リアル鍛冶師のおっさんが刀匠へと至るまで   作:バナナラッシー

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実際、いきなり空に飛ばされたら何もできずにぺちゃんこになるよね。


天高く舞うはサムライおやじ

「さぁて、おそらくここに目当てのやつがいると思うんだが・・・」

 

あれから少し歩いて四駆八駆の沼荒野の最奥地へとやってきた。

装備の更新はやっても無駄だと思ったからやっていないが、アイテムは素材を売り払った金であらかた買いそろえたし、水晶大蝦蟇(クリスタルフロッグ)を倒したことでレベルアップして生まれたスキルポイントも振り分けた。そうそうやられることはねぇだろ。

 

「しっかしあのカエルはそうとう強かったみたいだな。レベルが一気に6も上がってやる」

 

まあそのおかげで随分戦いやすくなってそうだがな。

・・・新スキル試してないけど。

 

 

————————————

 

PN:テツギリ

 

LV:19→25

 

JOB:鍛冶師(鎚使い)

 

500→2000マーニ

 

HP(体力):30

 

MP(魔力):10

 

STM(スタミナ):60→70

 

STR(筋力):60

 

DEX(器用):20→30

 

AGI (敏捷):10

 

TEC (技量):30→40

 

VIT (耐久力):1(7)

 

LUK(幸運):10

 

スキルポイント:0

 

スキル

・武装鍛造

・アイアンスマッシュ→スチールスマッシュ New

・アームブレイク→アーマーブラスト New

・ウォールジャンプ→一艘跳び New

・乱撃→大乱撃 New

・ブーストアクセル→ハイアクセルLv1 New

・バレルスピン→バレットスピン New

・注視Lv1→Lv5

・クイックアーム

・ジャストパリィLv1 New

・カウントカウンター New

 

流派スキル

・レンギン流武装鍛造 New

 

 

装備

 

右:澄晴

 

左:なし

 

頭:なし

 

胴:放浪の外套(VIT+3)

 

腰:放浪の袴(VIT+3)

 

足:浮き草履

 

アクセサリー:放浪の竹笠

 

————————————

 

今更気づいたんだが、どうやら普通の武装鍛造だと魔力を消費するらしい。

澄晴を打っているときも魔法陣が消えたら作業ができなくなっていたが、鍛冶系統のスキルはスキルだけど魔法的な扱いとなっているようだ。

 

だが、レンギン流武装鍛造ならなんと魔力を使わずに武器を作ることができる!

その分難易度も上がるし、時間もかかるが俺的にはそっちのほうがより没入感がでて楽しめる。

 

「コンセプトもなんとなく固まってきたし、さっさとボスを倒しちまおう」

 

そう呟きながら俺はひと際大きな沼地へと足を踏み入れた。

 

その瞬間、沼地を中心に周囲が大きく振動する。

 

泥が跳ね、脈動しているかのように波立っている。

 

「ソロ殺しだかなんだか知らねぇが、軽く三枚に卸してやるよ、泥掘り(マッドディグ)!」

 

最晴を鞘から引き抜くテツギリの目の前に現れたのは、鮫の頭に蛙の体をデカくして取り付けたかのような生物としてはかなり異様な姿をした化け物だった。

 

 

 

「啖呵を切ったのはいいが、どうしようかねぇ」

 

俺がまだ攻撃を仕掛けていないからなのかどうなのかは分からないが、泥掘り(マッドディグ)はまだ俺を攻撃してこない。ならば存分にこの時間を有効活用させてもらおう。

 

形が歪でも体の構造は鮫とほとんど同じような気がする。更にはこんな沼地に生息してんなら現実同様に鼻が弱点になってそうだな。

沼地ってのが中々めんどくさそうだが、浮き草履でかなり緩和されてるし何とかなるだろう。

 

「そんじゃぁ、まぁ、いっちょやりますか。ハイアクセル!」

 

俺の数少ないスキルの中で唯一速度系のバフを得られるハイアクセルを起動。

効果は単純、ブーストアクセルの効果時間が伸びただけだ。

 

縄張りを走り回ったことが敵対判定となったのか、泥掘り(マッドディグ)も俺に向かって突っ込んでくる。・・・ここらへんか?

 

「一艘跳び!」

 

ウォールジャンプから派生した一艘跳び。壁限定の跳躍力強化だったのが、地面での発動も可能になった。沼掘り(マッドディグ)の突進が当たるすれすれで空中に回避する。

 

そうすると奴さんはどうすると思う?俺のことを補足しようと上を見るだろうな。

弱点である鼻を俺に差し出すことになるとも知らずにな。

 

「ここまでいろんなことをリアルに再現してんだ、鮫の鼻のセンサーを再現することなんて造作もないだろ?クイックアーム、そしてバレットスピン!」

 

空中から弾丸のように回転しながら下降し、鼻から胴体までを削り飛ばす。

すげぇ滑らかに刃が通るな。まるで豆腐を切っているかのような滑らかさだ。

 

「グガァァァァァ!?!?]

 

突然の衝撃に沼掘り(マッドディグ)は大きく動揺した。それもそのはず、沼という目などほとんど役に立たない世界で、目の代わりとなるようなセンサーを突然つぶされたのだから。

 

この衝撃の事態に沼掘り(マッドディグ)は自身の切り札を切る覚悟を決める。本来なら追いつめられたときにしか発動されない大技を、自身の(視界)を奪った敵に向けて・・・

 

 

「うん?なんでこのタイミングで潜るんだ?」

 

付きすぎた勢いを抑えながら俺は考える。

あの叫び方から推測するに鼻が弱点だというのはほぼ確定でいいだろう。だが普通弱点を何回も攻撃されたらスタンだったり、最低でもひるんだりはするんじゃないか?

