もしもシャーレにヒモを養う適性の有る娘が応募してきたら   作:一ノ瀬 崇

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トリニティ編Vol.3
四十二話目


 束の間の平和。

 或いは、嵐の前の静けさ。

 キヴォトスにいつになく平穏な時間が流れていた。

 大きな事件も無く書類も午前で終わる程度の量しか届かない。

 自由に動き回れる時間が確保出来たとあって、先生は精力的に各学区を訪ねては現地での細々とした問題を解決し、普段はなかなか会えない生徒たちと触れ合っていた。

 私は執務室で追加の書類やシャーレに宛てられた要望の処理をしつつ、当番の子たちとのんびり過ごしている。

 最近は先生が居ない事が多いとSNSのシャーレアカウントで告知しているにも関わらず、私が居るならと申請してくれるので嬉しいやら気恥ずかしいやら。

 そう言えばここ数日、先生はトリニティへ赴いていた。

 以前のエデン条約に関するゴタゴタの後処理がようやく落ち着き、騒動の発端となったミカさんへの面会も気兼ねなく出来るようになったとか。

 後は保護しているアリウスの子たちとの面談もやっている。

 最初は何も言わずじっとしているだけだったらしいけど、最近は先生や一部の生徒相手なら世間話くらいは乗ってくれるようになったらしい。

 また、数人はモモフレンズグッズに興味を示いているとか。

 ヒフミンのモモフレンズ外交の手腕に期待したい。

 アズサちゃんを落とした実績があるのが強い。

 逃走中のスクワッドについては情報がない。

 一応ヒヨリちゃんにはこっそり保存食や医療キットを詰めたカバンを押し付けておいたけど、元気でやっているだろうか。

 そんな考えをする余裕のある日が続いた、とある土曜日。

 

 

 “……フミ?”

「ん……あっ、せんせー♡ どうしました?」

 “フミがぼーっとしてるの珍しいなって”

「やん♡ ちょっと色々思いを馳せていただけです♡」

 “最近は平和だからね”

「何もないのが一番ですよ♡」

 “本当だね”

 

 

 そんな風にゆるゆると過ごしていた時。

 ふと、先生のスマホが震えた。

 モモトークの通知ではない。

 私と違い知り合った生徒殆どから途切れる事なく送られてくるメッセージに一つ一つ振動通知を入れていてはすぐに充電が切れてしまう。

 だからこうしてスマホが震えるのは、通話もしくは直接メールが送られてきた時だけだ。

 言うまでもなく、その頻度は著しく低い。

 逆に言えばモモトークを送るよりも先生が気付いてくれる可能性は格段に高い。

 

 

「なんでした?」

 “差出人不明のメールだね。でもイタズラやスパムの類では無いみたい”

「差出人不明……未登録のアドレスから?」

 

 

 はて、と首をひねる。

 いくら存在がキヴォトスのフリー素材と化している先生でもスマホのアドレスは公示していない。

 こういう情報に飛び付くヴェリタスのみなさんもその辺はちゃんと弁えているのでSNSに流出とかはしていないはず。

 ならいったい誰が。

 その疑問の答えを、先生は直接確かめる事にしたようだ。

 

 

 “行ってみようと思う”

「じゃあ雨合羽着ていきますか♡」

 “うん、よろしくね、フミ”

「はいなー♡」

 

 

 外出の身支度を整え執務室の電気を落とす。

 昼間なのに薄暗くなった部屋を後にしてロッカーからホルスターとリボルバーを取り出し、身体に回して装着。

 少し迷って、追加のホルダーも持っていく。

 

 

 “あれ、フミがそれ付けるの初めて見るね?”

「これは特別製の……まぁ、ちょっと頭おかしい設計思想のリボルバーでして♡ なんとなく、持っていった方が良いかなーって♡」

 “特別製……確かに、なんか大きいね?”

