もしもシャーレにヒモを養う適性の有る娘が応募してきたら   作:一ノ瀬 崇

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ミニストーリーVol.5
アビドスお泊まり会の巻


「ん、ん、ん!」

「うわーっスゴい圧力♡」

 

 

 ミレニアムでの騒動を終えてシャーレでのんびりしていた私に、今日の当番であるシロコさんがほっぺたをぷくぷく膨らませながら突撃してきた。

 原因はトキちゃんとの戦いで吐き散らかした事をうっかり先生が喋った事である。

 んもー、口が軽いんだから♡

 すっかり身内認定されてアビドスの末っ子扱いされている私の負傷を、情に厚いシロコさんが見過ごすはずも無い。

 いやまぁ、アビドス勢は全員情に厚いんだけども。

 という訳で後遺症が出てないか、なんでそんな無茶をしたのか、心配だから抱きしめていいか、と様々な理由でシロコさんにぺたぺたもちもちされているのです。

 勢いがすごい♡

 

 

 “ちゃんと医療機関で診てもらったから大丈夫だよ? それに何かあったなら私がこうしてのんびりしてないよ”

「……ん、それもそう」

「でも止めないんですね♡ 捕まったー♡」

 

 

 書類にハンコを捺しながら先生が苦笑するのを見て、シロコさんも少し勢いを弱める。

 抱きしめられてシロコさんの膝上に拉致されているのは変わらないけど。

 やわらかあったか♡

 シロコさんの体温と匂いに包まれて眠くなっちゃいそうな気分になりつつ、両手を先生に伸ばす。

 

 

「たちけてー♡」

「ちたぱた暴れると危ない。せっかくだから今日はこうしてフミを捕まえておく」

「きゃーシロコさんから抜け出せない♡ フミちゃんの冒険がここで終わってしまいますにゃー♡」

 “復活の呪文メモしたやつどこやったっけな”

「今の時代は全部オートセーブですよ♡」

 “ウッ”

「灰になっちゃった♡」

「あらあら……♡ とても刺激的な光景ですね♡」

「混ざっても良いのよハナコちゃん♡」

「いえ、それは……遠慮しておきますね♡」

「なんにせよ、無事で良かったよ、ホント」

 

 

 両手をわきわきさせて誘ったら身を引くハナコちゃんと、呆れたように笑いながらも心配してくれるカヨコさん。

 今日の当番はこの三人だ。

 お互いほとんど接点が無く、シロコさんとカヨコさんがたまに柴関で顔を合わせるくらい。

 でもそんなに相性は悪くないみたいで、会えば一緒に私をもちもちしてくる。

 モテる女はツライぜ♡

 ハナコちゃんは当番の時も人見知りモードな事が多いけど私が居ればえっちな言い回しを起点にして話せる。

 トリニティではそうやって他人を弾いていたみたいだけど、残念ながらここシャーレに居るのは先生の側室にして淫婦の名を欲しいがままにするフミちゃんなのだ。

 多少の猥談で怯む子は居ないので専ら反撃を受けてたじたじになっている。

 ハナコちゃん猥談レート戦よわよわ♡

 

 

「一騒動終わったんならゆっくりしたら? 最近先生もフミも動きっぱなしだったんでしょ?」

 “溜まってた書類も今日で片付きそうだからね。久し振りにのんびりしようかな?”

「でしたら、みなさんを連れてレジャーを楽しむと言うのはどうでしょう?」

「良いかもー♡ あ、だけど先生人気者だから町中や有名なスポットだと囲まれちゃうかな?」

「それなら良い場所がある。人気もなくてお宝が埋まってるとウワサのレジャースポット」

 

 

 

 

 

 

 

 

「と、言う訳で《はるばる来たぜアビドス砂漠! 一泊二日仲良しお泊まり会》の旅〜♡ デュエル開始の宣言をしろヒフミン!!」

「デュエル開始ですっ♪」

「いや、なんなのよデュエルって」

「コハル、デュエルとは決闘を意味する言葉で、恐らくこの場合は旅の舞台となるアビドスに対して『たっぷり遊び尽くしてやるからな』と言外に宣言したのを」

「そういう意味で言ったんじゃないわよ」

「ふふっ、アズサちゃんの解説は分かりやすくて助かります♡」

「くふふっ、楽しくなりそ〜♪」

「あまりみんなにイタズラしないようにね、ムツキ」

「ふっふっふ、たっぷり遊ぶわよー!」

「はい、お供します、アル様……!」

 

 

