もしもシャーレにヒモを養う適性の有る娘が応募してきたら   作:一ノ瀬 崇

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五十二話目

 無人列車に揺られる事数時間。

 何事もなく私たち一行は要塞都市エリドゥの片隅へと辿り着いていた。

 ヴェリタスのみんなのハッキングにより、無人列車のシステムの介入に成功。

 路線図を手に入れてエリドゥへと向かう路線を特定して全員で貨物部分へと乗り込んだ。

 結構揺れたけどアスナさんに抱きかかえられていたからスゴいぽよふわだった。

 なんだか気に入られたらしい。

 まぁ好かれる分にはヨシ!

 到着してすぐにリオさんのドローンもやってきたけど、バレる前に周辺のネットワークごと掌握したみたい。

 とは言えのんびりしていると気付かれちゃうので早速行動開始。

 

 

「気を付けてくださいね♡」

「うん! フミちゃんたちも頑張ってね♪」

 

 

 アスナさんに両手をふりふり見送って、私たちも地上に進んでドローンを蹴散らして行く。

 画一的な性能のドローンが相手なら私たちの敵じゃない。

 数は厄介でも道路に展開出来る総数は高が知れてるからね。

 先生の指揮も有る以上、緒戦で負ける事は無い。

 リオさんの強みは地の利と数の暴力にビッグシスター足る高い思考能力だけど、逆にマンパワーは足りていない。

 現時点での情報ではリオさんとトキさんしかプレイアブルなキャラクターは居ないらしく、トキさんは前線で戦うタイプとの事でエリドゥでの全ての情報は最終的にリオさんが処理しなくてはならない。

 余程の伏せ札が無い限りは突破出来る目算だ。

 ほぼワンマンで戦場を回すには、相手と隔絶した能力が無いと難しい。

 

 

「……とまぁ、そんな感じに考えてるんですけど♡」

 “そうだね……案外、そうかもしれない”

 

 

 護衛の名目で先生に張り付きながら小声で言葉を交わす。

 楽観的と言われればその通りなのであまり吹聴はしない方が良いだろうと、先生にしか聴こえないように声を絞ってある。

 正直、今回の騒動はリオさんの方にも理は有ると思っている。

 私は直にあの《Divi:Sion System》との遣り取りや起動前のアリスちゃんを見ている。

 全てが何の杞憂も無く収まるとは、とても思えない。

 それこそ一歩間違えば、リオさんが危惧した通りのシナリオが始まってしまうかもしれない。

 

 

 “だからこそ、だね”

「可能ならリオさんを説得してアリスちゃんの破壊以外の選択肢を、もっと言えばアリスちゃんをこちら側に付けた状態でリオさんと共に脅威へ対処したいですね♡」

 “ただの英雄願望なんかじゃなく、本当にみんなの事を考えてるからこその、極端な手法だと思うからね”

 

 

 性善説が過ぎる、と言われるかもしれない。

 でも今回の騒動の相手はベアトリーチェのような悪い大人じゃなく、最悪のシナリオを回避しようと足掻く一人の生徒だ。

 

 

「ネルさんやウタハさんへの聞き取りをして正解でしたね♡」

 “リオについて、誤解せずに知る事が出来たのは僥倖だったね。それだけに、今回の頑なな態度に対する違和感から彼女の想いの強さも見えた訳だけど”

「私たちの想いを真っ直ぐに伝える為にも、ただ座して滅びを待つだけじゃないと、力を示さないとですね♡」

「こらー! イチャイチャしてないで手伝ってよぉ! フミが戦力になるのは廃……前にお出かけした時に分かってるんだからね!」

「よく堪えた♡」

「その辺はナイショなんだからね、お姉ちゃん!」

「わ、分かってるって」

「にしし♡ それじゃあ私も働きますか♡」 

 

 

 アロナちゃんに先生の警護を引き継ぎ愛銃を両手に前へ出る。

 飛んでくるドローンは数が多いものの戦力としては大した脅威でも無いのでそこまで構えなくても何とかなる。

 ちょいちょい自爆ドローンが混じり始めたけど、設計にエンジニア部協力した?

