もしもシャーレにヒモを養う適性の有る娘が応募してきたら   作:一ノ瀬 崇

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四十三話目

 目的地付近。

 ガスマスクを被ったアリウス生徒を奇襲で沈めたサオリちゃんが路地裏の袋小路へ乗り込んでいく。

 

 

「ヒヨリ、大丈夫か!?」

 

 

 サオリちゃんが踏み込んだ先、記憶に残っている姿より少しボロボロになったヒヨリちゃんがそこにいた。

 この狭い場所でも抵抗を続けていたのか、周囲には50口径の薬莢が転がっている。

 そう言えばヒヨリちゃんの得物、アンチマテリアルライフルだったっけ。

 

 

「り、リーダー……? どうしてここが……」

 “ヒヨリ、無事でよかった”

「ヒヨリちゃーん♡ やほやほー♡」

 

 

 私と先生がサオリちゃんの後ろからひょっこり姿を見せる。

 するとヒヨリちゃんは不思議そうに目を見開いて、次いで目を伏せ、もう一度私と先生を見て口をあんぐりと開けた。

 

 

「……え、ええっ!? シャ、シャーレの先生とその子がどうしてリーダーと一緒にいるんですか……!?」

「それは……」

「つ、ついに天罰の時がやってきてしまったんですね? やっぱり、私は終わりなんだ……。そうですよね……よくよく考えてみたら、先生は私たちをアリウスから取り返したいですよね……自らの手で処罰したいでしょうから……。私たちを捕まえて、シャーレにあると噂の地下牢に入れる気なんですね! シャーレに反抗した子たちのすすり泣きと喘ぎ声と媚びる声が夜な夜な聞こえるという、曰くつきのあの場所に……」

「待って♡」

 

 

 ものすごい風評被害が生まれていた。

 まずシャーレに地下牢は無いし、反抗的な子を捕らえたりもしてない。

 夜な夜なえっちな声が聞こえるというのは……もうちょっと抑えた方が良いかな?

 でも先生も私を鳴かせるの好きだし……あっ、先生がレモン100%ジュースと一緒に苦虫十匹くらい噛み潰したみたいな顔してる。

 やんっ、見えない角度で脇腹つんつんしないで♡

 お互い様でしょー♡

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁああん! もう終わりです……まだやりたい事も、読みたい雑誌もたくさんあったのに……。……仮にそうだとしても、リーダーが先生と一緒にいるのはどうしてでしょうか? ……ああ、私完全に理解しました」

「ヒヨリ……」

「リーダーはシャーレの先生に脅されているんですね!? リーダーも苦痛だらけの人生で、可哀想に……」

 

 

 いやヒヨリちゃん、こんなに面白い子だったの?

 サオリちゃんが見た事無い味わい深い顔してるよ。

 というかさっきまでアリウス生徒から追撃受けてたのにこのテンションで騒げるのはもう天賦の才だよ。

 

 

 “ヒヨリを助けに来たよ”

「…………え? わ、私を……ですか? な、何故? も、もしかして記憶喪失とかですか? 私たちが誰なのか、分からないとか……?」

「んぷふっ♡」

 

 

 あー、完全に理解した。

 私、この子すっっっっごい大好きなタイプだ。

 何というか、自然に頬が綻んで一緒に色んな事を楽しみたくなるタイプ。

 これはもう運命のめぐり逢いと言っても良い。

 本人の預かり知らぬ所で好感度をぶち上げしていると、サオリちゃんが見かねたのか説明に加わった。

 

 

「先生の言う通りだ、ヒヨリ。『シャーレ』の先生が、私たちの手助けをしてくれる」

「……!?」

 “事情は聞いたよ。一緒にアツコを助けよう”

 

 

 アツコちゃんの名前を聞いて、ヒヨリちゃんから浮ついた雰囲気が消えた。

 あるのは家族を思いやる色。

 

 

「そうだ、姫ちゃん……。は、果たして私たちで……姫ちゃんを助けられるんでしょうか……? わ、私は……」

 

 

 そこでヒヨリちゃんは一つ区切り、大きく息を吸い込む。

 

 

「リーダーの居場所を教えれば、アリウス自治区に戻れるように便宜を図ると『彼女』に言われました……」

「……っ!?」

「わ、私はリーダーの言葉に従っただけの存在だから……情状酌量の余地があるのだ、と言っていて……へへ……」

「……そうか。ならば、そうするといい」

「……えっと?」

 

