もしもシャーレにヒモを養う適性の有る娘が応募してきたら 作:一ノ瀬 崇
「世は並べて事も無し♡ 良きかな良きかな♡」
そう嘯いて右手で抱いているはーちゃんを撫でる。
気分はヤクザの親分が手慰みに情婦を弄ぶやつだ。
実際は甘えたい盛の未就学児が大人しい大型犬に面倒を見てもらってるようにしか見えないらしいけど。
まことに遺憾です♡
その大型犬役であるはーちゃんはくすぐったそうに笑って控え目に身体を擦り付けてくる。
初いやつめ♡
おでこちゅーしたげる♡
「ちゅ♡」
「ひゃっ、……えへへ♡」
「はーちゃん世界一可愛い♡」
「フミちゃんは、世界一、カッコいいです……♡」
「にしし♡ 両想いだね♡」
「はい……♡」
「だからなんでここでやるのよ!?」
いつもの白目でツッコミを入れるアルさん。
便利屋68のオフィスとして使っている部屋にお邪魔してソファーを占領していたのだった。
なおはーちゃんは私がソファーに座ると自動的に隣へ座ってくれる。
可愛い♡
「私、はーちゃん大好きじゃないですか♡」
「えへへ……♡」
「で、ムツキさんも大好きです♡」
「くふふ、ありがと♪」
「もちろんカヨコさんも大好きです♡」
「……ん」
「そしてアルさんも大好きな訳ですよ♡」
「それは……ありがと、私も大好きよ」
「なので、大好きなみんなが居るここがとっても安心出来て好きなんです♡」
真っ直ぐ好きと伝えたからか、みんな顔が赤い。
ムツキさんは照れたように笑い、カヨコさんはそっぽを向いてるけど耳が赤くなってて、アルさんは頬を染めて呆れたように笑う。
はーちゃんはいつものニチャッとした笑顔。
私の大好きな顔だ。
「そんな風に言われたら怒れないじゃないの……」
「にしし♡ アルさんもごろごろしましょー♡ いっぱいちゅーして、大好きの交換しましょー♡♡」
「朝っぱらから盛る訳には行かないのよ! フミは大好きだけどそれは後で!」
「やん♡ ご予約いただきました♡」
「ハッ!? 嵌められた……!?」
「あははっ、アルちゃんがフミっちに勝てる日は来るかなー?」
「まだまだ遠そうだね。頑張って、アル」
「なんで他人事なのよぉ!」
「えへへ……フミちゃんもアル様も、みなさん仲良しで、すっごく嬉しいです……♪」
「やーん♪ ハルカちゃんってば可愛い事言ってー♪」
「はわわ……♪」
はーちゃんの可愛さにやられたムツキさんがはーちゃんに覆い被さる。
当然下になった私に二人分の重みが……いや軽いな?
二人とも小柄だから全然重くない。
「これはごはんをいっぱい食べさせなくては……!」
「なんかフミっちが悪だくみしてる〜」
「無罪です♡」
「フミちゃんのごはん、いつも美味しいです……♪」
「それは間違いないね♪ でも美味しすぎて食べ過ぎちゃうからムツキちゃん困っちゃうなー?」
「いやいや♡ もっと食べてください♡ 最近ようやくはーちゃんも健康体に近くなって来ましたけど、はーちゃんもムツキさんも、なんならカヨコさんも痩せすぎですからね? アルさんは今くらいがえっちで良いですけど♡」
「どういう事よ!?」
「アルちゃんはえっちだよ」
「アルはえっちだよ」
「アル様はとてもステキだと思います……♪」
「なんでよ!? あとハルカはありがとう!」
「しっかりお礼も添えるアルさんステキ♡」
以前は野宿して野草を口にしていたらしいけど、今はシャーレでしっかり三食食べているから健康状態も良好。
出逢った当初はアバラが浮いててガリガリだったはーちゃんも、最近は女の子らしい丸いくびれが出来てておっぱいもほんのり膨らみ始めた。
お風呂で吸い付いたのはナイショ♡
大変可愛かったです♡
ムツキさんも心配になるくらい細いし、カヨコさんも思いっきり抱きしめたら折れるんじゃないかって思っちゃう。
ここはやはりアルさんのナイスバディを見習っていただきたい所さん。
「カッコいいし綺麗だし可愛いしえっちだし……アルさんってもしかして女神様だったりします?」
「そんな訳ないでしょ……まぁ、褒め言葉はありがたく受け取っておくけど」
「にしし♡ アルさん好き好きー♡」
「全く……でも確かに、三人には苦労をかけてるしいっぱい食べて元気に育って欲しいわね」
「……まぁ、私はともかくムツキとハルカはまだまだ成長期だし、いっぱい食べると良いよ」
「カヨコさんも食べないとですよ? 将来せんせーの子を授かった時に体力使うんですから♡」
「…………今日からちょっぴり食べる量増やそうかな」
「はいな♡」
お昼は何を作ろうかなー♡
健康的にお肉を付けるにはタンパク質が大事だからね。
となると鶏肉をメインにしようかな?