 朝九時、アビドス駅前に降り立ったのは私と補習授業部のみんな、便利屋のみんな合わせて九人。

 先生は一足先にアビドス高校へ向かいみんなの為に移動の準備をしてくれている。

 日差しの強さと夜間の寒さについては地理の教科書片手に説明したので、みんなも対策はバッチリだ。

 ヒフミンとアズサちゃんは麦わら帽子、コハルちゃんとハナコちゃんはサンバイザー付きの帽子、通気性の良い衣服と夜用の暖かい生地の服、そして念の為に二泊三日分のお着替え。

 水筒に氷を入れて冷やしてある水と、脱水時の経口補水液も持ってきた。

 それと日焼け対策のクリームやケア用品も。

 私は定期的に焼いて先生に誘惑仕掛けてるけど♡

 便利屋のみんなはいつも通りの服装だけど、バッグの中に作業用のジャージとツナギ、お着替えや洗面具セットを持ってきてある。

 完全オフのレジャーは今回が初めてらしいから、存分に楽しんでもらいたい所さん。

 

 

「お、集まってるわね!」

「お待たせしました!」

「セリカちゃん、アヤネちゃんやほやほー♡」

「「「「お世話になりまーす!」」」」

「それじゃ二手に分かれて乗ってねー♡」

 

 

 ブロロロロ、とエンジン音を響かせながら二台の装甲車がやってきた。

 片方はセリカちゃん、もう片方はアヤネちゃんが運転している。

 早速補習授業部組はセリカちゃんの車へ、便利屋組はアヤネちゃんの車へ乗り込む。

 私はセリカちゃんに捕まって助手席へ。

 なんで?

 

 

「そりゃそうでしょ。便利屋のみんなとは顔馴染みだけどこっちはヒフミさんくらいしかまともな接点無いんだから」

「確かに♡ じゃあ自己紹介も兼ねて色々お話しよー♡」

 

 

 という訳で雑談を交えつつ自己紹介をする事に。

 人見知りなコハルちゃんもしっかり話せていて感無量だ。

 そっとヒフミンの袖を掴んで勇気を出していたのも可愛らしくて実に良い。

 

 

「そうか、あの時駆け付けてくれた覆面の人たちはアビドスの生徒だったんだな。……本当にありがとう、お陰で私たちはこうして日常を取り戻せた」

「いいのよ、お礼なんて! こっちもヒフミさんには助けてもらったから!」

「それにしても覆面水着団だなんて、刺激的なスタイルでの活動なんですね♡」

「いや、あれは先輩たちの悪ノリで生まれた設定だから。一時期ブラックマーケットを中心にニセモノが現れてたみたいだけど」

「在校生の100%が銀行強盗経験済みってヤバいわね」

「数字のマジックですねぇ……♡」

「そこだけ切り取るとアビドスがヤバい所に聴こえるからやめてよね!? というか私もトリニティの生徒で、スク水姿で校内をうろつく子が居るって聞いたんだけど」

「あ、それ私ですね♡」

「ええぇぇぇ!? は、ハナコさんなの!? なんで!?」

「そこには聞くも涙、語るも涙のふかぁーい事情があってねぇ♡ うぅっ、お労しやハナ上♡」

「フミっつぁん、それは言わない約束ですよ♪」

「すまねぇなぁペロキチ♡」

「なんなのよこの寸劇は。セリカさんも困惑してるわよ」

「セリカさんもやってみませんか? 開放的で気持ち良いですよ♡」

「やらないわよ!? そもそもアビドスでやったら日焼けでえらい事になるわよ!」

「日差しが強いからな、しっかり肌を守らないと皮が剥けたり水ぶくれを起こしたりもする。対策は大事だ」

 

 

 にこやかに話しているけど内容はとても外部にお聞かせできない。

 なんでそんな過激なのアビドス勢♡

 道中賑やかに騒ぎつつ、目的地の柴関へ到着。

 ウェルカムラーメンのお時間だ。

 

 

「いらっしゃい! 今日は腹いっぱい食ってってくれよ!」

「大将さん、お世話になりますー♡」

「ここがフミの言ってた美味しいラーメン屋さんなのね」

「ふふふ、楽しみですねぇ♡」

「何にしようか悩みますね! アズサちゃんはどれにします?」

「うーん……どれも美味しそうで迷うな」

「今日は醤油……いえ、味噌も捨てがたいわね」

「ムツキちゃんは煮玉子つけちゃおーっと♪」

「私はネギ塩にしようかな。ハルカは決まった?」

「わ、私はアル様と同じのにします……」

 

 

 一気に賑やかになる屋台柴関。

 私はもちろん柴関ラーメン全トッピング乗せマシマシだ。

 アビドスの魅力の半分は柴関が担っていると言っても過言ではない!

