もしもシャーレにヒモを養う適性の有る娘が応募してきたら   作:一ノ瀬 崇

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四十一話目

 今日はドサッと書類が運ばれてきた《当たり》の日。

 朝九時に執務室を開けると呆気に取られるほどの山が幾つも出来ていた。

 普段の四倍はありそうな山を見てこっそり帰ろうとした当番のモモイちゃんを捕まえてぺちぺちしながら各自デスクへ。

 なお今日の当番はモモイちゃん、サツキさん、ウイさんである。

 モモイちゃんは解る。

 なんなら当番じゃなくても時々ゲーム開発部一同で遊びに来たり泊まりに来たりするからだ。

 サツキさんはこないだゲヘナに行った時に挨拶したりお土産を渡したりして仲良くなったのがキッカケだ。

 マコトさんからも催眠術で少しずつ先生を万魔殿の味方をするように仕掛けてこいと送り出されている。

 その謀を私たちの前で宣言しちゃう所とか結構好き。

 分からないのはウイさんだ。

 私とはこないだアリウスの情報を求めて古書館にお邪魔した一回だけしか交友が無い。

 となると、先生が知らない間に引っ掛けて来たのだろう。

 当番は申請制なので当人が要望を出さない限り選ばれる事は無い。

 他人が代わりに申請するとしてもだいたいはモモイちゃんの時みたいに連名で出してくる。

 今回は単独での申請だ。

 つまり先生とウイさんの間に知らないイチャイチャパラダイスがカーニバルだったという事。

 なら私がやる事は一つ。

 

 

「ハーレム入りません?」

「へあぁっ!?」

「謎の悲鳴♡」

 

 

 流石に性急過ぎたらしい。

 雑談を交えて交友を深めつつ業務をこなす。

 これは久し振りに定時までかかるコースかな?

 流石に二人で出る訳にも行かないので今日の子ウサギ公園訪問は先生一人にお任せ。

 お見送りをしたらみんなに緑茶を入れてお手製のマドレーヌも振る舞い楽しく書類を片付けていく。

 

 

「あ、モモイちゃん書類に食べかす付けないの♡」

「おっとっと」

「サツキさんは……ウヒャアすげぇぜモモイっ♡ おちちに食べかすが乗ってる♡」

「ダニィ!? どんなおっぱいだ!?」

「ちょっと二人とも?」

「「あ、はい」」

「もっと落ち着いてください」

 

 

 時々こんな風にモモイちゃんと一緒におちゃらけてサツキさんとウイさんにめってしてもらう。

 みんなが仲良くなるなら、私は愉快なピエロにもなるのサ!

 それはそれとしておっぱい揉みたい。

 過去最高峰じゃない?

 

 

「そう言えばこないだ古本屋でニャルキメデスの磁界歴程の初版見付けて衝動買いしたんですけど、結構ボロボロでした♡」

「激レア本じゃないですか!!?」

「わぁ今日一の大声量♡ で、せっかくですし今日ウイさんに持って帰って修復してもらいたいんですけど♡」

「あ、すいません……願ったり叶ったりです。帰ったら早速取り掛かりますね」

「修復終わったらそのまま古書館で保存しててもらえますか? 置く場所無いのでそちらで管理していただいた方が本も喜ぶかなって♡」

「分かりました、その子の事はお任せください」

「ねーねーフミ、磁界歴程って?」

「まだロボット市民がキヴォトスで生まれる前に書かれた獣人の作家の代表作で、ロボットたちが支配する星にスパイしに行く獣人の道程を記した報告書スタイルのSF小説だよ♡ 違う価値観違う文化を獣人の視線で淡々と綴る文体が人気で当時のエンタメのトップに位置してたやつ♡」

「あれがキッカケで今のロボット市民の方に関する法規制も進んだと言われているほどの名書です。後の連邦生徒会での会議に特別枠で招待されたなんて逸話もありますね」

「凄い本なのねぇ。でもそれだけ昔の作品ならネットで読めるようになってるかしら?」

「なってますね♡ 著作権も切れてるので自由に読めますし、こないだ封切りした《遊星ペロロXよりの手紙》の元ネタにもなってるんですよ♡」

「おぉ、めっちゃ大人気作品じゃん……!」

「なんならこないだモモイちゃんがプレイしてたキリングマシーンエイリアンズの元ネタでもある♡」

「おファッ!?」

「ミーム汚染が激しい♡」

「汚染元はフミなんだけど」

「まことに遺憾でごじゃる♡」

 

