もしもシャーレにヒモを養う適性の有る娘が応募してきたら 作:一ノ瀬 崇
今日も平和な一日になる事を願って。
「うわぁーん! フミ、先生! 助けて!」
「んんんダメそう♡」
「え!? ダメなの!?」
「ううん、こっちの話♡ おはようモモイちゃん、どちたの♡」
執務室の扉から勢いよく飛び込んできたモモイちゃんを座ったまま受け止めてむぎゅむぎゅなでなで。
ほっぺたすりすりもちもち。
ちゅーもしちゃおう。
「ちゅー♡」
「わひゃあ!? ……へへ」
びっくりしつつも照れたようにはにかんで見上げてくる。
相変わらず元気いっぱいなご様子。
後続が来ないのを見るに今回の来訪はゲーム開発部で遊びに来た訳ではなさそう。
“おはようモモイ。何かあったの?”
「あ、そうだった。ううっ、民意に燃やされそうなんだよ……今やゲーム開発部はゲームを作る事を許される立場にないの……」
「無駄に壮大♡ 部費無くなった?」
「部費は少し寂しいのでフミ様のお慈悲に縋るとして、本題はこっちなんだよー! あ、みんなおはよー!」
「おはよう……朝から元気だね」
「おはようございます♪」
「モモイ殿、おはようございます!」
“縋るんだ……?”
「正直でよろしい♡ どれどれ♡」
モモイちゃんが慣れた手付きで壁掛けのモニターにケーブルを繋いでいく。
当番で来ていたミサキちゃん、アイリちゃん、イズナちゃんも手を止めてモニターの方を向く。
映し出されたのはゲーム開発部に届いたアンケート結果だった。
“これは……ASMRのアンケートかな?”
「そーそー! ありがたい事に今でもジワ売れしてて、色んな人が聴いてくれてるんだよね」
トンチキなラインナップだったにもかかわらず、意外と売れ行きは好調だ。
なんならそこでおすまし顔のミサキちゃんもユズちゃん作無限なでなでのユーザーだったりする。
アイリちゃんとイズナちゃんは初めて知ったのか興味深そうに画面を見ている。
でもイズナちゃんにモモイちゃん作のを聴かせたらとんでもない事になりそうな気もする。
アレを好んで聴いてる子はちょっと闇が深い♡
「でも、問題と言うか嬉しい悲鳴と言うか……」
「続編希望が71%かー♡ どちらかと言えば希望も19%あるし、期待されてるねぇ♡」
“残りの10%は全部モモイのを聴いてダメージ受けた子なのか……”
「劇薬が過ぎる♡ 理由も『これ以上お労しいのが出たら心が死にます』なのがもうお労しい♡」
「って事で新作ASMRを作りたいんだけど……どうかな?」
“うん、手伝うよ”
「おっけー♡」
という事でささっと今日の業務を終わらせていく。
途中でゲーム開発部の三人も合流したので午前中で書類が全て片付き、せっかくなのでみんなでお昼ごはん。
今日のメニューはあんかけ焼きそば、根菜スープ、杏仁豆腐のなんちゃって中華風にしてみた。
「控えい控えい♡」
「この大皿が目に入らぬかー!」
“ははーっ!”
