もしもシャーレにヒモを養う適性の有る娘が応募してきたら   作:一ノ瀬 崇

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十四話目

「おぉぉぉぅ、おぅっ、ぅっ、うぉぉぉぉん」

 

 

 またアシカみたいな声で泣き始めたモモイちゃん。

 確かに悲しいけど違うでしょ♡

 

 

「そっちじゃないでしょ!? G.Bibleのパスワードの解除はどうしたのさ!?」

「それならマキが担当してます」

「今演算してるから待機中だよ!」

 

 

 堪らずツッコミを入れたミドリちゃんに答えるコタマさんとマキちゃん。

 モモイちゃんのノリは慣れっこらしい。

 一先ずヴェリタスにもお土産を渡しておこう。

 

 

「はいこれ♡ マスクの上の紐を引っ張るだけで温まる蒸気アイマスクと、充電して使えるあったかネックピラー♡パソコンの前にずっと居ると思って♡」

「おぉ、ありがとうございます。ついでに是非先生の生活音をですね⋯⋯」

「せんせーが許可した上で合法的な手段で撮るならおっけーですよ」

「そんな⋯⋯盗聴するからこそ無意識に漏れ出る音が良いのに⋯⋯!?」

「もしもしポリスメン♡」

「通報は何卒、何卒っ」

 “あはは⋯⋯何かまた機会があれば、ね”

「ホントですか!?」

「⋯⋯仮に私や他の子とイチャイチャしてる音声だったらどうするんですか♡」

「えっ」

 

 

 パリン、と眼鏡が割れそうなほどの絶望を滲ませるコタマさん。

 顔がみるみる青くなっていく。

 

 

「ダ、ダメですっ⋯⋯NTR音声はっ、NTR音声で興奮してしまったらもう、戻れなく⋯⋯っ!」

「私はよくシャーレでせんせーとくっついてイチャイチャしてるけど♡」

 “最近は毎日じゃない?”

「う、うわぁ──っ!?」

 

 

 時代劇のやられ役みたいな挙動で自分の椅子に倒れ込むように座り、安らかな顔で動かなくなるコタマさん。

 なむなむ♡

 そのやられっぷりに、アリスちゃんは拍手して喜んでいる。

 変なの覚えちゃダメよアリスちゃん♡

 

 

「そうそうミド、そのG.Bibleだけど、あれはあの伝説のゲーム開発者が作った神ゲーマニュアルのG.Bibleで間違いないね」

「や、やっぱりそうなんだ!」

 

 

 マキちゃんの言葉にミドリちゃんが両手を叩いて喜ぶ。

 普段インドアなのに廃墟に二回も行き、戦闘に晒された苦労がやっと実を結ぶ。

 そんな達成感を味わっている。

 でもまだ喜ぶのは早いと思うなー?

 

 

「ファイルの作成日や最後に転送された日時、ファイル形式から考えても確実。作業者についても、噂の伝説のゲーム開発者のIPと一致していた。それと、あのデータはこれまでに一回しか転送された形跡がない」

「ということは、つまり⋯⋯!」

「おぅっ、おっおっ、んおぉぉぉぅ!」

「うん、オリジナルのG.Bibleだろうね」

「す、凄い! それじゃあ──!」

「おっ、おぉん、おぅっおぅっ! おおぉぉっ!」

「ちょっと待ってモモうるさい」

「良い所だから邪魔しないでお姉ちゃん」

「おぉぉぉぉぅっ!!」

 

 

 マキちゃんとミドリちゃんに邪魔だと言われてしまうモモイちゃん。

 よしよし、今度またケーキ買ってきてあげるから♡

 え、今度はみんなでピザパーティーしたい?