「という訳で今日は鶏メニューでーす♡ 控えい控えい♡」
“頭が高い! 控えおろう!”
「フミの料理のお通りなるぞ!」
ノッてくれたのは先生とサキちゃん。
はーちゃんとムツキさんとミユちゃんとヒヨリちゃんは楽しげに拍手で迎えてくれる。
よーし、六人にはデザートのプリンもう一個付けちゃう♡
テーブルに並ぶ料理を見て目を輝かせるのはRABBIT小隊、便利屋68、アリウススクワッドのみんなだ。
今日はサオリちゃんも居るから久し振りに全員集合だね。
ちなみにメニューは鶏ごぼう炊き込みごはん、三つ葉と豆腐の味噌汁、鶏肉の山賊焼き、鶏と根菜の煮物、蒸し鶏と枝豆のサラダ、唐揚げ、箸休めの沢庵だ。
タンパク質もりもり♡
「えへへ……良い匂いですねぇ、美味しそうですねぇ」
「ヒヨリ、よだれ垂れてる」
「ふふ、サッちゃんとの食事久し振りだね」
「あぁ……それもこんなに豪勢な食事とは」
「いっぱい食べてね♡ おかわりもあるよ♡」
「RABBIT小隊、これより全力で昼食攻略作戦を開始します」
「いや、そんなに気合入れなくても良いだろ」
「久し振りの温かいごはん……♪」
「この山賊焼きってすごいねぇ、一枚丸々焼いてるんだ♪」
「食べにくかったらカットする用のナイフあるから使ってね♡」
「よーし、今日は食べるわよー♪」
「おーっ♪」
「はいハルカ、お絞り置いとくね」
「ありがとうございます……♪」
“みんな行き渡ったかな? それじゃ両手を合わせて”
「いただきまーす♡」
声と同時にみんなが一斉に動き出す。
それなりにボリュームが有ったはずなのにどんどんお皿が空になっていくね。
一番わんぱくなのはRABBIT小隊の四人だ。
我先にとおひつからごはんのおかわりをよそっていく。
大皿に乗せた追加の唐揚げや山賊焼きに箸を伸ばすのも早い早い。
「美味い! 美味い! 全部美味い!!」
「くひひっ、唐揚げに一味とマヨネーズをかけて……美味しさもカロリーも破滅的♪」
「山賊焼き……初めて食べましたが甘辛いタレが絡んで美味しいですね。これはおかわりをしなければ不調法と言うもの」
「炊き込みごはんも美味しい……♪」
「いっぱいあるから安心してね♡」
「いやぁ、フミの料理は美味いな! いっそSRTの兵站を担ってみないか?」
「えぇ〜、お仕事じゃないと私の料理やお菓子食べてくれないの? フミちゃんしょんぼり♡」
「ち、違うぞ!? これは毎日でもフミの料理が食べたいってだけで!」
「なら私がフミの料理を美味しく食べてあげるよ〜♪ ふっといスポンサーだし、一緒に破滅的な遊びも考えてくれるし、相性バッチリだと思うんだけど♪」
「あ、モエ! 抜け駆けするな!」
「モテモテで困っちゃう♡」
「もぐもぐ……噛むたびに肉汁が溢れて口の中が美味しいでいっぱいになります……えへ、えへへ……幸せですぅ♪」
「ほらヒヨリ、唐揚げまだまだあるから」
「ありがとうございますぅ……♪」
そんな四人の次に健啖なのはヒヨリちゃんだ。
食べる速度はみんなとそんなに変わらないけど常に箸が動き続けている。
飲み込むたびに幸せそうな顔をするので見ていて楽しい。
アツコちゃんも同じなのか、ヒヨリちゃんのお皿に大皿から追加の唐揚げを乗せていく。
親鳥と雛鳥みたいだ。
残りのみんなはマイペースにゆっくり味わいながら食べ進めている。
先生はRABBIT小隊四人とヒヨリちゃんの食べっぷりにちょっと圧されてるね。
私の方が食べる量は多いと思うんだけど……勢いがすごいからかな?
