もしもシャーレにヒモを養う適性の有る娘が応募してきたら   作:一ノ瀬 崇

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ミレニアム編Vol.2
四十九話目


 エデン条約に纏わるシャーレの業務が片付き、今後はトリニティとの連携を深めて随時アクションを起こしていく所まで落ち着いた。

 仕事も終わって夕食も当番のみんなと食べ終え、特にやる事も無いまま先生と一緒に来客用のソファーでごろごろ。

 

 

「鎖骨ちゅー♡」

 “くすぐったいよ、フミ”

「にしし♡ せんせー好き好き♡」

 

 

 自分の匂いを擦り付けるように密着もぞもぞ。

 先生の匂いも吸えて一石二鳥。

 

 

 “フミ、そろそろお風呂入らないと”

「んー♡ じゃあ一緒に♡」

 “流石にちょっとなぁ”

「スク水着るから大丈夫♡」

 “なら大丈夫……なのかな?”

「でもスク水だと私が身体洗えないか♡ ビキニにするー♡」

 “別々に入ったら良いんじゃないかな!”

「せんせーと一緒が良い♡」

 “…………みんなには内緒だよ?”

「わーい♡」

 

 

 という訳で先生とのわくわくお風呂イベントを取り付けた。

 ベアトリーチェと対峙した事で活性化していた先生のシリアス因子もようやく落ち着いて、倫理観ゆるゆるせんせーまで引き戻した。

 このまま私の中もゆるゆるになるまで使って欲しい。

 うそ♡

 ゆるゆるになっても使って♡

 と、邪な考えが顔に出ていたのか先生がてぃっとデコピンをしてきた。

 

 

「あんっ♡」

 “煩悩退散!”

「ちぇー♡」

 

 

 先生の胸板にほっぺたすりすり。

 優しくぽんぽんと頭に手が添えられる。

 大きくて温かい。

 なんだかくすぐったくなって私は身をよじって甘える。

 

 

「こんなに私を惚れさせてどうする気だー♡ 鎖骨にキスマーク付けちゃうぞー♡」

 “いらぬ争いが起きるからやめてね?”

「じゃあ見えない場所に♡」

 “ならお返しで私もフミにマーキングするけどいい?”

「いっぱい付けて♡ 先生専用のメスだって刻み込んで♡」

 “あっ、選択肢ミスったねこれ?”

 

 

 なにやら慌てている先生をよそに、私は先生のシャツを捲りあげてシャツと身体の間に滑り込む。

 んぉ〜っ♡

 地肌だから匂いが濃くて脳に届く♡

 堪らずくんかくんかと鼻を鳴らしてトリップする私を止めようと、先生は手を動かした。

 

 

 “ちょっ、ダメだってフミ!?”

「んひっ♡」

 

 

 その手が私のお尻を掠めた。

 先生に触れられただけでぴりぴりと気持ちいいのが背筋を駆け登る。

 不意の快楽にくってり脱力してしまった所をずるずると引き上げられ、先生の胸の上にぺしゃりと置かれた。

 

 

 “全く、フミはいけない子だね。お仕置きが必要かな?”

「はぅ……♡ いっぱいお仕置きして、せんせー好みの女の子に躾てください……♡」

 “またそんな事言って。……ていっ”

「んひゅっ♡♡」

 

 

 ぺしん、と先生の平手が私のお尻を鳴らす。

 痛みの代わりに鋭い快感が走り抜けた。

 

 

「やっ♡ まっ♡ 待ってぇ♡♡」

 “反省するまで続けるからね?”

「んやっ♡♡ あっ♡ あぁんっ♡♡」

 

 

 ぺしん、ぺしん、と何度も手のひらが打ち付けられる。

 その度にみっともない声を上げながら腰を震わせる私。

 癖になったらどうしよう♡

 

 

「ううっ、もうお嫁に行けない……♡」

 “私以外に行く宛有ったの?”