 良いよ♡

 コーラも買ってみんなでピザパーティーしようね♡

 四つの味が楽しめるやつ二種類頼んで色々食べようね♡

 よしよし、ほら鼻ちーん♡

 

 

「ちーん⋯⋯うっうっ、フミやさしい、すき」

「あら嬉しい♡ 私と一緒にせんせーのハーレム入る?」

「うぅっ、フミといっしょにはいる⋯⋯せんせいのはーれむ⋯⋯ハーレム? え? 先生のハーレム!?」

「お姉ちゃんうるさ⋯⋯えっ!? 先生のハーレム!?」

「わぉ♡ すごい食い付き♡」

 “フミ、流石に話が進まないから”

「はぁい♡ それでマキちゃん、パスワードの解析はどんな感じなの?」

「それは⋯⋯おっ、ちょうど結果が出たけどもー⋯⋯あちゃあ、ダメだったか。こりゃ私達じゃ二週間、とは言わないけど十日は掛かるね」

「えぇッ!? それじゃ結局見れないじゃん!? がっかりだよ!」

「うっ⋯⋯だって私はあくまでクラッカーであってホワイトハッカーじゃないし⋯⋯」

 

 

 復活したモモイちゃんが声を上げる。

 その指摘にマキちゃんは両手の人差し指をつんつん突き合わせながら視線を逸らした。

 ならばとハレさんとコタマさんに目をやるモモイちゃんだったけど、ハレさんは黙って首を振り、コタマさんは口笛を吹こうとして失敗し唇をぶぶぶぶ言わせてた。

 下手っぴ♡

 

 

「兎に角! 解析ができないからって、それ以外に方法が無い訳じゃない」

「そうなの?」

「あのファイルのパスワードを直接解除するのは、多分ほぼ不可能。でも、セキュリティファイルを取り除いて中身を丸ごとコピーするって手段ならいけるんじゃないかな⋯⋯」

 

 

 どんどん声が小さくなっていくマキちゃん。

 そんなマキちゃんにモモイちゃんは『じゃあそれしてよ』と言いたそうな顔だ。

 

 

「じゃあそれしてよ」

「言っちゃうんだ♡」

「そうする為にはOptimus Mirror System⋯⋯通称、『鏡』って呼ばれるツールが必要なの」

「じゃあその『鏡』を出してよマキえもん」

「どこぞの家庭用青狸みたいに言わないでよモモ太くん⋯⋯あたし達ヴェリタスが持ってた」

「何だ、それなら今すぐ⋯⋯って、え、待って!? 過去形!?」

「そう。今は持ってない。不法なモノが無いかチェックしに乗り込んできたユウカに押収されちゃったの、もうっ!」

「そんなぁ⋯⋯って、持って行かれたって事は違法なツールなんじゃ」

「ミド、そんな小さな事にこだわっちゃダメだよ」

「私の盗聴器も持っていかれました⋯⋯高かったのに」

「いや、盗聴器はもっとダメでしょコタマ先輩」

「ぶぶぶぶ」

「いやホント口笛下手ですね」

「音フェチとして恥ずかしくないのかー!」

「今度笛ラムネ差し入れしますね♡」

「くっ、恥辱!」

 

 

 打ちひしがれるコタマさんは置いといて、その鏡とやらについて詳しく聞いていく。

 暗号化されたシステムを開くのに最適化されたツールで、ヴェリタスの部長──明星ヒマリの手によって製作されたワンオフのハッキングツールらしい。

 本来であれば鍵となるパスワードが消失してしまった際にデータを破壊する事なく復元出来るツールとして活躍出来るはずだった。

 しかし、それを手にしているのはヴェリタス。

 

 

「⋯⋯私はただ、先生のスマホのメッセージを確認したかっただけです。そのために『鏡』が必要で⋯⋯不純な意図は全くなかったのですが」

「どう考えても不純だよ! 何しようとしてるのさ!」

 “コタマ⋯⋯めっ”

「うっ」

 

 

 モモイちゃんのツッコミと先生のお叱りを受けて、再びコタマさんは椅子に崩れ落ちた。

 ヴェリタスってコンピューターに強い芸人集団だったりする?