「……毎回飽きないね」
「やってると案外楽しい♡」
ミサキちゃんにウインクを返しつつ来客用テーブルに並べていく。
杏仁豆腐は器から好きなだけ掬えるようにした。
しっかりお食べ♡
「いただきまーす! あっふぃ!?」
「お姉ちゃん、ゆっくり冷まして食べなよ」
「あ、スープ美味しい……♪」
「わぁ! 白くてぷるぷるです!」
「こんなたっぷりの杏仁豆腐、初めて見たかも♪」
「イズナ、お皿貸して。取ってあげる」
「ありがとうございます、ミサキ殿!」
賑やかな食事風景。
ミサキちゃんが最年長だから面倒見てるのなんか良いね。
先生も同じ事を思ったらしく、優しい目を向けていた。
それに気付いたミサキちゃんは抗議するようにこっちを睨んでそっぽを向いた。
ツンデレさんめ♡
「しかしASMRがここまで人気になるとはフミちゃんの目を以てしても見抜けなかった♡」
「やっぱり先生の声って言うのもウエイトとして大きいですね。今発売されてるものの殆どは女性の声なので」
“そっか、少し気恥ずかしいけど頑張った甲斐があるよ”
「なので次回作も先生にお願いしたいのです!」
「前回のでユーザーの需要は分かったので……それに合わせたシナリオになると思います」
「新作ですか! イズナも聴いてみたいです!」
「私も、この年上彼氏のやつ興味あるかな」
「順当に行けば奴隷調教なんだろうけど……次はご主人様好みに色々仕込まれるの? まぁ、最初にアレだけ優しくされたんだから何をされても受け入れるようになってるでしょ」
んんー、ミサキちゃんが凄い早口♡
若干欲望が溢れてて良いですわよ♡
「いえ、それが売上のトップは……」
「アリスがプロデュースした敗北勇者です!」
“え!? そうなんだ?”
「みんな実は心の奥底では、敗北して好き勝手されたいって願望が有ったんだよ……!!」
「2位の奴隷調教に1.5倍以上の差を付けてトップでした……」
「わぉ♡」
これは予想外だった。
事前にレベルドレインごっこをしていたから、台本の目指すべきゴールが見えていたのも大きいかもしれない。
それか先生にやられちゃうっていうシチュエーションに大興奮しちゃったのかも。
「という訳で新作は敗北勇者シリーズって事になったよ! 悔しいけど売上は正義だからね……!」
「残念だけど『年上彼氏と雨宿りの喫茶店のんびりデート編』は次回以降になりました……」
「あうぅ……『ご主人様のお望みのままに 抱き枕編』の構想も練ってたのに」
「二人とも既に次回作見据えてたの♡」
“製作者の性癖が滲んでるね……”
「インディーズは滲んでナンボ! それに今回は二種類出すからね!」
「二種類?」
「はい! 通常版と、ちょっとえっちなR-15版です!」
アリスちゃんのその言葉にミサキちゃんアイリちゃんイズナちゃんの三人に電流が走った。
ちょっとえっちなR-15版。
それはつまり、先生の声でちょっとえっちなシチュエーションが流れるという事。
途端に三人の目が湿度を帯びて先生に向けられた。
みんな正直でよろしい♡
しかしそれに異議を唱えるのが一人。
もちろん先生である。
それはそう♡
“いやいやいやいや、えっちなのはダメだよ?”
「大丈夫! 直接的な言葉は言わないし、何となくそんな雰囲気で妄想が捗るだけだから!」
「そ、それにユーザーからの要望も多数ありますし……!」
あっけらかんと答えるモモイちゃんと、いつになくキリッとしたユズちゃん。
ミドリちゃんがお皿を避けて取り出したパッドには、ユーザーからの評価と意見が載っていた。
『空崎 ☆5 最初はどういう設定なのか分からなかったけど、ゆっくり力を抜かれていくのに合わせて声優さんのセリフが大胆になっていくのが良かった。次回作が出たら買うし、全年齢版じゃなくても買う』
『ちはやふる ☆5 声優さんの演技にやられました。最初は優しく、後半はなじるように囁いてくるのが最高でした。もっとえっちなのくださいお願いします』
『爆発メイド ☆5 優しく愛を囁かれる度に抵抗する力が抜けて、ただ愛されるだけの存在に貶められてしまうシチュに目覚めてしまいました。次回作を心よりお待ちしております』
「待って♡」
ツッコミ所が多すぎる。
まずヒナさん実名でレビューしないで♡
日頃お疲れだから甘々に蕩けさせられるのがクリティカルだったっぽい。
ちはやふるは多分チハヤちゃんだよね。
欲望に正直すぎる♡
爆発メイドはアカネさんかな?