 視線を向けるとウタハさんは少し考え込むように顎へ細い指を当てる。

 絵になるねぇ♡

 

 

「リオ会長がまだ会長になる前に、一緒に基本的な設計に関して勉強したものさ。その頃の設計思想を携えたままなら自爆させる時の『いろは』はエンジニア部と共通している所も多いだろうね」

「なるへそ♡ なんだかんだで友達なのは間違いないと♡」

「……まぁ、そう捉えられなくも、ないかな」

「説明しましょう! 今のは否定してしまうとリオ会長との楽しかった思い出を自分で貶める気がしつつも、積極的に肯定するのは何だか恥ずかしいので言葉を濁しつつ消極的に受け入れたというポーズを」

「コトリ」

「ひゃんっ!?」

「しー、だよ」

 

 

 素早くコトリちゃんに身体を寄せて口止めするウタハさん。

 タブレットで指揮車を動かしながら「あれうちの部長なんすよ」とドヤ顔を向けてくるヒビキちゃんにサムズアップを返して更に前へ。

 ユズちゃんの横に並びながら全速前進。

 よーし、出てくるドローン片っ端から撃ち抜いちゃうぞー♡

 

 

「おまたせ♡ ゲーム開発部名誉部員とうちゃーく♡」

「おそいよー!」

「待ってました♪」

「フミちゃんが居ると、心強い……♪」

「さて、お相手はどこですかにゃー?」

 

 

 十字路に差し掛かると、前方と左右からホバータイプ、キャタピラタイプ、プロペラタイプとよりどりみどりなドローンが現れた。

 弾数が十二発なので他の機体はみんなに任せよう。

 

 

「取り敢えず自爆しそうなのをバキューン♡」

「うわっ、待ち伏せ!?」

 “モモイは前方のドローンへ弾をばら撒いて牽制、ミドリは左側のタンクのキャタピラを狙って足止め、ユズは右の三機以上が固まってる所へグレネードを射出! フミはリロードが終わり次第好きに撃ち落として!”

「分かりました!」

「やってみます……!」

 

 

 先生の指揮も加わって快進撃は止まらない。

 更に追加で路地から出て来た分はマキちゃんとハレさんがハッキングしてシャットダウンさせ、コタマさんは制御出来る壁を動かして出来るだけ真っ直ぐエリドゥの中央へとルートを構築している。

 そう、要塞都市と銘打つだけあって地面から壁がせり出して道を封鎖させる事が可能だ。

 電子制御なのでヴェリタス大活躍♡

 ロック後に制御基板や配線を壊されてしまうと流石に迂回するしかないけど、逆に壊して進める箇所はヒビキちゃんの砲撃で突破していく。

 後方でリポップしたドローンはコトリちゃんのミニガンが薙ぎ払い、弾の雨を抜けてきた機体はウタハさんの雷ちゃんが迎撃する。

 C&Cにも見劣りしない突破力だと思うんだけど、向こうは向こうでスペシャリストしか居ないから手に負えなさそう。

 少なくとも私が抑える側だったらひたすら遅滞戦術をとってスタコラ逃げる。

 

 

「っと、ねぇねぇ! あのでっかいタワー! あれ目的地じゃない?」

 

 

 モモイちゃんが指差す先、建物の陰から高いタワーの姿が覗く。

 周囲の建物とは様相が違う。

 

 

『こっちでも確認したよ! アレがエリドゥの中央にある建物!』

『最終目的地はあのタワーで良さそう』

 

 

 マキちゃんとハレさんが確認してくれた。

 どうやらアリスちゃんはあのタワーに居るらしい。

 と、これまで良好だった通信が急にノイズを挟みホログラムも乱れた。

 そして通信に割り込んで声が届く。

 

 

『ヴェリタス……やはり貴女たちだったのね。流石あのヒマリの後輩なだけあるわ』

『え? だ、誰!?』

 

 

 マキちゃんの声を最後に通信が完全に途切れた。

 まぁ流石に見付かっちゃうよね。

 近くの建物の壁から投影装置が顔を覗かせ、戸惑う先生の前にホログラムを映し出した。

 ぱっと見は敏腕女社長のぱつぱつスーツ姿なリオさんだ。

 いや胸に対して腰細すぎでしょ♡

 暴動が起きちゃうレベル♡

 

 

『予想はしていたけれど……本当にここまで来たのね、先生』

 “リオ……。君を止めに来たよ”

『……そう。やはり、あの時の私の言葉と行動だけでは貴方を……そして、その子たちを説得出来なかったのね』

 

 