「せんせーはアンチマテリアルライフルって聞いたことあります?」

 “うん、ゲームでもお馴染みの凄い威力のやつだよね”

「あれが50口径、つまり12.7mmです♡ で、このアホなリボルバーはその口径が30mmでして♡ はいこれ弾薬です♡」

 

 

 弾薬箱から一つ取り出して先生の手のひらに乗せる。

 大きくてカッコいい男の人の手のひらからはみ出す、超頭の悪いサイズ感。

 その異様な見た目に先生も引いてる。

 

 

 “えぇ……? ”極太のマジックかそれ以上の大きさだよねこれ……え、こんなの撃つの? リボルバーで?”

「困惑するせんせーもステキ♡ ちゅーしたい♡」

 “それは夜にね。いや、えぇ……? 反動で肩外れない?”

「気合い入れないと筋痛めるかな♡ ホシノさんとかツルギさんなら普通に扱えると思う♡」

 “あ、その二人は行けるんだ……?”

「真のツワモノはスペックがおかしい♡ ちなみに銃本体はコレです♡」

 

 

 ホルダーから取り出した銃を弾が入っていないのを確認してから先生へ差し出す。

 弾も異様なら銃も異様。

 とてもハンドガンとは思えないサイズのそれを手にした先生はもうなんか笑いが上がってきている。

 気持ちは分かる♡

 

 

 “いやもうこれ片手用ロケットランチャーとか言われても信じるよ!? 確かにこのサイズの弾を装填するんだからこのサイズの銃身になるのは分かるけども、いい値段するドライヤーよりも大きいよねコレ!?”

「流石に装弾数も四発ですね♡ 何より特殊なのが、四発同時発射も出来るんですよ♡」

 “だよね!? なんかバレルが四つ並んでるし!!”

 

 

 そう、この変態銃はなんとバレルが四方に並んで設置されており四連トリガーを一気に引き絞る事で同時に四発発射出来るようになっている。

 多分ウタハさんに見せてもドン引きするはずだ。

 私も実家でコレを受け取った時はドン引きしたものだ。

 設計した人絶対脳にキヴォトスに居ない寄生生物飼ってたと思う。

 

 

「50口径のハンドガンはベアストッパーなんてあだ名が付いてるのもありますけど……これは何を止めるんでしょうね?」

 “……世界の敵、とか?”

「多分ミンチだと思うんですケド♡」

 “なんにせよ出番が無い事を祈るよ……!”

「では改めて出発しますか♡」

 

 

 先生から銃を受け取り弾は込めずにホルダーへ戻す。

 ホルスターを少しずらしていつものリボルバーを腰の左前と右後へ行くように。

 空いた右前へホルダーを取り付け、準備完了。

 必要になりそうだし医療キットや行動食、追加の雨合羽を圧縮したものをリュックに詰め込んで背負う。

 出来れば必要無ければ良いんだけど。

 

 

 “そう言えばパーミッションみたいに、その銃にも愛称って付けてるの?”

「ええ、名前は『エクストラミネーション』です♡」

 “…………鏖殺(おうさつ)?”

「さすがせんせー♡」

 “前に英語は苦手って言ってなかったっけ”

「苦手ですよ♡ 特に会話は全然出来ませんし♡ 話すのも聞くのもムリです♡ ゲームで出てくるやつなら読めるだけです♡」

 “そっかぁ。私も昔外国の人に声をかけられて案内しようとして言葉が思い浮かばなくて……ゾンビゲームの主人公が生存者を誘導する時に使ってた『フォローミー!!』で乗り切った思い出があるよ”

「パワープレイだった♡」

 

 

 ちょっと遠い目をしている先生。

 ほっぺたちゅーしたら再起動するかな?

 そんな邪な考えを感じ取ったのか、近付いたら先生に脇の下に手を入れられ捕まった。

 

 

「ぬおー♡ 捕まったー♡」

 “帰ったら一緒にまったりしてあげるから。ほら、今はメールの差出人に会いに行くよ”

「おっと、そうでした♡」

 

 

 下ろしてもらい雨合羽の前を留めていざ出発。

 場所は……D.U.郊外、トリニティのすぐ近くの路地裏?