 

 あっ。(察し)

 これはヒヨリちゃん勘違いされてるね。

 いやまぁ、話す順番がちょっと紛らわしいというのはあるけども。

 それとも日頃からなんかそう言うのもやりかねない、みたいな共通認識でもあるのだろうか。

 

 

「私の居場所を『彼女』に伝えて、そのまま自治区に戻れ。そうすればヒヨリ、少なくともお前に迷惑はかからない」

「は、はい!? わ、私は……」

「いつかこんな日が来ると、分かっていた。お前は今までよく私に付き合ってくれた」

「ええと、その……もう断ったんですけど……」

「ぷひゃっ♡」

 

 

 耐え切れずに笑いが漏れた。

 なんでサオリちゃんそんな目を点にして驚いてるの♡

 ヒヨリちゃんはほっぺたをぷくっと膨らませてジト目をサオリちゃんに向けている。

 

 

「……な、何ですか、その裏切り者に理解を示すみたいなムーブ。私ってそんなに簡単に裏切ると思われてたんですか? そもそも、『彼女』の言葉が本当かどうかもわかりませんし……それに、もう私たちは同じ船に乗った運命共同体のようなものですし……私一人で自治区に戻ったって、何の意味も……。それに……私一人が救われたとして、アツコちゃんは……」

 

 

 そこまで言うと、ヒヨリちゃんは一歩前に踏み出す。

 まっすぐにサオリちゃんを見据える。

 

 

「わ、私もみんなでアツコちゃんを……姫ちゃんを助けられるなら、その方がいいと思うんです……。それはリーダーだって同じじゃないですか? だから私を助けに来たんですよね?」

「……ああ、そうだ」

 

 

 サオリちゃんはヒヨリちゃんの言葉を受け取って、小さく笑った。

 

 

「詳しい話は全員集まってからにしよう。まずはミサキを探さないと」

「……そうですね。ミサキさんなら、この状況をもう少し上手く説明してくれるかもしれないし……。わかりました。ミサキさんがどこにいるかは、なんとなく見当がつきます」

「そうだな……おそらくあそこだろう」

 “じゃあ、すぐに出発しよう”

「は、はい……!」

 

 

 サオリちゃんを先頭に歩き始める。

 そそっとヒヨリちゃんの側に寄った私はリュックから行動食を取り出した。

 しっとりクッキータイプのカロリーバーで私イチオシのチョコ味。

 

 

「ヒヨリちゃん、良かったら食べる?」

「え……!? 良いんですか……?」

「うん、長丁場になりそうだし今のうちに♡」

「あ、でも……私だけが受け取る訳にも」

「全員分あるから心配無し♡」

「そ、それでしたらいただきますね……」

「せんせーとサオリちゃんも♡」

「む、すまない」

 “ありがとね、フミ”

 

 

 サオリちゃんと先生にもカロリーバーとペットボトルの水を渡しておく。

 なんだかんだ無理して動いていただろうから、今のうちに燃料補給しておかないとね。

 

 

「あっ、美味しい……」

「それはなにより♡ フルーツ味のもあるけど食べる?」

「うぅ……こうして餌付けされて、最終的にはご飯のために言う事を聞かせられてしまうんですね……うわぁん! せっかくなのでいただきますぅ! 他の味も有ったらください!」

「お腹いっぱいにはならないようにね♡」

 

 

 反応が可愛すぎる。

 ちょっとヒヨリちゃんにハマりそうかも♡

 もっちもっち食べる姿も愛嬌があって、幸せそうに顔を綻ばせている。

 これは是非とも私の料理を振る舞わねばならぬ。

 その瞬間、私はふと気付いた。

 小さい頃に祖父母の家に行った時、無限にお菓子や食べ物が出てくるあの謎の現象の正体に。

 これかぁ♡

 

 

 

 

 そして歩く事数十分。

 今はもう使われる事のほとんどない橋に着いた。

 昔は主要な橋だったけど今はより主要道路に近い所に新しい橋が建設された事でこちらの橋が使われる事が無くなり、長らく放置されている。

 一応崩れないように最低限の保守はされているみたいだけど、この分なら取り壊されるのもそう遠くはない。

 吹き抜ける風は強く冷たい。

 帽子を飛ばされないように深く被り直し、サオリちゃんは足を進めていく。

 欄干に寄った先生は暗く霞む地面と川を見て、橋の高さに改めて身震いしていた。

 

