新エリー都を翔ぶ黒き鳥   作:独立傭兵ピヨピヨ

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調教師と猟犬

ハンドラーと言うプロキシと名乗ったカルラ・ディーヴィス。

 

レイヴンはハンドラーと言う名を聞いてルビコンに残したウォルターの事を思い、そして痛みながらカルラに問う。

 

「何で……私を……助けたの……?」

 

「そうだな……答えは単純だ……ホロウの探索を可能とするエージェントの直属としてのスカウト。そして興味だ。お前は強さを示した。ホロウでの活動を見ても適正もあると見れば十分な人材だ。興味はこの新エリー都を守る防衛軍に無い機械。そうお前の機体だ」

 

カルラはそう言ってレイヴンのACを指差す。

 

「有人機は防衛軍にもあるが明らかに技術的な面が違う。殆どが無人を想定されていておまけ次いでに付けられている様なものではなく、有人を想定して作られていてこの都市には無い技術もありそうだ。……それが他の勢力。強いては貪欲な権力者の元の手に渡るのは避けたいだろ?」

 

レイヴンはそれを聞いてルビコンで活動していた企業を思い出す。

 

アーキバスやベイラムと言った星外企業はルビコンにあるコーラルの独占を巡って他の企業やルビコン解放戦線との激しい抗争を繰り広げていた。

 

利益の独占の為なら本腰を入れた惑星封鎖機構にすら戦いを仕掛けるあたりその貪欲さは目に余る所も多かった。

 

星外企業の貪欲さの為に下にいる者達の多くは命を散らしたのだから。

 

「私としては出来ればそんな奴らに知られる前に此方側に来て欲しい。衣食住は保証するし、新エリー都での身分も用意するつもりだ。ボンプを知らない時点でこの街での身分すら無いだろ?お前にとってメリットはある話だ。どうする?」

 

カルラの誘いにレイヴンは無言を貫く。

 

ルビコンでの戦いは終わり、恩人も友人達も全て失った。

 

もはや自分が生きる理由すら無くしたレイヴンはACで首を横に振る仕草を見せた。

 

「断るのか?」

 

「私は……もう……生きるつもり……は……ない……全部……失くした……大切な……全て……を……燃やし……尽くした……生きる……意味なんて……無い……」

 

レイヴンは悲しげにそう告げてコックピットを開くとクロスケを両手で抱えながら姿を見せた。

 

カルラの目にACのパイロットであるレイヴンの姿が写った。

 

白い髪に黒い瞳。

 

黒と白のパイロットスーツを着込み、右の頬にC4-621と薄い赤で書かれている少女。

 

カルラはその姿を静かに見つめた後、軽く溜め息をつくと。

 

「生きる意味なんて無い?馬鹿を言うな。お前の事情なんて知らないがそれはお前の事を思ってくれていた者達への侮辱だ」

 

「貴方に……何が分かる……の……?」

 

カルラの言葉にレイヴンは表情は変わらないが怒りを含む声を見せた。

 

「私は……救い……出してくれ……た……恩人を捨てて……友人……だった人達……を……殺した……それなのに……今更……生きて何の……意味がある……の……?」

 

レイヴンは表情を変えず、燃え残る怒り、残された絶望を感じながらそう言うとハンドラーは手を差し出した。

 

「なら……私が意味を与えてやる」

 

『621……お前に意味を与えてやる』

 

ハンドラーのその言葉はかつて、ウォルターの言ってくれた言葉と重なった。

 

お前に意味を与えてやる。

 

その言葉こそがC4-621の止まった時を動かした言葉だった。

 

「意味を失くしたのなら私が与えてやる。だから……私の猟犬になれ」

 

ハンドラーのその言葉にレイヴンは迷いを見せるがコックピットから降り、ハンドラーの前に立つとその手を静かに取った。

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