 随分と辺鄙な所を指定してきたものだ。

 あの辺りは確かシャッター街になっていて人通りもほとんどない、人口密度で言えばアビドスと同じくらい人が居ない場所だ。

 密会するにはちょうど良いかもしれないけど……はてさて、いったい誰がいるのか。

 先ずは駅に向かい電車に乗ってトリニティ手前の駅へ。

 そこからは徒歩だ。

 歩く事数十分。

 目的の場所に近付いた所でふと先生の足が止まった。

 

 

「せんせー?」

 “……なんだろう、胸騒ぎが”

 

 

 先生の顔は晴れない。

 私のものとは違う虫の知らせのようなものを感じたようだ。

 今の所私の勘には引っ掛かってこないから、もしかすると生徒の誰かの危機を感じ取ったのかもしれない。

 そんな私たちの元へ足音が近付いてくる。

 メールの差出人だろうか。

 悪意の類は感じられない。

 どちらかと言えば……悲壮な、決意?

 何でだろう、と不思議に思っていると長身の生徒が閉まったシャッターの裏から現れた。

 

 

 “サオリ……?”

「サオリちゃん?」

 

 

 相対するサオリちゃんは何も言わない。

 じっと、先生を見つめていた。

 かと思った次の瞬間、サオリちゃんは銃を置いて帽子を脱ぎ、地面に両膝と両手を付いた。

 突然の行動に困惑する先生。

 静かに、サオリちゃんが口を開いた。

 

 

「……先生。アツコが……連れて行かれた。他の仲間もアリウスの襲撃に遭って、散り散りに……生死も不明だ……。あれから何日も……逃げてきたが……。私では彼女を止められなかった……。このままでは……アツコは……姫は、死んでしまう……。明日の朝……夜明けと共に『彼女』に殺されてしまう……」

 

 

 絶望と諦観、そして懇願に満ちた声色。

 語られる内容も想定を越えたもので、随分と刺激が強い。

 サオリちゃんが口にした彼女。

 アリウスに関わる騒動に付き纏ってきた黒幕と言うべき存在、マダムと呼ばれる者。

 そいつが遂に大っぴらに行動を始める、と。

 

 

「私の話など、信じられないだろうが……これだけは、真実だ……」

 

 

 サオリちゃんが語るのは彼女がこれまでサオリちゃんたちスクワッドに強いてきた事の内容と、彼女たちを制御下に置くために使った方便。

 悪辣な悪い大人そのものの行いに、先生が歯を食いしばる。

 子供を導く大人として、そりゃ許せないよね。

 でも、と先生の手を優しく取る。

 力が入りすぎて白くなった拳をほぐすようにさする。

 爪が食い込んで手のひら傷付いちゃうよ?

 

 

「私は失敗した……。アリウススクワッドは任務を遂行できなかった……。エデン条約の強奪に失敗した上、トリニティとゲヘナ自治区の征服も、仲間を助けることも、アツコを守ることさえも、全て……私の力が及ばず、叶わなかった。……今の私は落伍者だ。トリニティにも、ゲヘナにも──同じアリウスにだって助けを求めることなどできない。だから、頼れるのはもう、先生しか……」

 

 

 声に震えが混じる。

 どれだけ厚かましい願いを口にしているのだ、と自分で自分をなじっている、そんな声色。

 それでも、例え命を差し出しても助けたい、救ってほしいと願う声。

 

 

「頼む……。私の命を賭けて約束する、どんな指示だろうと従う。……《ヘイローを破壊する爆弾》、これも、預ける。私の命を握ってもらって構わない。私を信用できないと判断したら、それを使ってくれ……だから、頼む。…………どうか……アツコを……、姫を……助けてくれ……」

 

 

 額を地面に擦り付けようと頭を下げたサオリちゃんを、先生が押し留める。

 うんうん、喋り終えるまでよく我慢出来ました♡

 生徒の助けを求める声に全力で応えるのは先生として当然の事だけど、一方でちゃんと助けたいならその子の想いをしっかりと受け止めるのも大切な事だからね。

 私はリュックから雨合羽を取り出して広げる。

 一着だけ先生と同じサイズの大きなやつを入れておいて正解だった。

 備えあったら嬉しいな、とどこかの大王様も言ってたし♡

 

 

 “立って、サオリ”

「だ、だが……」

 “私はサオリと、対等に話がしたい”

 

 

 膝を折って優しく手を取り同じ高さからまっすぐにサオリちゃんを見つめる先生。

 導かれるように立ち上がったサオリちゃんに雨合羽を着せて膝の泥を払ってあげる。

 帽子もぱたぱたと振って汚れを落として差し出すと、サオリちゃんはおずおずとそれを受け取って頭に被り直した。

 うむうむ、見慣れた美人さんに戻ったね♡

 

 

 “先に質問させて。『彼女』って誰の事?”