 最初に柴関へ訪れた時の騒動やアリスちゃんを連れて遊びに来た時の話なんかをしてみんなを楽しませていると、美味しそうな匂いとともに丼が運ばれてきた。

 立ち昇る香りに胃袋を刺激され、誰かのお腹がくぅくぅ鳴った。

 

 

「はらぺこだーれだ♡」

「アルちゃんでしたー♪」

「ちょっとムツキ、バラさないでよ!?」

「あはは、この美味しそうなラーメンを前にしたら私もお腹鳴っちゃいそうです」

「それじゃ両手を合わせて、いただきまーす♡」

 

 

 スープと絡み合い官能的な輝きを放つ麺を啜る。

 溶け出した野菜と肉の旨味が弾け、コシのある麺を噛むたび口の中で香りが弾ける。

 相変わらず美味しい♡

 見ればアズサちゃんは目をキラキラさせて感動してるし、コハルちゃんはちゅるちゅると少しずつ味わっていて可愛らしい。

 ヒフミンとハナコちゃんも気に入ったみたいで箸が止まらなくなってる。

 給仕を終えたセリカちゃんも一緒に食べ始め、みんなの喜んで食べ進める姿を見て満足そうに頷いている。

 

 

「相変わらず美味しいわねー♪」

「やっぱり他のラーメン屋さんとは違うね」

「ハルカちゃんも大のお気に入りだもんね♪」

「えへへ……フミちゃんとの再会の味ですから……♪」

「便利屋のみなさんやフミさんと会ったのも、柴関が初めてでしたね」

「ゲヘナの風紀委員会が先生を狙って攻めてきたんだったわね。全く、過激なんだから」

「アビドス勢より過激な面々は中々居ないと思うの♡」

「何でよ!」

「覆面水着団♡」

「ウッ」

 

 

 突っ込むとセリカちゃんは何も言えなくなってしまった。

 返す返すも存在が謎すぎる。

 なんで覆面に水着を足したの♡

 

 

「ノノミ先輩に聞いてよ……スクールアイドルといい、妙ちくりんな発想は得意なんだから……」

「でも、セリカちゃんとアヤネちゃんがアイドルになったら最前列で応援しちゃうけどなー♡ 今でも二人ともすっごく可愛いし、もっとメロメロになっちゃうかも♡」

 

 

 と、それを聞いたはーちゃんが食べる手を止めて何やら思案顔。

 気付いたムツキさんが声を掛ける。

 

 

「んー、どったのハルカちゃん?」

「わ、私もアイドルになったら……フミちゃんの事、もっと……い、いえ、なんでもありません……」

「ハルカちゃんがアイドルかー、とっても可愛くなりそうだけどねー♪」

「フミのベッドに連れ込まれて三日三晩出られなくなると思うけど」

「……無いと言い切れないのがフミよね」

「わ、私はそれでも……フミちゃんが求めてくれるなら……えへ、えへへへ……♡」

「いつだって求めちゃう♡」

「嬉しいです……♡」

「……ま、まぁ本人が幸せならそれが一番よね!」

 

 

 生暖かい視線を送り納得する便利屋勢。

 こっちは便利屋68で便利屋69しても良いんだぞぉ♡

 私の笑みを正しく理解したはーちゃんがぷるりと肩を震わせる……なんだぁそのえっちな顔は♡

 ちゅーしちゃうぞ♡

 そんな風に仲良くラーメンを堪能し、大将にごちそうさまを告げて一路アビドス校舎へ。

 最近はヘルメット団や不良たちの襲撃も控えめで平穏な日が続いているらしい。

 何事も平和が一番♡

 車を降りるとノノミさんが出迎えてくれた。

 

 

「いらっしゃいませ〜♧ アビドス高校へようこそ♪」

「お世話になりまーす♡」

 

 

 案内された先は視聴覚室。

 人数多いから宿直室には入り切らないし、体育館だと夜は寒いからここになったとか。

 机や椅子は片付けられて掃除もバッチリ。

 組み立て前のテントもあり、今からわくわくしてくる。

 

 

「夜は箱型テントを張ってお泊まりですよ♧」

「誰と寝るかは後でくじでも引きますか♡」

「誰と組んでもフミは抱き着くの禁止よ」

「裁判長異議あり♡」

「えっちな事しない?」

「しないしない♡ フミちゃんウソつかない♡」

「本当でしょうね……?」

 

 

 コハルちゃんからのジト目を受け流して荷物を置く。

 今日はこの後みんなで交流会の予定。

 シロコさんやホシノさんが準備を進めてくれている。

 楽しみですにゃー♡

 

 

「なんでもうテント建ててるのよ」

「んー、気分♡」

「どんな感じなのか見たかったから良いと言えば良いんだけど」

 

 

 コハルちゃんのツッコミとカヨコさんの暖かい視線を背に受けつつテントをちょちょいと建てていく。

 本来なら傾かないように四隅にペグって杭を打ってしっかり張るんだけど、室内だからその手順はスキップしちゃおう。

 出来上がったテントは結構広くて、詰めれば五人くらいは寝られそう。

 夜はここに三人川の字だ。

 今からわくわくしてきちゃう。

 

