もしもシャーレにヒモを養う適性の有る娘が応募してきたら   作:一ノ瀬 崇

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十八話目

 補習授業部一行を引き連れ、割り当てられた教室へ。

 取り敢えず四人には席に着いてもらい、改めてみんなで自己紹介をしてもらう。

 これから長い付き合いになるだろうし。

 補習授業部で課されるテストは計三回あり、そのうちのどこか一回でも全員合格なら無事単位取得。

 しかし三回とも不合格ならばシャーレの権限を利用して退学措置が取られる。

 実際に退学になる事を知っているのは私と先生とヒフミンだけ。

 伝えるタイミング次第で毒にも薬にもなる情報だ。

 なので最初は単に落第とだけ伝えておく。

 

 

 “さて、お互い自己紹介も終わった事だし、早速だけど小テストをやってもらおうかな”

「えっ!? 小テスト!?」

 

 

 コハルちゃんが驚いたように声を上げる。

 さては普段から勉強嫌い勢だな♡

 

 

 “これから補習授業部としてみんなの学力を底上げしていく訳だけど、一番点数が伸びるのは苦手な教科を克服した時だからね。今、自分は何が解っていて何が解っていないのかを正しく認識する為にも、この小テストで自分の理解度を確認してほしい”

「うっ⋯⋯」

「確かに自身の装備を確認しておく事は重要だ。それによって取れる作戦も戦術も変わる」

「あはは⋯⋯アズサちゃんは個性的な捉え方をしますね」

「うふふ、頑張りましょうねコハルちゃん♡」

 “コハルとフミとアズサには一年生用のテストになってるから”

「あれ、私もやるんですか?」

 “まぁ、一応ね。ワイルドハントでの進み具合は違うかもしれないけど、同じ一年生としてコハルの指標になるかなって思って。アズサは前の学校での進み具合から、適正学力は一年生相当となっているね。転校あるあるだよね、進み具合が違うの”

「なるへそぉ♡」

 “⋯⋯ちなみにフミは大丈夫だよね?”

「その小テストで確認してみます?」

 “⋯⋯そうだね”

 

 

 私も一緒に小テストを受ける事になった。

 そう言えば先生は私の成績知らないもんね。

 さっき送った雛形を元に作り上げた小テストが配られる。

 制限時間は一時間。

 五教科それぞれ二十点、計百点満点。

 一先ずの合格ラインは六十点。

 自信が有りそうなのはヒフミンとハナコさんだけど、ハナコさんはなんか⋯⋯うん、やらかしそう。

 

 

 “それじゃ、試験開始!”

 

 

 

 

 “試験終了! みんなペンを置いてね”

「お疲れ様ー♡」

 

 

 先生の合図にぐぐっと背を伸ばす。

 ヒフミンは自信が有るのか拳を握っている。

 ハナコさんは変わらずにこにこ顔。

 アズサさんはキリッとしている。

 コハルちゃんは燃え尽きていた。

 

 

「大丈夫コハルちゃん? お手製の一口マドレーヌ有るんだけど食べる?」

「えっ、プリンの人の手作りお菓子⋯⋯?」

 

 

 私の問い掛けに復活したコハルちゃん。

 シャーレのコートの内ポケットから袋詰めにしたマドレーヌを取り出し、一つ摘み上げてコハルちゃんの鼻先へ。

 立ち上る甘い香りに緊張していた口の端が緩んでくる。

 

 

「はい、あーん♡」

「えっ!? い、いや、自分でっ」

「恥ずかしくてダメそう?」

「うぅ⋯⋯で、出来れば普通に⋯⋯」

「そっか、じゃあもっと仲良くなったらだね♡」

 

 

 持っていたマドレーヌはぴんと指で弾いてヒフミンの口へとホールインワン。

 代わりに持っていた袋ごと手渡す。

 

 

「美味しいですフミちゃん!」

「それはなにより♡ みんなもコハルちゃんからもらってね♡」

「コハル、マドレーヌを一つくれないか」

「コハルちゃん♡ 私にもお一つください♡」

「わわっ、ちょ、ちょっと待って! 順番に、一個ずつ⋯⋯!」

 “フミ、私の分は?”

