もしもシャーレにヒモを養う適性の有る娘が応募してきたら   作:一ノ瀬 崇

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十話目

「数日振りのミレニアムー♡」

 “思ったより色んな仕事が重なっちゃったからね。アリス達は元気でやってるかな⋯⋯?”

「お部屋も片付いてると良いですけど♡」

 “流石にまだ大丈夫じゃないかな?”

 

 

 シャーレでのお仕事を片付けて、私と先生は再びミレニアムへとやってきた。

 もちろん、恋人繋ぎにして。

 にぎにぎ♡

 最近は先生も慣れてきたのか、割と自然に手を握ってくれるようになった。

 洗脳は実に順調である。

 このまま人前でのハグからのほっぺちゅーまで自然に出来るようにラブラブ叩き込むから覚悟するよーに♡

 

 

 “今度は何も降ってこないよね?”

「幸運とかだと良いなー♡」

 “それは切実に欲しいかな!”

「またピックアップで天井叩いてましたもんね⋯⋯」

 “でも天井まで課金してもご飯のグレード落とさなくて良いのはとても助かるよね”

「普通は食費まで削らないんだゾ♡」

 “固定費以外はイケると思ってる”

「卒業したら私が養ってあげるから、それまで我慢してくださいね♡」

 “ますますフミから離れられなくなってしまう⋯⋯!”

「もっとくっついて♡ いっぱい体温交換しよ♡」

 “先生をダメ人間にしないで!? 細くて長いアレになっちゃう!”

「私の前ではダメになっても良いんですよ♡」

 “フミが同級生だったら絶対色んな意味でダメになってたと思うんだ”

 

 

 イチャイチャしながら部室棟へ辿り着き、ゲーム開発部へと足を踏み入れる。

 

 

「ノックしてもしも〜し♡」

 “してないけどね”

 

 

 カチャリと部室のドアを開けると、思ったより部室はキレイに片付いていた。

 空のペットボトルが一つゴミ袋の横に落ちている以外は、前回掃除した後とそう変わりない。

 だけど、明確に変わったものが一つあった。

 

 

「あっ!」

 

 

 喜色に満ちた声を上げ、コントローラーを置いてトコトコ近付いてくる女の子。

 彼女は両手を上に挙げて、満面の笑みを浮かべた。

 

 

「パンパカパーン♪ アリスは先生とフミの二人とエンカウントしました!」

「⋯⋯ぱんぱかぱーん♡」

 

 

 ちょっと驚いたけど、アリスちゃんに両手を合わせて同じファンファーレを奏でる。

 するとアリスちゃんはすごく嬉しそうに小さくジャンプした。

 

 

「フミはノリが良いです! 初めて一緒にパンパカパーンしてくれました!」

「あら、二人はしてくれなかったの?」

「モモイとミドリは初期パーティーですから!」

「そっかそっか♡ あれから元気してた?」

「はい! アリスはとても元気です!」

 

 

 ちょっと見ない間にすごく受け答えが可愛くなってた。

 先生は衝撃が抜け切っていないのか、目をぱちくりとさせている。

 でもアリスちゃんは期待の眼差しを向けてふんすふんすと先生を見ている。

 なのでアリスちゃんに見えないように先生を肘でつついた。

 

 

 “⋯⋯こんにちは、アリス。パンパカパーン”

「! はいっ、こんにちは! 先生もパンパカパーンしてくれました!」

 

 

 嬉しそうにぴょんぴょん跳ねるアリスちゃん。

 この可愛さはもしやユウカさんに連れ去られてしまうのではなかろうか。

 そんな事を考えていると、やってたゲームを一旦ポーズ画面にしてモモイちゃんとミドリちゃんがやってきた。

 何故かモモイちゃんはドヤ顔である。

 

 

「どう二人とも? これなら新入部員としてもいけそうでしょ! アリス、名前は?」

「はい! 天童アリスです! ミレニアムサイエンススクールの一年生です!」

「部活は?」

「ゲーム開発部です! プログラマーをやっています!」

「どうよ! 完璧じゃない?」

「おぉー、確かに受け答え完璧♡」

 “これなら新入部員として問題無さそうだね!”

「ね、アリスちゃん♡ 胸元の学生証はどうしたのかな?」

「モモイがヴェリタスというところにお願いして作ってもらいました!」

「ちょ、アリス!? それはナイショだってば!」

「あっ! ナイショでした!? 先生もフミもナイショにしてください! この学生証は元から持ってるやつです!」

「おっけー♡」

 “バレたら色んな意味で問題有りそうだね!?”