なんか目覚めてしまっておられる♡
控え目に言っても大事故が起きてて草。
いや草じゃないが♡
「このようにユーザーからの要望が多数届いてます」
「何事もチャレンジだよ、先生!」
「ど、どうでしょうか……?」
「先生! アリスたちと新作ASMRを作りましょう!」
四人のキラキラした期待の視線。
加えて横の三人からもじっとりとした視線が向けられている。
流石の先生もたじたじになってる。
“……あくまでR-15までだからね?”
「「「「やったー!」」」」
はい♡
という訳で日を改めてミレニアムのゲーム開発部部室へやってきました♡
今日は流石にモモイちゃんも起きてた。
「いや、いつもお昼寝してる訳じゃないからね!?」
「ホントかなー? うりうり♡」
「うにゅあ〜」
“さ、フミがケーキ作ってくれたからみんなで食べよう”
「わぁい♪ フミのケーキです!」
「今日はどんなケーキかな……♪」
「早く手を洗ってこよっと♪」
今日はパリパリチップのチョコケーキ。
チップス状にしたチョコを散らしてアクセントにしつつココアパウダーとチョコムースでスポンジを彩った、チョコ好きには堪らない一品にしてみた。
更にケーキの上にはチョコプレートを載せてデフォルメしたみんなの顔をそれぞれ描いてみた。
ミドリちゃんほど上手くはないけど喜んでもらえるかな?
「あっ! アリスが描いてあります!」
「わっ、みんなの特徴が出ててすごい……!」
「フミは絵心もあるのか〜♪」
「食べるのがもったいないかも……♪」
「にしし♡ 頑張りました♡ ぶぃぶぃ♡」
チハヤちゃん直伝のダブルピースを向ける。
イラストを描いてるミドリちゃんに褒められると嬉しくてニヨニヨしちゃうね。
私と先生も手を洗って、みんなでいただきます。
「ん〜っ♪ 美味しい〜っ♪」
「チョコたっぷりです!」
「いくらでも食べられそう……♪」
「手が止まらない♪」
お口に合ったようでみんな笑顔満開だ。
喜んでもらえて何より♡
あっという間に食べ終わって、モモイちゃんはお皿に残ったチョコムースをぺろぺろ舐めていた。
流石に行儀が悪い♡
「だってもっと味わいたいんだもん! あ、今フミとちゅーしたらチョコ味だったりしない!?」
「試してみる? んー♡」
「ダメだからねお姉ちゃん!」
「も、モモイはもっとおしとやかにならないと……!」
「何で二人が止めるのさ!?」
「ならアリスがフミとちゅーします! ちゅー♡」
「「あっ、ズルい!!」」
一瞬の隙を突いてアリスちゃんがちゅーしてきた。
お望み通りぺろぺろちゅっちゅっ♡
「えへへ……とっても甘くてステキでした♪」
「可愛いなぁもう♡ ぎゅーしちゃう♡」
「きゃー♪ フミに捕まってしまいました♡」
「うぅ……お姉ちゃんなんかに構ったばっかりに」
「ナチュラルにひどい!?」
「アリスちゃん、後で交代してね……!」
“フミは人気者だなぁ”
「にしし♡ みんな可愛くて困っちゃう♡」
アリスちゃんを膝上に抱っこしてなでこなでこ。
髪の毛をいつものようにお揃いにしてあげると嬉しそうに微笑んで頭をぐりぐり押し付けてきた。
おらーわしゃわしゃしちゃうぞー♡
ふんす、と気合を入れて寄ってきたユズちゃんも髪の毛をお揃いにしてあげた。
めんこいのぅ♡
「ぐぬぬ……私も髪の毛伸ばそうかな」
「フミの髪型、可愛いけどゲームだと母親か途中で死んじゃうヒロインの髪型なんだよね」
「なんてこと言うの♡」
“あっ、なんか既視感あったんだけどそれかぁ!”
「キヴォトスの外でも同じだったらしい♡」
「死んじゃうのはイヤなのでフミはお母さん役が良いです! でも攻略不可だと困るのでアリスをお父さん役にしてください!」
「じゃあアリスちゃんと夫婦だね♡」
「アリスちゃん、抜け駆けはダメだよ……!」
「んんんカオスになってきた♡」
みんな纏めてむぎゅーってして場をリセット。
このままわちゃわちゃするのも楽しいけど、今日は他にやるべき事があるのだ!