「採点終わってからね♡」

 “そんなー。よし、アロナ超特急で終わらせるよ!”

 

 

 先生がシッテムの箱に住んでるらしいスーパーAIのアロナちゃんとやらに無茶振りをしておられる。

 機密保持の為か私達生徒には認識出来ないようになってるらしく、ちょいちょい独り言みたいにタブレットへ話しかける姿が目撃されている。

 今の時代ハンドフリーでの通話も珍しくないから変に目立ったりはしていないけど、スマホの普及前だったら異常者として通報されてたかもね。

 ⋯⋯いやまぁ、性癖は色々と過激なんだけど♡

 全部受け止めるから私にぶつけて良いのよ先生♡

 そんなこんなで結果発表ー♪

 じゃかじゃんっ♡

 

 

 第一回小テスト採点結果

 ──阿慈谷ヒフミ:67点 合格

 ──白州アズサ :31点 不合格

 ──下江コハル :15点 不合格

 ──浦和ハナコ :02点 不合格

 

 参考記録

 ──脇野フミ  :80点 合格

 

 

 はい。

 いやはいじゃないのよ♡

 

 

「どぅ、えっ、にっ、二点ですかハナコちゃん!?」

「あらあら、二点でしたか♡」

「そんな、あんなに出来そうな雰囲気だったのに!?」

「雰囲気作りは得意なんです♡」

「意味深!? あ、アズサちゃんは⋯⋯」

「うむ、紙一重だった」

「一枚が電話帳より厚い紙一重ですよぉ! というかこの場合は紙一重じゃありませんっ!? こ、コハルちゃんは⋯⋯」

「⋯⋯うぅっ」

「うっ、逆に声をかけ辛いです⋯⋯!」

「元気出してコハルちゃん♡ コハルちゃんはまだまだいっぱい伸びる余地が有るの。だから正義実現委員会の超絶エリートとしてのコハルちゃんの第一歩はここからなんだよ♡ いっぱい勉強して、来年入ってくる後輩の面倒を見てあげられるように、頑張ろ♡」

「⋯⋯うん、ありがとうフミ⋯⋯」

「よしよし♡ カップケーキ有るけど食べる?」

「食べる⋯⋯」

 

 

 コートの内ポケットから別の袋を取り出して一口カップケーキを差し出す。

 受け取ったコハルちゃんはもきゅもきゅと食べ始めた。

 やだもう可愛い♡

 あ、みんなも食べる?

 どーぞどーぞ♡

 やっぱテストの後は甘味が無いとね♡

 

 

 “フミはすごいね、数学と英語以外は満点だったよ”

「横文字と南蛮数字は苦手で♡」

 “もしかしてまだ鎖国してる?”

「どうかなー♡」

 

 

 取り敢えず補習授業部の現状ははっきりした。

 後はここからどれだけ伸ばせるか。

 まぁ、サポートなら得意だから一緒に頑張ろっか、先生♡

 

 

 

 

 

 

 という訳でスタートした補習授業部。

 放課後の時間を使っての勉強会だ。

 基本的にヒフミンがアズサさんを、ハナコさんがコハルちゃんを見てくれているので私と先生は別途質問が無ければフリーだ。

 なので先生にはこの先のテスト範囲に合わせた小テストと本試験対策テストの作成をしてもらい、私はタブレットでシャーレの業務を片付けている。

 最近やっと紙ベースから電子上での申請周りが整備されたので、わざわざシャーレビルに戻らなくても仕事が出来るようになった。

 お陰で先生が外回りに出る時間も増え、生徒達との交流の時間も確保出来たと喜んでいた。

 先生が充実してるようでなにより♡

 

 

 “っと、今日の所はこの辺にしておこうか”

 

 

 先生の言葉に続くように、午後六時を告げる鐘が鳴った。

 そんなに勉強してたのかと驚いているコハルちゃん。

 ハナコさんは教え上手らしい。

 各々が帰り支度を始める中、ヒフミンはほっと一息を吐いた。

 