「ないでーす♡ 責任取って♡」

 “卒業したらね”

 

 

 額に軽く唇を落とされる。

 これだけで幸せぽやぽやになってしまう。

 汚いさすが先生汚い♡

 うひゃーと声を上げて顔を先生の胸板に埋める。

 伝わる温もりがひどく愛おしい。

 と、そんな風にイチャイチャしていると先生のモモトークに新規通知が入る。

 通知オンに設定されてる生徒は少ない。

 基本的には事務方と各学校のトップ、それと連邦生徒会の面々だけ。

 緊急連絡用と交流用のアカウント分けた方が良いと思うんだけどなー。

 まぁ届いたらアロナちゃんが仕分けてくれるらしいから、今のままでも困ってはいないみたい。

 誰じゃろほい、と眺めていると先生はウッと顔をしかめた。

 珍しい表情に興味が湧く。

 

 

「どしたのせんせー♡」

 “ユウカ経由でモモイからお呼び出しが”

「えーと、モモイちゃんから?」

 “前に新作格ゲーが出たら一緒にやろうって約束してたのをすっかり忘れてて……”

「なーるへそ♡ じゃあ明日の予定はミレニアムに決まりですね♡」

 “夜まで耐久ゲーム大会になりそう”

「にしし、頑張って♡ それならお弁当も作っておこうかな?」

 “フミの愛妻弁当楽しみ!”

「種抜き梅干しのおにぎり作ったげる♡」

 “わぁい”

 

 

 ご機嫌になって寝転がる先生。

 そのままわしっとキャッチされてしまった。

 

 

「やん♡ 捕まっちゃったぁ♡♡」

 “子供体温で湯たんぽ代わりに良いよねフミって”

「冬場は大活躍♡ 夏場は蹴り出されそう♡」

 “むしろお腹出して寝てないか心配になるね”

「流石に大丈夫なはず♡ ってほらせんせー、離してくれないとお弁当作れないでしょー♡ それとも子供作る方が良いの♡」

 “くっ、致し方ない……!”

「納得いかなーい♡」

 

 

 その後もつまみ食いしようとチラチラ給湯室を覗き込む先生をあしらったり、逆に裸エプロンになって誘惑したりして楽しく料理の仕込みをした。

 今度は私に仕込んでもらおう♡

 鍋に蓋をして流しを片付け、後ろに結んでいた髪の毛を前に結び直す。

 執務室に戻ると先生はソファーに寝転んだままモモトークの返信をしていた。

 送り先はゲーム開発部のみんなだろう。

 流石に個別だと返信が大変だからグループに切り替えたらしい。

 見れば私のスマホもぴこんぴこんと鳴っていた。

 どれどれ、と手に取ってみると案の定モモイちゃんがぷんすかぽんモードに突入していた。

 

 

「ていっ♡」

 “ぐえー”

 

 

 先生の背中に飛び込んで密着♡

 そのままスマホをぽちぽちしてモモトークを送信。

 明日のお弁当の仕込みをしておいたよ、と伝えると次々に通知がぴこんぴこんと鳴る。

 お菓子のリクエストも受け付け中、と送ると何が良いかでみんなが喧々諤々の話し合いを始めた。

 これで先生へのつんつんは止むだろう。

 首だけで振り返った先生にぶぃっとピース。

 

 

 “ありがと、フミ”

「にしし、内助の功でーす♡」

 “ますますフミから離れられなくなっちゃうかなぁ”

「ずっとくっついていましょ♡」

 “魅力的な提案だ……”

「それはそれとして、明日ゲーム開発部に着いたら改めてみんなにごめんなさいしましょーね♡」

 “そうするよ。許してもらえるかな?”

「罰ゲームの口実にされそう♡」

 “一位になったら膝抱っこ、くらいなら吝かでない”

「むしろご褒美♡」

 “だよねぇ”

 

 

 何時頃に着くかを大体の目安で送って夜更かししないように釘を差しておく。

 特にモモイちゃん。

 夜更かししないようにしっかり見張っておきます、とアリスちゃんの力強い宣言に白旗スタンプが押されるのを見て先生と一緒にくすりと笑う。

 みんな仲良しで何より♡

 

 

「それじゃあ明日に備えてお風呂入りましょー♡」

 “そうだね。……本当に一緒に入るの?”