「『彼女』はアリウス自治区の代表であり、アリウス分校の主人。私たちは『彼女』と呼んでいるが、他の生徒からは『マダム』とも呼ばれている。私も数回しか姿を見たことはない……背が高く、赤い肌を持ち、白いドレスを纏った大人だ。名をベアトリーチェ……私よりも、姫がよく彼女と会っていた」

 

 

 ベアトリーチェ。

 それが私たちが相対するべき大人。

 赤い肌、と称されたのが少し気になる。

 褐色系に焼けた色なのだろうか。

 キヴォトスでは割と珍しい色合いではある……過去の卒業生という訳では無いと思うけども。

 

 

 “……他のスクワッドは今どうしてるの?”

「……姫を連れ去られてから、すぐに襲撃を受けて……その時に散り散りになったから消息は分からない。もしかしたら、まだアリウスの生徒に追われているかもしれないな」

 “連れ去られたアツコがどこにいるかは分かる?”

「アリウス自治区にある──アリウス・バシリカ。その地下に『彼女』が用意した秘密の至聖所がある。おそらくそこだろう」

 

 

 先生とサオリちゃんの会話を横で聞きながらヒフミンへモモトークを飛ばす。

 ナギサさんへシャーレとして情報収集を行う事の報告と改めて保護しているアリウス生徒への監視と護衛の依頼を伝えてもらう為だ。

 それと最近の定点カメラのデータを浚いスクワッドメンバーの動向が探れないかをシャーレ情報部に調べてもらう。

 構成員は妖怪MAXで買収したハレさんである。

 マキちゃんやコタマさんも巻き込みたいんだけど、それをやっちゃうとミレニアムとの繋がりが強くなりすぎるからと連邦生徒会、セミナー両方から難色を示された。

 なので負担は増えるけどハレさんに頑張ってもらおう。

 データ関連はアロナちゃんが手伝ってくれるのでそこまで時間はかからないと思うけど。

 と、きたきた♡

 この短時間で必要なデータを見付け出した手腕に心の中で拍手を送りつつ、視線をスマホからあげる。

 先生がサオリちゃんの手を握って抱き寄せていた。

 手が早い♡

 サオリちゃんは信じられないといった様子で困惑している。

 

 

「わ、忘れたのか? 私はお前を撃ったんだぞ! お前の命を奪おうとしたのに、どうしてそんな簡単に……理解できない……どうして……」

 “でも、爆弾は没収”

「……ああ、そうだな。約束通り」

 

 

 何かを勘違いしてる顔のまま、サオリちゃんが二つのものを見せる。

 一つはサオリちゃんの右肩のアタッチメントに吊り下げられている、突起が多いゴツい見た目の四角い何か。

 これがヘイロー破壊爆弾かな。

 もう一つは手のひらに乗せられたスマホサイズの棒状のもの。

 親指側のボタンを押しながら人差し指と中指でトリガーを押し込むと起動するんだろう。

 

 

「これが起爆装置だ。いつでもこれを押すといい」

 “……起爆装置だけじゃなくて、全部。爆弾全部没収”

「ば、爆弾も……? ……分かった。お前がそう言うのなら……だが、安心していい。この起爆装置なしでは、それは絶対に爆発しない」

 “それは良かった。生徒が危険物を持っているのを、見過ごすわけにはいかないからね”

 

 

 頭に疑問符を浮かべるサオリちゃん。

 そんな彼女に先生は薄く微笑んでシッテムの箱に起爆装置を近付ける。

 バチリ、と電気が弾ける音が鳴り、起爆装置がボロボロと崩れていく。

 