 

 わいわいお喋りしながら書類を捌き、気付けばそろそろお昼。

 今日は何作ろうかなー。

 と、私の意識がお昼ごはんに向いたのを感じ取ったモモイちゃんが目を光らせた。

 

 

「フミ、ごはん何にするの!」

「反応が早い♡」

「あらぁ、もうお昼だったのねぇ。出前でも取るの?」

「ふっふっふー♪ サツキ先輩、こう見えてフミはお菓子作りだけじゃなく料理の腕前も凄いんだよ!」

「何故かモモイちゃんが自慢げ♡ 先輩方は苦手な食べ物やアレルギー持ってるものあります?」

「辛いのはちょっと苦手ね……」

「刺激の強いものでなければ……」

「それなら素朴な感じのが良いですかね……何が良いかなー♡」

「あ、それならアレ食べたい!」

 

 

 はいはーい、とモモイちゃんが手を挙げる。

 なんじゃらほいと指名すると、両手の拳をギュッと握って迫ってきた。

 

 

「前にコハルが自慢してきたの、フミが一番得意な料理作ってくれたんだけど最高だった、って!」

「知らない所で自慢されてた♡」

「私もその料理食べてみたい! ……まぁ、メニューの内容は知らないんだけども」

「流石モモイちゃん、チャレンジ精神が凄い♡」

「フミちゃんの得意料理か……興味出て来たわ♪」

「私も食べてみたくなりました。何かお手伝い出来る事はありますか?」

「んー……サプライズ要素もあるので待っててください♡ それじゃ横の給湯室に居るので♡」

「わーい! ごっはん、ごっはん♪」

「モモイちゃんは元気ねぇ」

「ほら、待ってる間書類を片付けますよ」

 

 

 頼もしいお姉さん二人に挟まれて書類に埋もれていくモモイちゃん。

 天国と地獄とはこの事か。

 いや天国も地獄も緩い♡

 ともあれモモイちゃんはお二人に任せて給湯室へ。

 なんだかんだ補習授業部で作って以来だ。

 腕によりをかけて作っちゃおう。

 鶏ごぼうとタケノコの炊き込みご飯、マイタケと大根おろしの味噌汁、揚げ豆腐の根菜餡掛け、糸こんにゃくとたらこの煮物、甘く味付けた玉子焼き。

 どれも優しい味わいでついつい箸が伸びる事請け合い。

 鼻歌なんかも歌いながら手際良く作って行くと、匂いに誘われたのか抜き足差し足忍び足で給湯室の入口から様子を窺うモモイちゃんの姿が。

 

 

「はい、確保」

「あぁん!?」

 

 

 と思ったらサツキさんに捕まっていた。

 あんまり悪い子だと催眠術かけられちゃうゾ♡

 とは言え私も仕事中にこの匂いを嗅がされて大人しく仕事が出来るとは思えないので、勿体ぶらずにさっさか作っちゃおう。

 いやー、コンロがいっぱいあると楽で良いねぇ♡

 

 

「という訳で完成でーす♡ 控えい控えい♡」

「道を空けろー! 上様のお通りであるぞ!」

「え、なんですか?」

「あ、フミが料理作ってくれた時のお約束なんだよ! なんか時代劇っぽい事言うの」

「フミちゃんもノリノリねぇ」

「にしし、お待たせしましたー♡」

 

 

 来客用のテーブルに配膳していく。

 もはや来客用として使われる事は無い気がしてきたけど、そこは触れずにおこう。

 並んだ料理を見て口をぽかーんと開くモモイちゃんが面白かったのでスマホでパシャリ。

 

 

「いや何で撮ったの!?」

「可愛い顔してるから♡」

「割と予想外のメニューだったから……こう、めっちゃ光り輝いてる豪華ー! な料理だと思ってたから」

「にしし、そこは食べてみてのお楽しみ♡ 美味しさで口から光線出るかもよ?」

「口からビームは流石のアリスでも出ないよ!? ……エンジニア部の装置なら出るかもだけど」

「ふふ、美味しそうね♪」

「早速いただきましょう」

「あれ、先輩たちには高評価……?」

「ビタミンや繊維質もたっぷりで美容に良いからね♡ ほらモモイちゃん、食べよ♡」

「いただきまーす♪ ……美容かぁ、私も気にした方が良いのかな?」

「せんせーを籠絡したいなら必須♡」

 

 