「もち♡」

 “そっかぁ……鎮まれ我が半身! ハウス!”

 

 

 精神力を総動員している先生の手を引いて居住区へ。

 先生のお部屋にお邪魔して一緒に服を脱ぎ脱ぎ♡

 

 

 “ってフミ? フミさん? なんで私の部屋の格納に着替えやコスプレ衣装が置いてあるの?”

「せんせーがシたくなった時にいつでもどこでも気持ちよくしてあげられるように♡♡」

 “えぇ……? わ、これなんかもう紐……いや、本当に紐の部分しかないね? なにこれ梱包用?”

「拘束にも使えるやつ♡ 身動き取れない捕虜の村娘にオトナの楽しみ方を教え込むプレイも出来ちゃう♡」

 “こっちはバニー服……逆バニーだ!?”

「ニップレスやハートシールで誤魔化さない、ちゃんと全部ご開帳してるやつ♡ そのまま好きなだけ合体出来ますよ♡」

 “ダメだ、股間に悪い!! 先に入るね!”

 

 

 ぴゃー、と服を脱いで浴室に行く先生。

 可愛い反応にくすくす忍び笑いを漏らしながら先生の脱ぎ捨てた服を畳んで洗濯籠へ。

 もちろんシャツやパンツの匂いは堪能した。

 お腹きゅんきゅんしちゃう♡

 このまま全裸で突撃していっぱい可愛がってもらいたいけど、約束したから水着に着替える。

 黒のローライズマイクロビキニだ。

 これで先生もイチコロ♡

 髪を結んでいたゴムも外して無造作ロングヘアーにしていざ突撃。

 

 

「お邪魔しまーす♡」

 “お手柔らかにね……”

「いっぱいご奉仕しますね♡」

 “お手柔らかにね……!”

 

 

 軽くシャワーで流して持ってきたあみあみタオルで泡立てていく。

 首筋から肩口、左右の腕へとタオルを滑らせてごしごし丁寧に洗っていく。

 

 

「力加減どうですか♡」

 “うん、ちょうど良いね。気持ち良いよ”

「良かった♡ 次はお背中♡」

 

 

 肩甲骨周り、脇の下、脇腹と上から下へごしごし。

 泡でもこもこになった先生にちょっとイタズラ。

 泡を角やトゲみたいに伸ばして整え、先生に姿見を見るように指差しちょいちょい。

 

 

「悪魔将軍♡」

 “ぷふっ”

 

 

 お気に召したようで何より♡

 なんかラスボスの第二形態みたいにトゲトゲしてるけど、それが先生の細身の身体と何一つマッチしない。

 二人でけらけら笑い合って、お次は前を失礼しちゃう。

 股間はしっかりガードされてるので残念だけど普通に洗っていく。

 首筋、鎖骨周り、胸元。

 そこで、私の動きは止まる。

 右手の人差し指でそっとなぞるのはエデン条約の時に付いた弾痕。

 傷は塞がってるけど周りの皮膚よりも白く濁ったように変色していて、それが物悲しく感じる。

 

 

 “……フミ?”

「私がもっと上手く、跳弾ではじけていたら……」

 “ありがとう、フミ。君のおかげで、私は何の後遺症もなく軽症ですんだんだ。だからどうか悲しまないで。むしろこれは勲章なんだ。生徒と真剣に向き合った事で付いた、先生としての勲章。フミが居てくれたから得られた、私のかけがえのない名誉なんだよ”

 

 

 そう言って私を強く抱きしめてくれる。

 地肌を通して伝わる温もりが私の沈んだ心を明るく照らしてくれた。

 両手を回して抱き返す。

 私の鼓動と先生の鼓動が重なっていく。

 とくん、とくん。

 普段より少し早いそれを感じて、二人で笑い合う。

 

 

「ごめんなさい、冷えちゃいますね?」

 “ううん、フミがとても温かいから大丈夫だよ”

「にしし♡ ささっと洗って一緒にお風呂に浸かりましょうか♡」

 

 

 宣言通り、残りの部分をさっと洗ってシャワーで流す。

 お返しとばかりに先生に背中を洗われてひゃんひゃん声が出ちゃった。

 お互いの泡を洗い流して一緒に湯船へ。

 先生に後ろから抱きしめてもらう体勢で腰を下ろしてのんびりちゃぷちゃぷ。

 

 

「ふぅ〜♡ 良いお湯♡」

 “窮屈じゃないかい?”

