もしもシャーレにヒモを養う適性の有る娘が応募してきたら   作:一ノ瀬 崇

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アビドス編Vol.1
一話目


 時計の短針が九時を指し、古風なチャイムがスピーカーから流れる。

 指定された時間ぴったりにドアを開け、これから長い付き合いになる執務室へと足を踏み入れた。

 

 

 “おはよう。君が応募してくれた子かな?”

 

 

 大きなデスクで書類の山と格闘していた大人の男性がこちらに気付き、片手を挙げて問い掛ける。

 若干ウェーブの掛かった短めの癖毛に、優男風の整った顔立ち。

 柔和な微笑みから滲み出る人の良さ。

 いかにも人畜無害ですといった雰囲気を纏った男性の頭上には、私達生徒と違って何も浮かんではいない。

 キヴォトスの外から来た人間、という話は本当らしい。

 

 

「はじめまして。ワイルドハント一年、脇野フミです。よろしくお願いしますね、せーんせ♡」

 “初めまして、シャーレの先生です。応募してくれてありがとう、よろしくね”

 

 

 小さく左手を振りながら笑顔を浮かべる。

 最初は丁寧に、それから少し砕けた様子で、最後は親しみを込めて。

 反応を見る限り先生は礼儀や上下関係に目くじらを立てるタイプではないらしい。

 それどころか、私に合わせて手を振り返してくれる。

 締める所は締めつつ、普段は自然体で付き合うのが好ましいのだろう。

 今後の付き合い方を考えながら、先生のデスクへとトコトコ向かう。

 改めて、すごい量の書類だ。

 電子化の波に逆らうようにこんもりと書類が積まれている。

 

 

「書類いっぱいですね。応募要項に書類仕事が得意な人大歓迎って書かれてたのはこれが理由ですか?」

 “うん、恥ずかしながら私はこれまで書類仕事っていうのに触れてこなかったから、どうしても作業効率が悪くてね。就任二日目にして早くも徹夜しちゃったよ”

 

 

 あはは、と乾いた笑いをあげる先生。

 いやいや待って欲しい。

 どこの世界に就職直後に徹夜から始まる仕事があるというのか。

 積まれた書類を上から何枚か手に取ってみる。

 シャーレとしての活動に伴う経費申請書、各学校から連邦生徒会へ向けた要望書、住民からの苦情及び要望書、各自治区から連邦生徒会へ送られてきた月次決算書の写しなどなど。

 これらが整理されず一緒くたになってデスクの一角を占領していた。

 あまりに雑多であまりに無造作だった。

 作業効率も何もあったものじゃない。

 

 

「ねね、せーんせ♡ 私ちょっと聞きたい事があるんですけど」

 “あ、うん。もちろん書類の書き方や分からない所があったらいつでも聞いてね。リンちゃんからそれぞれの書式に合わせた書き方の見本はもらってあるから”

「ううん、それはまた後でお願いします。これらの書類、どうやって送られてきたんですか?」

 

 

 私の言葉が予想外だったのか、先生はほえっ、と気の抜けた声をあげそうな顔をした。

 

 

 “ほえっ?”

 

 

 やだ本当に口に出してる。

 実は先生っておとぼけ可愛い属性だったりする?

 思いも寄らぬ反応にちょっと色々なものが刺激された。

 ニマニマと緩みそうな口元を叱咤していると、得心がいったらしく先生が口を開いた。

 

 

 “始業前に連邦生徒会の子が纏めて持ってきてくれるんだ。基本的には朝の分で終わりだけど、提出期限の短い突発的な追加書類が午後に届けられる事もこれからはあるみたいだよ”

「そうなんですね。それなら⋯⋯まずは書類の目的別仕分けから始めましょうか」

 “目的別仕分け?”

「はい。今は色んな書類がバラバラに積まれています。一つ一つ片付けるにも、処理方法が違う書類をその都度処理するのは面倒ですし時間も掛かります。なので最初に書類のジャンル分けをして、一度にそれらを纏めて処理出来るようにします。そうすれば見本を見ながら書き方を確認するのも簡単ですし、慣れて処理速度も上がっていくでしょう」

 “⋯⋯なるほど!”