「あっ、忘れてました!」
「そう言えばそうだった」
「もう♡ 本題忘れちゃダメでしょ♡」
“それで、新作ASMRだけどどうしよっか?”
「敗北勇者シリーズって事ですけど、具体的なのはまだ何も決まってないですね」
「通常版とR-15版の違いをどう出すかも、考えないといけないから……」
「んー、まず方向性から決めよう! えっと、レベルドレインとかの状態異常をメインに据えるか、敗北シーンに焦点を当てるかなんだけど」
“最初の作品がレベルドレインだったのは中々飛ばしてたかもしれないね……インパクトで負けないようなのを考えないと”
「異形化苗床とか?」
「お姉ちゃんは黙っててもらえる?」
「ひどい!?」
“酷いのは出てきたアイデアの方だよモモイ”
「そんなー!? フミなら分かってくれるよね!?」
「分かるけど初心者にはまだ早い性癖だと思うの♡」
「そっかぁ」
「む、むしろどこから出てきたの……!?」
「モモイは時々怖い発想をします! ニッチなジャンルのえっちゲームのやりすぎです!」
“モモイ、ほどほどにね”
「え、冤罪だよー!?」
異形化苗床はそんなにするっと出て来ない♡
結構ハードなやつが好きなのねモモイちゃん♡
とは言え確かにレベルドレインくらいのパワーワードじゃないと弱い気がするのも事実。
かと言ってニッチ過ぎるとユーザーが混乱しちゃう。
となると、ここはやはり敗北シーンをメインにした作品にするのが良いのではなかろうか。
「って思うんだけどどうかな♡」
「うん、私もその方向で良いと思う」
「じゃあ、どんなシチュが良いかな……?」
「ふっふっふ、我に秘策あり♡」
“お、フミがやる気満々だ”
「前回はみんなの好きなシナリオを作ってたから、今回は私もシナリオ案出したいなー、って♡」
「良いと思います! フミの考えるシナリオも聴いてみたいです♪」
「そう言えばフミの性癖はまだ聞いてなかったね。どんなのが開示されるかなー?」
「私が提案するのは……『魔王討伐の二人旅のとある夜、立ち寄った古城で罠に掛かり闇堕ちした相棒に押し倒されて敗北らぶらぶ』だよ♡」
「闇堕ち……!?」
「押し倒され……!?」
「敗北らぶらぶ……!?」
ミドリちゃんユズちゃんアリスちゃんは衝撃を受けて固まり、モモイちゃんは腕を組んでうむうむ納得、先生は意味深な視線を私に送っていた。
いつでも押し倒してくれて良いのよ♡
「なるほど、前回は先生に捕まってレベルドレインされ続けてた。今回はそれを踏襲して先生に押し倒されるシチュで構成するんだね」
“私が押し倒す訳ではないからね? あくまで架空のキャラクターだからね?”
「わかってるって♪ 二人旅だから他の登場人物は出さなくて済むし、罠にかかった演技だけで場面が進むから自然と先生に集中できるね!」
「洗脳や魅了じゃなくて闇堕ちなのもポイント♡」
「ほほう、その心は?」
「洗脳や魅了みたいに押し付けられたものじゃなく、最初からせんせーの心にあった欲望で押し倒されるって事♡ つまり憎からず想われてたって分かるの♡」
「なるほど!! 相棒以上の想いを向けられていたと分かってこっちの抵抗が弱まる理由にもなるね!」
“繰り返すけど私では無いからね?”