 リオさんの姿に、みんなが剣呑な視線を向ける。

 気持ちは分からなくもない。

 けれど、それに少し動揺しているようにも見える。

 どこか縋るように揺れる指先、僅かに伏せられた目、リズムのずれた呼吸。

 やろうとしている事は結構な大事なんだけど、それを遂行するだけの勇猛さは無いみたい。

 どちらかと言えば《誰かがやらないといけないから、それなら私が》って感じの後ろ向きな決意のような。

 ……こういう時に相談してもらえるように、もっとシャーレとして生徒のみんなに寄り添ってあげられると良いんだけどね。

 そんな事を考えていたらリオさんが私を見て不思議そうな顔をした。

 一人だけ敵意を向けて来ないし、なんなら小さく手を振ってるからね。

 ある意味敵対的な態度よりも怖いかもしれない。

 

 

『…………先生。トロッコ問題をご存知かしら?』

 

 

 あ、スルーされた。

 フミちゃん寂しいぞー♡

 と、みんなが話し合っている時に私のスマホが震える。

 送信元は……なるへそ♡

 噂には聞いてたけど随分面白い人らしい。

 対処もそうだけどここは終わった後の追跡をお願いしておこう。

 後はセーフハウスの手配と諸々の備蓄品の購入手続きと……あ、ホントのホントに非常事態の時以外はちょっかいかけないように強くお願いもしておこう。

 やらかしたら両手動かせない状態にしてハッキングすら出来ない乾電池で動くタイプのゴーグルカメラでフミちゃんセレクションのZ級映画上映会を二十四時間耐久でやらせる。

 震えて眠れ♡

 こっそり通信している間に何やらモモイちゃんとリオさんで話し合ってそのまま平行線で終わったらしく、地面の一部が開いて大きなロボットが現れた。

 キャタピラの脚部に四本の多腕タイプ。

 そして愛嬌溢れる頭部デザイン。

 

 

「きゃーなにあれ可愛い♡♡」

「うわぁっ!? ダサ……」

「たしかに、あんまり可愛いデザインじゃないけど……」

「えっ♡」

「「えっ」」

 

 

 モモイちゃんミドリちゃんには受けなかったらしい。

 なかなか前衛的かつ芸術的なデザインだと思うんだけど♡

 リオさんは私を見て一瞬目を輝かせた後、モモイちゃんミドリちゃんを見て少し悲しそうに目を伏せた。

 

 

『……見た目は関係ないわ』

 “……本音がちょっと見えてるよ、リオ”

「私は良いと思うんだけどなー♡」

 “ええ……モモフレンズみたいなものなのかな……?”

「ペロキチと同じ枠にしないで♡」

『理解されないのなら、もういいわ。そのままで構わない』

「う、うわあっ!?」

 

 

 ちょっぴりムッとした雰囲気になったリオさんがそう言うと、謎のロボットが動き始めた。

 どうやら次はこのロボットが相手らしい。

 

 

 “みんな気を付けて……来るよ!”

 

 

 追加で投入されたドローンも前に出てきた。

 先生の指揮の下、みんなで蹴散らしていく。

 あのロボットは多腕を巧みに操り、ユズちゃんのグレネードをマシンガンで撃ち落としモモイちゃんの乱射をシールドで受け止め、ミドリちゃんの射撃をキャタピラの機動で上手く受け流している。

 向かってくるロケット弾は私が射出と共に速射で爆発させているから大きな被弾は無し。

 ガトリングは私が前に出てシールドで弾いていく。

 一般的な火力に落ち着いているので、シールドを構えていても全然怖くない。

 ミカさんのサブマシンガンやバルバラのガトリングと比べたら狙いが正確なだけの豆鉄砲みたいなものだ。

 返す返すもあの威力はおかしかった。

 先生の的確な指示もあり圧される事は無いけど、耐久力が凄まじい。

 ロボットというのも相まって疲労や隙が無いから常に同じペースで弾が飛んでくる。

 一応防げてはいるけど長期戦はちょっと不利かもしれない。

 

 

「予想以上に強いんだけど!?」

「あのデザインからは考えられない強敵具合……!」

「いや、曲線で衝撃を分散させたりジョイントの位置を調節して武器の反動を抑え込んでたり、結構合理的で良いデザインだと思う♡」

「外見からは想像つかない火力してるね……」

「見た目はめっちゃダサいのに!」

『……一意見として受け取っておくわ』

「元気出して♡ あとこのロボットのキーホルダーとかストラップとか欲しいんですけど♡」

『……前向きに検討しておくわ』

 

