強化人間と美少女型アンドロイドが往くダンジョン殲滅記   作:Yura0628

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強化人間は過去を知る

「……にしても、オークロードを瞬殺出来るアンドロイドって…ヤバいな」

 

「私の性能については後ほどお話ししますが…あの程度なら脅威にはなり得ません」

 

あの後俺は、〈クオン〉と名乗ったこの少女に自身はアンドロイドであること。俺が自身のマスターであることなどを説明され、今は共にダンジョンの出口へと歩いている。

 

最初こそ俺は彼女をS級モンスターだと疑っていたが、S級モンスターがこんな事をするメリットも思い浮かばなかったし、仮に本当にS級モンスターだったとしても俺に出来る事は何も無いので、それ以外の事はあまり深く考えず手を取ることにしたのだ。

 

ただ道中で色々な事を聞いたりしても、「後程説明します」とだけ返されてしまい肝心な事が聞けず終いだったが。

 

———彼女は何処から来たのか、とかな。

 

「っと、そろそろ出口か」

 

「……マスター、ここから先何があっても騒がないでください」

 

「え?あぁ、分かった」

 

突如クオンから言われ思わず反射で頷いてしまう。だが何があっても騒ぐなとはどういう事だ?

 

そんな俺の疑問は、ダンジョンから出た瞬間に晴らされることになる。

 

「なっ」

 

ダンジョンの外で待ち構えていたのは、小銃を構えた自衛隊員十数名と、その背後からこちらに砲口を向ける16式機動戦闘車や軽装甲機動車(LAV)だった。

 

「……」

 

テンパってるのと先程騒ぐなと言われた事もあって声が出ない俺をよそに、クオンは黙って自衛隊員達に近付いていき20m程まで近づくと足を止める。すると小銃をこちらに向けていた自衛隊員の1人がクオンに話しかけた。

 

「君達が、命令にあった保護対象か?」

 

「えぇ、既にあなた方の上層部と話はついてるわ。分かったら武器を下げてくれないかしら?」

 

「……良いだろう」

 

自衛隊員は答えた後、後ろの隊員達にジェスチャーをし、他の隊員達は小銃の銃口を下げ装甲車は砲口を正面へ向けた。

 

(……状況がさっぱり分からん)

 

 

 

 

************

 

 

 

その後俺達は促されるままLAVの後席シートに座り揺られること3時間。霞ヶ関の防衛・ダンジョン対策統合省前に到着。

 

停車したLAVの前にはスーツ姿の男性と迷彩服姿の男性2人が立っており、俺達が車から降りるとスーツ姿の男性が前に出てきて口を開いた。

 

「初めましてだな。私は防対省の東野俊哉(とうのしゅんや)だ。後ろの2人は…」

 

「陸上自衛隊、特殊事案対応群の河谷慎吾(かわたにしんご)だ」「同じく特殊事案対応群、飯島晴翔(いいじまはると)

 

迷彩服姿の男性達も自己紹介をし握手を求めてくる。

 

「あ、蒼坂理亜です。彼女は…「あー、その辺りは大丈夫だ。こちらも把握しているし出来るだけ表で話したく無い。ひとまず中に案内しよう」

 

おずおずと握手に応じながら俺はクオンを紹介しようとしたが、東野さんに遮られ防対省庁舎の中へ、案内されたのは防対省庁舎の最上階にある部屋だった。

 

「さて、多くの疑問を抱えているだろうがまずは話を聞いてくれ」

 

部屋に入りクオンと共に長椅子に座ると、東野さんが説明を始める。

 

「まずl最初に、我々が初めて君を捕捉したのは今からおよそ2年前。奥多摩ダンジョンのスタンピードが起こった時だ」

 

奥多摩スタンピードなら知っている。関東圏で起こったスタンピードでは史上最大で、かつ俺が記憶を失ったのと同じ時期だったはずだ。

 

「スタンピードに紛れて著しい空間異常が発生し、調査チームが奥多摩ダンジョン付近の山奥で君を回収した。…これと一緒にな」

 

言って東野さんが目配せすると、河谷さんと飯島さん他数人の自衛隊員が〈RESF(旭日皇国航宙軍)〉と書かれた巨大な三角柱のような物体を持ってきて床に置いた。

 

「こ、これは何ですか…?」

 

「戦闘を支援するポッドのようなものらしい。そこのアンドロイド曰く詳しい事は我々には分からないがな。そうだろう?クオン君」

 

クオンに目を向けながらそう言う東野さん。しかし一言引っかかる部分があった。

 

(え?今アンドロイドって言ったか?俺はクオンの事をアンドロイドなんて一度も…)

 

眉を顰める俺だったが、聞く前にクオンが答える。

 

「そうですね、あなた方の技術水準では解析は困難かと。必要があれば性能や用途もお伝えしますが?」

 

「いや、今は良い。まずは理亜くんに自分の状況と存在を知ってもらう方が先だ。理亜くん、単刀直入に言うぞ。君は、蒼坂理亜は…この世界の人間では無い」

 

思考が、止まった。

 

——俺がこの世界の人間じゃ無い?

 

「君の本当の姿は、別の世界から飛ばされてきた強化人間だ。この事実自体は2年前君を回収した時、この支援ポッドを通じてアンドロイドが我々に知らせており様々な指示をされた。君が事故で記憶喪失したという話や、それ以前の話は全て創作されたモノ。海外で働いていると君が思っている両親も実際は存在しない」

 

待て、待ってくれ。俺が別世界から来た強化人間?事故による記憶喪失もそれ以前の生活も全て偽り?親も本当は存在しない?

 

…あまりの情報量に、俺の頭はパンク寸前になっていた。

 

「マスター、ここからは私が話します」

 

そんな俺を見かねてか、東野さんに替わりクオンが言葉を続けた。

 

「今から話す事は現在のマスターには理解し難いモノも多いかと思われますが、重要な事なのでよく聞いてください」

 

最初に前置きしクオンは話し始める。

 

———俺は旭日皇国という星間国家の〈コトワリ〉という名の強化人間兵だったということ。

 

———作戦行動中に時空の歪みに巻き込まれ、この世界に記憶を失った状態で飛ばされたこと。

 

———幸い旭日皇国側の世界とは支援ポッドで亜空間通信が繋がっていたため、地球世界へ飛ばされた俺の状況を把握出来ており、あちら側から俺への対応を日本政府へ指示出来たこと。

 

———旭日皇国は俺の奪還を目指したが世界間の移動は不可逆であり、かつ容易く行えるものでは無いと判明し断念したこと。

 

———支援ポッドを介してこの世界の基礎知識を学習させられ、強制的に植え付けられない記憶等は日本政府側から口頭で伝えられたこと。

 

———支援ポッドによる通信は日を追うごとに困難になっており、日本政府が俺を利用しないか監視及び、俺の生活の手助けのためにクオンが送られてきたこと。

 

などなど…ハッキリ言って半分も理解出来てない。当たり前だ。昨日までごく普通の高校生として暮らしてきて、いきなり「あなたは星間国家の強化人間でこの世界に飛ばされてきました」なんて言われても受け入れられるわけがない。まだ俺が人型モンスターだったと言われる方が現実感がある。

 

「…分かりました、恐らく理解出来てないようなので体感していただきます」

 

クオンは相変わらずな俺を見て、腕を何やら操作しながら言う。

 

 

 

-メインシステム起動-

 

 

 

次の瞬間、俺の脳内に無機質な機械音声が響いた。

 

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