 

 

「ともかくこのままじゃマズイんだよぉ、早く鏡を回収しないと部長に怒られちゃう!」

「兎に角⋯⋯整理すると、私達も鏡を取り戻したい。それに、G.Bibleのパスワードを解くためには、あなた達にとっても鏡は必要⋯⋯そうでしょ?」

 

 

 確認するようにこっちを窺うハレさん。

 なにやらイヤな予感がしてきたぞぉ♡

 右を見てみる。

 アリスちゃんは話の流れがよく分からないのか、にぱっと笑顔を返してきた。

 左を見てみる。

 ユズちゃんは会話には入らずじっと私を見ていたけど、目が合うと嬉しそうに微笑んだ。

 上を見てみる。

 どこか諦めたように笑う先生と目が合った。

 

 

「⋯⋯うん、大体分かったよ」

「ふふ、流石モモ。話が早いね」

「目的地が一緒なんだし、旅は道連れってね」

 

 

 モモイちゃんはキリッとした顔で私に向き直り、天高く右手の人差し指を上げて宣言する。

 

 

「セミナーを襲撃するよ!」

「待って♡」

 

 

 

 

「なんで誰も待ってくれないのかな⋯⋯」

「ま、まぁそう気を落とさないで⋯⋯」

「うわーん、ユウカさーん♡」

「よしよし、フミはいつだって真面目にちゃんと手順を踏んで物事を解決しようとしてくれるわよね。とてもえらいと思うわ」

「ユウカおねぇちゃん、しゅき♡」

「ウッ」

 

 

 私を慰めてくれていたユウカさんが突然なにかのダメージを負った。

 もっと防御力上げて♡

 場所は変わってセミナーの執務室、私は先生とは別行動でここにやってきていた。

 何もゲーム開発部のみんなを裏切った訳ではない。

 どちらかと言えば他所から後ろ指を差されないようにする為のちょっとした工作である。

 一部活が生徒会に襲撃を仕掛ける。

 文字だけ見たら立派なクーデターだ。

 そんなの鎮圧されたら即廃部で即停学である。

 しかも同一学校内で起きた生徒同士の争いでもあるので、生徒会を虐殺して学校を乗っ取るとか金銭を全て奪って逃げるとか、余程悪質な案件で無い限りはシャーレとしての介入も出来ない。

 でも先生はゲーム開発部側に付いてしまったので、代わりに私がセミナー側に来た。

 これで対外的には今回の騒動を、シャーレ監督の元行われるテロ対策の訓練として処理する事が出来る。

 

 

「ユウカさんに筋を通すのも大事だと思いまして」

「フミちゃんはしっかり者なんですね♪」

 

 

 そう言ってくれたのはセミナー書記の生塩ノアさん。

 穏やかな人で、完全記憶能力を持っているとか。

 すごい人材が集まってるねセミナー。

 

 

「他の部活への襲撃はまぁ⋯⋯ワイルドハントでは芸術性の違いで銃撃戦なんて毎日ありますし、なんともコメントしづらいんですけど、少なくとも違法賭博なんて開いたら一発で退学ですよ。体育祭とか文化祭とかのイベントで学食の回数券を賭けるならまだしも、現金が行き来する賭場を開いて説教で済んでる辺り、どれだけユウカさんが温情をかけてくれているのやら」

「フミ、私の苦労を分かってくれるのね!」

「もちろんです。いつもユウカさんにはお世話になってますし、その優しさに救われてますから♡」

「うぅ⋯⋯フミ、やっぱりミレニアムに来ない? セミナーで私とお茶してくれるだけで良いから。なんなら抱き枕でも良いわ」

「正気に戻って♡」

「ユウカちゃんが面白い事になっちゃいましたねぇ♪」

 

 

 そう、今回の事はユウカさんの温情も深く関わっている。

 何かとゲーム開発部に目を掛けてくれていたユウカさんにとっては回収した鏡を狙って来るとは夢にも思わず。

 さりとて素直に渡す訳にも行かずという事で対応に悩んでいたので、今回の騒動を利用する事にした。

 これが大きな機械部品などであったら別の方法を考えなくてはならないが、消えるのが()()()()()()()()()()U()S()B()()()()()()であるなら誤魔化すのは簡単だ。

 こうしてゲーム開発部に気取られる事無く、ある意味で堂々と戦利品を渡す事が出来る。

 

 

「後はせんせーの懸念も有りまして」

「懸念?」

「私がゲーム開発部に付くと戦力過多になるそうです」

 

 

