もしもシャーレにヒモを養う適性の有る娘が応募してきたら   作:一ノ瀬 崇

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二十七話目

 そんなこんなでとうとう第二回の試験が明日に迫った。

 今朝の小テストはコハルちゃんとアズサちゃんもついに80点を超え、余程の事が無ければ試験合格は安泰と言えるレベルまで学力は向上。

 今日の晩ご飯は験担ぎでカツ丼にした。

 スライスしたタマネギを味染み染みにして卵で()じ、上に三つ葉を乗せて完成。

 味噌汁は油揚げとネギ、お漬物は沢庵、箸休めにトマトサラダも付けた。

 みんなおかわりするほど気に入ったみたいで、デザートのメロンゼリーも大好評だった。

 後は試験に向けてぐっすり眠り体調を整えるだけとなった。

 色々有ったけど、どうにか無事に終わりそう。

 試験さえ突破してしまえば何とでもなる。

 

 

「みんな、今日は無理せず早く寝るのよー♡」

「はぁい♡ とは言え、少し緊張してまだまだ目は冴えてしまっていますが」

「大丈夫よ、ハナコ。というかアンタが一番余裕でしょうに」

「あはは⋯⋯ハナコちゃんのお陰で私の学力も上がりましたし、油断は禁物ですけど明日は何とかなりそうです!」

「⋯⋯そうか、この合宿も明日で終わってしまうのか」

 

 

 ふと、アズサちゃんが寂しそうに言う。

 確かにこの試験を突破したら補習授業部は解散となる。

 しんみりしているアズサちゃん。

 そんな可愛い様子に、ヒフミンがくすりと笑う。

 

 

「大丈夫ですよ、アズサちゃん。試験が終わっても、普通に会って遊べますから♪」

「私は正義実現委員会の本部に居るから、いつでも会いに来なさいよ♪ あ、でも最初の時みたいに確保されてやってくるのはナシだからね。ハナコも、変な事して捕まるんじゃないわよ?」

「もちろんです、ちゃんと逃げ切ってみますから♡」

「そう言う事じゃ無いっつーの」

「きゃあんっ♡」

 

 

 軽く握った拳でぽこんと肩を叩かれるハナコちゃん。

 困った事に逃走のプロが隣に居るんだよなぁ。

 アンタよヒフミン、こら目を逸らすな。

 

 

「そうか⋯⋯そうだな。迷惑かもしれないが、毎日誰かには会いに行く。私が寂しいからな」

 

 

 腰に手を当ててむふん、と胸を張るアズサちゃん。

 随分と可愛らしい甘え方を覚えてしまったらしい。

 その姿にみんなデレデレになって、全員でアズサちゃんをむぎゅむぎゅ抱き着く。

 

 

「もう、誰にそんな可愛いワガママの方法を教わったのよ♪」

「アズサちゃん、お昼ご飯一緒に食べましょうね!」

「私も会いに行きますから♡」

「当番じゃなくてもシャーレに遊びにおいで♡ お菓子作ってあげる♡」

「うん⋯⋯みんなありがとう♪」

 

 

 平和で幸せな空間。

 しかしそんな空気は、青ざめた顔をした先生が訪れた事で一変する。

 控えめに、でもどこか焦ったようなリズムで叩かれる扉。

 

 

 “みんな、ちょっと良いかい?”

「あ、はぁーい」

 

 

 ヒフミンが扉を開ける。

 タブレットを持った先生が立っていた。

 みんな歓迎の笑みを向けるも、すぐに訝しむように目を見開く。

 先生の顔は青ざめていた。

 

 

「先生? お顔の色がよろしくないようですが⋯⋯」

 “あぁ⋯⋯私の体調に異常は無いよ。ありがとうハナコ。みんなに確認して欲しい事が有ってね⋯⋯入っても大丈夫かな?”

