機体整備を終え、レイヴンは新たな仕事に着く事となった。
《レイヴン、仕事だ。反乱軍からの暗号化依頼が届いた》
《初めましてレイヴン。私は反乱軍、エレフテリア大隊の指揮官、リュトロテスだ。君の評判はよく聞いている。かなりの腕前らしいな。世間話に興じても構わないが今は仕事の話をしよう。単刀直入に言う。我々の宿敵である防衛軍がホロウで数多く確保した人型兵器の一機を運用可能レベルまで修復し、運用試験を行うと我々の密偵から情報を送られた》
リュトロテスのその言葉が終わると同時にレイヴンの前に幾つもの写真が写し出される。
そこに写っているのは明らかにACで機体種別はAH-J-124 BASHO。
BASHO製の無骨な機体でルビコン解放戦線の人間がよく使っていたのをレイヴンは思い返す。
《ターゲットはACと呼ばれている。性能がどの程度のものかは分からない。だが、防衛軍がわざわざ確保し、運用試験を行う程の価値はあると言う時点で我々にとっての驚異になりえる可能性がある。……そこでだレイヴン。君にはこの機体を破壊してもらいたい。防衛軍の部隊が護衛していると思われるが試験を行う場所はホロウの中だ。場合によっては相手を孤立させる事も出来る。我々が防衛軍の護衛部隊を引き付け、君がターゲットの排除を行う。単純な作戦だが確実に遂行し、勝利を掴む。それが我々のやり方だ。良い成果を期待する》
ブリーフィングは終わり、レイヴンは出撃の用意をしていく。
《MTの他にお前の乗る様なAC機体も存在するとはな……レイヴン。言うまでもないが油断するな》
カルラのその言葉が終わると同時に出撃の用意が整った。
レイヴンは今回の相手となる防衛軍が試験運用を行うACを破壊すべく飛び立つのだった。
________
______
___
レイヴンは目標がいるホロウに突入し、進んでいると防衛軍の傍受された通信が響いた。
《緊急事態発生!緊急事態発生!此方、ローレスト小隊!現在、反乱軍の部隊と思われる敵と交戦中!至急、応援を求める!》
《此方、司令部。了解した。応援が来るまで持ち堪えろ。試験機の守りも忘れるな》
防衛軍側の通信からエレフテリア大隊の陽動作戦が始まったらしく、通信越しから銃声や爆発音が聞こえてくる。
《エレフテリア大隊が陽動作戦を開始した。陽動は長くは続かない。陽動が終わるまでに見つけ次第、破壊しろ》
カルラの指示を聞き、レイヴンは戦場を掛けていると広い敷地の真ん中で立ち尽くしている目標のACがいた。
《いたぞ。どうやら上手く孤立した様だな。好機を逃すなレイヴン》
カルラのその言葉にレイヴンはACの破壊を行うべくRF-025 SCUDDERを発砲した時だった。
《ひゃあッ!?な、何ですか!?まさか反乱軍の攻撃!?》
通信越しから響く声と共にACが動き、ぎこちなく横に避けた。
明らかに人が乗っており、乗った状態で待機させられていたのは明白だった。
《人が乗っていたのか……構うなレイヴン。破壊を継続しろ》
レイヴンは分かっているとばかりに攻撃を続ける。
《あ、貴方はまさか……!防衛軍にまで手を出すなんて何て命知らずなんですか!》
ACに乗ってぎこちなく操縦する防衛軍の兵士はそう言って装備されていたMG-014 LUDLOWをレイヴンに向けて撃ってきた。
連射力の高いマシンガンであるMG-014 LUDLOWの攻撃をレイヴンは慣れた動きで避け、RF-025 SCUDDERやBML-G2/P03MLT-06で撃ち返す。
レイヴンの攻撃を受け、防衛軍のACはまともに攻撃を受けるも機体の従来の頑丈さから持ちこたえている。
《な、何か他に装備は!》
防衛軍の兵士は慣れないAC戦に加え、武装不足と言う弱点を去らした。
これではMTと変わらない。
レイヴンはその弱点を見逃さず、攻撃を叩き込み、体勢を崩させると一気に突っ込む。
《こ、来ないで!》
最後の抵抗なのだろうかACの拳で殴りろうと振りかぶった防衛軍の兵士は大きく空振りし、余計に隙を見せた。
レイヴンは哀れとも罪悪感とも何も感ずに目の前の敵を処理する様にトドメのPB-033M ASHMEADの一撃を叩き込んだ。
PB-033M ASHMEADの一撃は防衛軍のACの装甲を突き破り、火花を散らす。
《い、嫌だ……死にたく……ない……私には……お母さぁーん!!》
防衛軍の兵士は最後に母親の事を叫んだ後、ACの爆発に巻き込まれたのかその通信を最後に何も言わなくなった。
《敵ACを撃破。これで……》
《ハンドラー!レイヴンさんの元に急速に接近する反応を確認しました!》
《なに?》
フリージアのその知らせを聞いたカルラは敵かと考えた時、ACを破壊し終えたレイヴンの元に四人の人物が現れた。
「お、鬼火隊長……!」
『……遅かった様だな。あの様子では助かりはしないだろう』
レイヴンの目の前にいる者達は防衛軍なのかレイヴンを前にして油断なく身構えている。
「あれって僕達が幾つか拾ったACって言う機械だよね?反乱軍も使ってるの?」
「一先ずはそう判断しましょう。どうやら今は反乱軍側の様ですので」
「かなりの手練れね。油断は禁物よ」
銀髪のサイドテールの兵士が締め括ると鉈らしき武器に手を掛け、他の者達も武器を手にレイヴンと対峙した。
《奴らはオブシディアン大隊のオボルス小隊か……気を付けろレイヴン。奴らはごろつきや雑兵とは違うぞ》
カルラのその言葉にレイヴンは冷たい瞳を宿しながら目の前の敵、オボルス小隊との戦闘に入った。