 

「最初はどうなる事かと心配しましたが、みんな勉強に集中してくれてますし、この様子なら無事に第一回で合格出来そうです♪」

「⋯⋯ヒフミン、その言い方から察するにまだ私達に言ってない事あるでしょ♡」

「ふぇ? あ、あぁっ、そうだ忘れてました! 第一回の試験を突破出来ない場合、みなさんには合宿をしてもらいます、ってナギサ様が」

「ほほぅ、合宿ねぇ」

 “初耳だねぇ”

「あ、あはは⋯⋯」

「ヒーフーミーンー♡」

「ひゃあぁぁ~っ!?」

 

 

 抱き寄せてほっぺたをぐにぐに押し揉む。

 割と重要じゃないの♡

 一応一週間区切りでビジホ確保しておいて良かった。

 合宿という事は私と先生も泊まり込みだろうし、もはや湯水のように使えるとはいえ無駄な出費は避けたい。

 昨日ユウカさんから資産が二十倍に増えたわよとモモトークが飛んできた時は、思わず先生と現実逃避して柴関ラーメンを食べに行った。

 相変わらず美味しくて良かったです。

 

 

 “何にせよ、初日はこれでおしまい。また明日、放課後に集まってね”

「それじゃみんな、お疲れ様ー♡」

「お疲れ様だ」

「お疲れ様でした♡」

「⋯⋯お疲れ様」

「ヒフミンは残るよーに♡」

「えぇっ、なんでですかぁ」

「そりゃあんた部長だからよ。試験に向けてのカリキュラム組むわよ♡」

「ふぇぇぇ」

 

 

 ちたぱたと無駄な抵抗をするヒフミに手を振って三人は先に帰って行った。

 ヒフミンの机に腰を下ろして脚を組む。

 今日はワイルドハントの制服だから下はスカートとスパッツだ。

 地味に喜んでいる先生にくすりと笑みを漏らす。

 もう、先生のえっち♡

 上機嫌になるのを自覚しつつ、ヒフミンの頭をぽんぽんと撫でる。

 

 

「で、あんたは今回の補習授業部の結成について何をどこまで知ってるの?」

「⋯⋯ナギサ様からは表向き、成績不良の生徒を集めて補習を受けさせ、三回の試験を行い全員で合格する事が一回も出来なかったなら退学にする、と」

「表向き、って事は裏向きの理由も聞いたのね」

「はい。その、エデン条約に関して締結の妨害を企む裏切り者を探してほしい、と⋯⋯」

 

 

 私達が聞いたものと大差は無い。

 当人だからか合宿については知らされていたようだけど、他には目立っておかしい所は無さそうだ。

 

 

「ふむぅ⋯⋯せんせ?」

 “うん、どうやらヒフミも私達と同じ情報を渡されたみたいだね”

「んー⋯⋯まぁ、しばらくは大人しく補習授業部としてコハルちゃんとアズサさんの学力アップに勤しみますか」

「お二人の、ですか?」

「うん。コハルちゃんは覚えは悪くない、典型的な勉強してないだけの点数の低さ。アズサさんは多分必要無いからとそもそも教えられなかったが故の無知。せんせー、超AIのスーパーアロナちゃんにお願いしてもらいたい事があるんですけど♡」

 “なにかな?”

「アズサさんの転校前の所属について。情報は恐らく途切れているでしょうから、噂話も含めて誰が編入手続きの手配をしたのか、小物や勉強道具、寮の部屋や家具に至るまで、手を入れた人の情報を集約してください」

 “分かった。頼んだよ、アロナ”

 

 

 先生がタブレットを操作して呟くと、画面が軽く明滅していた。

 指先でなにやらぐるぐると円を描いていたけど、もしかしたらアロナちゃんに撫で撫でを要求されたかな?