「どうぞ先生」

 

 

 ヒフミンが椅子を用意し、私達はその周りに集まるようにベッドの端へと腰掛ける。

 先生は椅子に座ってからふぅと一息吐き、タブレットをみんなに見せる。

 

 

 “つい今し方、試験についての情報が更新されてね。みんなにもその情報を見て欲しいんだ”

「あ、試験場所や開始時間ですか?」

 

 

 ヒフミンがタブレットを覗き込む。

 見る間に、その顔が固まっていく。

 直ぐ様取り出したスマホを弄り、何かを確認してさらに顔を青くした。

 

 

「どうしたのよ、ヒフミ?」

「⋯⋯試験範囲が三倍に広がっています」

「え?」

「それだけじゃありません、合格ラインが60点から90点に引き上げられています⋯⋯!」

「はぁ!?」

 

 

 その言葉に、弾かれたようにタブレットの画面を覗き込む三人。

 私が先生に目を向けると、視線が交錯した。

 声には出さず、唇を動かす。

 それに、先生は小さく頷いた。

 なるほど、どこからか聞き付けて手を打ってきたかぁ。

 どうやらナギサさんはどうしても補習授業部のハッピーエンドを認めたくないらしい。

 ならば、私がやる事は一つ。

 手元に置いといたスマホを操作し、モモトークを飛ばしておく。

 

 

「更新時間は二分前⋯⋯本当にたった今変更されたんですね」

「合格点数の引き上げなんて⋯⋯しかも範囲も三倍近いだなんて、むちゃくちゃじゃないの!」

「これは⋯⋯いったい、何が起きているんだ⋯⋯?」

「⋯⋯⋯⋯それ程、人を信じられなくなりましたか。大方私達の小テストの出来栄えを知り、念には念を入れて誰も合格出来ないようにしたんですね」

「は? どういう事よハナコ」

「小テストの出来栄え⋯⋯?」

「ナギサさんです。ティーパーティーの総意として、私達補習授業部の合格は認めないと、喧嘩を売ってきたんですよ。余程私達を退学処分にしたいんでしょうね」

「待って、ハナコ。退学って⋯⋯」

「あぁ、ごめんなさい。まだコハルちゃんとアズサちゃんには伝えていませんでした。なるべくなら不安を与えずにテストに挑んでほしいと思いまして⋯⋯ですが、この状況では全て伝えるしかないようです」

「ハナコちゃんは悪くないんです! 私がみんなには黙っていてほしいって」

「あー⋯⋯その辺は良いわ。私達を思ってなんでしょ? なら私は許す。アズサも、良いかしら?」

「うん、他でもないヒフミの判断だ。私はそれが最良だったんだと思う」

 

 

 そこからは現状の説明とナイショにしてた事の開示。

 普段関わらないであろう政治というものの影響に、二人は苦々しそうに眉をひそめた。

 

 

「どうして、権力を手にした人は疑心暗鬼になっていくのかしらね。まぁ、良いわ。それはもう置いといて、取り敢えずは試験よ。他に何か変更になった所は?」

「⋯⋯まずいかもしれない。コハル、ここ見て」

「ん? ⋯⋯は!? 試験会場がゲヘナ!?」

 “一応トリニティとの境界に近い場所だからまだアクセスはしやすいけど⋯⋯それでも時間は厳しいね”

「試験開始時間は⋯⋯午前三時!?」

「今は十一時⋯⋯後四時間ですか!?」

「時間が無い、すぐにでも行こう」

「待って」

 

 

 私の声に、みんなが動きを止める。

 注目を集めたのを確認して、スマホの画面を見せる。

 モモトークの会話の一文。

 そこにはチハヤちゃんとのやり取りが載っている。

 

 

「シャーレの要請、一般生徒からの通報、そしてお菓子で誘惑してのお願い。私が使える合法的な手段は使えるだけ使ってみたよ♡」

 

 

 装甲車一台確保出来たので爆速で向かいます、の返事。

 チハヤちゃん様々だ。

 

 