 玉子焼きを摘んでぱくっと一口。

 うむうむ、今日も会心の出来栄え♡

 真似して玉子焼きを食べたモモイちゃんはピンと背筋を伸ばして目を輝かせた。

 サツキさんは豆腐の根菜餡掛け、ウイさんはマイタケと大根おろしの味噌汁が気に入ったらしい。

 早くも玉子焼きを食べ切ったモモイちゃんが物欲しそうに視線を送ってくるので苦笑しながら箸で摘んで差し出す。

 

 

「あーん♡」

「あーん……んふー♪」

 

 

 ほっぺたを押さえて幸せそうに咀嚼するモモイちゃん。

 あんまり可愛いとちゅーするぞ♡

 あっという間にみんな食べ終え、食後は緑茶と切った梨でのんびり一服タイム。

 いやぁこの組み合わせはもう犯罪だよね。

 

 

「最初は地味だと思ったけど、確かにフミの一番得意な料理だって分かるね。すっごく美味しかったもん」

「にしし、モモイちゃん今日帰ってから激詰めされると思うけど頑張ってね♡」

「え?」

「じゃーん♡」

 

 

 首を傾げるモモイちゃんにスマホの画面を見せる。

 さっき撮ったぽかーん顔モモイちゃんの写真と作った料理の写真を並べてモモトークに流したら、ミドリちゃんユズちゃんアリスちゃんがズルいズルいの大合唱。

 今度作ってあげると約束したので私へは次のシャーレ当番申請が飛んでくるくらいで済んでるけど、その分ヘイトは全部モモイちゃんに向かった。

 多分もみくちゃにされるだろう。

 

 

「えええ!? なにしてんのさぁ!?」

「イタズラ♡」

「それはそうだけども!」

「大人気ねぇ」

「お土産に焼きプリン作ってあるので万魔殿のみんなで楽しんでください♡」

「あら、ありがとう! イブキちゃんにもこっそりお土産プリンをお願いされてたから助かるわぁ」

「イブキちゃん相変わらず可愛すぎる♡」

「古書だけじゃなくプリンもいただけるとは……申請して正解でした」

「ウイさんも気軽に遊びに来てください♡ 他にも見せたい本はありますから♡」

「……外出は好みませんが、少し楽しみが出来ました」

「私だけなんかダメージ受けてない!?」

「モモイちゃんはほら、もう身内みたいなもんだし♡」

「なら良いか……とはならないよ!?」

 

 

 宥める為にハグして耳たぶを甘噛みしたら奇声を上げられた。

 でも満更ではなさそうなのでヨシ!

 モモイちゃんの照れ顔からしか摂取出来ない栄養素がある。

 午後のお仕事も頑張るぞぃ、と気合いを入れてしばしハンコをぽすぽす。

 歓談しつつもようやく終わりが見えてきた所で先生からモモトークが届く。

 そう言えば子ウサギ公園訪問は終わったのかな?

 

 

「……んんんん??」

「珍しい、フミが宇宙猫みたいになってる」

「フミちゃん?」

「どうしました?」

「……んー、ん、うん???」

「あっ、ちょっとバグってる。再起動しなきゃ」

 

 

 良い角度でモモイちゃんにてぃてぃチョップされて意識が戻ってきた。

 いやぁ衝撃的でしたね。

 

 

「で、何があったの?」

「カイザーグループとヴァルキューレの癒着が疑われる為証拠を探しにSRTでヴァルキューレ警察学校に急襲仕掛けてくるんだって♡」

「……うん?」

「どうしてそうなったの?」

「謎です♡ 取り敢えずこっちでヴァルキューレの人手を削る為に何かやりますか……」

「あ、受け入れて進めるんですね」

「突拍子も無いイベントを引き寄せるのはせんせーの専売特許ですから♡」

 

 

 どうしたもんかと悩みつつハルナさんに最近D.U.地区にオープンしたちょっと高級志向な料理店の情報を流し、シャーレ自警団の対応力を試す為に便利屋主導で襲撃抜き打ちテストを開催すると通達し、ファウストにペロログッズを転売してるやつの情報を流し……え、今まさにそのトラックを追い掛けて銃撃戦してる?