 

 

 ミドリちゃんは怒涛のやり取りにツッコミを入れる暇も無く、天を仰いであちゃーという顔をしている。

 まだまだ打ち合わせは必要みたいだけど、一先ずはこれで部活廃部の危機は去ったと考えて良さそう。

 ならお祝いにちょうど良いかな、と私は右手に持っていた紙袋をミドリちゃんに差し出す。

 

 

「ミドリちゃん、はいこれ♡」

「あ、どうも⋯⋯ってこれは?」

「お土産♡ シャーレの近くに美味しいケーキ屋さんがあってね、そこで買った私のイチオシ♡」

「わ、ありがとうございます♪」

「! ケーキですか!? すごい回復量のアイテムです!」

「ひゃっほい! フミありがとね!」

「食べる前にちゃんと手を洗ってね♡」

「「「はーい!」」」

 “同学年のはずなのに、なんだかお姉さんみたいだね”

「みんな素直で可愛いですから♡ あんな感じの子供が欲しいですねぇ⋯⋯せんせ♡」

 “さぁ私達も手を洗おうか!”

「にしし、はぁーい♡」

 

 

 みんなで仲良く手を洗って、ケーキを取り出していく。

 チョコスポンジにイチゴが乗ったショートケーキだ。

 イチゴもチョコも両方食べたい、そんな要望にお応えした贅沢な一品。

 もちろん味はハスミさんの星五つの保証付き。

 贅沢に十個買ってきてある。

 

 

「わぁ、美味しそう♪」

「あれ、いっぱい入ってる?」

「私と先生はまだ会ってないけど、もう一人部員というか部長さんがいるでしょ? 私と先生を抜いて、一人二個ずつ食べられるように買ってきたよ♡」

 

 

 私の声に、ロッカーの方からガタンと音がする。

 なるへそそんなところに。

 

 

「ユズとはまだエンカウントしていなかったんですね! ユズはあまり人と話すのが得意ではないので、いつもロッカーに引きこもっています!」

 

 

 ガタタン、と鳴るロッカー。

 多分今のは『アリスちゃん!?』だろうね。

 んー、せっかくだし一緒にケーキ食べたいな。

 行ってくるね、と先生に目で合図すると優しく微笑んで送り出してくれた。

 ロッカーの前にやってくると、息を殺すように緊張した雰囲気が伝わってくる。

 ふと見れば、彼女のロッカーには色んなデコレーションが施されていて可愛い小部屋みたいになっていた。

 ぺたぺた貼ってあるステッカーは多分モモイちゃんの仕業だろう。

 換気穴から私の顔が見えるところまで近付いて、中の女の子に小声で話し掛けた。

 

 

「初めまして、花岡ユズちゃん。私は脇野フミ。気軽にフミちゃんって呼んでね」

 

 

 私の声に、中でびくりと震える気配がした。

 何で名前を知っているのか、と驚いたのだろう。

 普通にミレニアムの公式ページから部活紹介のところに飛べば載ってるんだけど、彼女はもう一つのルートからの身元判明を恐れているらしかった。

 そして、私はそのもう一つのルートから彼女を知っている側の人間だ。

 

 

「私ね、テイルズ・サガ・クロニクルやった事あるんだ」

 

 

 今度は大きくガタンと音が鳴る。

 心配そうに様子を窺うみんなに大丈夫だよと手を振って、ロッカーの中の彼女に語り掛ける。

 

 

「正直に言うね」

 

 

 ひっ、と喉を引き攣らせて息を飲む気配。

 彼女の緊張と恐怖は今頂点に達しているだろう。

 だからこそ、私はゆっくりと、言葉を紡ぐ。

 

 

「すっごい楽しかった」

 

 

 数秒、ロッカーの中で呼吸が止まる。

 震える吐息の中に、小さく困惑の声が混じっていた。

 

 

「オープニングで近未来SFなのかなって思ったら最初のザコはプニプニだし、装備した剣で戦うのかと思ったら銃で撃たれるし。いやぁ度肝を抜かれちゃった♡ ユズちゃんが参考にしたような昔の8bitのゲームだと説明書がちゃんと付いてるやつも無くて、ホント操作を確認する所から始まるよね。Aボタンが決定なのかジャンプなのか攻撃なのか。どのグラフィックが街を表してるのか。装備品も買って装備してからじゃないと数値が分からないのもレトロゲーあるあるだよね。直前のダンジョンで拾った武器の方が店で売ってたドラゴンキラーより攻撃力高いし、ドラゴンキラーって名前なのに特に追加効果無かったりさ」

 

 