 

 

 その発想は無かった、とばかりに目を輝かせる先生。

 処理マニュアルがあるとはいえ事務作業が初めての人にこんな乱雑に書類を渡したら、そりゃ徹夜作業にもなる。

 連邦生徒会の人は日頃からデスクワークに慣れているから全くの素人である先生がどんな風に作業するのかを正しく理解出来ていなかったんだろう。

 

 

「それじゃ、せんせ♡ シャーレ部員としての初めての共同作業として、デート行きましょ♡」

 “⋯⋯えっ? し、仕事は?”

「仕事ですよもちろん。仕分けした書類を入れるボックスと一目で分かるように種別を書いて貼るラベル、処理が終わった書類を纏めて提出する時のクリアファイルなどなど、必要なものを備品庫から取ってくるんです」

 “あぁ、そういう事かぁ。デートなんて言われたからびっくりしちゃったよ”

「二人でお出掛けして仲良く一緒に何かするんですから、デートと言っても差し支え無いですよね?」

 “うん、まぁ⋯⋯そう、なのかな?”

「そうなのです。さ、行きましょせーんせ♡ 備品庫までのエスコート、お願いしますね」

 

 

 私の言葉に少し困ったような、それでいてちょっと楽しそうに笑って立ち上がる先生。

 大人の男性らしく、ずいぶんと背が高く感じる。

 見上げないと目が合わない身長差。

 私達生徒とは本当に色々違うんだなぁ、と改めて認識出来た。

 ただ、他の大人と違って親しみやすさというか距離感の近さというか、纏っている空気が違う。

 その理由は、多分追々分かるようになるんだろう。

 

 

 “それじゃ行こうか、フミ。と言っても、私も来たばかりであまり詳しく覚えてはないけど”

「じゃあ探検も兼ねて、色々回って見ましょうか。逸れないように手、繋ぎます?」

 “⋯⋯だ、大丈夫だよ。多分”

 

 

 それから暫く手頃な大きさのボックスを揃えたりクリアファイルや付箋といった消耗品を持ってきたりと動き回って、なんとか目的の物が出来上がった。

 色ごとに合わせた付箋を貼り、用途別に提出書類を仕分けする専用ボックス。

 

 

「最初に書類をそれぞれの目的別、例えばこの経費申請書ならピンクのボックス。こっちの住民からの要望書はオレンジのボックスに振り分けていきます。それが終わったらボックスごと引き出して、マニュアル通りに処理していきます。終わったら反対側の処理済みボックスのクリアファイルに入れます。それぞれ調停室や防衛室や財務室に振り分けるので最終処理担当部署に向けて付箋で区切ってあげましょう」

 “おぉ! すごい、なんか事務作業のプロみたいだ⋯⋯!”

「整理整頓しておけば、後々の面倒をスキップ出来るんです。最初の一回だけ頑張っておけば楽ちんですから」

 

 

 先生がキラキラした目を向けてくるので、薄い胸を張ってドヤ顔をしてみる。

 やった事はそんなにすごくも無い、事務作業が得意な人なら最初に手を付ける初歩的な作業。

 それでもここまで喜ばれるとなんだかくすぐったい気分にもなる。

 

 

「まぁ連邦生徒会が全部電子化してくれたら要らない作業なんですけどね、全部」

 “そこは、ほら。導入コストとか”

「紙媒体で物理的に残しておきたい資料とかなら分かるんですけどね。月次決算書の写しとか既にコピーされた情報なんですからそれこそデータで良いと思います。⋯⋯まぁ文句言ってても仕方ないですし、一緒にパパっと終わらせちゃいましょ、せんせ♡」

 “うん、頑張って片付けよう!”