 

 “目眩がするような高さだね……”

「それに、下の川は水深5m以上はある。流れも速いから、落ちたらまあそのまま水底に沈むことになるだろうね」

「ミサキ」

「ミ、ミサキさん……」

 

 

 声に顔を上げると、少し離れた欄干の上に腰掛ける少女の姿があった。

 諦観を煮詰めたような瞳の色で、こちらをゆっくり睥睨する。

 

 

「リーダーにヒヨリ……そして、『シャーレ』の先生とその相方か……。そっか……そういう選択なんだね、リーダー。まさかリーダーが、ね……それに、先生もそれを受け入れたんだ……。どっちにせよ、予想外だったな。でも先生、知ってる? 私たちは『先生』を始末すれば、アリウス自治区に戻れる。そこにいるヒヨリも、リーダーも同じ話を聞いたはず。だよね?」

「わ、私が受けた提案は少し違いましたけど……」

「……ああ、そう言われたな。先生を始末すれば私たちの裏切りを許す、と」

 

 

 暗く濁った瞳のまま、ミサキちゃんは先生を見据える。

 これまで周りには居なかった瞳を持つ子だ。

 

 

「……いつ後ろから引き金を引くか分からないのに、先生は私たちを信用できるの? しかも、それが『かつて自分を撃った相手』なのに?」

 “サオリがその気だったら、とっくに私は無事じゃないよ”

「……そっか。でも、だからといって私は変わらないよ」

 

 

 その言葉と共に風が身体を煽り、ふらりと橋の外側へ傾く。

 堪らず先生が声を上げた。

 

 

 “ミサキ、そこは危ない……!”

「ミ、ミサキさん……?」

「姫を救うのは無理。アリウス自治区に潜り込んでどうするの? 姫がいるバシリカに辿り着くために、三人……四人で戦うの? アリウスの全生徒と? しかも日が昇るまでに? おそらく『彼女』は、私たちすら知らない武器を用意しているはず。私たちだけじゃ、いくら大人の助けがあったとしても不可能だよ」

 

 

 ちら、と私を見て人数の訂正をしてくれるミサキちゃん優しくて好き♡

 まぁ指揮能力が凄いとは言え普通足手まといにしかならなさそうな人を連れて突撃とか正気じゃない。

 だけどそれはあくまで『シャーレの先生』じゃない場合だ。

 先生が紡いできたものを侮ってはいけない。

 ともすればアリウス全生徒を人数差で磨り潰す事だって出来るのだから。

 やったらキヴォトス大戦が始まりそうだからやらないけどね。

 

 

「もし仮にアツコを救出できたとして、そこに何の意味があるの? 帰る場所もないこの世界に取り残されて、泥水を啜って生きるだけの……この無意味で苦しい人生が続くだけでしょ? 苦痛ばかりだった姫の人生を引き延ばして……そこに価値があるの? vanitas vanitatum、ただそれだけが、私たちが納得できる真実。そうじゃない? リーダー」

 

 

 その問いかけにサオリちゃんは答える事が出来ない。

 サオリちゃんもばにたす思想の下で生きる事を強要されてきた人間だから。

 ミサキちゃんもそれを分かっているのか、視線を先生に向ける。

 

 

「それとも、先生……大人であるあなたなら、この答えを知っているの?」

 “待って、危ない! それ以上動いたら……”

 

 

 しかし先生は不安定に揺れ動くミサキちゃんにそれどころではない様子。

 一歩間違えたら水底へ一直線。

 そんな場所にいるミサキちゃんをどうやって安全に降ろそうかで頭がいっぱいみたいだ。

 話を聞いていなかった、とも言う。

 どうしたもんかなーと考えていると、サオリちゃんが前に出た。

 あっ、サオリちゃんちょっとキレてる。

 びくっと震えたヒヨリちゃんを抱き寄せてなでこなでこ。

 

 

「黙れ、ミサキ。それで? 苦痛だらけのお前の人生も安息を迎えたいということなのか? ──そんな脅迫が私に通じると、本気で思っているのか? よく聞け、ミサキ。お前がそこから飛び降りるなら──私もすぐに追いかけて飛び込む。服の中に何か重りを入れていたとしても無駄だ。川岸まで連れて行くのに時間もさほどかからない。そこまで長くて20秒。もしもお前が気を失ったところで、何度でも心肺蘇生を繰り返す。お前をそうやって脅そうと、私はお前を生かしてみせる。今まで何度やっても無駄だったのに、今回は成功できるとでも思っているのか?」