 当時、プレイしていた時の興奮を思い出しながら、ちょっと早口になりそうなのを堪えて喋り続ける。

 

 

「地雷で突然死したと思ってメモ取りながら進んだら次の町で住民が『まちのそとの じらい にはきをつけるんだぞ』とか言ってくるのホントあるあるだよね! もう一個手前の町で言わんかーい、って♡ 色んな所に色んなゲームのオマージュやリスペクトが散りばめられてて、本当にゲームが好きな人が作ったんだなって、ゲームしてる最中ずっと伝わってきてた」

 

 

 ロッカーの中の吐息が、少しずつ震え始めている。

 それに気付かないフリをして、私は笑う。

 

 

「確かにユーザーフレンドリーではなかったね。レトロゲーあるあるの理不尽や難易度の跳ね上がるボス戦、どう考えても二つ前の町で稼いだ方がよっぽど早い謎の経験値テーブルの強敵エンカウント。それらは今のゲームに慣れた子達からしたら『クソゲー』なんだろうと思う」

 

 

 そこで一度区切り、大きく深呼吸をする。

 

 

「でも、私はそうは思わない。好きを詰め込んで大きく膨らみ、今にも破裂しそうな夢いっぱいの風船。そんなステキなゲームだと、私は思ってる。そして、このゲームを作った人を、尊敬してる。ここまでゲームを愛している人が世の中にはいるんだぞ、って」

 

 

 カチャリ、とロッカーの扉が開いた。

 そこに居たのは、両目に涙をいっぱいに溜めた女の子。

 その涙が零れ落ちてしまわないように、そっと胸へと抱き寄せる。

 

 

「私は、あなたの作ったゲームが好き。廃部なんて勿体ない、もっと、もっとあなたの作った世界を冒険したい。そして凄いゲームが出来て、みんなが手の平を返して褒め出したら、言ってやるんだ。私はこの子がすごいゲームを作るって、ずっと前から知っていたんだぞ、って」

「っぁ、ぁぁぁ──⋯⋯あぁぁぁ⋯⋯っ!」

 

 

 優しく背中をぽんぽんと撫でて、私の温かさが伝わるようにぎゅっと抱き締める。

 よしよし、怖かったね。

 ここにはあなたを傷付ける人は居ないよ。

 私はユズちゃんが泣き止むまで、しばらくそうしていた。

 

 

 

 

「あ、改めまして⋯⋯花岡ユズ、です。ゲーム開発部の部長です」

 “初めまして、シャーレの先生です”

「よろしくね♡」

「パンパカパーン! フミがユズを籠絡しました!」

「アッ、アリスちゃん!?」

 

 

 ユズちゃんが出て来て無事ゲーム開発部全員集合となったところでケーキタイム突入である。

 いやぁ、なんかごめんね。

 語ってたら熱くなっちゃって♡

 

 

 “フミもゲーマーだったんだね。それも割と濃いレベルで”

「有名所はもちろん、コアな層向けの手強いやつからちょっとえっちなムフフゲーまで網羅してますよ♡」

 “⋯⋯それは全年齢向けだよね?”

「そこは大丈夫♡ そもそもアカウント紐付けだから最初から表示されないシステム♡」

 “なら一安心⋯⋯かな?”

「それにしてもフミもテイルズサガクロニクルやってたんだね! ねね、何時間でクリア出来た?」

「んー、多分六時間くらい♡ お昼に始めてクリアしたら晩ご飯だったから♡」

「初見で六時間!? フミさんすごい⋯⋯!」

「アリスはモモイとミドリのアドバイスを受けて二時間でした! サポート無しで六時間はすごいです!」

「開発者のアドバイス有りで二時間も休む暇無くてなかなか辛そう♡」

「モモイの語彙力の無さが露呈してました!」

「植物人間とかね♡」

「あ、あれはどうしても草食系って言葉が思い出せなくて⋯⋯!」

「頑張れ♡ メインシナリオライター♡」

 

 

 みんなでケーキをつつきながらワイワイ話す。

 始めは先生相手にも緊張してたユズちゃんだったけど、先生がキヴォトスの外で色んなゲームを遊んでたって分かるとどんなゲームが楽しかったとか流行ってたシステムは何かとか色々質問してた。

 その間はキリッとしててカッコイイんだけど、ケーキを口にするとほにゃって表情が柔らかくなるのが可愛い。

 どことなく小動物感がある。

 

 