 随分と人に近いスーパーAIだなぁと思っているとヒフミンが疑問の声を上げた。

 

 

「フミちゃん、ハナコちゃんはそのままで良いんですか?」

「大丈夫大丈夫。アレは擬態だから」

「ぎ、擬態? ですか?」

「そ、わざと手を抜いて点数を落としてる」

「そんな、いったい何の為に!?」

「それは本人に聞くしかないかなー。多分一年生の最初の頃は点数良かったと思うよ」

「帰ったら調べてみます!」

「んー、それは明日以降で」

「え、良いんですか?」

「逆に良いのヒフミン」

 

 

 問い掛けながら、私はポケットからナンバーの振られたカードキーを取り出す。

 ビジホの私の部屋の鍵だ。

 ひらひらと見せびらかしながらヒフミンにニヤリと笑みを向ける。

 

 

「今日は久し振りのヒフミンとお泊まり会でもしようかと思ったんだけど♡」

「お邪魔します!」

「食い付きが早い♡」

「今夜は寝かせませんよフミちゃん!」

「しっかり寝て明日の勉強に備えて♡」

 

 

 テンションの上がったヒフミンを腕に纏わり付かせて、私と先生は校舎を後にするのだった。

 途中外泊届をヒフミンに書かせて提出させる。

 この辺りはしっかりやっておかないとね。

 通り道のスーパーでおやつや飲み物を買い込んでちょっとしたパーティーの準備。

 晩ご飯は三人で近所の牛丼屋へ。

 モモフレンズコラボ中だったらしく、まんまとヒフミンの思惑通りにコラボメニューを注文させられた。

 先生は当たったスカルマンストラップをヒフミンにあげていた。

 おっ、ヒフミンはウェーブキャットキーホルダーか。

 私のは⋯⋯ほほぅ、ペロロポーチ。

 意外としっかりした作り⋯⋯え、シークレットレアなのこれ?

 案の定交換を申し出てきたヒフミンにペロロポーチを渡して、代わりにウェーブキャットキーホルダーを手に入れた。

 これは帰ったらシャーレの仮眠室に飾るかぁ。

 その後ご機嫌なヒフミンを連れてビジホへ。

 先生とは別の階なのでエレベーターでお別れして、ヒフミンとお部屋へ。

 小さなテーブルと椅子、大きめのベッドが一つ、トイレとお風呂は別。

 靴は入口で脱いで上がるタイプの、一般的なビジホの一室だ。

 

 

「きゃー♪ ベッド一番乗りです♪」

「あっ、こら♡ ずるい♡」

「うわー、フミちゃん重いですー」

「あんたより軽いわよ♡」

 

 

 私が買ってきた飲み物を冷蔵庫に入れている間にベッドへ華麗なダイブを決めたヒフミン。

 すぐさま覆い被さってやる。

 そのまま抱き締めてぐるんと向きを変え、また何か言う前に唇を塞ぐ。

 

 

「んっ♡ ふっ♡ ふみひゃ♡」

「ちゅっ♡ んっ♡ ちゅぷ♡」

 

 

 ヒフミンの空いた両手に私の両手を重ねて指を絡める。

 繋いだ手を握り締めてきたかと思えば、いつの間にか両脚を私の腰に回している。

 ねだるようにへこへこと腰を揺するクセはまだ直ってないらしい。

 

 

「ちゅっ♡ ぷはっ♡ フミちゃんの味、久し振りです♪」

「歯磨きも口直しの飲み物も飲んでないんだから、お互い牛丼の出汁の味でしょ♡」

「良いんです♡ フミちゃんと会えなくて寂しかったんですから」

「ふふ、寂しがり屋さんめ♡ で、寂しがり屋のヒフミンは、今日はどうして欲しいのかな?」

 

 

 絡めた指を解きヒフミンの背中に右手を回し、慣れた手付きでブラのホックを外す。

 すぐさま左手を上着の裾から潜り込ませれば可愛らしい鳴き声が上がった。

 私のより大きい胸を上下させ、潤んだ瞳を向けてくる。

 

 