「しっかり食べて大きくなるのよ♡」
“すっかり視点がお母さんだね”
「娘の成長は早いわよおとーさん♡」
「……娘になった覚えはないんだけど」
「フミ、こんな事を頼める立場に無いのは重々承知だが……ミサキをよろしく頼む」
「ちょ、サオリ姉さん!」
「ミサキちゃんはもちろん、サオリちゃんも私の大事な人の範囲だからね♡ 忘れないよーに♡」
“サオリがみんなを大切に想うように、みんなもサオリを大切に想ってる。だから自分を蔑ろにするような言い方は、良くないかな”
「……そうだな、すまない。迷惑を掛けるが、私もよろしく頼む」
「まかされよー♡」
“いつでも頼って良いからね。サオリも私の大切な生徒だからね”
「良い話風にしてるけど娘ではないからね」
「やん♡ ミサキちゃんガードが堅い♡」
「そう? もう結構ゆるゆるだと思うけど」
「アツコも余計な事言わないで」
“ふふ。こうしてのんびり過ごせる時間が出来て本当に良かったよ”
「あ、あの……おかわり、いただけませんか……?」
「ほいほい♡ 大盛りにしちゃう?」
「ぜひ!」
「よしきた♡」
「わぁい♪」
“……ヒヨリはいつも通りで可愛いね”
「ああ、最近はあまり後ろ向きな事も言わなくなったようだな」
「その分食べてる時間が増えてる気もするけど」
「ヒヨリはこうだから良いんだよ。ね?」
「はい、美味しいです♪」
「絶対話聞いてなかったやつ♡ お味噌汁も注いであげる♡」
「えへへ……美味しいごはんがいっぱいで幸せですぅ♪」
当初は栄養状態も悪くて身体もボロボロだったスクワッドも、今はだいぶ元気になってきた。
ミサキちゃんは大っぴらに自傷する事も無くなった。
そういう気分になった時は落ち着くまでヒヨリちゃんやアツコちゃんや私を捕まえてむぎゅっとするように言い含めた。
効果は有ったようで、最近は心も安定してきてる。
代わりに指の逆剥けや耳の産毛なんかを毟ってるみたいだけど、バイ菌が入らないようにキレイにしておかないと。
「……なに?」
「今日もミサキちゃんは綺麗で可愛いなって♡」
「……はいはい」
視線に気付いたミサキちゃんが訝しげに目を細める。
最初に会った時は頬も少し痩けてたけど、今は健康的なすべすべほっぺだ。
魅力的になった事を褒めると、ミサキちゃんは呆れたように息を吐いて視線を外した。
でも、ちょっと耳が赤くなってる。
そんな所も可愛くて好き♡
賑やかな食事を終えたらみんなは訓練のお時間だ。
この三組が合同であたって突破出来ない戦力ってそうそう無さそうな気もするけど……アビドス勢とか?