「という訳で今から十分ほどで正義実現委員会の装甲車が付くのでシャーレが徴発しちゃいまーす♡」

「はぁぁぁっ!?」

「わお♡ コハルちゃんのシャウトすごい♡ 鼓膜が揺れる♡」

「あ、ごめん。いやいやいやいや!? え、マジなの!?」

「マジです♡ いぇーい♡」

 

 

 チハヤちゃん直伝のダブルピースぶぃぶぃ♡

 割と無茶を言ったのに快諾してくれたチハヤちゃんには本当に頭が上がらない。

 お礼のデザートバイキングは是非期待してほしい。

 

 

 “フミ、本当にありがとう”

「いいって事よせんせ♡ 補習授業部のみんなはもう大事な家族なんだから♡」

「家族か⋯⋯嬉しい」

「チハヤの為にも、絶対に合格してみせるわ!」

「うふふ、後でお礼をしないといけませんね♡」

「フミちゃんのお陰で時間は何とかなりそうです! 後は全力で挑むだけ⋯⋯!」

 

 

 よし、一度下がりかけた士気は維持出来た。

 次は試験会場までみんなを安全に送り届ける。

 妨害してくるなら良い。

 問題はすんなり通された時だ。

 対応しないのなら、道中ではなく会場に何か仕掛けてくる可能性が高い。

 このギリギリの時間に変更をして終わりだなんて有り得ない、そう思える程にはナギサさんの偏執的な疑心暗鬼は深い。

 何せ補習授業部の処理にわざわざシャーレを指名してきたくらいだ。

 二の矢三の矢は用意しているだろう。

 果たしてどうなる事やら。

 

 

 

 

 

 

「驚くほど何にも無いね?」

「嵐の前の静けさじゃ無ければいいなー」

 

 

 運転するチハヤちゃんの隣で夜道へ視線を流す。

 ティーパーティーからの干渉は何も無く、なんならチハヤちゃんが合宿所に向かう道中さえ何も無かったらしい。

 あくまで監視員しか配置していないようだ。

 動かすのは拠点からで充分、という事だろう。

 ますます面倒な気配がしてくる。

 

 

「⋯⋯んぅ?」

 

 

 真っ直ぐに見通せる長い直線道路。

 チハヤちゃんが遠くに何かを見付ける。

 同時に窓から左手を出し、リボルバーを三発撃った。

 

 

「きゃっ!?」

 “フミ、何か有った?”

「あ、ごめんごめん♡ てきしゅー♡」

「え、敵襲ですか!?」

 

 

 突然の発砲でハナコちゃんを驚かせてしまった。

 その仕草に重なって遠く前方の路地から悲鳴が上がる。

 車が通り過ぎる時に、鋭く声が飛んだ。

 

 

「くそっ、信号弾を上げろ!」

「奇襲は失敗だ! バリケードで塞げ!」

 

 

 一気に光弾が空を舞う。

 途端に人通りの少なかった路地が活気付いた。

 

 

「不良達のお出ましね、ティーパーティーが情報を流したかな?」

「自分達の関与を示す証拠を隠しつつこちらの妨害の手を増やす⋯⋯うふふ、ナギサさんの考えそうな事です♡」

「ヒフミ、ハナコが黒いオーラを出してる」

「あわわ、ハナコちゃん落ち着いて⋯⋯!?」

「先生、一応頭下げておいて!」

 “わわっと、ありがとうコハル”

 

 

 続けざまに三発撃ち込みマグチェンジでリロード。

 前方で板を運んでいたスケバンちゃん達の腰に付いてたグレネードに命中させて、板ごと吹き飛ばす。

 追加で一気に六発を打ち捨て再びマグチェンジで弾丸をぶち込む。

 二発は通り過ぎた路地から飛び出してきたスケバンの構えるロケットランチャーの弾頭を貫き誘爆、三発はバリケードを設置しようとしていたヘルメットを被る不良のグレネードに当たりバリケードごと吹き飛ばし、一発は空きビルの屋上からこちらを狙っていたスナイパーの銃口へ潜り込ませた。

 もう、数が多いったら。

 