「もっとぎゅってしてください♡ 大好きなせんせーともっとくっついていたいです♡」

 “フミは甘えん坊さんだなぁ。ぎゅー”

「きゃぁん♡♡ せんせー好き好き♡」

 

 

 顔を上げて先生のほっぺたにキスの雨を降らせると、先生は回した腕に力を込めて圧迫してきた。

 すごい♡

 先生でいっぱい♡

 ふにゃふにゃになった私の頭を優しく撫でてくれるのズルい♡

 その後ものぼせる直前まで湯船に浸かったままたっぷりイチャイチャちゅっちゅした。

 フミちゃん大満足♡♡

 

 

 

 

 

 

「おりゃあー! 先生、覚悟ー!」

 “なんの! ここで無敵抜け!”

「なんとぉー!?」

 

 

 コントローラーを握って互いに鎬を削り合うモモイちゃんと先生。

 激戦チキチキ格ゲー大会は現在準決勝二試合目。

 この戦いを制した方が王者UZQueenへ挑戦する権利を得る。

 なお私は初戦で敗退したので観客席代わりのソファーでポテチを摘みながらミドリちゃんをむぎゅむぎゅしている。

 アリスちゃんとユズちゃんが左右からものすごい視線を向けてくるけど、残念ながらここは初戦敗退組の場所なのだ。

 

 

「むぅ」

「むぅ~……」

「二人からの圧が強い♡」

「普段フミさんにくっついてるんだから、今日は私の番だよ。という訳でもっと撫でてください♪」

「ミドリちゃんも可愛いのぅ♡ ほれぐりぐり〜♡」

「ひゃぅ、フミさんに乱暴にされちゃう〜♪」

「むぅぅぅ!」

「むぅ~……っ!」

「二人がむーむー星人になっちゃった♡」

 

 

 ふふんとドヤ顔で撫でられているミドリちゃん。

 普段は二人がくっついてるからなかなか甘えられないもんね。

 今日はいっぱいイチャイチャしよう。

 

 

「手始めに首筋ちゅー♡」

「はひゃぁん♪」

「もう我慢できません! アリス、ミドリに決闘を申し込みます!」

「王は分け合うものに非ず、頂点は常に一人! だからこそのUZQueenなんだよ……!」

「めっちゃやる気になってる♡」

「ちょっとぉ!? こっちも応援してよぉ!」

 “蚊帳の外だね……モモイ、このまま抜け出してゲーセンデートでも行っちゃう?”

「おっ、いいですなぁ♪」

「モモイが抜け駆けしようとしてます!」

「モモイちゃん、ダメだよ……!」

「なんでさ!?」

 

 

 わいわいきゃっきゃっといつものように盛り上がる。

 ゲーム開発部はいつでも元気でみんな仲良し。

 私も先生もみんなから元気をもらってる。

 最近は色々有ったから余計心に染みるんだよねぇ。

 

 

「あっ、そうだ」

「お、どうしたどうした♡」

「今日二人を呼んだ理由を忘れてた」

 “格ゲーのお誘いじゃなくて?”

「そっちはサブクエストです!」

「今日は、次回作のネタ出しをしようと思いまして……」

「ひにゃ〜♪」

「もっちもっちしよる♡」

「こらー! イチャつくなー!」

「はぁーい♡ にしし、怒られちゃったね♡」

「ですね♪」

 “それで、次回作については何か決まってるの?”