返す返すも戦力がおかしい♡
お腹もいっぱいでやる気に燃えるみんなとまだ食べ足りなさそうなヒヨリちゃんを見送り、のんびり居住区をぽてぽて。
最近娯楽施設としてゲーセンが整備されたらしく、自警団の子がエアホッケーで盛り上がってたとか。
交友を深めるのには良いかもしれないけど、果たしてどんな魔法を使ったらこれが福利厚生として処理されるのだろうか。
シャーレの決済は摩訶不思議だ。
それはそれとしてゲーセンである。
ちょっとわくわくしながら扉を抜けると、そこには複合施設のゲームコーナーくらいの規模の設備が整っていた。
お菓子やぬいぐるみがある一般的なクレーンゲーム、アームを動かしてお菓子を台座に落としてゲットするやつ、最新式のエアホッケー、装甲車を模した筐体でゾンビを撃つシューティング、対戦も出来る本格派レースゲーム、昔懐かし乱入おっけーな格ゲー、ジャックポットやスロットもある演出バリバリのプッシャーゲーム。
シャーレ特別設定で、どれもワンプレイ100円だ。
メダルは100円で10枚。
その気にならなくても一日中過ごせそうな充実具合だ。
なんなら休憩用のベンチや自販機もある。
自販機のジュースももちろん100円だ。
カフェには無い種類のものを取り揃えているから、わざわざこっちに来て買ってる子も居るらしい。
ヒフミンのイチオシは『どろり濃厚ピーチ100%』だ。
「結構賑わってる♡」
「お、姉御じゃーん」
「おっつー」
「おつおつ♡」
休みを謳歌している自警団の子も来ていて、色んな生徒が利用してるみたいだ。
物珍しげにうろうろしてると、格ゲーの筐体でレバガチャしている最強の象徴を見付けた。
どうやらCPU相手にボコボコにされているらしい。
無慈悲な『YOU LOSE』の表示に項垂れてる。
「約束された勝利の象徴がクソザコ過ぎる♡」
「あぁん!? って、オメーか」
「ネルさんやほやほー♡ お隣良いですか♡」
「おう、構わねえよ」
「わーい♡ ネルさんのぬくもり♡」
「バカな事言ってんじゃねぇ!」
詰めてもらって緩くカーブしてる長椅子に二人で腰掛ける。
あっあっ♡
ネルさんから良い匂いしてる♡
「香水使ってます?」
「あ? まあ身嗜み程度にはな。お前は……なんか美味そうな匂いしてんな?」
「お昼に作った山賊焼きとか唐揚げの匂いですかね♡」
「良いもん食ってんな……今度なんか作ってくれよ」
「じゃあ今度当番でネルさん来た時にリクエスト受けちゃいますね♡」
「おっ、やったぜ♪ 言ってみるもんだな!」
「にしし♡ 美味しいごはんでネルさんの好感度荒稼ぎしちゃいます♡」
「お前もたまにチビみたいな事言うよな……」
「仲良しですから♡ ネルさんとも仲良しイチャイチャしたいにゃー♡」
「だあぁ! くっつくんじゃねぇ!」
「えー♡ お姫様抱っこしてくれたのにぃ♡」
「ありゃたまたまだ!」
「じゃあ勝負しましょー♡」
「あん?」
「このゲームで私が勝ったらもっと仲良しさんになってください♡ 負けた時はネルさんのお好きな条件で♡」
「んだそりゃ? これやった事あんのかよ」
「いえ、初めてです♡ でも三面のCPU戦で負けちゃうような相手には流石に勝てちゃうかにゃー?」
口元に人差し指を当ててイタズラに微笑む。
分かりやすい挑発を見てネルさんは獰猛な笑みを浮かべた。
「へぇ……面白ぇ。アタシに挑もうってのか」
「にしし♡ どうします? 初心者相手にダブルオー逃げちゃう?」