 

「おほーっ♡ 良い感じ♡」

「……何故かしら、ただのテントなのにフミが入っていると思うと」

「食虫植物?」

「そう、それよ!」

「そんな事を言うのはアルちゃん社長かー! おらー♡」

 

 

 テントからがばっと飛び出てアルさんの腰を掴んで引きずり込む。

 気を抜いていたのか何の抵抗も無く捕まえられた。

 

 

「きゃあぁぁぁっ!?」

「あははっ、アルちゃん食べられたー♪」

「……いや、エイリアンの巣みたいな動きしないで」

「わ、私も近付いたらフミちゃんに食べられてしまうんでしょうか……?」

「ちょっ、見てないで助け、ひゃあっ!? ふ、フミっ! すりすりしない、んひぃっ!?」

「よいではないかよいではないかー♡」

「ほらフミ、遊んでないで行くわよ。ノノミさんたちを待たせてるんだから」

「はぁーい♡」

「……本当に動じなくなりましたねコハルちゃん」

「うん、コハルの成長が頼もしいな」

「あはは……」

「ちょ、誰か助ける素振りくらい見せなさいよぉーっ!?」

 

 

 テントの中でアルさんをたっぷりもみもみくんくんすりすりぺろぺろちゅっちゅっした所で解放する。

 流石はドスケベアウトロー、肉感が違う♡

 幾分やつれた様子で息も絶え絶えにテントから出たアルさんが恨みがましそうに私を見る。

 

 

「後で覚えてなさいよぉ……」

「えっ♡ 後でアルさんからシてくれるんですか♡」

「無敵なのやめなさいよぉ!?」

 

 

 ガビーン、といつもの白目を剥いて慄くアルさん。

 腹をくくるまではよわよわアウトローなの可愛すぎ♡

 と、テントを出た所ではーちゃんが側に寄ってきた。

 そのままピトっと手の甲が触れ合う。

 

 

「……その、後で、私も食べてくれますか……♡」

 

 

 私に電流走る。

 なんだこの可愛すぎるおねだりは。

 抱き着いてくるのではなく、隣に寄り添いつつもあくまで触れるのは手の甲だけ。

 それも触れたり離れたりを繰り返す微妙な距離。

 いつの間にこんなテクニックを!

 堪らず抱きしめようとした所で、左腕にむにゅんと柔らかな感触が。

 

 

「フミちゃんっ♡ 私も一緒に食べてほしいですっ♡」

 

 

 ヒフミンが私の左腕を胸に挟みながら抱き着いてきた。

 しかもコヤツ、私の左手首から先を太ももで軽く挟んで来よった!

 すべすべもちもち。

 手触り最高な上にタイツのさらさら感もあって非常に宜しくないです。

 これはお仕置きが必要なのでは。

 そんな風に考えていると後頭部にぽこんと一撃が。

 

 

「ほら、さっさとする! 主文後回しよ!」

「怒られちゃった♡ じゃあ出発ー♡」

「うふふ、フミちゃん両手に花ですね♡」

「と言うよりは花束の大移動♡ みんなも綺麗な花だからね♡」

「全く、フミはそんな事ばかり言って……刺されても知らないよ?」

「同じセリフをせんせーが言うよりはセーフなはず♡」

「あぁ……まぁ、確かに」

 

 

 想像したのかカヨコさんが溜息を吐く。

 そんな姿も絵になっているんだからカヨコさんって本当美人さんだよね。

 和服着せて若奥様ごっこしたい♡

 ちょっと呆れたように微笑みながら「もう、しかたないなぁ」って言ってほしい♡

 

 

「カヨコさんは魔性の女……!」

「変な事言ってないで、行くよ」

「にしし、はぁーい♡」

 

 

 そんなこんなで先生たちが待つ対策委員会本部の教室へと到着。

 教室ではシロコさんとホシノさんがお菓子やジュース、紙コップやおしぼりを用意してくれていた。

 先生は『おいでませアビドス』と書かれた横断幕を貼っていた。

 セリカちゃんとアヤネちゃんは椅子を人数分並べている。

 前来た時はアリスちゃんと一緒だったんだよね。

 それと比べると今回は人数も多くて部屋の中が結構みちみちになってる。

 具体的に言うと隣に座ったヒフミンとはーちゃんの太ももを撫で回せるくらいの近さ。

 

 

「あんっ♡」

「んぅっ♡」

 

 

 撫で回した。

 うむ、くるしゅうない!