「いっぱい、いっぱい()()にしてください♡ フミちゃんのキスマーク♡ 胸にいっぱい刻んで欲しいです♡」

「おねだりばっかり上手くなっちゃって♡ 今日は途中で失神しちゃダメよ♡」

「そ、それは自信無いです⋯⋯フミちゃん、上手過ぎるから⋯⋯♡」

「私以外知らないクセに♡ 上手い下手を語るんじゃないわよ♡」

「あぁんっ♡ フミちゃぁん♡」

 

 

 お望み通り、胸元に私の(しるし)を刻んであげる。

 それだけで面白いように悦ぶヒフミン。

 お互いに上着を脱ぎ捨てて布団に潜り込む。

 ────布団の端から下着が蹴り出されるまで、そう時間は掛からなかった。

 

 

 

 

 

 

 “おはよう、フミ、ヒフミ。なんだか艶々してるね?”

「おはよー、せんせ♡」

「あはは⋯⋯おはようございます、先生♪」

 “一応先生として言っておかないとなんだけど、あまり羽目を外したらダメだよ?”

「私はせんせーにハメて欲しいんですケド♡」

「卒業までガマンですね♪」

「せんせーが満足するまでいっぱい使ってね♡」

「私も、先生の幸せ、奥にいっぱい欲しいです♪」

 “うわぁー火力が普段の二倍!”

 

 

 何とかバレない位置にキスマークを収めつつお互いに貪り合った翌日、近所の二十四時間営業の喫茶店で朝食を食べに来た。

 先生はトーストとサラダのセットにコーヒー、ヒフミンはトーストとベーコンエッグとサラダのセットとオレンジジュース、私はピザトーストとカツサンドと彩りサンドイッチとこんがりチーズドリアと満腹サラダボウルと烏龍茶とノワールホイップ白とチョコプリンパフェを頼んだ。

 

 

「相変わらず量がエグいですフミちゃん」

 “ここ逆写真詐欺で有名なチェーンだけど大丈夫?”

「今日は控えめにしました」

 

 

 なんだろう、先生が宇宙猫になってる。

 面白いから撮っとこ♡

 店員さんも思わずワオと驚いてたけど、テーブルの上がもう隙間無くお皿で埋め尽くされてる。

 半分以上私のだけど。

 それではお待ちかね。

 いっただっきまーす♡

 

 

 “わぁ、ペースが落ちない”

「フミちゃん燃費悪いですからねぇ」

 “でも美味しそうに食べてる所はすごく可愛いよね”

「ですよね♪ 食べてて幸せが伝わってくるというか」

 “フミが何かを食べ続ける動画でモモチューバーになれそうな気がする”

「平和なチャンネルになりそうです♪」

「こら、そこぉ♡ 妙な企てしないの♡」

 “可愛いフミを自慢したいだけだよ”

「恥ずかしいセリフ禁止♡」

「照れてるフミちゃんも可愛いです!」

「もー♡ 二人とも♡」

 

 

 そんな風にからかわれたりもしつつ朝ご飯を食べ終え、いざ学園へ。

 ヒフミンとはここで別れ、私と先生は昨日の教室へと向かう。

 普段から空き教室らしく自由に使って良いらしい。

 よいしょっと、とタブレットを取り出し課題や要点を纏めたテキストを作る先生と机を並べて座る。

 こうしてると先生と同級生になったみたい。

 私もタブレットを操作してシャーレの仕事を片付ける。

 しばらくはお互い無言だったけど、せっかく教室で二人っきりなのだから、何か遊びたい。

 そう思った私はちょっとイタズラを仕掛ける事にした。

 

 

「せーんせ♡」

 “ん?”

「チラッ♡」

 “むっ!”

 

 

 スカートを捲ってスパッツをチラ見せ。

 別に普段見慣れているはずなのに、教室内という空間がそうさせるのか、先生はすごいガン見していた。

 なんだか私まで少し恥ずかしい。

 

 

「うーん、なんか暑いなー♡」

 “おぉ⋯⋯!”

 

 

 胸元を開けてぱたぱた扇ぐと、先生が興奮し始めた。

 中の黒インナーだってマッサージの時に見せてるのに、なんだか特別な感じ。

 

 

「にしし♡ せんせーと同級生だったら、こんなイタズラいっぱいしてたのかな♡」

 “多分学生結婚になって大騒ぎになってたと思うよ”

「それこそ空き教室とか体育倉庫でいっぱい?」

 “個人的には放課後の保健室かな!”