「いいぜ、その喧嘩買った。アタシが勝ったらジュースでも奢ってもらおうか」
「全部制覇しちゃっても良いですよ♡」
「腹たぷたぷになるっつーの。それじゃ、ヤるか」
ダブルオーモードに入るネルさん。
きゃーカッコいいー♡
絶対脳焼かれてる子いるよねこれ。
ともあれ対面の台に座り100円を入れてキャラクターセレクト。
ネルさんはコンボ主体で素早い攻撃がメインのキャラクターを使うらしい。
なら私は真逆の投げキャラにしてみよっと。
コマンド表は……レバーぐるっと一回転にパンチか。
多分行けるっしょ♡
そして数分後。
「だぁぁぁぁっ!? 負けたぁぁ!!」
吠えるネルさん。
画面には私のキャラクターが勝利ポーズをガッチリ決めて立っていた。
アリスちゃんから聞いてたけどホントに弱かった。
なまじ本人の反射神経が高い分見てからの操作は早いし攻守切り替えの勘は良いんだけど、基本操作やコマンド習熟や各技の特性への理解が足りてない。
いくら出が早くても判定の弱い攻撃を起点にしてたら簡単に咎められちゃうからね。
それに本人の反応が早すぎて入力遅延が起きてるのがレバガチャの要因だ。
常人なら絶対引っ掛からないポイントで躓いてるのはある意味ネルさんらしくて良い。
まぁそれはそれとして。
「にゅっふっふー♡ 勝っちゃいましたにゃー♡」
「くっ……殺せ!」
「もっと色気の有る場面で言って♡」
くっころネルさんはほぼ全裸みたいな紐アーマー着てるイメージが湧いてくる。
動けず抵抗出来なくなったネルさんを先生が持ち上げて対面で一気に奥まで……おっと、欲望が溢れる♡
はーちゃん譲りのにちゃぁ、っとした笑みを見て流石のネルさんもちょっと引いちゃった。
「な、何をする気だ!?」
「そりゃもう、仲良しな事をたっぷりと……♡」
「ッチ、約束だ……煮るなり焼くなり好きにしろ!」
「安心して♡ 純潔はせんせーに捧げてもらうので♡」
「は、ハァァッ!? じゅっ、純潔って、おまっ!?」
「せんせーに捧げる前に、他の人に奪われちゃっても良いんです?」
「………………それは、なんかヤだな」
「はい、ネルさんハーレム入りご案内〜♡」
「なっ!? ぐっ!! ええい、好きにしろ!!」
という訳で新たにネルさんがハーレムインです♡
いやぁ何気に先生もネルさん攻略済みだったんですなぁ♡
また隣に座ってネルさんむぎゅむぎゅ♡
「にしし♡ ネルさん良い匂い♡」
「ったく……お前も物好きだな」
「可愛くてカッコよくて最強なメイドさんとか、男の人の夢そのものだと思うんですけど♡」
「そんなもんか?」
「そんなもんです♡ だからせんせーもネルさんの太ももとか鎖骨とかチラチラ見てるんですよ♡」
「なっ……!? ……そ、そうなのか……?」
「前バニーガール姿でせんせーと行動してたんですよね? せんせー言ってましたよ♡ みんな魅力的だったけどネルさんが一番股間に悪かった、って♡ アスナさんカリンさんアカネさんとナイスバディなバニーさんが揃ってる中で、一番雌として欲しくなったのがネルさんなんですって♡」
先生の秘密をリークすると、ネルさんは顔を真っ赤にして固まってしまった。
うぶですにゃー♡
「……マジか……? 先生が、アタシを……?」
「他でもないネルさんを、繁殖したい、番になりたい相手としてせんせーはお望みですよ♡♡♡」
「………………そうか」
ばっ、とネルさんが立ち上がる。
顔を赤くしたまま、出口へと向かって歩き出す。
ははぁん、これは先生の所へ向かうおつもりですな?