 

 

 その言葉に私と先生がミサキちゃんの手首や首元の包帯に目を向ける。

 ──()()()()()()

 私たちの中で一つ、ミサキちゃんへのギアが上がった。

 確認するようにヒヨリちゃんに目を向けたら、小さく頷いてくれた。

 ばにたす思想の中で彼女が取った行動。

 それは先生にとって、最も許容出来ない行動。

 生徒という希望の詰まった存在に一番課してはならない事。

 ますます、ベアトリーチェをただで帰す訳には行かなくなった。

 ただの一生徒である私ですらこうなのだ、大人であり教師である先生の胸中は察するに余りある。

 

 

「……まあ、自信は無いかな」

 

 

 薄く口元を緩めて、ミサキちゃんは欄干から飛び立った。

 私たちのいる、内側の方へ。

 それを見てほっと息を吐く先生とヒヨリちゃん。

 使う事の無かったワイヤーをミサキちゃんから外して回収する。

 以前セナさんの乗る救急車両に巻き付けて離脱した時の射出装置だ。

 

 

「……いつの間に」

「最初にミサキちゃんを見付けた時に♡ 突風で意志に関係なく落ちてったらただのギャグシーンになっちゃうからね♡」

「お節介め……それと、あんた。まだあの時の胡椒爆弾、許してないから」

「ひぃん♡」

 

 

 

 

 そうして無事集まったアツコちゃん以外のスクワッド。

 姫ちゃん救出部隊の結成だ。

 いやーアツコちゃん贅沢だね、王子様役が先生とサオリちゃんの二人もいるなんて♡

 

 

「……で、結局姫を助けるんだね。わかったよ……リーダーの命令なら、従う。今回も最後までお供するよ、リーダー」

「……ああ、頼んだ」

「はああ〜〜〜……なんとかなってよかったです……」

「そうと決まったら急ごう……残された時間は約百五十分。それまでに入り口にたどり着かないと」

「……なるほど。零時まで後二時間半……急ぐとしよう。説明は向かいながらする……急ぐぞ」

「は、はい! こっちです……!」

 “わかった”

「不足してる物資があったら言ってね、色々持ってきてるから♡」

 

 

 サオリちゃんと先生から使わなくなった雨合羽を回収して畳んで圧縮してリュックのポケットにしまう。

 ミサキちゃんにも行動食のカロリーバーと水を渡し、改めて自己紹介をしておく。

 ついでに花粉症の改善に効くと評判のヨーグルト味タブレットキャンディも渡してご機嫌窺い。

 ふみふみ、わたしわるいせいとじゃないよ♡

 隣から視線を感じたのでヒヨリちゃんにもキャンディを渡す。

 

 

「フミ、余り甘やかさないでくれ。作戦行動前に満腹になられたら困る」

「はぁーい♡」

「そ、そんなには食べませんよぅ!?」

 “ははは……ところでさっき言っていた『あと二時間半』って、どういうこと?”

 

 

 先生の疑問に飴玉を転がしながらミサキちゃんが答える。

 

 

「アリウス自治区に行くには、トリニティ地下のカタコンベを通過しないといけない。カタコンベの入り口は、判明しているだけでも約三百カ所。その中の『本当の入り口』は限られていて、残りは全て偽物」

「入り口を間違えれば、カタコンベで迷い続ける羽目になる」

「いくらトリニティからの目を避ける為とは言え……かなり偏執的なものを感じますね?」

 “下手に入ったら二度と出て来れなさそう……”

「だから私たちは正しい入り口と、そこからアリウス自治区に通じるカタコンベの内部ルートを暗号で伝えている」

「……カタコンベの内部は一定周期で変化するからね」

 “内部が変化する……?”

「そう。この前通った道が行き止まりになっていたり……あるいは方向を見失ったり……そんな感じになる。どんな仕組みから分からないけど……カタコンベは全容が明らかになっていない迷宮。足を踏み入れるたびにルートと入り口が変わってしまうから」

「とんでもない迷宮だねぇ……迷宮そのものが巨大な一つのオーパーツみたい♡」

 “当時のトリニティやアリウスが作り上げたとは考えにくい規模だね……”

「そんな技術集団が居たらエンジニア部以上に色んな意味で有名になってそう♡」

 “未知の技術か……それは置いておくとして、こうして向かっているって事は、ルートは分かっているんだよね?”