 “ヒロインの属性はある程度絞った方が良いかな。それこそツリ目でツインテールってだけで性格は多分ツンデレ系なんだなって分かるから、そのまま素直に味付けするのか、それとも別のインパクトのある属性と組み合わせるのか。ユーザーは最初アイコニックなデザインでキャラクターを認識するから、もし出したい属性があるなら劇中に要素を散りばめておくとか、個別のミニストーリーで旅の進行度に合わせて深掘りしていくとか”

 

 

 やだ、先生もガチ側じゃん♡

 しかもなかなか興味深い事喋ってる♡

 ユズちゃんとミドリちゃんはメモを取って、アリスちゃんは恐らく初めて聞くゲーム構成についての話に夢中な様子で、モモイちゃんはほえーっと口を開いている。

 一番聞かないとダメなのモモイちゃんでしょ♡

 

 

 “会話の中でキャラクターを作り上げる手法の最高峰のゲームが有ってね。そのゲームにキャラクターの姿は一切出て来ないんだ”

「えっ!? キャラクターが出て来ない⋯⋯!?」

「し、シルエットとかもですか?」

 “うん。精々がそのキャラクターがどこに所属しているかを表す会社のロゴと、個人識別の為のエムブレムくらいだね。姿形が分かるものはオープニングからエンディングまで、一貫して存在しないんだ”

「あ、キャラクターがそんなに重要じゃないシム系のゲームなんじゃない? わらわら動くからユニット名だけで何とかなるみたいな」

 “残念。そのゲームはロボットに乗る傭兵が主人公なんだ。戦う理由はシリーズで様々だけど、最新作では自分を買い戻すって理由が有ったね”

 

 

 そこからは先生による怒涛の解説。

 ストーリー展開から主人公の置かれた状況、何度もやられてリトライしながら攻略法を見付けていけと叩き込まれる親切で心折な設計のチュートリアル。

 そして戦況を話し合う幕間にも関わらず、主人公が喋る事はない。

 スタッフロールの声優欄にさえ、主人公の名前は無い。

 主人公がその意思を示すのはミッションの遂行とその選択だけ。

 通信を介して、他のキャラクターが一方的に喋り掛けてくるだけだ。

 

 

「す、すごい割り切ったゲームなんですね⋯⋯」

 “ニッチなジャンルのゲームで一万本売れたらヒットと言われる中で、十万本の売り上げを叩き出したんだ”

「えぇっ、十万本!?」

 “しかも、クリアしたプレイヤーがこのゲームの魅力を三つ挙げた時、ほぼ全員がストーリー・キャラクターに魅力を感じた、って答えたんだ”

「つまり、それだけ練り込まれた世界観とかけ合いの妙をゲーム内で⋯⋯」

 “ゲーム外では《幻覚》と称して声とセリフから想像されるキャラクターのファンアートがいっぱい出来てたよ。そして、それはだいたい似通った属性を持って描かれていた。とあるキャラクターは共通して逆三角のツリメガネ、オールバックの短髪、どこか高圧的な細い目といった特徴を持っていた。どこにもそんな情報は出ていないのに、不思議とみんなそれを描いていたんだ”

「セリフと声の印象だけで、そこまで⋯⋯!」

 “⋯⋯ふふ、技術的な事は教えられなかったけど、何かの指針にはなったかな?”

「はい! 早速このイメージを設定に落とし込まないと⋯⋯!」

「わ、私も描きたいスチルが! 全部想像になっちゃうけどその瞬間の一枚絵を描いてみたい⋯⋯!」

「⋯⋯もう少し、セリフや演出にもこだわってみようかな」

 

 

 みんなのやる気に火が付いたみたいだった。

 私は先生の脇腹を肘で押す。

 

 

「やるじゃん♡」

 “ゲーマーの先輩として、昔話をしただけだよ”

「先生はすごいです! もっと色んなゲームの話を聞いてみたいです!」

「ダ、ダメーっ!? せめてこっちの作業が一段落付いてから」

「お姉ちゃんずるい! 私だってこれラフは終わらせたい!」

「わ、私も世界観の設定を見直してから、一緒に聞きたいです⋯⋯!」

「それじゃ、三人が燃えてる間私達はゲームでもして時間潰そうか♡」

「勝負ですか! 受けて立ちます!」

 “キヴォトスのコンシューマーゲームは初めてだなぁ”

「まずコンシューマーって単語が出る時点で濃い♡」

 

 

 その後、三人で仲良くゲームをして楽しんだ。

 途中でモモイちゃんが、耐え切れずにミドリちゃんとユズちゃんも参加して、みんなで交代しながら遊んだ。

 ユズちゃん激ウマ♡

 1F技四連続で決めないで♡

 無を取得しないで♡

 そんな風に遊んでいた時、不意にモモイちゃんが声を上げた。

 