「せんせーなら今はカフェでのんびり気を抜いてるはずです♡ 奇襲にはもってこい♡」
背中に声を掛けると小さくひらひらと右手を振ってネルさんは出て行った。
後で何をされたか先生に聞いてみよう♡
「うわぁ……アレがウワサの」
「姉御の囁き術でこれまで何人もの生徒を淫乱沼に沈めてきたって話だ……」
「やっぱ淫婦って正確な呼び名なんじゃね?」
「きみたち♡」
後ろで見ていた自警団の子たちにぽんぽこ愛の鞭を叩き込む。
おらーほっぺもちもちさせろー♡
おちちも揉ませろー♡
おっ、育ってんじゃーん♡
ついでにジュースも奢ってみんなでまったりお茶会。
「言うて姉御もやらかしてるじゃないっすか」
「聞きましたよ、こないだ出たASMR。アレ姉御がシナリオ原案なんっしょ?」
「うむ♡ 我ながら凄いものを世に送り出してしまった気はしてる♡」
「あのせいで何人かおかしくなってんだよなぁ。顔赤くするならまだしも先生見掛けたら股抑えて前屈みになんの」
「待って♡」
「あれ絶対イキ潮してるよな。ソラちゃん不思議がってましたよ。なんでか最近紙おむつの売れ行きが良いって」
「まぁ普段力で絶対勝てない側の先生に押し倒されるってシチュが既に妄想の王道だもんな」
「優しいし気も利くし締めるとこは締めるし、普通に超優良物件だよな先生。私含めて自然と惹かれてるやつも多いのに、あのASMRで性癖ブッ壊されるのもう何かの刑罰だろ」
「そこまで反響が良かったとは♡」
「姉御〜、危険物バラまいた責任、ちゃんと取ってくださいよ〜? うりうり」
「むにゅあー♡ むじつ! むじつです!」
「有罪じゃオラァ!」
「ひにゃー♡♡」
左右からむにむにもちもちされる。
まさかASMRの余波が日常生活にまで及ぶとは、このフミちゃんアイズを以てしても見抜けなんだ♡
後でモモイちゃんにレビューどうなってるか聞いてみようかな。
「姉御の肌、すべすべもちもちで良いっすね。なんか特別なの使ってます?」
「市販のボディソープで洗って保水液ぺちぺちしてるくらいかなぁ♡」
「これは多分幼子特有の卵肌ってやつだと思う」
「誰が幼子かー♡ せくちーおねえさんだぞぉ♡」
「そのナリでせくちーおねえさんは無理でしょ」
「ロリコン御用達なんだよなぁ」
「ここから成長してやるからなー♡ みてろよー♡」
「でも先生籠絡出来てるから成長したら強みが失われるのでは?」
「フミちゃんロリババアを目指します♡」
「切り替えが早い」
たっぷりともちもちされた。
ほっぺたが赤くなっちゃう!
自警団の子たちと別れてまったりぽてぽて散策へ。
次はどこに行こうかなー?
特に宛も無く歩いていくと調理室に着いた。
そう言えばそろそろおやつ時。
ガトーショコラでも作ってみるかな。
コートを脱いで三角巾とエプロンを装備して準備完了。
早速小麦粉と卵をシャカシャカしてると何やら入り口の方でぴこぴこ動くキツネ耳が。
「……さささっ♪」
やだもう可愛い♡
忍び込んだ悪いキツネちゃんは誰かなー?
だるまさんが転んだみたいに目を離したらキツネ耳がふりふり移動を始める。
意識を向けるとぴたっと止まって時々ぴこぴこ。
それを繰り返して私の側までやってきた。
ちょうど生地の準備も終わったので曲者を捕まえに行こう。
「なにやつ♡」
「忍法変わり身の術!」
パッと覗き込んだ所にはイズナちゃん人形が置いてあり、本人は私の背後に回り込んでいた。
相変わらずの身体能力だ。
背後を取ったイズナちゃんは人差し指と中指を伸ばしてクナイに見立て、私の首筋に添え……やん、こちょこちょしないの♡
「くっ、不覚♡」
「ふっふっふー、もはやフミ殿の命は我が手中にあり!」
「何が望みだー♡」
「作ってるお菓子の一口目を♪」
「よしきた♡」
「わーい♪」
ノリノリで合わせてあげると凄く嬉しそうにするから毎回付き合っちゃうよね。
という訳でここからは助手にイズナちゃんを加えてガトーショコラ作り。
と言っても難しい事は無いのでさっさか作っていく。