 

 

 “フミは早くもフルスロットルだね……”

「テンション上がってきた♡」

「うふふ、それでは改めましてみなさん♧ アビドスへようこそ〜♪」

「いえーい!」

「うへ〜い♪」

「ん、大歓迎」

「ようこそ♪」

 

 

 ノノミさんの音頭に合わせてセリカちゃん、ホシノさん、シロコさん、アヤネちゃんが拍手で迎えてくれる。

 総勢五名、アビドス高校総出の歓迎会だ。

 早速お菓子とジュースが振る舞われ、自由にきゃぴきゃぴ交流会が始まる。

 ヒフミンとはーちゃんも放流して普段絡みのない面々とお話に行かせる。

 せっかくの機会だからね!

 という訳で私は話す機会が少なかったホシノさんの元へ。

 

 

「おじゃまー♡」

「いらっしゃいフミちゃん、おじさんの所で良いの?」

「ホシノさんが良いのー♡」

「うへ〜、おじさんモテモテだぁ♪」

 

 

 ほんわかのんびりと受け答えするホシノさん。

 戦闘時は時々すっごい鋭くなるんだけど、平時はこうやって穏やかな態度で過ごしている。

 地雷にさえ気を付けたら普通の頼れる先輩だね。

 

 

「そんなホシノさんにお土産がありまーす♡」

「お土産?」

「じゃじゃーん♡ 水族館限定クジラさんアクリルスタンド〜♡」

「…………おおおっ!?」

 

 

 取り出したのは水族館の売店でしか売ってないアクリルスタンド。

 デフォルメされた水族館のマスコット、クジラさんが描かれた卓上アクリルスタンドだ。

 表面はのほほんとした顔のクジラさん、裏面は水族館の公式サイトに繋がるQRコードが付いている。

 思わぬプレゼントにホシノさんは目を輝かせながら色んな角度でクジラさんを眺めては歓声を上げる。

 

 

「わぁー、わぁーっ♪ こんな良いものもらっちゃって良いの!?」

「もちろん♡ 喜んでもらえて嬉しいです♡」

「いやー、こんなにステキなお土産をもらえるだなんて……おじさんの好感度を稼いでどうするつもり?」

「いっぱいイチャイチャしようかと♡」

「くっ、おじさんの心を掴んでも屈服はしないぞー!」

「なら今度はクジラさん抱き枕でも持ってきますか♡」

「うっ、心が揺れるぅ〜」

「隙ありー♡ むぎゅぎゅー♡」

「うわー捕まったー!?」

 

 

 そんな寸劇を挟んでホシノさんをむぎゅむぎゅ。

 身長が同じくらいだからほっぺたすりすりしやすくて実に良い。

 んー、もち肌♡

 

 

「クジラさん抱き枕と一緒にハンモックで揺れながら寝たら、大きなクジラさんに寝そべって海を往く夢が見られるかもしれませんね♡」

「うへ〜、楽しそう♪ 起きられなくなっちゃうよ〜」

「そしたら朝ごはんのデザートはお預けですねぇ♡」

「うぅっ、デザートを人質に取るのは反則だよぉ〜」

「じゃあ起きるまでちゅーします?」

「起きた頃には唇がタラコになってそうだねぇ……」

 

 

 のんびりうへうへしつつ、みんなの様子を伺ってみる。

 コハルちゃんはセリカちゃんとカヨコさんと一緒にお話中だ。

 ちょっと聞き耳立ててみよう。

 

 

「全く、フミったらどこに居ても奔放なんだから」

「そうなの? 前アビドスに遊びに来た時はアリスちゃんってミレニアムの子と一緒だったけど……特に暴走はしてなかったわね」

「ふーん……なら、そのアリスって子の前ではお姉さんぶりたかったのかもね。みんなに可愛がられるタイプだから、逆に自分が可愛がる側に回ったらいつも以上にしっかりしないと、って思ってるんじゃない?」

「なるほど、カヨコさんの言う通りかもしれないわね。トリニティだと色んな人にちょっかい掛けて、問題とまではいかないけど小さな騒動はよく起こしてるみたいだし。まあ私含めて補習授業部は全員トラブルメーカーみたいなものなんですけど」

「へー、ちょっと意外かも。ウチに来た時のフミは甘えん坊で人懐っこくて可愛いの化身みたいなとこあるのに」

「甘えると言うか人の懐に入るのが得意だからね。うちで言うとハルカは幼馴染なのもあってすっかりデレデレだし、アルはよくからかわれてるけど同じくらい慕われてるし、ムツキは一緒にイタズラして遊んでる所を見掛けるし」

「カヨコさんはどうなんです?」

「……まぁ、シャーレで一緒にご飯作ったり掃除したり、仲良く過ごす事は多いかな。ハルカとイチャイチャしてたと思ったら、急に私の所に来て膝枕を要求してくる事もあるし」

「……今度そのネタで弄ってみようかな」

 

 