 

「ひゅー♪ フミちゃんやるぅ♪」

「チハヤちゃんの前だから格好付けてるのよ♡」

「きゃー口説かれちゃうー♪」

「チハヤ、イチャ付いてないで前! 前!」

 

 

 コハルちゃんが指差す先には中古と思しきクルセイダーが主砲を回しながら道路を走っていた。

 んー、あれはちょっと面倒だね。

 

 

「コハルちゃん、グレネード持ってたらちょうだい♡」

「は!? え、やる気!?」

「もち♡ チハヤちゃんは並走する感じでぶっ飛ばして良いわよ♡」

「任されよー♪ いやぁ、教習の時にポリ公をブッチしてやったの思い出しちゃうなぁ!」

「待って♡」

「止まる?」

「そうじゃない♡」

 

 

 正義実現委員会なのに案外アウトローだねチハヤちゃん?

 しかもポリ公て。

 

 

「あっ、マッポの方が良かった?」

「そうでもない♡ どこで覚えたのそんな言葉♡」

「ヴァルキューレに行った友達に聞いたの♪」

 “うーん、価値観が世紀末”

 

 

 とんでもない友人も居たもんだ。

 いや、私もヒフミン居るしな⋯⋯。

 取り敢えずコハルちゃんからグレネードを受け取り、窓から車の屋根に登る。

 こういう時にスパッツだと動きやすくて良いよね。

 流石に先生誘惑用のオープンショーツじゃこうは行かないし。

 大胆に片膝を立てて左手にリボルバー右手にグレネードを持ってしばし待機。

 

 

「なんだぁ、やる気かぁ?」

「そのツラ吹っ飛ばしてやるよ!」

「うーん、実に無鉄砲♡」

 

 

 クルセイダーを運転している不良達が声を張り上げながらこちらを煽ってくる。

 砲塔が回転して来た所へリボルバーを撃ち、なんか無理矢理くっつけられた二門の同軸機銃にも弾丸を詰まらせておく。

 あれ絶対に照準ブレると思うんだけど。

 そして砲塔から入っていった跳弾でクルセイダーの中は軽くパニックになってる。

 まぁ普通そんな所から攻撃されないもんね。

 

 

「という訳でプレゼント♡」

「クソ、舐めやがっ⋯⋯あ?」

「ばっ、てめっ!?」

 

 

 次の瞬間、砲塔から入っていったグレネードが薬室で炸裂した。

 弾けろ青春♡

 

 

「はっはー♪ フミちゃん最高!」

「にしし、いぇい♡」

 

 

 窓から手を出したチハヤちゃんとハイタッチを決めて助手席に戻る。

 ふぅ、いい汗かいた。

 

 

「本日は掛藤運送をご利用頂きありがとうございます♪ 間もなく目的地周辺に到着致します、お降りの際はチハヤちゃんサイコーとお願いしまーす♪」

 “助かったよ、ありがとうチハヤ”

「先生はみんなと試験会場へ、私はチハヤちゃんと殿軍で追撃を蹴散らしておくね♡」

「わーいフミちゃんとデートだー♪ ちょっと下着良いやつに変えておこっと♪」

「こら、バカな事言わない! 主文後回しにするわよ!」

「ひぃん」

「まぁ後ろはガッチリ守るから、みんなは試験頑張ってきて♡」

「全く、任せたわよ!」

「よし、準備は万端だ!」

「行ってきます、フミちゃん!」

「吉報をお待ちください♡」

 “それじゃ、チハヤちゃんサイコー!”