 

「な、何を……!?」

 

 

 驚くサオリちゃんをそのままに、先生はゴミと化した起爆装置を古ぼけたゴミ箱へと投げ入れる。

 果たして回収されるのか定かではないけれど、その辺に打ち捨てるよりは良い。

 内部構造もアロナちゃんが抜いただろうし外側の部品にもう価値は無い。

 差し出された手から爆弾を受け取り左腰のマウントに爆弾を吊り下げておく。

 爆破されそうになっても私の勘で察知出来るから一番安全な保管場所だ。

 

 

 “先にミサキとヒヨリと合流するよ”

「一体、何を……」

 “さあ、時間はないよ。急ごう”

「ちょ、ちょっと待ってくれ先生。私はまだ理由を聞いていない……」

 

 

 ふわりと笑みを浮かべて歩き出す先生。

 これはちょっと楽しんでるね先生?

 立ち尽くすサオリちゃんの手を引いて、私は先生の後を追う。

 ぱしゃりぱしゃりと足元で水が跳ねる。

 先生の背中からは色んな感情が透けて見える。

 助けるのが遅れてしまった事への申し訳なさ、ベアトリーチェへの強い嫌悪と憤り、サオリちゃんに頼ってもらえた事への嬉しさ、ここから生徒たちと反撃に出る事への勇ましき昂揚、ミサキちゃんとヒヨリちゃんへの心配、アツコちゃんをきっと助けてみせると決めた静かな熱意。

 間違いなく、今の先生はカッコいい大人の顔をしているだろう。

 正面からそれを見られないのだけが少し残念。

 遅れて付いてくるサオリちゃんが困惑のままに口を開く。

 

 

「ま、待ってくれ……!! なんで助けてくれるんだ! どこへ向かっているんだ!」

「にしし、せんせー、答えてあげないの? 教師なんだから生徒の質問をスルーしちゃうのはダメでしょー♡」

 “ふふ……そうだね。まずは『何で』から答えようか。私はね、先生なんだ。生徒が困っているのなら手助けするのは当然なんだよ。それに君たちは子供で、私は大人だ。大人とは子供を導き未来を見せる者であるべきだ。決して子供を抑えつけて夢を奪うような存在で在ってはならない”

「し、しかし私は先生を……!」

 “許すさ、もちろん。全部終わったら後でほっぺをうにうに引っ張るくらいはするけど、それくらいさ。何より子供がした事の責任は大人が取るべきなんだ。子供に罪は無いよ。そして……その責任を取るべき大人も居るようだし”

 

 

 立ち止まり、振り返ってサオリちゃんと目を合わせる先生。

 どこまでもまっすぐなその瞳に映る自分の姿を見て、サオリちゃんがちょっと怯んだ。

 そりゃあそんな悪い大人に搾取され続けた子に先生の優しさは劇薬を通り越して揮発性の爆発物だよ。

 

 

 “どこへ、については……フミ?”

「んー?」

 “いや、ほら。分かってるよね?” 

「フミちゃん分からないですにゃー♡」

 “絶対分かってる顔だよそれ! ニヤニヤじゃん!”

「にしし♡ せんせーがイケメン過ぎて困っちゃうから気を抜いてもらおうかと思って♡ ここからならヒヨリちゃんのが近いかな♡」

 “なら最初はヒヨリを拾いに行こうか。案内頼んだよ”

「任されましたー♡」

「……場所が分かるのか?」

「トリニティ内の定点カメラや監視カメラの映像から行動範囲を絞っただけ♡」

「……だけで済まされるものでも無いだろう、それは……」

 

 

 呆気に取られていたサオリちゃんだったけど、頭を振って真面目な顔付きになる。

 そのまま、深々と頭を下げた。

 

 

「先生、それにフミ、と言ったか。本当に済まない。償いは何でもする。だから今は、姫を……私たちを、助けてほしい」

 

 

 答えなんて決まっている。

 

 

 “もちろん”

「当然♡」

 “「私たちはシャーレだからね」”

 

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