「便宜上せんせーって事で進めさせて♡」
説明を進める度に三人が先生を見ながらもじもじし始めるの可愛い♡
モモイちゃんは謎の理解力で構成を考えてくれている。
これはだいぶえっちゲームに触れてますなぁ。
「前回はそのまま本編に入ってたからシチュを掴むまで混乱してる人も多かったと思うの♡ だから今回は最初にどんな設定かを説明するパートを入れたいなって♡」
「確かに没入感や臨場感を高めるのに、ある程度の事前知識や心構えは必須だもんね」
「初心者向けに、こういう理由で貴女は抵抗出来なくなってます、って教えておいてロールプレイしやすくするのも大事♡」
「説明に沿って自分も構えておけば途中で予想と違う流れになっちゃうのも防げるね。よし、最初に説明パート入れちゃおう!」
モモイちゃんがホワイトボードに構成を書き入れていく。
大まかに説明パート、本編、ボーナストラックの三つで行く予定だ。
ボーナストラックは先生の録音後インタビューで色々語ってもらうつもり。
「ふむふむ、基本構成は出来たね。次はシナリオとバージョンごとの違いについてかな?」
“あんまり過激にならないようにね?”
「敗北えっちの時点でだいぶ過激だから♡」
“あくまでR-15です! えっち過ぎるのはダメ!”
「皆まで言うな♡」
“もう全部言ったんだよね”
ソファーに座る先生に捕まって後ろからほっぺたをうにょうにょされちゃう。
ほぺたが伸びるがな♡
「ふにょー♡」
“フミに全部任せたら濃厚な大人向け同人ゲームみたいなシナリオが出来そうだからね”
「そんにゃことにゃいれすおー♡」
“ホントかな……?”
「ぷみー♡ ほんにょほんにょー♡」
“……まあ、アレだったら途中で待った掛けるからね?”
「ぷみゅんっ♡ ほっぺたがおもちになっちゃう♡」
「フミのほっぺた、やわっこくて癖になる手触りなんだよね♪」
「ハッ、モモイちゃんに狙われている♡」
「後でもちもちしちゃうぞー! それは置いといて、どんな風に差異を付けようか?」
「ふっふっふー♡ 我に秘策あり♡」
「おっ、フミの秘策第二弾!」
「通常版では押し倒された後で拘束されて古城の地下牢に繋がれちゃうの♡ 逃げ出さないようにするのと、魔王との戦いでこれ以上傷付かないように♡ 大事に大事にしまっておいて、歪んじゃった愛を毎日囁いてくれるの♡」
「おおーっ! 良いね、歪んだ庇護欲の終着点みたいな感じがする♪」
“一方的な守る宣言で完結するのが闇堕ち感あって良いね”
「R-15版は押し倒されて拘束されるまでは一緒だけど……そこからは欲望のままに貪られちゃう♡♡」
“フミさん?”
「もちろん直接的な言葉は使わないからセーフ♡ 囁かれるのは真っ直ぐな愛とどろどろに滾った欲望♡ 長年連れ添った相棒から向けられる雄の肉欲に堕とされないように心を強く持たないといけないの♡♡」
「わぁ……すっごいえっちだぁ……」
“本当にR-15で収まる?”
「だいじょーぶだいじょーぶ♡ 私の計算では75%パーフェクトだから♡」
「ユウカに怒られそうな計算式!?」
「話は聴かせてもらったわ!!!」
「「「「わぁっ!?」」」」
突然ヌァーンと開かれた扉と飛び込んできた声にびくっと肩を跳ねさせる四人。
見れば鼻息荒くユウカさんがヌヌッと登場した。
今日もむちむち太ももが眩しい♡
「どうしたんですかユウカさん♡」
「録音の為の機材は買っておいたわ! 早速レコーディングに行きましょう!!」
「待って♡」
“まだ台本出来てないよ?”
「いつ出来るの!? 五分後!?」
「カップ麺みたいには出来ませんよ♡ ほら、落ち着いてください♡」
むぎゅーっと抱き締めてユウカさんの頭をなでこなでこ♡
なんか思いっきり首筋を吸われてるけど落ち着くならまぁ良いか♡
なでなでむぎゅむぎゅ♡
あんっ♡
お尻触られてる♡
「取り敢えずこの方向性でシナリオ作ってみる?」
「そうだね。今回はフミの発案だし、大まかな所はフミにお任せしても良いかな? 出来上がったやつをみんなで微調整していく感じで」
「おっけー♡ せんせーもそれで良いです?」
“うん、お手柔らかにね?”