 じゃあ追加でペロログッズ専門店に襲撃仕掛けたやつと、粗悪な模造品をばら撒いてるやつの情報も流しておこう。

 ともあれこれで同時多発的に騒動が起きるだろう。

 さらっと街を混乱の渦に叩き込んだ事に戦慄する三人にダブルピースを向けておく。

 

 

「人脈は力ですよ♡」

「フミが本気出したらキヴォトス征服出来そう」

「面倒な処理多そうだし要らないかな♡ せんせーと気兼ねなくイチャイチャ子作り出来ればそれで♡」

「流石淫婦ダァ……」

「淫婦呼びしないの♡」

 

 

 流石に潜入に関して直接的な支援は出来ないから、外で勝手に《タイミングの悪い事》をやるくらいしかない。

 顔馴染みのお店と知り合いの子たちにお願いして喧嘩っぽい事をして通報してもらうとかね。

 もちろん迷惑料込みでお店の商品はお買い上げさせてもらう。

 晩ごはんはたい焼きとお団子になりそう♡

 

 

「三人は書類をお願いします♡ 私はちょっと戦力にならなさそうなので♡」

「りょーかい! フミの分も片付けちゃうね!」

「モモイちゃん頼もしい♡ 後でちゅーしてあげる♡」

「えっ!?」

 

 

 なんとも言えなさそうな顔をしたモモイちゃんに投げキッスしてからハレさんにも連絡。

 妖怪MAXスノーブリザード味の箱詰めを送る事で了承をもらい、先生の作戦開始に合わせて一時的にヴァルキューレ警察学校周辺のWi-Fiをクッッッッソ重くしてもらう。

 多分その辺のコンビニのフリーWi-Fiの方が早いくらいの速度に押さえてもらおう。

 これで通信機器は使い物にならなくなるはず。

 モエちゃんが使う専用の機器や先生の持つシッテムの箱、後は旧型のトランシーバーくらいしかまともにやり取り出来なくなる。

 規格の共通化は便利だけど、その分集中砲火に晒されると脆い。

 

 

「うわぁ……フミがえげつないよぉ……」

「先生だけじゃなく、フミちゃんも万魔殿に取り込まないとダメかしら?」

「シスターフッドとも渡り合えそうです……」

「取り敢えず私への評価は高いようでなにより♡」

 

 

 各所へ連絡を飛ばし集まってきた情報を処理していく。

 専門ではないから速度は遅いけど、一つ一つ丁寧に順番に。

 全ての手配を終えた頃には時計の短針が七時を示していた。

 気付けば机の上に積まれていた書類の山も、全部処理されて台車に鎮座していた。

 ぐいっと身体を伸ばせば固まっていた関節がバキバキ鳴る。

 

 

「んぁぁぁ゙……終わった♡」

「お疲れ様ー。はいお茶」

「ありがとモモイちゃん……しぶーい♡」

「あれ!? お茶っ葉入れすぎたかな?」

「お湯でもっかい割ったらちょうどいいかも♡」

「姉御ぉ、たい焼きとお団子買い占めたやつ運んできたぞ!」

「ありがとー♡ みんなも食べて手伝ってね♡」

「甘いもんは別腹って言うけど流石に胸焼けしそうだな……みなさんもおつっす!」

 

 

 自警団の子たちが大量の紙袋を持ってきてくれた。

 中身は協力してもらったお店のたい焼き各種とお団子の詰め合わせセット。

 多分百七十人分くらいある。

 自警団と便利屋のみんなが戻ってきても、一人あたり四人分近く食べないと消費しきれなさそう。

 

 

「お土産の焼きプリンとは別にこれも持ってってもらえると助かります……♡」

「これを持って電車移動はなかなか刺激的ねぇ」

「誰に配りましょうか……」

「取り敢えずユウカに渡して太もも育てるか……」

「モモイちゃん発想が邪悪♡」

 

 