 何故か私の事で盛り上がってる♡

 なんだか微妙に気恥ずかしいんだけど、それを誤魔化すようにポテチへ伸ばした指をぷにぷにされる。

 見ればニヨニヨと楽しそうに悪い笑みを浮かべるホシノさんが。

 

 

「愛されてるねぇ〜♪」

「モテモテで困っちゃう♡」

「その割には嬉しそうだよ〜? ほら、口元緩んでる♪」

「きゃーつんつんしないで♡」

「てぃてぃ〜……うわーっ、反撃されたぁ!? おじさん食べても美味しくないよ〜」

 

 

 指先を軽く咥えてかぷかぷはむはむ♡

 ポテチの塩味で美味しいのはナイショにしとこう。

 指についた塩って美味しいよね!

 

 

 

 

 賑やかな時間も過ぎ去り日も暮れて良い時間に。

 みんなお菓子とジュースでお腹が膨れてたから、おにぎりと豚汁を作って夜食代わりに置いといた。

 もうちょっとしたらお腹も空いてくるでしょ♡

 という訳でお風呂タイム。

 体育館横のシャワー室じゃなく、宿直室奥の使われていないお風呂場を使えるようにしたらしい。

 その為に先生が先行して色々やったとか。

 今度お礼にお風呂で色々してあげよう♡

 人数が多いから数人ずつのグループに分かれての入浴だ。

 なお先生の入浴はいつにするかで一悶着あったのは特筆しておきたい。

 あと二票で一緒に入れたんだけどナー♡

 せっかくだからと入るメンバーをくじ引きで決めてみた。

 私は入浴順最後の組で、ムツキさんとアヤネちゃんと一緒になった。

 眼鏡っ子大好きなムツキさんはアヤネちゃんがお気に入りらしく、よく絡みに行っている。

 アヤネちゃん、反応が良いからねぇ。

 私としてはアヤネちゃんの反撃に合わせてムツキさんをむにむにしていきたい所さん♡

 

 

「わ、思ったよりも広ーい!」

 

 

 小ぶりなお尻をふりふり振って浴場の扉を開けたムツキさんが声を上げる。

 後ろに続いてみれば、銭湯の家族風呂くらいの広さがあった。

 ちょっとだけなら湯船で泳げそう。

 洗い場も五つあるし、これならたまにアビドスのみんなで一緒に入れるんじゃないかな?

 

 

「シロコ先輩が張り切ってしまって……『これからは結束を固めるために時々入ろう』って提案しまして……」

「賛成多数で可決されちゃったんだ♡」

「ノノミ先輩もホシノ先輩もノリノリでした……」

「くふふっ、仲良しでいいじゃん♪」

 

 

 このままだと冷えるので身体を洗ってから湯船に浸かる事に。

 私やアヤネちゃんはそうでもないけど、ムツキさんは髪の毛が長いから洗うの大変そう。

 

 

「やっぱボトルの減り早いです?」

「だねー。わたしとアルちゃんでカヨコっちとハルカちゃんの三倍は使っちゃうかも」

「でもムツキさんの髪の毛、とってもお綺麗ですよね。爆炎で煌めいてる時とか、ちょっと見惚れる瞬間がありましたから」

「やーん、そんなに褒められたら照れちゃうー♪」

「貴重な照れムツキさんだ♡ 流石アヤネちゃん♡」

「あはは……それではお先に湯船、失礼しますね」

「ほいさー♡ ムツキさんはもうちょい掛かりそうですねぇ♡」

「しっかりやっておかないと、可愛い可愛いムツキちゃんにならないからね♪」

「どの角度でも可愛くてステキな秘密は日々の手入れだった♡ それじゃ私もお先にー♡」

 

 

 泡を洗い流して浴槽へ。

 お湯は少し熱いくらいで気持ち良い。

 肩まで浸かると自然に声が出ちゃう。

 

 

「うえぇぇ〜いっしょいぃ〜ん♡」

「ホシノ先輩でも言わないような声が!?」

「あははっ、フミっちは毎回変な声出すんだよね♪ 先生よりもオジサンっぽいかも?」

「にゃにおー♡ 花も恥じらう女子高生だぞぉ♡」

「共感性羞恥の方ではないですよね?」

「そんな事を言うのはこのアヤネちゃんかー♡」

「ひゃあぁっ!?」

 

 

 ぱちゃぱちゃお湯を掻き分けてアヤネちゃんに抱き着く。

 一年生ながら良い感じの膨らみがあって実にえっち。

 柔らかさと張りが絶妙ですな♡

 ちゃんとお湯に浮いてるし、今後更に成長しそう。

 

 

「やっ、ふ、フミさん!?」

「ほれほれー♡ ここがええのんかー♡」

「みっ、耳は、やぁんっ」

 

 

 アヤネちゃんの長耳を優しくはむはむしながら密着むぎゅむぎゅ♡

 全身どこ触っても柔らかボディでとてもえっち!

