少女を冷たくも興奮した目で見る。
「ターニッシュ。君にはもう少し頑張って貰うぞ?その為に出来損ないのシルバーであった君をわざわざ使ってやっているのだ。帰還次第、調整だ。分かったか?」
「……了解」
白衣の男のその言葉に少女、ターニッシュは反論も何もなく機械的に返事をするのだった。