ココアパウダー入れてー、生地焼いてー、生クリーム塗ってー、チョコかけてー、冷やして固めてー、チョコかけてー、カットしたイチゴ乗せてー、チョコかけてー、冷やして固めてー、チョコムース塗ってー、チョコかけてー、冷やして固めてー。
「フミ殿、チョコが無くなりました!?」
「おっと♡ たっぷり重ねがけしちゃった♡」
「あわわ、どうなっちゃうんでしょう!?」
「これはね……チョコの層が出来て上側がパリパリになるのだ!」
「なんとぉー!?」
「しかもスポンジはしっとりねっとり♡」
「よだれが溢れそうです!」
「では一口目をイズナちゃんに与える! あーん♡」
「あーん♪ んーっ♪ もぐもぐ……美味しいですっ♪」
「良かった♡」
ほっぺたを押さえて左右に揺れるイズナちゃんに癒されつつガトーショコラをカットしていく。
そしたらラップして冷蔵庫に入れておく。
取り敢えず自警団みんなにも行き渡るくらい量産しないとね。
「という訳でイズナ隊員! 君に特命を与える!」
「! 拝命致しますっ!」
「ここに大量の板チョコがあるので湯煎して溶かしていくのだ! 溶かしたらそっちのボウルに移すように!」
「たいちょー殿! つまみ食いは許されますか!」
「好きなだけ良いぞ!」
「わーい♪」
「それじゃ作っていこー♡」
そんな寸劇も挟んでわいわい楽しくクッキング。
オーブンフル稼働させてもブレーカー落ちないのステキ♡
しばらくすると甘い匂いを嗅ぎ付けたのか、ヒヨリちゃんが調理室の入り口からひょこっと顔を覗かせていた。
相変わらずごはんやおやつの気配には敏い。
カットの際に出たチョコの破片を集めて丸めたのをシュートイン。
幸せそうにもぐもぐしてるのを見届けて作業に戻る。
ちょっと頑張りすぎたかな、全員分どころか四回くらいならおかわりしても大丈夫なくらい量産してしまった。
「作りすぎた♡」
「お疲れ様です、フミ殿!」
「イズナちゃんもお疲れ様♡ 早速みんなに伝えてこよっか♡」
そう言って振り返った先。
入り口から覗く顔は四つあった。
「んんん増えてる♡」
「トーテムポールみたいです!」
下からヒヨリちゃんモエちゃんサキちゃん先生だ。
いやなんで先生まで♡
“三人が刺さってたから何かと思って”
「出来上がったなら食べても良いよな!?」
「くひひっ、甘いものはみんなで分けないとねー♪」
「じゅるるるる」
「ヒヨリちゃんよだれ垂れてる♡ じゃあ隣の食堂でケーキパーティーしよっか♡ せんせー、みんなにアナウンスお願いします♡」
“うん、もう伝えてあるよ”
「はやぁい♡」
“レディの要望には敏感なもので”
「流石です、主殿♪」
イズナちゃんに手伝ってもらって隣の食堂へガトーショコラを運び込む。
機械にパックをセットしてコーヒーと紅茶もそれぞれセルフで持って行ってもらおう。
ものの数分もしないで食堂に人が溢れる。
みんな目がキラキラしてて可愛い♡
「ウヒョー姉御のケーキキタコレ!」
「うわすっげ! チョコたっぷりじゃん!」
「美味しいですねぇ、美味しいですねぇ♪」
「美味い! 美味い!」
「なんか一部bot化してね?」
「いやー、これは語彙が無くなるのも納得の美味しさ♪ でもその分カロリーも……くひひっ♪」
“腹ごなしに何か運動でもしないとダメかなぁ”
「ほら先生、ほっぺにチョコ付いてんぞ? ったく、しゃあねぇなぁ」
“んっ……ありがとう、ネル。ふふ、なんだかカップルみたいだね”
「んなぁ!? ば、バカ言ってんじゃねぇ! ……でもそっか、カップルみたいに思って……」
「むむっ、ムツキちゃんレーダーにイチャイチャの反応アリ!」
「RABBIT1、妨害工作を開始します」
「するな、大人しく食ってろ」
「RABBIT2、指を咥えて見ているつもりですか!」
「お前はフォークでも咥えてろ」
「うーん賑やか♡」
わいわいがやがや。
騒がしい中で共通するのはみんな笑顔な事。
この笑顔が見たくてお菓子作ってると言っても過言じゃない。
頬杖を付きながらみんなを眺めて、そう言えばとふと気付いた。
「みんな、この後晩ごはんなの忘れてなーい?」
「「「「「「「「…………あ」」」」」」」」
「晩ごはんも食べられるなんて幸せですぅ……♪」
“……ヒヨリはいつも通りで可愛いねぇ”