 

 

 そこからはひたすら書類とにらめっこ。

 書式に適した入力がされているか、書き損じや辻褄の合わない箇所は無いかを確認して、大丈夫ならボックスへ。

 先生のサインが必要なものは纏めておいて後で持っていく。

 シャーレの確認ならサインじゃなくてハンコでも良いよねと思いつつクリアファイルをごそごそ。

 

 

 “んぁぁ~⋯⋯っ”

 

 

 書類仕事に慣れていない先生は時々大きく伸びをしたり肩を回して小さく休憩している。

 まるでテスト前の学生みたいな仕草で、ちょっと微笑ましい。

 私も昔は集中力が途切れる事が多かったから気持ちはとてもよく分かる。

 そんな時は短時間のリフレッシュが効果的。

 眉間に皺を寄せてむむむーっと書類を覗き込む先生に一つ微笑みを残して、静かに部屋の奥の給湯室へ。

 目当てのものを見付けて数分。

 私はトレイにマグカップを二つ載せて先生の元へ戻る。

 

 

「せーんせ♡ コーヒーでも飲んで一息つきましょ?」

 “ありがとう、フミ”

 

 

 給湯室にあったインスタントのコーヒーを淹れて持っていくと、先生はほにゃっと可愛らしく笑う。

 男の人に可愛いという表現はアレかもしれないけど、なんだかこう、良い。

 会ってまだ数時間だというのに、もう絆されてしまったのか。

 

 

「実はチョロインだったのかもしれない」

 “チョロイン?”

「せんせーに好感を抱いたって事です。相性が良いのかもしれませんねー?」

 “あはは、そうだったら嬉しいね。フミはシャーレにフォームから応募してくれた第一号の生徒だから、長い付き合いになると思うし”

「末永く〜、ってやつですか?」

 “⋯⋯そこまでは言ってないかな!”

「にしし、それはこれからの付き合い次第ですね♡」

 

 

 そんな風に先生を弄りつつ、再び書類との格闘へ。

 途中で一階のエンジェル24へお昼ご飯を買いに行ったり休憩と称してキャスター付きの椅子に乗ってロッカーにぶつかるかギリギリまで迫るチキンレースをしたり。

 賑やかに楽しみながら書類を片付けていき、最後の書類をクリアファイルに収納する。

 

 

 “終わったー!”

「お疲れ様、せーんせ♡」

 

 

 仲良くハイタッチを決める。

 シャーレの窓から見える景色は、ギリギリ夕暮れ時と言える程度には太陽の明かりが残っていた。

 

 

 “こんなに早く書類が片付くなんて⋯⋯!”

「せんせーが頑張ったからですよ♡ えらいえらい♡」

 “フミのお陰だよ、ありがとう”

「どういたしまして♡」

 “今日はぐっすり眠れそう⋯⋯”

 

 

 書類もなくなりすっかり広くなったデスクにぐてーっと身を投げ出す先生。

 その仕草が微笑ましくて、思わず笑みが溢れる。

 庇護欲をそそるというかお世話したくなるというか、立派な大人なのにどこか可愛らしい。

 カッコイイよりもちょっとダメっぽいのが、なんかこう、良い。

 

 

「そのまま寝たら風邪引きますよ?」

 “流石に今日はちゃんと帰るよ”

「徹夜って言ってましたもんね。そう言えば終わった書類の回収はどうなってますか?」

 “明日の朝、処理する書類と入れ替わりで持って帰ってくれるんだ。だからこのままで大丈夫だよ”

 

 

 倒れ伏したまま返事をする先生。

 肉体的な疲労もそうだけど、慣れない仕事に摩耗したのか朝よりふにゃふにゃしてる。

 背後に回り込んで肩の筋肉をぐいっと押し込んでみると、面白い声が上がった。

 

 

 “おぁあぁぁ〜~~っ”

「凝ってますねぇ、せんせ♡」

 “あー、そこそこ⋯⋯んあぁぁ〜~”

 

 

 昔デパートのおもちゃ売り場にあった、押すと声が出るペロロ人形みたい。

 面白くなってついつい色んな背中のツボを押したり揉んだりしてみる。

 

 

 “そこはちょっとくすぐったいかな?”

「ここは肝臓に効くやつです。お酒はあまり呑まないんですか?」

 “そうだね、たまに付き合いで呑むくらいかな⋯⋯あたたたた!?”