「にしし、はぁーい♡」
という訳で更に後日。
出来上がった台本をみんなでチェック作業。
一番指摘が多いのはもちろん先生だ。
“この言い回しはちょっと直接的すぎない?”
「時々これくらいのを入れて襲われちゃってる感を出したいんですよね♡」
「なら少し表現を変えてみる? ストレートに『雌の匂いが強くなってきた』から『君の香りが溢れてきてる』とか」
「それ採用♡ 流石メインシナリオライター♡」
「照れるぜ♪」
「よっ、名言作成機♡」
「よせやい♪」
“……途中で明らかに闇の剣からなんか溢れてるよね?”
「おへそ周りにかかる程度なのでセーフ♡」
「一線は越えてないからセーフだよ!」
“そうかな……そうかも……”
言いくるめダイスも成功したようで何とか先生チェックを潜り抜けた。
後は録音パートだね。
もちろん今回も最高の収録現場をコタマさん渾身のセッティングでご用意。
ユウカさんも駆け付けだらしなくウェッヘッヘと山賊みたいな笑い方をしている。
欲望にまみれてる♡
まぁその理由は分かる。
今回収録にあたって先生も気持ちが入るように、服がビリビリになってせくちーになったキャラの画像を正面モニターに表示している。
何パターンか撮ってトラック別に編集するんだけど、そのパターンごとに表示されるモデルが変わる。
最初のモデルは破れたチュニックとマント、半脱ぎのズボンと片方の紐が切れた紐パンのコスプレをしたユウカさんなのだ。
つまり、先生は敗北状態のユウカさんの画像を見ながら押し倒して欲望をパンパンしちゃう演技をするという事。
これにはユウカさんもゲヘゲヘしちゃう。
服飾はヒビキちゃんがやってくれました。
さすがだぁ……♡
「ウヒッ、ヒヒッ、じゅるっ」
“どれだけ我慢してたか知らないだろ? ……いつもいつも、無防備な所を見せて……!”
「ヒヒヒ、ヒギッ」
“いい機会だ……僕が……いや、俺がどんな気持ちで毎晩過ごしてたか教えてやるよ!”
「ウヒィーッ!!」
「「ユウカうるさい」」
「なんか怖い……」
「うわーん!? ユウカが気持ち悪いです!?」
録音は順調だけどブースの外は地獄だ。
テンションが最高潮に達したユウカさんは人の理性と言葉を失ってしまった。
普段のしっかりした姿は見る影もない。
モモイちゃんとミドリちゃんは慣れてるのか動揺してないけど、ユズちゃんとアリスちゃんはそのケダモノ染みた姿にすっかり怯えてしまっている。
よーしよし、怖くないからねー♡
ほらむぎゅむぎゅー♡
“酒場に行った時、給仕の子にデレデレしたとか言ってたっけな……はっ。お前と出逢った時から、お前しか見えてねぇよ”
「ウヒュッ!? グヒヒヒッ!」
“誰にも渡さねぇ……お前のこの胸も、尻も、胎も、全部俺のものだって印を付けてやる……!”