 

流石に初撃から大技が来るとは思えな・・・・・

 

 

 

 

 

そんな浅はかの思考を粉砕するかのように、沼地が大きく振動しだす。

先程の振動とはレベルが違う。

 

岩壁にひびが入る。

 

沼地の泥が荒れた海のように激しく脈打っている。

 

そして、俺の下に巨大な影が迫っていることに気づいたときには、

 

 

沼掘り(マッドディグ)の大技は、すでに決まっていた。

 

 

 

 

 

まず初めに来たのは今まで感じたことのないような衝撃、次いで圧迫感すら感じる浮遊感。

 

それらを感じて初めて、自分は今空にいるのだと実感する。

 

「・・・なるほど、これは確かにソロ殺しと言われるのも納得だな」

 

猛烈な落下感を背に受けながら、一人勝手に納得をする。

鼻に傷を入れていたのが幸いしたのか一撃死しなかったのはよかったが、このままじゃ落下死からのデスポーンだろうな。

 

()()()()()()()()()ならな。

 

「ぶっつけ本番だがやるしかねぇようだな。やってやろうぜグラップル!」

 

そういいながら俺はインベントリから日本でいう鍵縄のようなものを取り出す。

 

これはマーデンさんの商店に置いてあったものだ。曰く、崖や木に引掛けて自由自在に空中移動が可能とのこと。ただ、扱いが難しく買い手がほとんどいないからともう少しで廃棄する予定だったらしい。

 

「あの時買っておいてよかったぜ。おかげで絶望的な状況をひっくり返せる可能性があるんだから・・・な!」

 

引掛ける部分が付いたほうを岩壁に入ったひびめがけて投げ飛ばす。

 

真っすぐ飛んで行った鍵部分は岩壁のひびに引っかかる・・・はずだった。

 

テツギリに恨みをもつ一匹の鮫がいなければ。

 

 

バクッ

 

「・・・・・・・・・え?」

 

本来なら岩壁に引っかかるはずだった鍵部分は消え、変わりとでもいうかのようにくっついていたのは、憎しみの炎を目に宿した沼掘り(マッドディグ)であった。

 

「あ、え、ちょ!なんでてめぇがくわえ・・・・!?」

 

気づいたときには、テツギリは再び空を舞っていた。

先程と違うのは、救済手段であったグラップルを持っていないことだけ。

たったそれだけの違いで命の価値は大きく変わっていた。

 

どうするどうするどうする!?もう地面との激突を防げそうなアイテムはない!スキルの方は?もちろんない!ならばどうする?

何をするのが得策だ!?

 

そんな自問自答の末にテツギリが出した結論は…

 

相打ち覚悟の起死回生の一撃である。

 

 

刀じゃおそらく火力が足らん、マーデンさんとこで買った鍛冶用の鎚に入れ替える。あとは注視で微調整するしかねぇ!

 

 

「注視、アーマーブラスト、クイックアーム…!」

 

今使えるスキルをフル稼働させ前準備を行う。やつの動きをとらえ続けろ、タイミングを計って…ここで!

 

「一艘跳び!」

 

空気を面としてとらえキックすることでダメ押しの加速!

空気蹴っても判定出んのは初めて知ったぜこんちくしょう!

 

どんどん沼堀り(マッドディグ)との距離が近づいてくる。

空振りは死、遅れても死、位置がズレればもちろん死!

 

「砕け散れ!スチールスマッシュ!」

 

ズガァァァン!!!

 

灰色のオーラを纏った鎚が、沼掘り(マッドディグ)の頭を捉える。落下エネルギー、スキルによるバフ、スキルによる攻撃という膨大すぎるその衝撃は、頭を粉々にするには充分すぎる火力であった。

 

 

「ギギャャャャァァァ…」

 

けたたましい音とともに沼掘り(マッドディグ)は沼に伏した。

 

ちなみにテツギリはというと…

 

「……………もぉ二度とコイツとはソロで戦わねぇ」

 

鎚を伝って落下エネルギーが全て沼掘り(マッドディグ)に流れていったらしい。そのかわりに、新調した鎚は持ち手だけになっちまったがな。

 

「今日はもう…さっさとログアウトしたほうがいいな…」

 

そんなことをうそぶきながら、テツギリはサードレマへと足を運ぶのだった。

 

 

 




・スチールスマッシュ
アイアンスマッシュの火力上昇版。

・アーマーブラスト
鎧や装甲に対するダメージが一定時間上昇する。
打撃系の武器の方が効果が高まる。

・大乱撃
乱撃よりも殴る回数と火力が上昇している。

・ハイアクセル
ブーストアクセルよりも持続時間が短くなった代わりに
強化幅が大きく上昇している。

・バレットスピン
弾丸のように回転するスキル。本来は飛び道具の受け流しなどに使うが、スキルとの組み合わせによっては某巨人漫画の兵長みたいなことができるようになる。

・カウントカウンター
一定数の攻撃を受け流す、もしくはパリィすることで強力なカウンターを放つことができる。カウントする回数な多ければ多いほど威力が高まる。

・グラップル
マーデンの商店にしか置いていないアイテム。出っ張りや隙間に鍵の部分を引っ掛けることで、某蜘蛛男のような動きが可能に。
しかし扱いが難しく、使い慣れていないと壁や地面に激突する。

唐突で悪いのですが、皆様は主人公の身体欠損には肯定的ですか?特に他意はないです

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