「きゃーせんせーえっちー♡」

 “梯子を外された!”

「でも外さないとフミちゃん我慢出来なくなっちゃいますよぉ?」

 “卒業まで遠いなぁ⋯⋯!”

 

 

 イチャイチャしながら仕事を進めると、お昼の鐘が鳴る。

 今日はお昼どうしようか、なんて言って立ち上がる先生に私はタブレットの画面を見せた。

 

 

 “調理室使用許可?”

「お昼作っちゃおうと思って♡」

 “わぁい、フミの手料理だぁ”

「にしし、そんなに喜ばれると照れちゃう♡」

 “フミは良いお嫁さんになるね!”

「戸籍上の立場以外今と変わらない気もする♡」

 “困った、否定出来ない”

「それじゃ行きましょ、旦那さま♡」

 “待ってフミ、それは火力が高すぎるから封印指定です”

「えー♡ じゃあ初夜の時に封印解こうかな♡」

 “⋯⋯おおっと急に座りたくなってきたぞ”

 

 

 初夜、という言葉で何かを連想したのか、突然椅子に座り直す先生。

 別に見せ付けてくれても良いのに♡

 

 

 “フミ。男という生き物はね。立っている時には立てないんだよ”

「いやん♡ せんせーのえっち♡」

 “半分はフミのせいなんだけどなぁ!”

「じゃあ責任取って私が収めます?」

 “⋯⋯⋯⋯いや、大人になってからね”

「悩んでるせんせー可愛い♡ 好き♡」

 “ゆるして!”

「どうしよっかなー♡」

 “フミ? フミさん?”

 

 

 椅子に座った先生に抱き着くように乗る。

 両手は先生の背中に回して、お互いの瞳を覗き込める距離まで接近。

 お尻には何か固い感触♡

 嬉しい♡

 私でこうなってくれたんだ♡

 

 

「落ち着くまでこうしていましょ♡」

 “私は今、先生としての試練を受けている⋯⋯!”

「せんせ♡ がんばれ♡ がんばれ♡ 負けるな♡」

 “拷問は禁止されています!”

「私なりのご奉仕だから♡」

 “ありがとうございます! でも今じゃないかな!”

「私はいつでもおっけーなのに♡」

 “私がいつでもダメなの!”

「じゃあ、今夜マッサージしましょ♡ それで勘弁してあげるぅ♡」

 “是非それで”

「はぁい♡」

 

 

 先生から離れると、お互いに熱い息が漏れた。

 なかなか先は長いなぁ。

 いっそ勉強に全振りして飛び級で卒業しようかな?

 

 

「ねぇ、せんせー」

 “うん?”

「飛び級で卒業ってダメかな?」

 “制度としては良いけどお互いダメになっちゃうと思うよ”

「そっかぁ」

 “こないだ言ってたみたいにフミがへろへろになっちゃうんじゃないかな”

「へろへろになるまで幸せいっぱいにしてくれるんだ♡」

 “もちろん”

「そこで即答はずるい♡ もっと好きになっちゃう♡」

 “ヒフミやハルカに取られないよう必死なんだよ”

「もーっ♡ もーっ♡」

 

 

 嬉しさと気恥ずかしさでいっぱいになり、先生をぺしぺし叩く。

 ほっぺたを抑えないとニヤニヤが止まらない。

 この心の昂りは全部料理にぶつけて発散しないと。

 という訳でお昼は全部で十五品も作っちゃったのでした、てへぺろ。

 先生に摘んでもらって、後は私が全部食べていった。

 それでも結構な量になって、先生は身動き取れなくなってた。

 明らかに食べ過ぎである。

 あ、みんなのモチベーション用のお菓子も作っておこっと。

 ちょっと待っててね先生♡

 

 

 “うっぷ⋯⋯しばらく休んでて良いかな”

「ごめんて♡」

 

 

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