「あ、言うんだ。仕方ない、チハヤサイコー!」

「チハヤサイコー!」

「チハヤちゃんサイコー!」

「チハヤさんサイコー♡」

 

 

 五人を見送ってリボルバーのリロードをしつつ装甲車を降りる。

 背中に取り付けていた格納式シールドを展開して足元に立てて遮蔽物とし、両手にリボルバーを構え直す。

 チハヤちゃんは装甲車のトランクからミサイルランチャーを取り出した。

 

 

「随分ゴツいもの使うんだ?」

「火力は正義だからね! そして私は正義実現委員会、つまりフルパワーこそ私の生き甲斐!」

「私は火力不足になりがちだから助かるけど♡」

「相性ばっちりだねー♪ 頼りにしちゃうー♪」

「やっぱりチハヤちゃんも追加でせんせーと私のハーレムに入れたい人材♡」

「じゃあもっと仲良くなるのに、二人といっぱいデートしないとねー♪」

「ねー♡」

 

 

 戦いを控えているとは思えない緩さ。

 このふにゃふにゃしちゃう空気感がなんか好き。

 実はチハヤちゃん、トリニティの癒し枠の生徒だった可能性があったり?

 いや、正義実現委員会の同学年の子みんな癒し枠だったからそう言う子が集まって来てるのかな?

 と、そろそろ不良生徒達が集まってくる頃だ。

 見晴らしの良い直線道路の向こうから、わらわらと人影が増えてくる。

 

 

「バリケード全突破じゃねぇか! なにやってんだよ!」

「知るかよ! 突然グレネードが爆発したんだ!」

「うーん、烏合の衆♡」

 

 

 ご挨拶代わりにディレイをかけながら六発。

 跳弾させてヘルメットのバイザー保持部分や腰元のグレネードなんかを狙っていく。

 突然の攻撃に不良達は浮足立つ。

 

 

「うわっ、横から!?」

「くそ、伏兵でもいるのかよ!」

「ンオ゛ッ゛♡」

「うわぁっ、何変な声上げてんだお前!?」

 

 

 あ、一人跳弾ミスって座薬みたいになっちゃった。

 めーんご♡

 ぴくぴく震えて蹲るおかっぱスケバンちゃんが後方に引きずられて行くのを眺めつつ、リロードを挟む。

 

 

「タワーディフェンス型シミュレーションみたい♡」

「地雷とか有ったら誘導してまとめてボカンなんだけどねー。スキル発動! みたいに」

「チハヤちゃん結構ゲーマーだったりする?」

「意外とゲームの戦術がハマったりするから正義実現委員会でもゲーム好きな子多いよ?」

「そーなのかー♡」

「私の専門は女主人公が一人旅して道中色んなモンスターと仲良ししながら世界を救う同人ゲームだけど♪」

「待って♡」

「堕落値とか淫乱度で主人公の反応変わるやつだと最初の森でネズミやオオカミや花や蟲で最大までやられ続けちゃうんだよねぇ♡」

「解るけども♡」

 

 

 まいった、好きな同人ゲームの方向性まで仲良しだとは。

 

 

「やられちゃった後最初に戻るんじゃなく、立ち上がるを選択するまで幸せ継続無防備状態で、そのままほじられたり注ぎ込まれたりしちゃうのが好きなんだよねー♪ 潰れたカエル体勢のまま追加でやられちゃうやつ♪」

「友よ!」

 

 

 この瞬間、私とチハヤちゃんは単なるチームメイトを越えたソウルメイトとなった。

 さっすが〜、チハヤちゃんは話が解るッ!!

 がしっと握手を交わす私達へ、不良達が怒りを露わにする。

 

 

「戦闘の片手間に猥談しやがって!」

「ふざけんなデータよこせ!」

「元のゲームはR-15だから普通に買ってサークル応援してね?」

「非公認になってる個人用パッチを当てたら良いんだよー」

「えっ、そうなの?」

「戦闘終わったらちょっとモモトークで色々教えてくださいコラァ!」

「良いよー♪」

「好きなジャンル有ったらオススメピックアップしてあげる♡」

「ありがとうございますオラァ!」

 

 

 その後申し訳程度に戦闘してから不良生徒みんなを集めてえっちな座談会をした。

 やはり銃よりえっちの方が強い。

 二次元にどハマりした子達は主にチハヤちゃん、リアルで好きな子が居てお互い関係を進めたいって子達は主に私が受け持つ。

 やっぱ性教育って大事だよね。

 ここはシャーレが率先して教材を提供するべきだと思うので先生を襲います。

 いやん、個人用の動画が流出しちゃう♡

 