 現在、襲撃チームはゲーム開発部四人、ヴェリタス三人に加えてエンジニア部三人が合流した。

 対する防衛チームはミレニアムの最高戦力C&Cから三人を出す。

 最強のメンバーこそ別の任務で席を外しているが、残った三人もそんじょそこらの生徒では一矢報いる事さえ出来ないだろう。

 だけど、先生の安全が担保された状態で私が自由に動き回れるとなるとちょっと宜しくない、というのが先生の考えだ。

 

 

「え、フミってそんな武闘派だったの?」

「正面切っての戦いは強くありませんよ。ただ不意討ちや狙撃、待ち伏せの類が一切効かないんです」

「⋯⋯え、どういう事?」

「それこそ、ノアさんの完全記憶能力みたいなものだと思ってください。私に対して危害を加えようとする何か、少なくとも物理的な干渉は全て察知出来ます。勘が囁く、って私は呼んでます」

 

 

 まぁ、意識した相手一人分くらいなら追加で察知出来るんだけどね。

 以前風紀委員会相手に戦った時、はーちゃんとムツキさんを援護したのがそれだ。

 ただ、同時に何人もの援護は出来ない。

 あくまで対象は私ともう一人だけ。

 だから、はーちゃんには私の所へ下がってもらう必要が有ったんですね。

 逆に同時じゃなければ意識する対象を切り替えて次々と処理する事も出来る。

 ユウカさんが見せてくれたタブレットをスクロールして、黒髪褐色のメイドさん⋯⋯先生が好きそうな人に画面を合わせる。

 

 

「角楯カリンさん。この人はスナイパーですよね。多分どの状況でも、一対一でスナイパーとして相対するなら私が百戦百勝出来ます。それと⋯⋯この人。室笠アカネさん。爆発物のプロとの事ですが、設置投擲どちらも察知出来ます。なので面と向き合っての実力勝負になりますけど⋯⋯メインウェポンは拳銃ですか。なら問題無く勝てますね。他の二人、一之瀬アスナさんと美甘ネルさんは無理です。向かってきたのを察知した瞬間逃げるしかないですね」

 

 

 自分の事ながら相性差が激しい。

 こういった不利な相手を前に先生を守り切る為にも、武闘派な護衛がせめて一人欲しい。

 ともあれ私がゲーム開発部に付けない理由は言った通りだ。

 三人中二人を突破ないし無力化出来てしまうと言うのは、彼女達が立ち向かうべき試練の難易度として宜しくない。

 それに建前上は対テロの訓練だ。

 襲撃組が圧倒してしまうのは以ての外だろう。

 

 

「⋯⋯なるほど、シャーレの淫婦は伊達じゃないのね」

「待って♡」

「どうしました、フミちゃん?」

「今聞き捨てならない二つ名が聴こえたんですけどぉ♡」

 

 

 ユウカさんのほっぺたを抗議の意思を込めてつんつんぷにぷに♡

 きゃー、かぷってされたー♡

 それはそれとして、淫婦て。

 いや確かに先生を誘惑したり相互ソロプレイに勤しんだりえちえちマッサージしたり秘密さわさわごっこもしたけど⋯⋯結構やる事やってるじゃーん♡

 でもまだ手繋ぎラブラブ子作りえっちはしてないのでセーフ、セーフです!

 やっぱり電車とか買い物の時にラブラブしてたのが噂になっちゃった?

 

 

「命名は私じゃないからアレなんだけど、どうもトリニティを中心に広まってるみたいよ」

「トリニティ⋯⋯」

 

 

 瞬間、脳裏に浮かぶペロキチの姿。

 

 

『────あはは、それだけ外で先生に色目使ってたら誰でも分かるじゃないですか()()()ちゃん』

「────覚えとけよヒフミン♡」

 

 

 我が愛おしき親友を脳内で泣くまでほっぺもちもちの刑に処していると、ユウカさんの端末に通信が入った。

 

 

「状況は⋯⋯えっ、カリンがエンジニア部の妨害で一時離脱、アカネは囮に誘い込まれて消火扉で隔離!?」

「へぇ⋯⋯なかなかやりますね♡」

「これは一気にモモイ達が目標地点へ近付くかしら⋯⋯あ、また通信⋯⋯は? 音信不通になってたアスナ先輩が勘を頼りにピンポイント待ち伏せしたらモモイ達と鉢合わせた!?」

「なにそれすごい♡」

「相変わらずアスナ先輩は予測不能ね⋯⋯」

「勘だけで何とかしてしまいますから、ある意味フミちゃんの仲間ですね?」

「今度お話してみたいなぁ⋯⋯」

「どうなるのかちょっと見てみたいわね」

「気になりますねぇ♪」

 

 

 勘の反動とか聞いてみたい。

 私みたいにめっちゃお腹が空くとかなのかな?