 やれる事もやったので、後は作戦の成功を祈るだけ。

 目下の問題はこの山と積まれたたい焼きとお団子をどうするかである。

 みんなにモモトーク送っておこ♡

 各自時間が出来たら執務室にたい焼きとお団子取りにくるよーに♡

 当番の三人をお見送りして、戻ってきたみんなに労いの言葉とお土産を渡してしばらく。

 ニュースサイトを眺めながらお団子をもちゃもちゃしていると各所でドンパチ賑やかになってきたと速報が入る。

 ライブカメラでは飲食店が爆破されている。

 案の定ダメだったか。

 接客はまぁまぁ、だけど味と値段が釣り合ってないって話が出てたからね。

 ハルナさんから愚痴が送られてきたのでお詫び代わりにシャーレへおいでと送信。

 このたい焼きとお団子は私が懇意にしてるお店のものだから味は抜群。

 ハスミさんも当番の帰りに買い込んでいく評判のお店だ。

 そんなんだから痩せないんだゾ♡

 まぁ全部身長と胸とお尻に栄養行ってるけど♡

 羨ましい話ですにゃー。

 その後やってきた美食研究会のみんなにたい焼きとお団子を渡して食べるのを手伝ってもらった。

 アカリさんの頼もしさが違うぜぃ♡

 お土産に焼きプリンをねだられたので追加で渡しておく。

 朝ごはん代わりに食べるらしい。

 カリカリのトーストに乗せるのもオススメだと伝えたら追加でもう一組プリンを持っていかれたのは失敗だった。

 おかげでたい焼きとお団子捌けたから良いか……。

 

 

 

 

 そして翌日。

 深夜に帰ってきたらしい先生の眠そうな顔をつんつんしながら朝ごはんを振る舞っていると、モニターの画面が切り替わり臨時速報が入った。

 

 

『私は今、カイザーグループとの癒着問題が噂になっているヴァルキューレ警察学校の本館の前に来ています! とある匿名希望の方からの情報によりますと……どうやら公安局の生徒たちがカイザーグループから金品を受け取り、そのために権力を行使したのだとか!』

「とんでもない事になってる♡」

 “あぁ、もう報道されてるのか……”

「せんせーが昨日やったのって、これ?」

 “うん、私は公園でサポートしただけだよ”

『市民を保護し正義を守るべきヴァルキューレが私企業と手を取っていたというのは、かなり衝撃的な情報です!』

『それに加えて昨日、どうやら謎の集団がヴァルキューレ警察学校に侵入。施設の一部を破壊したとの情報も入っています!』

『ヴァルキューレの権威が揺らぐ事件が、立て続けに発生しています!』

『果たして真相はどうなのでしょうか!?』

『これらの件について解明するため、私たちは……!』

 

 

 クロノススクールの生徒二人が交互に煽り文句を口にして衝撃的なニュースを報道している。

 通りで朝からヘリがバリバリ飛んでいる訳だ。

 しばらくニュースサイトはこの話題一色だろう。

 と、本館の入口から騒ぎを聞き付けたのか公安局長、尾刃カンナさんが姿を見せる。

 

 

『……何の騒ぎだ』

『あっ、カンナ公安局長です! 突然ですが、今回の違法リベートの件につきまして一言頂けますでしょうか!』

『待て、それはどこからの情報で……そもそもここは敷地内だ、許可は得ているのか?』

『おおっと、やはりマスコミと権力とは衝突する運命なのか! しかし私たちクロノスは決して──』

『良いからさっさと出ていけ!』

 

 

 一喝されて後退る報道部。

 流石は狂犬、良い迫力してる。

 先生もびっくりしてキョロキョロと辺りを見回している。

 やだもう可愛い♡

 

 

「目覚ましにちゅーしますか♡」

 “……いや、大丈夫、うん”

「じゃあ代わりにあーん♡」

 “あーん……っハ!? 〜〜〜〜!?”

「なめこと山ワサビの醤油和え♡ 刺激でスッキリしたでしょ♡」

 “っあ〜……美味しいけど脳天に響いたよ……”

「油断してたらせんせーのなめこも収穫しちゃうゾ♡」

 “ヴァルキューレの仕事が増えちゃう!”

「隠蔽しちゃえば大丈夫ですよ♡」

 “今回の事を教訓にして欲しいかな……!”

 

 

 いつものやり取りでイチャイチャする。

 もちろんほっぺたにちゅーしたし、アビドス土産が無かった事をつついてほっぺたにちゅーしてもらった。

 

 

 “忘れてた私が言うのもアレだけど、良く覚えてたね?”

「せんせーとの事ですから♡」

 “しかし先生として、生徒にキスするのはダメだったのでは……?”

「親愛の証だからセーフ♡ せんせーは私の事お嫌いですか?」

 “とっても大好き”

「にしし、私もせんせー大好きです♡ お互い好き同士なら問題ないですよね?」

 “そうかな……そうかも……?”

「そうですよ♡ ほらせんせー、もっかいちゅーしましょう♡」

 “……食べ終わったらね!”

「はぁーい♡」

 

 

 その後たっぷりイチャイチャしてたら始業時間に遅刻した。

 早速襲撃に来たゲーム開発部のみんなにぺちぺちされたのは言うまでもない。

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