 

「なるほど、本に描いてあった爪を切る描写にそんな意味が」

「えっ、えっ、そんなステキなおもちゃがあるの?」

 

 

 さっきまでオラオラしてたサイドポニーちゃんも、ヘルメットを被った恥ずかしがり屋ちゃんも、興味津々で話を聞いている。

 元々不良になってる子達は性に限らない色々な形の欲求不満を抱えている事が多いからね。

 ドロップアウトした子達の支援もシャーレのお仕事なのだ。

 銃撃戦してるよりお豆チャンバラしてた方が気持ち良いんだし平和にやろうぜ!

 という訳でシャーレ付近の自警団メンバーげっとだぜ♡

 休学中退停学退学の状態でもシャーレから簡単なお仕事を回せるし、復学支援の名目でシャワーや仮眠室なんかも貸せるからね。

 先生には事後報告になるけど生徒の支援なら絶対に乗ってくるから問題なし。

 ティーパーティーから派遣された部隊とかだったらこの調略も出来なかったからまさしく奇縁と言えるだろう。

 さて、どうにか試験会場付近の騒動も鎮圧出来たし後はみんなの頑張り次第になるかな?

 そんな風に考えていた私の甘さを咎めるように、地面が揺れる。

 発破音。

 何事かと振り返れば、試験会場のある辺りから賑やかな喧騒が届いてくる。

 どうやら先生は無事なようだ。

 とは言え確認しない訳には行かない、と声を残して駆け出していく。

 

 

「みんなは一旦ここで待機! ちょっと見てくる!」

「は!? アタシら以外にも誰か居んのか!?」

「声を掛けて来たのはここに居るみんなで全員?」

「あぁ、全員来てる。つーか誰も向こうの方にはまだ行ってないはずだよな⋯⋯?」

 

 

 背後から届く困惑の声。

 本当にあの子達は何も知らないようだ。

 なら最初から仕掛けられていた?

 いや、私の勘に引っ掛からなかったから待ち伏せではないはずだ。

 なら何故?

 そんな私の疑問はツルハシを手に地面を掘り返し、重機で土を運び出そうとしている子達の姿で氷解した。

 

 

「⋯⋯温泉開発部⋯⋯?」

 

 

 何故──いや、なら──試験開始時間にかち合うように?

 はっ、と鼻から笑いを滲ませた空気が漏れる。

 

 

「そっかそっか⋯⋯ちょうど来たんだ。だから私の勘にも引っ掛からなかった」

「フミちゃん、ごめんなさい。試験用紙を紛失した事で、私達は全員不合格となりました」

「謝る事は無いよ、ハナコちゃん。先生は無事?」

「ええ、アズサちゃんが守ってくれたので掠り傷一つありません」

「それは良かった。⋯⋯ここまでやってきちゃうかぁ。なら、ナギサさんは私達の()って事で良いよね」

 “ダメだよ、フミ”

「せんせー」

 

 

 背後から少し煤けた先生がやってくる。

 ヒフミンやアズサちゃん、コハルちゃんも無事だ。

 駆け寄ってコートに付いた土埃を払っていると、先生は私の頭にそっと手のひらを乗せる。

 

 

 “少しばかり行き違いはあるけど、ナギサは敵じゃない。彼女もまた、手を差し伸べてあげる生徒の一人なんだ”

「⋯⋯⋯⋯はぁ。せんせーがそれで良いなら」

 “うん、いつもありがとうフミ”

「どういたしまして♡ あ、そうそう。あの不良の子達をシャーレの復学支援プログラムのテスターとして雇いたいんだけど♡」

 “わぁ初耳。でも許可しちゃうね”

「話が早い♡ お礼に今度いっぱいご奉仕するから♡」

「今えっちな話題出した?」

「反応が早い♡」

 

 

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