「いえ、今の私たちでは、どこが正しい入り口か分からないんです……もう暗号を教えてもらっていないので」

「逃げ出した猟犬に、帰り道を教える必要はないからな」

「で、でも……たった一つだけ、まだ使える入り口が残ってます」

「それも今日の日付変更線までしか使えない。零時を迎えてしまえば、そこも閉ざされてしまう……そうなったらもう……」

「アリウス自治区には戻れなくなるだろう。なんとか戻れたとしても、アツコを助ける事はできない」

「だから急がなければ……」

「そっかぁ……」

 

 

 直後、付近に銃弾が撃ち込まれる。

 展開させたシールドで守っているので先生に被害は一切ない。

 スクワッドのみんなも荒事には強くすぐさま戦闘態勢へ移行している。

 

 

「時間があったらあの子たちを尋問して新しいルートを聞き出すのも有りなんだけどねぇ♡」

「流石に時間が足りないでしょ」

「スクワッドだ!」

「やはりここに来たな! 総員、戦闘準備!」

「……あっちも同じことを考えていたみたいだね」

「戦闘準備」

「は、はい!」

「……まあ、こうなるよね」

「指揮は任せた♡」

「いいだろう……手負いの猟犬の意地、見せてやろうじゃないか」

 

 

 遮蔽物の少ない道路での接敵。

 こういう場合は先手必勝。

 展開するアリウス生徒が壊れた看板や放置されたゴミ箱を使う前に、サオリちゃんと私で脳天や手足を撃ち抜いて行動不能にしていく。

 運よく隠れられた子にはミサキちゃんがミサイルをプレゼント。

 後方で指示を飛ばす子にはヒヨリちゃんがスナイパーで一撃を見舞い、武器ごと吹き飛ばしていく。

 即席だけど良いチームじゃない?

 建物の影からグレネードを撃ち込んでこようとする子には私の跳弾を送り込む。

 発射しようと引き金を引いた途端、薬室で爆発が起こり軽くパニックだ。

 おまけで腰元のグレネードを撃ち抜いて連鎖爆発を引き起こすと面白いようにてんやわんやになって道路に飛び出してくる。

 そこをサオリちゃんが撃ち抜き、次々と無力化されていく。

 

 

「敵に回した時も厄介だったが……味方にいると本当に頼もしいな」

「にしし♡ もっと褒めて♡」

「ならもっと活躍してみせろ。私は右、フミは左だ」

「がってん♡」

 

 

 左右に別れてアリウス生徒を追い詰めていく。

 対応して左右に部隊を展開させようとするけど、空いた中央から飛んでくるミサイルを忘れてはいけない。

 十字路で挟み込むように動いてきたのはなかなか良いとは思うけど、ただ横から撃つだけで私を抑えられると思ったらダメだよ。

 跳弾でアサルトライフルの銃口をかち上げ、向かいの道路に居る子へ強制フレンドリーファイア。

 投擲物は手元を離れた瞬間に爆発させ、ミニガンはスピンアップの最中に弾丸をバレルに滑り込ませて破壊しておく。

 後は何も出来ずに立ち尽くしている子をノックダウンさせるだけの簡単なお仕事。

 最後の一人を蹴散らして戦闘終了。

 

 

「あんなに苦戦させられた相手が、こんなに簡単に……」

「こ、これがシャーレの力……す、すごいというか怖いというか……」

「……これなら、本当に……」

「やれそうな気がしてきた?」

「……まぁ、ね」

「おしゃべりをしている時間はない。いくぞ」

「……そうだね、行こう」

「はい!」

「りょーかい♡ あ、そうだサオリちゃん♡ 活躍したから褒めて褒めてー♡」

「…………」

「あーっ、無視するなんてひどーい♡ アツコちゃん助け出したらそのアツコちゃんの前でサオリちゃんにちゅーしちゃうぞー♡」

「……怖いもの無いの? あの子」

「も、物怖じせずリーダーに……!?」

 “……うん、まぁ。すごい子なんだよ”

「先生、なんとかしてくれ」

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