 「ここは腎臓に効くやつです。お昼もカップ麺でしたけど、塩分過多になってませんか?」

 “いたたた⋯⋯そうだね、外食とかレトルトとか簡単に済ませる事が多いからあぁぁぁぁ!”

「ここは人体の急所です」

 “急所!? 急所ナンデ!?”

「半分は冗談ですよ、本当は生殖器回りに効くやつです」

“た、確かに急所ではある⋯⋯いたたた! フ、フミさん? その辺で⋯⋯!”

「にしし、せんせーには元気になって欲しいですから♡」

 “意味深!”

 

 

 じゃれ合って私が満足した頃には、先生はぐったりヨボヨボな顔をしていた。

 やだもう可愛い。

 でも立ち上がるとおやっと首を捻り、軽く背伸びしたり腰を回したりして何かを確かめている。

 

 

 “⋯⋯身体が軽い!”

「簡単なマッサージだから寝てる間に効果は感じられなくなっちゃうと思いますけど、気分良く眠るにはちょうど良いかと」

 “ありがとうフミ! なんか、こう⋯⋯負ける気がしないよ!”

 「それは色んな意味でフラグになっちゃうからダーメ♡」

 

 

 色々と不味そうなセリフを言う先生に、口元で両人差し指を交差させてバッテンマークを作る。

 着任早々縁起でもない。

 スキップでも踏みそうな先生を落ち着かせてマグカップを洗いに給湯室へ。

 洗いながら視線を向けた先にあるのは真新しい食器棚。

 幾つも同じデザインのものが置かれている。

 

 

「⋯⋯折角だし、専用のマグカップを持ってくるのも良いかも」

 

 

 長い付き合いになりそうだし。

 特に深い理由もなく上機嫌になりながら洗い物を終えて先生の所へ戻る。

 

 

「おまたせしました」

 “ううん、片付け任せちゃってごめんね”

「いえいえ、お気になさらず。せんせーのサポートが私の仕事になりますから」

 “明日からは当番制度も始まるし、フミの負担も少し減ると思う”

「それならもっとせんせーのお世話が出来ますね?」

 “あはは⋯⋯お手柔らかにね”

 

 

 苦笑する先生だけど、私の予感はダメそうって反応してる。

 きっとお昼どころか毎食カップ麺やおにぎりで済ませて、徹夜しながらエナジードリンクを飲んで無理矢理働いて仕事をこなす。

 そんなイメージが脳裏にすっと浮かんできてる。

 目の下が隈で黒ずんでる先生も悪くはないけど、しっかり休んでもらった方が良い。

 

 

「平日は一緒にお仕事手伝うので、土日は徹夜せずしっかり休んでくださいね」

 “うん。フミは土日はお休みなんだよね?”

「ええ、完全週休二日制ですね」

 “良いねぇ⋯⋯”

「土日祝日は官公署もお休みですし、月曜日に纏めて作業を片付けるつもりで置いといて大丈夫ですよ。逆にお仕事を残さないようにしようと徹夜なんてしちゃダメですからね?」

 “ハハハ、ソンナ事シナイヨー”

 

 

 図星を突かれたからか下手っぴな口笛を吹く先生。

 まぁ今日は火曜日だし、水木金で残業したらメッとじっくり教えたらいいかな。

 先生に働き方を教えるっていうのもなんだか面白い話だけど。

 ともあれ今日のお仕事も終わって、後は電車で帰るだけ。

 執務室の電気を落としてドアの外へ。

 ホルスターとリボルバー二丁を執務室入口横のロッカーから回収し、腰に着けて準備おっけー。

 今日は持ってくる荷物も無かったけど明日からは小さいリュックでも背負ってこようかな、なんて考えた所で先生が視線を向けているのに気付いた。

 

 

「どうしました?」

 “あぁ、うん⋯⋯ここ、キヴォトスの外では本物の銃を見る事は無かったから、なんだか不思議というか⋯⋯まだちょっと、現実感が無くて”

 

 

 その言葉に、私の目がぱちくりと開く。

 銃を見る事が無い?