 今では制御出来ているけど、昔は意識しないと止められなくてすぐお腹が空いたものだ。

 お腹の音をはーちゃんに聴かれたのも両手の指では足りない。

 思い出したらはーちゃんに会いたくなってきた。

 今依頼で遠出してるんだよねぇ⋯⋯。

 寂しさを紛らわそうと淹れてもらったコーヒーを飲む。

 良い香り♡

 

 

「は? アカネが合流したと思ったらアスナ先輩が光に吹き飛ばされた?」

「ぷふっ」

 

 

 むせた。

 口から吐き出す事は無かったけど、コーヒーが変な所に入っていった。

 数回咳き込んでどうにか平静を取り戻す。

 

 

「あー⋯⋯っ、失礼しました。アスナさんは無事なんですかそれ」

「全身が痛いって爆笑してるらしいわ」

「ホントに人間?」

「自信は無いわね」

「光⋯⋯報告に有ったアリスちゃんのレールガンでしょうか。え? 直撃したんですよね?」

「えぇ、背後から吹き飛ばされて反対側の壁にめり込んでるって」

「⋯⋯実は新素材開発部が発明した新型の超硬度素材で骨格を補強してるとかですかね?」

「ノアまで疑い始めないでよ⋯⋯あ、モモイ達がアカネを撃破、突破したみたいね。カリンは⋯⋯うわ、エンジニア部の閃光弾砲撃に晒されて行動不能継続中ですって。ん? 継続中?」

「⋯⋯カリンさん、今も撃たれ続けてる、って事ですか?」

「可哀想過ぎる⋯⋯」

「せめて手当は弾んであげましょうか⋯⋯」

 

 

 カリンさん、不憫過ぎる。

 なんとも言えない空気が場を支配するけど、私には一つ気になる事が有った。

 ユズちゃんはいずこへ?

 そう思った時、追加の通信が入った。

 

 

「なによ、もうほとんど状況は終了⋯⋯えっ」

「ユウカちゃん、どうかしましたか?」

「ネル先輩が帰ってきて演習って名目を知らないまま鏡の警戒に当たっちゃったって」

「⋯⋯えっ、ヤバ♡」

「まままマズイわよこれ!?」

「ユウカちゃん落ち着いてください! ネル先輩の現在地はどこですか?」

「モニターに出すわ! ええっと⋯⋯あっ」

 

 

 ネルさんの居場所を示す赤いポインタは、ゲーム開発部三人の居場所を示す青いポインタとほぼ同じ位置にあった。

 ⋯⋯ほぼ目の前じゃないですかやだー♡

 と、その時もう一つの青いポインタが近付いてきた。

 ユズちゃんだ。

 しばしの時が流れ、赤いポインタはそのままどこかへと離れていった。

 青いポインタは四つとも健在。

 三人で頭の上にハテナを浮かべていると、再度通信が入る。

 

 

「⋯⋯ふふっ」

「なになに?」

「なんですか、ユウカちゃんっ」

「ユズがね、ネル先輩相手にハッタリかまして別の場所でゲーム開発部が暴れてるって誘導したみたい。モモイ達が見付かる直前にね。全く、流石はゲーム開発部の部長ね、とんでもない逸材だわ」

「まぁ⋯⋯ふふっ♪」

「⋯⋯あはは、やるじゃん♡」

 

 

 紆余曲折は有ったけど、こうして鏡争奪戦はセミナーの思惑通りに幕を閉じた。

 めでたしめでた⋯⋯まだ早い♡

 まだゲーム製作が残ってる♡

 

 

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