 

 

 ミドリちゃんを解放して聴く態勢に入る。

 そう言えば前回みんなでTSC2を作った時から結構経ったもんね。

 次回作の構想も練って置かないと、またスケジュールがケツカッチンになっちゃう。

 

 

「まあ具体的な事はまだ何も決まってないんだけど」

 “何も? ジャンルやシステムも?”

「はい! 企画書は真っ白です!」

「元気があってよろしい♡」

「えへへ、フミ、もっと褒めてください♪」

「いいこいいこ♡ なでこなでこ♡」

「わひゃ〜っ♪」

「あ、アリスちゃんズルい……!」

「ユズちゃんもなでこなでこ♡」

「……えへへ」

「フミは飼育員かなにか?」

 “動物園で動物側から人気出るタイプだよね”

「こんな可愛い子たちのお世話なら吝かでない♡」

「って、そうじゃなくてアイデアを捻出するんだよ! ほらほら、ユズもアリスも惚けてないで」

「取り敢えず先生とフミさんが来る前に話し合った時は《まったりスローライフ系ダンジョン探索型RPG》なんかが良いんじゃないか、って」

 “なるほど……フィールドじゃなくダンジョンなんだね?”

「おっ♡ せんせーの目が光った♡」

「これは期待できそうな気配……!」

 

 

 私とモモイちゃんが先生の閃きを察知する。

 なんだかんだ濃いゲーマーだったらしいし、外のゲーム知識というアドバンテージも持っている。

 これは期待大だね♡

 

 

 “私が学生時代にドハマりして危うく期末テストを寝過ごしそうになったゲームが有ってね”

「予想以上にすごそうなの出てきた!?」

「先生、意外とお姉ちゃんの同類……?」

 “ごほん。そのゲームはダンジョン探索を繰り返してお城を作る部品を集めて、村を襲う外敵に立ち向かうのがメインストーリーだったんだ”

「なるほど、素材集めの動線を……」

「お城を作るなんてすごいです!」

「でもそれだとダンジョン探索が面倒になりそう♡」

 “部品集めの為に何度もダンジョンに挑むマンネリ化を防ぐ画期的なシステムが、そのゲームには有ったんだ。それは……ローグライク”

「ろーぐらいく、ですか?」

 “ローグ、っていうゲームを元にしたシステムでね。自動生成されるダンジョンに、僅かなアイテムもしくは身一つで毎回レベル1から挑むんだ”

「毎回レベル1で!?」

「そんな無茶な!?」

 “無論、途中で倒れたらそこまで。集めたアイテムは何も残らない。毎回落ちているアイテムも出てくる敵の順番も違うからこそ、一回一回のダンジョン探索に別々のドラマが生まれるんだ。頼れるのは己の運と知識だけ。アイテムの知識とシステムへの理解、そして最適解を求めて常に思考し続ける事こそが最大の武器になる”

「わぁ……! アリス、そのゲームをやってみたいです!」

「で、でもそんなプログラム、どうやって組んだら……」

 “リアルタイムで動く訳じゃないから大丈夫だと思う。そのゲームはターン制だからね。自分が一手行動すれば相手も一手行動する。動かずにじっくり自分の手札と相談しながらその場面を切り抜ける為に考えるんだ”

「……普通に大作の予感♡」

 “まぁ、人によってはそのゲームだけで数年沼るレベルの中毒性があるからね。普通のRPGが多くて3回繰り返しプレイされるとしたら、そのゲームは1000回は余裕で遊べるだろうね”

 

 

 先生から齎されたのはゲーム開発部のみんなの心を撃ち抜いて燃やして奪い去るのに十分すぎるほどのアイデアだった。

 というか私もそのゲームをやりたくなってる。

 これは刺激的を超えて劇薬だ。

 そんな面白そうなシステムを考えた外の世界の人は控え目に言ってオカシイ。

 いったいどんな食生活とお風呂の入り方したら思い付くの♡

 

 

「わぁ、わぁ……!」

 

 

 アリスちゃんはすっかり目をキラキラさせてまだ見ぬゲームに思いを馳せている。

 ユズちゃんは早速ノートPCを開いてコードを書いているようだ。

 キリッとしててカッコいいぞー♡

 