「ンヒィィーッ!! ホッホッホッホッ!!」
「ひぃっ!?」
「怖いですぅっ!?」
「私は逆に面白くなってきた♡」
あれはもう早瀬ユウカではなくセミナーオオフトモモって言う新しい生き物だよ。
しかしまだ導入部分でこれかぁ。
もしかして私たちはとんでもないモノを産み出そうとしているのではなかろうか。
キヴォトスに住む女の子の性癖が歪んでしまうのでは。
まぁ敗北えっち願望が強まれば先生を襲いに来る肉食系の子も減るからおっけーか♡
そんなこんなで波乱は有りつつ、強引な俺様系幼馴染相棒の第一パターンは収録完了。
続いては甘い言葉で誘惑してくる年上お兄さん系相棒の収録だ。
表示されるモデルは三角帽子に薄いぼろぼろタイツ、破れたローブの下にビキニタイプの下着を付けた魔法少女ミドリちゃん。
既にえっちっちな姿だ。
これには先生もちょっと鼻息が荒い。
それを見たミドリちゃんはおへその下辺りを両手で抑えてうっとりしてる。
“ごめんね……でも、もう我慢出来ないんだ。ずっと前から君の事が欲しくて堪らなかった”
「そ、そんな……ダメ、ですよ……♡」
“もう止まらない。止められない。君を、僕だけのモノにしたい。……好きだ、愛してるよ”
「ふぁぁっ♡ そんなぁ、囁いたらダメです……♡」
「うわーん!? 今度はミドリがおかしくなりました!」
「トリップしちゃってる……」
「ここでミドニー始めないでね?」
「なんてこと言うの♡」
すっかり相手役になりきって妄想の世界へと旅立っているミドリちゃん。
そういう楽しみ方をしてもらうように作ってるから反応としては正しいんだけど、端から見ると絵面が酷い。
しかも自分のあられもない画像を見ながら先生が熱演しているのもあって大興奮だ。
ユウカさんは疾うの昔にブースを出て何処かへ走り去って行った。
多分自己研鑽に励んでる。
コタマさんは収録作業を進めながら時折びくんびくんと痙攣してる。
事前にオムツを履いて収録に臨んだらしい。
そのプロ根性に敬意を示すとともに、声フェチの業の深さに畏敬の念を禁じ得ない。
何回幸せになってるんだろうか。
今のコタマさん襲ったら絶対100%妊娠すると思う。
“ほら……君の香りが溢れてきてる。君も期待してくれているのかな?”
「嗅いじゃ、ダメ、です……♡」
“初めては君に捧げたいと思っていたからね。……ふふ、それじゃお互いの初めて、交換しようか”
「はぎゅっ♡♡♡」
「うわぁっ!? ミドリ!?」
「鼻血を吹いて倒れました!?」
「お、応急処置を……!?」
「はいはーい♡ そっちに寝かせておくね♡」
ミドリちゃんには刺激が強かったか♡
軽く診た感じ、興奮による失神だね。
一応後で保健室に連れてって検査してもらおう。
椅子を交互に並べて作った即席ベッドにミドリちゃんを寝かせて収録再開。
その後は特に問題なく最後まで録音出来た。
そして問題の三パターン目。
先生が軽く深呼吸して息を整え、録音が始まる。
“…………なんか、変なんだ。姉ちゃんを見てると、むずむずしてくる”
そう、なんと最後は性の目覚めを今まさに迎える弟系相棒というパターンなのだ。
ショタ萌えの客層も取り込んでしまおうという大胆不敵な作品。
はっきり言って何処まで伸びるか未知数だけど、潜在的な需要は絶対にある。
なので是非とも先生には頑張って欲しい。
ここに来てのショタ演技と言う事もあって撮り直しの回数も増えているけど、妥協は一切ない。
全身全霊を以てショタ沼に沈ませるのだ。
なお今回のモデルはアスナさんだ。
何故かバニーガール姿でうろうろしてたので撮影させてもらった。
両手を広げて優しく微笑む姿にはつい甘えたくなってしまう魔力がある。
おっぱいも大きいし♡
“姉ちゃん……っ、姉ちゃん……っ! 動くの止められないっ、全部姉ちゃんにっ……!”