 

 ヨシ、と拳を握る私にちょっと柔らかい視線を向けるリオさん。

 そんな気の抜けた私たちをよそに、みんなはなんかシリアスな顔をしている。

 

 

 “一番大きな障害はトキになると思って、C&Cにお願いしたんだけど……まさかこんなところに伏兵が潜んでいたなんて”

「最初にトキを連れていたのは、判断を鈍らせるためだったんだね……」

「C&Cがいない今こそ……」

「会長にとって……先生を制圧できるチャンス……」

「えっ……じゃあ全部、会長の手のひらの上だったってこと!?」

「最初から仕組まれていた罠だったんだ……」

 

 

 真面目な顔をしているみんなに気付いてこほんと小さく咳払いするリオさん。

 美人だから取り繕うのも簡単で羨ましいですなぁ♡

 

 

『んんっ……C&Cと先生を分断する──それも私の手ではなく、自らの決断によって。そうすれば、こちらの計画が伝わる可能性なんて万に一つも無いもの』

「なるほど……どうやら、会長の方が一枚上手だったようだね」

『さあ、終わりにしましょう──アバンギャルド君』

「えっ!? アバンギャルド君!?」

「名前までダサい!!」

『……ダサくないわ』

「私は良いと思う♡」

『ほら、ポジティブな意見もあるわ』

「フミはどっちの味方なのさ!」

「いやそこまで壮大な話じゃないでしょ♡」

「というかフミさんのセンスってユニーク寄りだったり?」

「フミちゃん、ストライクゾーンが広いのも良し悪しなんだよ……!」

「何故か矛先がこっちに♡ せんせー、なんとかして♡」

 “私はほら、若い子の感性にはついて行くのもやっとだからさ”

「帰ったら足つぼ♡」

 “色んな価値観が有って良いと思うなぁ!”

「玉虫色の回答♡」

 

 

 心なしか激しくなった攻撃を捌きながらやいのやいのと騒いでいると、突然アバンギャルド君の動きが鈍くなる。

 と言うよりは処理落ちが連続しているような、カクカクとした動きに。

 その動きを訝しんでいると復活した通信から新たな声が届く。

 

 

『ふう……なんとか間に合ったかな。みんな大丈夫?』

 “…………チヒロ!”

「あっ、チヒロさん♡」

「チヒロ先輩!?」

 

 

 声の主はヴェリタスの副部長にして唯一の良心、各務チヒロさんだった。

 普段は各企業に出向きサーバーメンテナンスや保全業務、新しいセキュリティの提案やデジタル環境の新規構築のお手伝いをして、非公認組織であるヴェリタスの活動費を健全に稼いでくる常識人にしてヴェリタスのお母さん枠。

 チヒロさんが居ればみんな大人しくなるので出来れば常時居て欲しい人材だ。

 

 

『うわぁ~ん! 副部長〜!』

『流石です。待っていました』

『でも……どうやって?』

 

 

 チヒロさんの登場に復活したヴェリタス三人娘が一気に元気になる。

 スゴい懐かれ具合だ。

 と言うか同学年のコタマさんはそれで良いのだろうか。

 時々私と同じくらいの年齢に見えちゃう。

 

 

「そうですよね! だって、エリドゥの通信網は……!」

「リオ会長が掌握してるんじゃなかった?」

『うん、リオ会長が掌握してる。でも、こういう時のためにヒマリが《秘密兵器》を用意してくれてたみたい』

 “秘密兵器……?”

 

 

 コトリちゃんとヒビキちゃんの疑問に答えるチヒロさん。

 良いよね秘密兵器、なんかどんな状況でもひっくり返せそうな気がしてくる。

 そんな秘密兵器に心当たりがあるのか、ミドリちゃんがモモイちゃんの袖をくいくい引いた。

 

 

「あ……お姉ちゃん! アレ! アレだよ!」

「あ、アレって何!?」

「前にG.Bibleを解析しようとした時に見つけたヤツ!」

 

 

 その言葉でモモイちゃんだけじゃなくユズちゃんも思い至ったらしく、ハッと目を見開いた。

 ゲーム開発部総出でセミナーへ挑んだ一大イベント。

 そのトロフィーとして掲げられたヴェリタス部長謹製の特別なプログラム。

 

 

 “そうか、鏡……!”

