強化人間と美少女型アンドロイドが往くダンジョン殲滅記   作:Yura0628

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少し変わった日常

「相変わらず登校めんどくせぇ…」

 

翌朝、俺は国立暁探索者育成学園の門をくぐりそんな事を呟いていた。

 

この国立暁探索者学園はその名の通りダンジョン探索者を育成する学園で、校内にはB級ダンジョンも内包する巨大な施設だ。

 

ただ昨日話を聞いた限り、国は俺をここへ入れさせたくなかったらしいけど、この世界を知るって意味でやむを得ず入学させたそうな。あ、もちろん受験は受けたぞ。多分意味無かったけど。

 

心の中で色々ぶつぶつ言いつつ下駄箱で靴をさっさと履き替え、教室に入ると聞こえてきたのは…

 

「このコトワリとクオンって奴、2人セットでしか真価発揮できないの何でなんだろう?」

「さぁ、なんか2人で発動できる魔法を持ってるとかネットだと言われてるけどね…」

 

「政府探索者かぁ…訳アリにしても実力は折り紙つきだから一回配信して戦い見せてくれないかな」

「A級政府探索者の時雨はたまにやってるしな」

 

…やはりかなり話題になっている。これ結構ムズムズするな、学生で高ランク探索者になった人達もこんな気分になってたのか…まぁ少し状況は違うけど。

 

というか、実績ゼロなのにここまで話題になる政府探索者すげぇなオイ。

 

『国による強さの保証が為されているので、実績がなくても注目を集めるのは当然の事かと』

 

『勝手に人の思考を覗くな。別に良いけどさ』

 

などと思っていると突如クオンの声が脳内に響く。現在クオンは亜空間に潜んでいつでも顕現が可能な状態で待機しており、ほとんど黙ってはいるが時折今みたいに俺の思考を読み取ってくるのだ。

 

さて、クオンに苦言を呈しつつ教室を横切り自分の席に着く。すると、髪を短く狩り揃えたガタイの良い男子生徒が俺に話しかけてきた。

 

「あ、おはよう理亜。もう知ってるか?あの話」

 

「おはよう拓真(たくま)。もちろん知ってるぜ。ニュースになってるし嫌でも目に入るだろ」

 

「それはそうだな」

 

言って笑うコイツは世良拓真(せらたくま)、俺の数少ない友人だ。この高校に入り半ば孤立していた時、コイツがいきなり話しかけてきてそれ以来なんだかんだ仲良く過ごしている。ただ俺が配信してること等は知らず、従って俺が死にかけたことも知らない。

 

ちなみに、拓真の探索者ランクはCだ。戦闘システム無しだと俺は軽くひねり潰される。ただこの見た目で意外とビビりなので、ダンジョンには中々潜ってないらしいが。

 

「して、理亜君や。今回の発表で世界中の反応眺めるの結構面白いぜ。SNSとか見てると能力の考察とか色々出てくるし、海外勢で日本がS級探索者2人を独占するのは好ましく無いとか言ってる奴もいるし」

 

「…不思議な楽しみ方だな。それに政府探索者相手に詮索は規制されてるんじゃないのか?」

 

「あぁ、一応そうだけどあくまで公的機関が調査等するのが禁止されてるのであって民間への規制はどうしても難しいんだと。でも何時もなら食いついてる大手マスコミが全然触れてないのは、多分国から圧力かかってる」

 

確かに、今日の朝見たニュースでは俺達の存在については言及されていたが、通常の高ランク探索者の時の様に専門家を呼んで能力の分析や解説はしてなかったな。まだ実績が無いからってのもあるんだろうが、やはり違いは出てる。

 

「何にせよ、レベルが高すぎて俺ら程度じゃ精々話題の種にしかなんないけど」

 

「そんなことないだろ、お前だってビビり直せばA級相当の実力あるって言われてたじゃねぇか」

 

「ヤメロヤメロ、俺がA級なんか身の程知らずにも程あるわ」

 

「別に大丈夫だと思うけどなぁ…」

 

 

************

 

 

昼休み、周囲で俺達の話題が話されている状況に耐えられなかった俺は、ある事を知らせることも兼ねて生徒会室に足を運んでいた。

 

……そう何とこの俺、蒼坂理亜は生徒会に所属しているのだ、不思議だね。

 

魔力がない分他のことを頑張ってたからそこが買われたのかなぁと思いつつ、最近は探索ばかりで中々顔を出せていなかったため少しビクビクしながらドアを開ける。

 

「失礼しまーす」

 

「理亜か、珍しいなお前がここに来るの」

 

「いやまぁ…名ばかりの庶務でもたまには顔出さないとって…」

 

「なるほどな」

 

言って嘆息するのは、生徒会書記の河谷理人(かわたにまさと)。メガネをかけたTHEインテリといった容姿をしているが、ダンジョンではゴリゴリの前衛を務めるらしい。

 

「あれ、会長と副会長はどこに?」

 

「なんか先生に呼び出されて行ったぞ。ダンジョン協会の人も居たから校内ダンジョン関連だと思うが、詳しいことは知らん」

 

「いや知らんて、君生徒会でしょ。俺も完全にブーメランだけどさ」

 

「俺やお前は会長達について行ける実力じゃないからな。知らされなくても仕方ない」

 

この学園の生徒会は、普通の高校のものと少し違い通常の業務の他に校内にあるB級ダンジョンの管理も行っていて、普段はダンジョン内のパトロール程度しかやることはないが、偶に高ランクモンスターが出現した際は教員やダンジョン協会と協力して討伐に向かうこともある。

 

今代では生徒会長と副会長が両名共にA級探索者の資格を持つため、戦闘員として半分居ないのと同じである俺や理人が呼ばれないのは…まぁ当たり前っちゃ当たり前だ。

 

「他の面子はクラスで新しいS級政府探索者の話題で盛り上がってるし、多分今日は誰も来ないな。珍しく理亜が来たってのに」

 

「ははは…まぁ別に良いけどね。同じ庶務の黒品(くろしな)さんからは嫌われてるし」

 

「あれは戦闘能力が低い人間がこの生徒会に居るのが気に入らないってだけだろ。気にすんな。…さて、話は変わるが、お前はダンジョン配信者に興味はあるか?」

 

「唐突だな、てか似たようなことさっき聞かれたわ…まぁ興味自体はあるよ。何なら前まで配信者だったし」

 

俺そんなにエンタメや世間に疎いと思われてんのかね。記憶喪失したことあって友人が少なくて強化人間でアンドロイド従えてる以外は普通の男子高校生と同じだと思うんだが。おいそこ、普通じゃねぇだろってツッコミやめろ。

 

「ほう?お前配信者だったのか。教えてくれれば良かったのに」

 

「嫌だよ、E級ダンジョンにしか潜ってないから情けねぇじゃん」

 

「ならプライベートでほぼダンジョンに潜らない俺はどうなるんだよ…話逸れたな。理亜、お前が配信者に興味あるなら俺の推しを紹介させてくれないか?」

 

「まぁ良いけど…でもハマるか分からんぞ?」

 

多分これから探索で忙しくなって時間取れなくなるだろうし。

 

「それでも良いさ。ほら画面見ろ。彼女は———」

 

 

************

 

 

「い、嫌…何でA級ダンジョンにドラゴンなんか…」

 

(…………初任務でイレギュラー対応に来たら、美少女配信者がドラゴンに睨まれてた件)

 

前方でへたり込んでる金髪の少女…大人気ダンジョン配信者にして理人の推しである、「天星(あまほし)ヒカル」を見て俺は心中で呟くのだった。

 

 

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