 いったいそれは、どんな世界なのだろう。

 詳しく聞いてみればキヴォトスの外──先生が居た所はまるで御伽噺の世界のような、ひどく静かな世界だったらしい。

 銃撃戦は遠い外国か物語の中でしかなく、一般人はそもそも所持が禁止。

 肉体強度も極めて低く、一番口径の小さなハンドガンで撃たれただけで重傷、最悪死んでしまうらしい。

 えっ、ヤバ。

 私達は撃たれても痛いで済むしグレネードの直撃を受けても気絶で済むけど、先生のような外の世界の人達は生きていれば儲けもの。

 素早い救命処置や適切な医療を受けられないと助かることは無い。

 先生と話してそれを理解した途端、急に腰のリボルバーがとても怖いものに思えてきた。

 知らずに両足がぷるぷる震えてくる。

 

 

 “フミ、大丈夫?”

「⋯⋯あは、思ったより衝撃だったみたいです」

 “驚かせちゃってごめん。でも、認識のすり合わせが出来て良かった気がするよ”

「ですね。知らずにせんせーを銃撃戦に巻き込んでたらと思うと⋯⋯あはっ、ヤバ。体温下がってきた気がします」

 “本当に大丈夫!?”

 

 

 あわあわと両手を所在なくわちゃわちゃさせる先生。

 困惑しながらも私を案じる姿に、私の奥底で火が灯った。

 

 

「──守護らねばならぬ」

 “へ?”

「安心してください。私が傍に居る限りは、せんせーに傷一つ付けさせませんので」

 

 

 決意を燃やす私に、先生は呆けた顔をする。

 ⋯⋯まぁ突然そんな事を言われたら誰だってそうなるだろう。

 それでも、私がやる事は変わらない。

 

 

「私、脇野フミが全身全霊を賭してせんせーのキヴォトスライフをサポートします!」

 “あ、うん⋯⋯ありがとう?”

「と言っても銃撃戦は得意じゃないので護衛の生徒は他に探してください。私に出来るのはデスクワークとせんせーの前で盾を構える事くらいなので」

 “十分すごいと思うよ?”

 

 

 差し当たっては自室の壁でインテリアと化している展開式の盾を使いこなせるようにしなくては。

 ふんすふんすと鼻息を荒くする私。

 そんな私を見て、先生はくすっと小さく笑って私の頭を撫でてきた。

 なんですかそんな事で落ち着きませんよもっと撫でてどうぞ。

 それから駅に向かう交差点に辿り着くまで、お互いに色々な事を話し合った。

 キヴォトスで気を付ける事、お互いの得意な事や苦手な事、好きなおにぎりの具や嫌いな食材まで本当に色々。

 取り留めのない会話を通じて先生の事が少し分かった気がする。

 

 

「それじゃせんせ、帰り道気を付けてくださいね?」

 “うん、フミもね。また明日”

「にしし、また明日、です♡」

 

 

 交差点で先生を見送ってからワイルドハントへ向かう電車が出る駅へと向かう。

 その道中でふと気付いた。

 

 

「そっか、昨日出たD.U.地区の一部地域で騒乱を起こした者は直ちに矯正局行き、って布告。あれ先生の居住エリアの安全を確保する為のだったんだ」

 

 

 腰が重い事で有名な連邦生徒会だけど、これに関しては素直に褒めても良い。

 失踪した連邦生徒会長が直接スカウトしたって聞いたけど少なくとも連邦生徒会では先生についてある程度情報が回っているらしい。

 いや、今朝の書類の山を見る限り全然周知も理解も足りてないけど。

 

 

「まぁ、その分私がお世話出来る余地が多いって事でもあるかな」

 

 

 取り敢えず部屋に戻ったら寮監隊に出す申請書を揃えて叩き付けなくてはならない。

 気まぐれと勘と気分で申し込んだ連邦捜査部シャーレへの所属願い。

 初日からこんなに楽しく刺激的な事が有るとは思わなかったけど、あの時の私の判断は間違っていないと、そう信じたくなる一日だった。

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