『ご明察。そう、鏡を使ってエリドゥのネットワークをハッキングしたの』

「どんなセキュリティでも突破出来るからって力技が過ぎる♡」

『ついでに、会長にも退場してもらったよ』

 

 

 言われて気付く。

 さっきまで話していたリオさんの声もホログラムも、この通信が繋がった時から消えていた。

 いやホント、電子戦って凄いんだねぇ。

 

 

『え、ど、どういうこと!? もしかして、ヒマリ部長が生徒会に鏡を差し押さえられてたのって……!』

「こういう場合に備えてたって事なのかな? さすが元ヴェリタスの部長だ。侮れないね」

 “さすがチヒロ! ヴェリタスの女神!”

「きゃーステキ♡ ファンサくださーい♡」

 “よっ、ミレニアムで頼れる同僚兼お嫁さんにしたいランキング堂々の殿堂入り!”

『め、女神って……って、先生? そのランキング聞いたこと無いんだけど……あとファンサはしないからね』

「ざーんねん♡」

 “今勢いとノリで考えたからね!”

「え♡ じゃあミレニアムでお嫁さんにしたいランキング殿堂入りってせんせーの願望なのでは♡」

 “ノーコメントでお願いします!”

「相変わらず息を吐くように誑かしてる……!?」

「先生、後でお時間よろしいですか?」

「ミドリがガチな目をしている……! って、それは置いといて! セミナーの差押品保管庫に行くのってすっごく大変じゃない? 一人じゃ絶対……」

『こほん。ああ、それなら助けてくれた人がいたの。運良く、会長の監視から抜けられていた部活の──』

『こんにちは、トレーナー。フミさんも』

 “スミレ!?”

「あ、スミレさんだ♡ こにゃにゃちわー♡」

『はい、こにゃにゃちわ』

 

 

 ホログラムに映ったスミレさんにダブルピースを向けるとスミレさんは爽やかな笑みを浮かべてダブルピースを返してくれた。

 やばい好きになっちゃう♡

 

 

『アリスちゃんのことを伺って、居ても立っても居られず……僭越ながら、協力させていただきました』

『うん、本当に助かったよ。ありがとう』

 

 

 なるへそ♡

 確かに日頃からスミレさんとアリスちゃんは仲良しさんだったから此度の参戦も当然だった。

 私もお世話になってるし非常に心強い。

 でもリオさんがチェックしてなかったのはちょっと意外かもしれない。

 トレーニング部というミレニアムでは珍しい体育系の部活だから電子戦での脅威にはならないと考えたのか、はたまた不用意に接触したらトレーニングをやらされるからなのかは定かではない。

 と、スミレさんとチヒロさんがホログラム越しに飛んだり跳ねたり銃を撃ったりし始めた。

 

 

『……とまぁ、こんな感じで、絶賛ドローン相手に抗戦中なんだけど』

「鉄火場だった♡」

『どれくらい持つかは正直分からない……けどまぁ、やれるだけやってみるよ』

『持久戦ならお任せください』

 “スミレ、ありがとう。とても頼もしいよ”

「終わったら打ち上げパーティーで特製サラダチキン作っちゃいますね♡」

『これはますます頑張らないといけませんね。良いトレーニングの後には良いタンパク質が欠かせません』

 

 

 にへーと笑顔の交換をしていると、突如ノイズ音が響く。

 何事かと思った矢先、アバンギャルド君が不格好ながら姿勢を整えて正面に私たちを捉える。

 

 

『やっぱり……。鏡を使ったとはいえ、ファイアウォールが反応してる。パスが切れる前に先手を打つ必要があるね。こういう時こそ、ヴェリタス──私たちの出番だよ』

『うん、任せて副部長』

『私たちのリソースを全部使い切ったとしても! ネットワークを維持してみせるよ!』

『はい、全力を尽くします』

『うん。維持は任せた。代わりに、ここからは先生のナビゲートを私が引き受けるよ。みんな──まだ戦えるよね?』

 

 

 どこか挑発的に笑うチヒロさん。

 それを見てゲーム開発部のみんなが力強く頷き、エンジニア部のみんなが親指を上げる。

 

 

 “うん、いけるよ”

『じゃあ反撃開始。いくよ!』

「れっつごーごー♡」

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