 

 

「なるへそ、この魅惑の身体でセリカちゃんを籠絡したのかー♡」

「ふえっ!? そ、そんな事は無いですよ?」

「目が泳いでる♡」

「背後で楽しそうな声がー! 私が髪洗い終わるまで待っててよー!」

「にしし、ムツキさんはーやーくー♡ 一緒にアヤネちゃんとイチャイチャしましょー♡」

「えぇ!? わ、私は良いですから! そ、それよりムツキさんとはイチャイチャしないんですか?」

「そう言えば最近ムツキさんとイチャイチャしてなかった! ムツキさん、かもーん♡」

「もうちょっと髪洗うのかかるかなー?」

「ズルいですよっ、ムツキさんもフミさんに襲われてくださいっ」

「じゃあそれまでは私がアヤネちゃん独り占めだー♡ むぎゅむぎゅー♡ アヤネちゃん好き好き♡」

「あ、あうぅ……」

 

 

 両手両足を絡ませて密着しながら耳元で好き好きと囁いてうなじやほっぺたにちゅーしてたら、次第にアヤネちゃんが大人しくなってきた。

 のぼせちゃったかな、と思ったら湯船の縁に腰掛けて私を抱っこしたままお尻を叩いてきた。

 

 

「あひんっ♡」

「フミさんは! すぐそうやって人を誘惑して! 悪い子ですっ!」

「ひゃあんっ♡ あぁんっ♡ 乱暴されちゃうぅ♡」

「お仕置きなのにっ! なんで喜んでるんですかっ! 反省してくださいっ!」

「ふぁぁんっ♡ ごめんなさい♡ ゆるしてぇ♡」

 

 

 ぺちんぺちん、と良い音が鳴る。

 本気で叩いてる訳じゃないから若干気持ち良いまであるのはナイショだ。

 やん、アヤネちゃんにお尻マーキングされちゃう♡

 まだ髪の毛が泡々してるムツキさんは背後から聞こえてきた肉が打ち付けられる音に混乱している。

 もこもこになってるから振り向いても髪の毛の泡で見えないの絶妙すぎる♡

 

 

「えっ!? なになに!? 二人で何してるの!? ナニしちゃってるの!?」

「あぁん♡ たすけてぇ♡ アヤネちゃんにっ♡ アヤネちゃんの痕付けられちゃうよぉっ♡」

「またそんな事言って! 自分からお尻振ってるじゃないですか!」

「ひぃん♡ だめぇ♡ あぁっ♡ ムツキさぁんっ♡」

「ホントにナニしてるの!? 始まっちゃってる!?」

 

 

 不安の中にちょっぴり期待と興味と興奮が混ざった声色で問い掛けるムツキさん。

 なんだかんだでムツキさんもえっちに染まってきてる。

 日頃からちょっかい掛けた甲斐があったな!

 その後急いで髪の毛を洗い終えたムツキさんが事の次第を確認して疲れたように笑った。

 ちょっとガッカリしてたの見てたゾ♡

 

 

「ムッツリムツキさん♡」

「な、なんの事かなー?」

「もう、これに懲りたら大人しくしててくださいね。……次はホントに襲っちゃいますから」

「優しくしてね♡」

「ご希望にはお応え出来ませんっ」

「やーん♡ でもアヤネちゃんに貪られるのも良いかも♡」

「フミっち、本当にえっちだよねぇ……サキュバスだったりしない?」

「しーまーせーんー♡ 清楚で貞淑なフミちゃんです♡」

「「貞淑……?」」

「まことに遺憾です♡」

 

 

 声を揃えて疑問を呈されてしまった。

 ぶーぶー♡

 そんなこんなで楽しい入浴を終えてパジャマに着替え、また対策委員会本部の教室へ。

 ノノミさんとカヨコさんがおにぎりと豚汁を持ってきてくれていたので美味しくいただいた。

 

 

「ウマー♡」

「結構長風呂だったね。また何かやってたの?」

「アヤネちゃんにマーキングされました♡」

「フミさんっ」

「わぁ、アヤネちゃん大胆ですねぇ♪」

「違いますからねノノミ先輩! あれはあんまりにもフミさんが誘惑するから……!」

「くふふっ♪ アヤネちゃん、それじゃ自白してるみたいだよ?」

「えっ、あ、あぁぁぁ違うんです! そういう意味では無くてですね!」

「アヤネちゃんに気持ちよくされちゃった♡」

「フミさぁぁぁんっ!?」

「全く……フミもムツキに負けないくらいイタズラっ子なんだから」

「ふふっ、楽しそうで何よりです♪」

 

 

 必死の説明でなんとか誤解を解いたアヤネちゃん。

 お風呂上がりなのにまた汗掻いちゃってるね?