 

「あ、忘れてた! 今日はアリスの銃を見繕ってもらおうと思ってたんだ!」

「! アリス専用の武器ですか!? 最初はやっぱりひのきの棒からスタートですか?」

「いやいや、銃だよ銃。私もミドリもユズもフミも、みんな自分の銃を持ってるんだよ。私のはこれ、ユニーク・アイディア!」

「私のはフレッシュ・インスピレーションだよ」

「わ、私のはにゃん's ダッシュって名前です」

 “へぇ、みんなそれぞれ個性的で良いね”

「銃の名前は自分の適性に合わせて種類を選ぶ中学生の時期に決める事が多いんです。なので中二病な名前が七割、私達みたいに自分の個性や想いを付けたのが二割、最初からこれしかないって魂の名前を持ってるのが一割ですかね」

 “なるほど。そういうフミはどんな名前なの?”

「私の子達は二丁合わせてパーミッションって呼んでます♡」

「ぱーみっしょん?」

「許可、って意味だよモモイ。でも何でですか?」

「あんまり聞き馴染みは無いかも⋯⋯?」

 

 

 三人が首を傾げる中、先生は納得したように頷いた。

 

 

 “なるほどね、確かにパーミッションだ”

「先生は分かるのですか! アリスに教えてください!」

 “ユズはまだ見た事が無いだろうけど、フミの戦闘スタイルと関係があるんだ”

 

 

 先生の視線に応えて、腰に佩いた両銃をくるくると回しながら取り出す。

 カッコイイでしょ♡

 同じようにくるくる回してホルスターに格納。

 

 

「わ、カッコイイ⋯⋯!」

「フミは二丁拳銃の使い手なんです!」

「早撃ちのガンマンスタイルなのかな⋯⋯?」

「早撃ちといえばそうだけどアレは規格外な気がする」

「決闘が始まる前に暗殺出来そうですもんね⋯⋯」

「何気にミドリちゃんが一番辛辣♡ ぎゅーしちゃうゾ♡」

「わわっ、フミさん!?」

 

 

 ミドリちゃんを抱き寄せて膝の上に乗せ、密着むぎゅーっと抱き締める。

 芳香剤の匂いに混じって飴玉みたいな甘い香りがしてる。

 

 

「あ、ミドリずるいです! アリスも後でぎゅーしてください!」

「にしし、順番にね♡」

「ま、まぁミドリは置いといて、フミの戦闘スタイルとどう関係してるの先生?」

 “フミはオートマタが襲って来た時、常に機先を制して相手に行動させないように立ち回っていた。オートマタが銃を構えたら銃口に弾を撃ち込み、突撃態勢に入ったらパイプを壊して蒸気で道を塞いで、物陰からモモイを拘束しようとしたらセンサーカメラを撃ち抜いてた”

「改めて考えるとフミさんすごいですね⋯⋯」

「確かに、すごい戦いやすかったしあれだけの数を相手にしててみんな無傷だったね」

 “カードゲームのデッキには相手の行動を阻害してやりたい動きをさせない戦い方があるんだ。そのデッキタイプをパーミッションって呼ぶ。フミの戦闘スタイルとそっくりじゃない?”

「おぉ、言われてみればそっくりかも!」

「それでパーミッション⋯⋯!」

「フミカッコイイです!」

「いやん照れちゃう♡」

「フミさん、照れ隠しに抱き着かれると⋯⋯あわわ」

「ミドリ! アリスもフミにむぎゅーってされたいです! 早く交代してください!」

 

 

 ミドリちゃんを解放してアリスちゃんを抱き締めて、ついでにモモイちゃんとユズちゃんもむぎゅってした。

 みんな可愛いなぁ♡

 そんな私達を見て先生はご満悦な表情。

 ちびっこ達の戯れって良いよね♡

 

 

「って、そうじゃなくて! アリスの銃だよ!」

「はわ、フミのハグが気持ちよすぎて忘れてました!? フミは籠絡のプロです!」

「絶妙に否定しにくい♡」

「⋯⋯フミちゃんが来てる時は、ここが良いかな」

「ユズが籠絡されてる⋯⋯!?」

「ダメです! フミの膝上むぎゅむぎゅはゲームの勝者が占領します!」

 “うん、話が進まないから一旦落ち着こうか”

「いつの間にか勝者の権利にされてる♡」

「こほん、それでアリスの銃だけど」

「お姉ちゃん、アテがあるの?」

「もちろん! ミレニアムで困った時は」

「困った時は?」

「エンジニア部に相談だよ!」

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