「……なんでしょう、先生の演技を聞いてたら、アリス、おまたがむずむずしてきました……」
「あ、アリスちゃん……っ!?」
「だいじょーぶ♡ それはアリスちゃんの身体がせんせーとえっちしたいよー、ってうずうずしてるの♡ それが性欲だよ♡」
「これが性欲……! アリス、先生とえっちしたいです!」
「ちょ、アリス!? えっちな事はあんまり大声で言ったらダメだよ!?」
「そうなんですか?」
「う、うん……その、人によっては恥ずかしくなっちゃうから……」
「だから伝えるならせんせーと二人っきりの時に、ね♡」
「わかりました!」
うむうむ、アリスちゃんも正式にハーレム入りだね♡
そんな事もありつつ無事に収録は全て完了。
先生も丸一日の収録お疲れ様♡
コタマさんもお疲れ様でしたー♡
『私はこの後編集が有りますので、終わり次第また連絡しますね』
「はぁーい♡ コタマさんありがとー♡」
「編集頑張ってね!」
「お疲れ様でした……♪」
「コタマ先輩、お疲れ様でした!」
“お疲れ様コタマ、ありがとね”
震えながら歩いていくコタマさんを見送ってゲーム開発部部室へ。
背負ってるミドリちゃんを送り届けないといけないからね。
「しっかし幸せそうな顔しちゃって」
モモイちゃんがミドリちゃんのほっぺたをつんつん押し込む。
それにミドリちゃんはうへへへとだらしのない笑みを浮かべて応えた。
まだ幸せいっぱい夢の中らしい。
ゲーム開発部の中で一番ムッツリさんだからね。
資料と称してえっちなイラストや漫画を収集してるのはナイショにしといてあげよう。
武士の情じゃ♡
部室に入ってソファーに寝かせてミッションコンプリート。
これで今日のタスクは全部終わりだ。
後は帰ってのんびりするかなー、と思っていたら何やら三人が先生に熱い視線を向けている。
おっとぉ♡
「ね、先生。今日は泊まっていかない? 一緒に眠くなるまでゲームしようよ♪」
「まだ先生と一緒に居たいです……♪」
「アリス、今日は先生と離れたくありません……♪」
“ええっと……”
「捕食者の目♡」
「「「先生……♪」」」
“……また今度遊びに来るね!”
「「「あっ、逃げた!?」」」
「にしし、それじゃーね♡」
駆け出した先生を追い掛けて部室を後にする。
こりゃしばらくは収まりそうにないかもね♡
そのまま駅まで走って二人汗だくになりながらD.U.行きの列車に乗り込む。
なんだかおかしくなって笑い合いながら、流れる景色を眺めていた。
「なんだかんだ楽しかったですね♡」
“ユウカがすごい事になってたけど”
「明日の当番どんよりしてそう♡」
“そう言えばユウカは明日が当番だっけ。大丈夫かな……?”
「元気なかったら私がむぎゅむぎゅしちゃう♡」
“それなら安心だね。……フミ”
「んぅ?」
“帰ったらマッサージ、お願いしても良いかな?”
「……にしし♡ 演技とは言え昂ぶっちゃいました?」
“画像もちょっと刺激的だったからね……”
「もちろんおっけーですよ♡ 私でいっぱい、気持ちよくなってくださいね♡♡」
“その表現は誤解を生んじゃうかな……!”
お仕置き代わりにほっぺたをむにーっと押し込まれる。
お返しにかぷっと指を咥えたらお腹をくすぐられた。
堪らず笑いながら抱き着くと背中を優しく撫でてくれる。
この何気ないやりとりが堪らなく愛おしい。
ASMR発売で巻き起こる騒動の事は少し忘れて、私は先生に思いっきり抱き着くのであった♡
────そして、夜。
「ふわぁ……♡ おっきぃ……♡ にしし♡ だいじょーぶ♡ これは私がせんせーの事を癒してるだけ♡ 一線は越えてないし、私もせんせーも純潔のままだから♡ それじゃあ……いただきます♡ ちゅ♡ れろ……♡ ふぁ、おおひぃ……♡ えれ、れろぉ……♡ ぢゅ、ぢゅるる♡ んっ、はむっ♡ ちゅるる……♡」
「ん、む♡ ふ、ぅっ♡ くぷっ♡ ちゅ♡ んむぉ……っ♡ じゅ、れるぅ……♡ ん、んん〜〜〜〜ぅっ♡♡♡ ……♡ ……♡ っ、っ♡ ん、ぐっ♡ ごく……っ♡ んぷっ♡ ……んぱっ♡ はぁ……っ♡ はぁ……っ♡ あ〜……けぷっ♡ ……ごちそうさまでした……♡♡♡」