 

「あ、でもスローライフ系な部分にはどうマッチさせよう……?」

 “そこはストーリー上で上手く整合性を取るのが良いね。いっそ舞台を島にしてみるとか”

「島、ですか?」

 “未開の島だったり無人島だったり、普通には物資が手に入らない場所ならどこでも良いけどね。毎回入ると内部が変わる迷宮みたいな所に行って物資を拾って帰ってくる、ってなったら自然とダンジョンを探索する流れが出来るよ”

「そっか、周りから取ってこれない場所ならダンジョンに入らないといけない理由が出来る!」

「ダンジョン自体を謎の場所と位置付ける事で時代や世界観に囚われない独自の世界観が作れるかも……!」

「いっそダンジョン内で新しい仲間との出会いも!?」

「モモイ、提案があります!」

「聞こうじゃないかアリスくん!」

「主人公は旅を終えた後の勇者でどうでしょう! 魔王を倒して世界を救う勇者は何度も見てきましたが、その後の世界でゆっくり過ごす勇者の姿はナレーションでしか見たことがありません!」

「よし採用!」

「やりました♪」

「旅を終えた勇者……それならスローライフを求めるのも自然な欲求だよね」

「毎回レベル1になるのはダンジョン自体の魔法や定められたルールによるもの、って設定なら行けるかな……?」

「プレイヤー次第で同じレベル1でも、知略を駆使する最強勇者にも、慌てんぼうなへっぽこ勇者にもなる!」

「はいモモイ!」

「なにかねアリスくん!」

「ダンジョンで仲間になるのは、別の世界の人と言うのはどうですか! 主人公みたいに旅を終えた人たちが、冒険の疲れを癒す為に集まる憩いの地を、みんなで作り上げるんです!」

「よし採用!」

「やりました♪」

 

 

 凄い勢いで盛り上がってきた。

 新しい発想に触れて次から次へとアイデアが溢れ出している。

 これは数日は止まらないかもしれない。

 ふと先生を見ると、ものすごい嬉しそうにみんなを眺めていた。

 こういう青春な姿を見るの大好きだもんね♡

 アイデアで埋め尽くされたホワイトボードをひっくり返して、それでもまだ余白が足らない。

 熱が入りすぎてお昼を過ぎてもまだ出続けるアイデアの山で埋もれそうになっていたので、取り敢えずみんなへキンキンに冷やしたコーラを出した。

 クールダウンして♡

 

 

「いやぁ……我ながらよくここまでアイデア出たよね」

「普段のお姉ちゃんの二十倍はアイデア出してたよね」

「そ、そこまでじゃないやい!」

「アリス、今からわくわくが止まりません!」

「はいアリスちゃん、クールダウンしましょーね♡ ほら、コーラくぴー♡」

「くぴー♪ シュワシュワです!」

「と、取り敢えず自動生成プログラム組んでみたよ」

「えっ、もう!?」

「仕事が早い♡ ユズちゃん流石♡」

「えへへ……♪」

「くっ、ビジュアル面は草案が纏まらないと手を出せない……お姉ちゃん、もっとアイデア出して早く纏めて」

「無茶ぶりにも程がある!?」

「ほらほら、ミドリちゃんも落ち着いて♡」

「もっと撫でてください♪」

「妹がどんどん卑しくなっていく件について」

 “やっぱフミは魔性だよねぇ”

「いっそフミをモチーフにしたキャラも出そうかな?」

「! モモイ、そのキャラは主人公のお嫁さん候補にするべきです!」

「スローライフなら、結婚は外せない一大イベントだよね……!」

「よし、キャラチップ描くか……フミさん、参考にしたいので写真撮って良いですか?」

「みんなの熱量がすごい」

「はいチーズ♡ ぶぃぶぃ♡」

 “ちょっとえっちなイベントも入れる?”

「そ、それはちょっと荷が重いかな……!」

「ほしいです!」

「入れよう!」

「お姉ちゃん頑張って!」

「待って♡」

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