防衛軍からの依頼を終えたレイヴンは困っていた。
「武器を無くしたと?うーん……一応、解析して設計図は作っていますけど一から作ればそれなりに時間が掛かりますよ?他に武器が無いなら休業でもしてくださいね」
そんな風に光明に言われ武装が整わない内での仕事を控えるしか出来なかった。
「レイヴン。私としても現存の武装だけでは心許ないと考えている。何とか他に調達出来ないか当たってみるつもりだ。だから今は休め」
カルラにそう言われレイヴンはしょぼんとした様子で部屋のソファーに座ってボーとしているとフリージアに声を掛けられた。
「レイヴンさん。折角のお休みですし、遊びに行きませんか?」
「遊び……に……?」
「そうです。仕事仕事じゃ気が滅入りますし、気に入った娯楽とか見つけましょう。分からない事があっても私が色々と教えますから行きましょう」
フリージアはそう言って笑顔で手を差し出すとレイヴンは少し躊躇しつつもフリージアのその手を取った。
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フリージアに連れられてきたレイヴンが訪れた場所は新エリー都のルミナススクエアと呼ばれる地区だった。
大きな交差点や多くの店やビルが立ち並ぶ街並みにレイヴンはキョロキョロと辺りを見渡す。
「折角の休日ですからね。どんな所に行ってみたいとかありますか?」
「……わか……ら……ない……」
「そうですか……なら、お洋服とか見に行きましょう!」
フリージアはそう言ってレイヴンの手を引いてルミナススクエアで一番大きな店であるルミナモールへと入った。
そこでフリージアがレイヴンの服を着せかえたりして色々の試したりした。
「何れも可愛いですね~。何か気に入った服は……あれ?」
フリージアが新しい服を持ってきて戻ると更衣室の前でいつものパイロットスーツとジャケットの組み合わせの服装のレイヴンがいた。
「つか……れた……服は……もう……良い……」
「そうですか……」
明らかにもう嫌だと言わんばかりに首を横に震るレイヴンにフリージアは残念そうにシュンとして服選びは終わった。
そこから色々な店を回った。
美味しいティーミルク屋のリチャード・ティーミルクや綺麗な花を咲かせる花屋の朝霧、変わった取引を行うSan-Z Studiと色々な店を回る二人はやがてルミナススクエアを抜け出して電車に乗り、六分街へとやって来た。
六分街はルミナススクエアとは違って広くはなく、店も小さなものばかりだとレイヴンの最初の印象だった。
「此処はルミナススクエアよりも賑やかではないですがとても良い街なんですよ。掘り出し物があったり、ゲーム屋やカフェがあったり、ラーメン屋や珍しいビデオ屋もあるんですよ」
フリージアは楽しげに話ながら歩き六分街のビデオ屋、Random_Prayと言う店の前へと来た所でフリージアが立ち止まった。
「すみません。電話が……先に店に入っててください」
フリージアはそう言ってスマホを手に離れた。
レイヴンは言われた通り店に入るとそこには色々な作品のビデオが陳列しており、店にある作品だけでも何日も費やして見なければ終わらないと言うのが分かる程に豊富なバリエーションだとレイヴンでも分かった。
「ンナンナ〜(いらっしゃいませ~)」
レジの近くにはオレンジの数字の入ったバンダナを巻いたボンプが店番をしており、レイヴンは出迎えを受けながら店の奥へ入る。
サスペンス、コメディ、ホラー、アクションと色々なジャンルがある。
レイヴンは棚にあるビデオのタイトルを読みながら店を歩いていると一つのタイトルの書かれたビデオを見つけた。
【RAVEN】
そう書かれたビデオだった。
レイヴンは箱を手に取って確認するとビデオのイラストにはカラスのマークとACとよく似た機械が描かれており、レイヴンは興味を抱きながら見ていた時だった。
「あ、いらっしゃい!ビデオをお探しですか?」
レイヴンはその声に振り替えるとNの髪留めをした青い髪の笑顔の女性が奥の部屋から出てきていた。
その後を続く様に長身の銀髪の男性も現れ、レイヴンの元へと来た。
「あれ?そのビデオに興味があるるの?」
女性はレイヴンの手に持っているビデオの箱を見て首を傾げながら言う。
「うん……」
「随分とマイナーな作品を選ぶね。そのビデオは知る人が知る100年前の有名監督の唯一の奇作と呼ばれるものなんだ。アクションや物語はよく出来ているらしいけどあまりに現実離れした戦闘シーンは子供が考えた様なものだって酷評されたものなんだ」
「映画好きなら一度は見る作品だけど流石に先が見えないくらいの数のエーテリアスを一騎で迎撃してホロウまで消滅させたなんて虚狩りじゃないんだからって思ったんだよね~。あ、ごめん!ついネタバレしそうになっちゃった……」
女性は申し訳なさそうに言うとレイヴンは首を横に振って平気だと示すと男性はレイヴンからビデオの箱を受け取ると顔をしかめた。
「うん?残念だけどお客さん。このビデオは既に誰かが借りている様だ」
「え?あ、本当だ。入れてた箱だけしかないや。残念だけどこのビデオは訳あり過ぎてとーても希少価値が高いからこの一本しか無いんだよね。ごめんね」
「うん‥…見てた……だけ……だ……から……良い……」
レイヴンはそう言って不意に窓越しから店の外を見るとフリージアがこそこそと手招きしているのが見え、レイヴンは二人に視線を向け直した。
「そろそろ……行く……また……ね……」
「またの来店をお待ちしてますね」
「次に来る時までこのビデオを取っておくよ。帰ってきてからの話になるけどね」
二人からそう言われてレイヴンは頷くとそのまま店を後にする。
残された二人、アキラとリンはレイヴンの背中を見送ってから空のビデオの箱を元に戻した。
「変わったお客さんだったねお兄ちゃん」
「そうだね……リン。彼女とは何処かで会った気がしないかい?」
「どうしたのお兄ちゃん?急にそんな……ま、まさかお兄ちゃんの初恋相手だったとか!?」
「違うよリン。そもそもそんな経験なんてした事がないよ。ただ……初めて会った気がしない……そんな気がするんだ」
アキラはそう言って棚に戻したRAVENと言うタイトルのビデオに視線を向ける。
「旧都陥落の時に見たあの機械人……彼、或いは彼女は何処へ消えたのだろうか……」
アキラはそう言って妹のリンと共に過去に見た空を駆けた機械人を思いながら仕事に戻った。