 

 

「誰のせいですかっ」

「言葉選びを間違えて興奮したアヤネちゃんのせいかな?」

「ぐぅ」

「ぐぅの音出ちゃった♡」

「初めて聞いたかも……」

「ホントに言うんだねー♪」

「ふふっ☆ 仲良しさんですねー♪」

 

 

 お腹もいっぱいになった所で視聴覚室へ。

 もうテントの準備は出来てるみたいで、教室には五つのテントが張られていた。

 くじ引きで分けられたテントにそれぞれ入って朝まで密着仲良し夜更かしの時間だ。

 私が割り当てられたテントにはアルさんとシロコさんが先に入っていた。

 アルさんは上下ジャージ、シロコさんはちょいもこ生地のパジャマ姿。

 おじゃましまーす♡

 

 

「結構広くて快適ね」

「端まで余裕もあるし寝返りも打てそう」

「もうちょい狭くてみんな密着汗だくすりすりなのも好きですけど♡」

「ん、フミはえっち」

「聞いたわよ、淫婦のウワサ」

「うぐーっ♡ それは言わないお約束♡」

「でも最近進化してるから淫婦よりもっとえっちな称号が必要かもしれない」

「何が良いかしらね……?」

「変な二つ名増えちゃう♡」

「ドスケベ……淫乱……?」

「碌な単語が出て来ない♡」

「なんかもう、フミは『フミ』ってだけでえっちな意味な気がしてきたわ」

「概念になっちゃった♡ 悔しいのでアルさんのおちち揉みまーす♡」

「どういう訳よ!?」

 

 

 ジャージのファスナーを下げてシャツの上からもみーん♡

 おっ、相変わらず柔らかくて大ボリューム♡

 

 

「良いですにゃー♡ これでせんせーの視線を独り占めしてたんですね♡」

「そんな訳ないでしょ!?」

「ん、確かにその大きさはなかなか。ノノミよりは小さいけど立派」

「貴女も冷静に観察してないでフミを止めて、ちょ、いやらしい触り方しないのっ!」

 

 

 ぺちっ、と手を叩き落とされてしまった。

 ざーんねん♡

 

 

「でもせんせー、割とアルさんにえっちな視線向けてますよ♡」

「えっ!? そうなの?」

「アルさん無防備ですもんね♡ 書類仕事の時にぐぐーっと身体伸ばした時とか、揺れるおちちをせんせーガン見してますよ♡」

「そ、それは……困ったわね?」

「他にも足元の書類を拾う時に太ももとか胸元とか、身を乗り出して覗き込んでます♡」

「そんな……せ、先生も男の人だし、仕方ないわね……」

「満更でもなさそう♡」

「ま、まあ? 経営顧問の欲望を受け止めるのも社長の仕事だから、性欲の捌け口にされちゃうのも仕方ないわね」

「仕事は関係ないと思う」

「そういうプレイなんですよ♡」

「プレイじゃないわよ!? 貴女はどうなの? 先生とは付き合い長いんでしょ?」

「シロコさんの場合はお尻に視線行く事が多いですね♡ サイクリングで鍛えてるからか、太ももや腰のラインを舐めるように見てる時がチラホラ♡」

「ん、先生の欲望を受け止めるのも吝かでない」

「先生って脚フェチなのかしら……?」

「ですね♡ 脚フェチ、褐色肌フェチ、ツンデレ好きなのは確認済みです♡」

「結構偏ってるのね……」

「でも全部満たす子も居ますよ♡」

「……ゲヘナの風紀委員?」

「あ、もしかしてイオリ?」

「ですです♡ 毎回せんせーがハイテンションになってますねぇ♡」

「思わぬ強敵だわ……!」

「ん、先生は渡さない」

「イオリちゃんもハーレム入ってくれないかなー♡」

 

 

 と、周りが静かすぎる事に気付いた。

 テントから顔を出してみると、みんながこっちに聞き耳を立てていた。

 

 

「なにごと♡」

「先生の話題てしたので♧」

「うん、非常に興味深い内容だった。褐色肌とツンデレは難しそうだから脚を美しく見せる方向でアピールしよう」

「あはは……タイツとか好きですかね?」

「ツンデレ……私をからかってくるのはそういう事?」

「そう言えば最初の頃、私のストーカーだとか宣言してたっけ」

「うぅ、どれも当てはまりません……ここは一番分かりやすい脚で勝負するべきでしょうか」

 

 

 と、結局みんなでわちゃわちゃしながら夜を過ごす事に。

 女三人寄れば姦しい、って言うけど十四人も集まってるからもう止まらないよね。

 宿直室で寝てる先生、くしゃみ連発して眠れないかも♡

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